聳え立つ木々に囲まれた天守閣である文化遺産その姿は隠れ蓑であり、本性は影に潜み生死を掛ける『忍』の中の悪行を積み生きる『悪忍』を育成する学校『秘立蛇女子学園』そんな『悪』と言う名に相応しい物が庭園に山積みに成っていた。
「はぁ…(つまらねぇ…)」
山積みの頂きに座る少年は空を仰ぎながら溜め息を吐き『つまらない』とぼやく、山積みの正体は
大量の傀儡と忍と成っていた。
そのような物を造り上げた為か呟いた少年の姿は手からは血が滴り落ち服には返り血と思われる跡がこべりついていた。
──それ即ち、傀儡は破壊され山積みの忍達は死亡していると言うことを現している。現に周囲に破片や臓物、首等が飛散している。
そんな凶悪犯の様な出で立ちをした少年の名は『白堊』龍導学院の2年生にして選抜メンバーの一人である、何故彼がこの様な地獄絵図を造り出したかは時を数時間前に遡る。
───数時間前───
昨夜それぞれの龍導メンバーの活動内容が決まり、自身は蛇女選抜メンバーの"監督生"蒼鬼と言う人物と修行を行うと言う内容だった為に部屋へと訪れた白堊。
「失礼し──
「嫌ッ!!」「待って下さい!」
入室するなり拒否の声を上げながら逃げる滅赤ちゃんと静止の声を上げながら追う蒼鬼が白堊の横を走り抜けて行った。
──ます。何だよあの状況」
二人が何故追いかけっこをしているのか状況の読み込めない白堊が呟くと
「あの逃げた龍導の1年は座席が苦手らしいから、克服の為に蒼鬼が課題を用意したら駄々をこね暴れまくり其を抑えようとしたら逃げ出した為に蒼鬼も追っている訳だ」
「成程なー」ヒョイ
「あ、オイ」
昨夜色々あった為に覚えている蛇女の1年生である総司が簡潔に説明してくれた。
簡潔な説明に適当な返事と共に用意されていた資料を手に取りページを捲る白堊。
「いやいや、1年に2年の課題は酷だろ?何考えてんだよ?そりゃ逃げるってもんだ」
滅赤ちゃんが逃げた理由に独りでに納得している白堊だったが
「返せ!」
総司から強引に奪い取られた。白堊から資料を奪った総司は席に戻り課題を行い始めた。
「いや、お前のかよ」
「誰もあのチビの物とは言っていない」
「そりゃ、そうだけどさ」
「「………………」」
白堊の突っ込みに適切な返答をし課題に集中する総司。互いに沈黙を貫く中で白堊はふとした事に気づいた。
(あれ?こいつ確か1年だったよな?……何で2年の課題をやってんだ?)
総司は1年だった事を思い出した。
そんな総司が何故2年の課題に取り込んでいるかも疑問に思っていた。
聴けば早いだけだが、集中して取り込んでいる人物を邪魔をするのは良くないのと自分はどうするかと考えていると
「……何で美しき私が2年の課題をやっているか不思議なのだろう?」
「(Σ心を読まれた!?)…あぁ、まぁな」
振り替えずに白堊の考えている事を当てた総司に驚きながら頷く。
「次期選抜候補の中でも強く、気高く、美しい!私は!常に上に居なくては成らん!故に!わざわざ蒼鬼の元へと赴き教材を受け取ったのだ!」グッ
(何で、普通に教わりに来たって言えねぇんだ?)
力強く拳を握りながら熱弁する総司に内心呆れる白堊だったが、昨日の今日で大体彼女の性格を把握していた為に平常運転だったと納得した。
それはそうとして、白堊は総司の取り組んでいた課題を見て
「結構間違っているぞ、こことか」
「何!?どこだ!教えろ!」
間違っている場所に指を指すと総司は身を乗り出しながら指摘した場所に視線を移す。
(グオっ!当たってる!何か良い匂いもする!!)
