龍導学院の恥
ここは、町からかなり離れた山奥
今は夜、朝や昼ならば登