総司が身を乗り出した為に胸が当たり、年頃の少女らしい甘い香り(恐らく香水とかトリートメント)により一瞬心を乱されるが、相手は真剣に質問している中で答える側の自分が邪な考えを持ってはいけないと、理性を保ち教え始めた。
────数分後──
「フム、成程な。ここの公式は無駄に捻らずとも答えは出ていたのか……」
「難しく考えるから、解けないって事は割りと良くあるからな」
「次はだな」
「教わっている中なんだが、お前は課題とか修行の類いは無いのか?」
一通り課題の訂正が終わった総司が白堊の状況を聞くと白堊は『はっ!』と表情を浮かべた後、素に戻り
「いや、無いわけじゃあないんだ。只な担当の人が、人っていうか……兎に角だな滅赤ちゃんを追いかけているからしようにもやることが無ぇんだよ」
(明らかに『そうだった』って表情したな)
白堊の言い分に内心呆れながら、総司は溜め息を吐きながら一枚の用紙を差し出す。
「ほら、この用紙の通りにすれば良いだろう」
「ん?何だそれ?」
総司に渡された用紙に白堊は目を通すと
『白堊さんへ』
《突然の事で申し訳ございません、滅赤さんの課題が終わるまでに白堊さんの修行へと移行出来そうに有りません。代わりに野外訓練所に有る春花さんの製作した『傀儡』で修行を行っていて下さい。本当に申し訳ございません。──下克上にはご注意下さい》
「マジかよ」
滅赤ちゃんの課題が終わるまでは修行の相手を務める事が出来ない為に代理で傀儡と模擬戦をやるように。とかかれていた為に白堊は溜め息を吐くが、仕方ないと思いながら最後に太字で書かれた『下克上』に注目する。
「下克上って何だ?」
「はぁ?お前そんな事も分からんのか?『下の者が上の者に打ち勝って権力を手中にすること』の事だ 」
白堊の呟きに総司は呆れながらも簡潔に答える。
「そんくらい分かるわ!!」
白堊は総司の下克上の説明に知っていると返し続け様に
「誰がオレに手を出すかが疑問なだけだ!!」
下克上を下す相手は誰かを疑問に思っていたと返す。
「いや、普通に蛇女の生徒に決まっているだろう?バカか?」
「うぐ」
至極全うな総司の返しに何も言い返せない白堊。
「「………………」」
再び二人の間に沈黙が流れる。その状況に耐えられなく成った白堊は
(はぁ、しょうがねぇ大人しく書き置き通りに修行しますかね)ガリガリ
用紙の書き置き通りの内容を行う為に部屋を出ると
「下克上受けたからと言って私に泣きつくなよ?」
エレベーター外の部屋から総司に揶揄われた為
「誰がするか!!」
すかさずツッコミを入れた。
─────カリカリカリ
「んっ~……ふぅ」
白堊が退室した後に次々と課題を終えていた総司は背伸びした後に息を継ぎ
(……男を落とす媚薬らしが、アイツには全く効果が無かったぞ?)
総司は昨夜のアクシデントで自分から逃走と言う恥辱を味合わせられた為に報復として今度は白堊にその経験を味会わせようと、男を誘惑する『媚薬』を利用し襲わせ
白堊が襲う➡️その現場を第三者が目撃➡️白堊の恥辱
と言う邪な事を考えていた。
……どう考えても総司も恥辱を味わうのは明白でしょう。
───野外訓練所──
一方の白堊は書き置き通りに野外訓練所へと赴くと其処にはぱっと見100体以上の傀儡か綺麗に整列していた。
「……いや、多くね?」
そんな圧巻な光景を前に呟くと
──ギ、ギギギ───ガチャガチャ──
傀儡達が一斉に戦闘体制に入り始めた。それと同時に
「龍導の白堊だな?」
「そうだが?」
「お命頂戴!!」チャキ
クナイを構えた背に大型手裏剣を背負った赤毛のボブカットの蛇女の生徒が現れ、彼女の下克上と共にゾロゾロと傀儡に負けぬ量の生徒が現れた。
(う~ん、コレが下克上ねぇ…にしても)
噂に聞く下克上を受けた状況の中で白堊は現れた生徒をまじまじと見ながら
(この赤いのは自分からだから良いとして、残りの奴等に至ってはハイエナだな……はぁ『つまらねぇ』奴等)
赤毛の少女は自分から挑んで来たが、後から来た生徒達は恐らく便乗しておこぼれに預かろうとしているのだろう。
そんな彼女等をつまらないハイエナ集団と称し
「はぁ」ヒュッ
溜め息を吐くと同時に一瞬の間に集団の後方の生徒から刀を奪い
「ま、良いけど」
ザバッ!──ストン─
その生徒の首を斬り落とした。
「「「「「!!???」」」」」
迷いと容赦の無い白堊の行動に戸惑いを見せる蛇女の学生達に悪鬼羅刹で獰猛な笑みを浮かべた白堊は刀を折りながら一言
「来いよ」
ワアァァァァ!!
─ズビュウン!─ガシャガシャ!!
その一言を火蓋に蛇女子学生と傀儡が一斉に白堊へと襲いかかる。
「死ねぇ!!」
「ハァッ!!」
刀を振り上げながら攻めてくる蛇女子学生二人に白堊は背後から襲いかかって来る傀儡の攻撃を躱しその腕を掴み、引っ張り勢い良く二人にぶつける。
「「キャッ!」」
傀儡をぶつけられた二人は倒れ込む。白堊はその隙を見逃さずに二人が起き上がる前に傀儡を踏み潰し、蛇女子学生の頭を殴り潰し殺害する。
次に来る傀儡も殴り壊し、蛇女子学生も蹴りで胴体を真っ二つにしたり、顔の皮を剥ぎショック死させたり、手刀で心臓を抉り抜いたり、下顎から上を蹴りで破砕したり…etc
兎に角凄惨且つ極まりない半ば一方的な殺戮を繰り広げる。その為か数100体居た傀儡は全て破壊され蛇女子学生に至っては両手両足で数えれる人数しか残っていない
「な、なん何だコイツ!?」
「昨日の焔さんとの戦いとは別人じゃないか!?」
白堊の余りにも残虐な戦いぶりに怯む蛇女子学生
「こうなったら…最終兵器を使うしか」
「そ、それは!駄目だ!」「いや、でも」
そんな中一人の蛇女子学生がそう呟くと周りの生徒達は顔面蒼白しながら止めようとするが
「もう遅いんだよ!!来い!」
「うわッ!?」「キャ!」
その号令と共に怯む女子学生達を突き飛ばしながら巨人の様な屈強な体格をした蛇女子学生がズンズンと前に出る。
「うわ、すげぇの来たな」
その人間離れした体格と容姿に白堊も引き攣った笑みを浮かべる
「グロロロロォ!!」
屈強な巨人蛇女子学生は野獣の様な雄叫びを上げながら白堊目掛け拳を振り上げる。そんな危機的な状況下で有りながら立ち尽くす白堊に
「ハハハ!ビビって動け無いんだな!!」
彼女を呼んだ蛇女子学生は笑い声を上げるがその笑みは直ぐに崩れさる。
「まぁ、だから何だって話だが」
全く意に返さない白堊により巨人蛇女子学生は手刀により真っ二つにされてしまった。
「……嘘だろ?」 「上忍でも苦戦するのに……」
「おい、呆けている暇は無いだろ?」
呆然としている蛇女子学生達に白堊はそう告げ
「え?ウワッアアアアア!!?」
\ゴシャア/
白堊の警告に蛇女子学生の悲鳴と嫌な音が庭園に響いた。
───と、まぁ余計な話もあったがコレが冒頭で造り上げられていた地獄絵図の理由である。
「……どーすっかなぁ~」
亡骸の山の頂上に腰を掛けながら何をするかを考える。最初は昼寝を考えて居たが寝心地の問題で断念した。
何も思い付かず空を仰いでいると
「くっ…!…はぁ、はぁ」
身体中傷だらけの少女が武器を構えふらつきながら此方を見上げ近づいて来た。
「ん?お前は確か……下克上宣言した奴か」
そう語ると白堊は死体と残骸の山から降り、自分に武器を向ける少女の前に立つ。
「それで?どうすんだ?」
「…………」スチャ
白堊の問いに無言で武器を構える少女。
「はは…」スッ
そんな少女に対して白堊は苦笑しながら構える。
「ヤアアアアアッ!!!」
白堊の構えが終わると同時に少女は武器を振り上げ雄叫びを上げながら駆け出す。
「
そんな少女に白堊は他の蛇女生徒達と違い本気の覚悟を持っていた少女に彼なりの最大の賛辞と全力の一撃を振るうが
「……来たか」
「な、なに……を?」
白堊は短く呟くとピタリと拳を止める。その発言の意図が理解出来ない少女は力なく地面に倒れる。
「ちゃんと、医療班呼べよ?」
「分かっています」
「………既に手配した、清掃員もな」
そんな白堊の真面目なトーンに青髪短髪で右目を隠した少女は了承し、もう一人の黒髪に白のメッシュの入った少年は死体と残骸の山に目をやりながら、清掃員を手配したと言うと
「ん~~、で!どっちが?オレの相手?」
白堊は背伸びすると通常の口調で二人を見据えた。
次回はついに二作品の主要キャラとの絡みに成ります。
因みに下克上宣言した蛇女の生徒ですが準レギュラー化するかも?です。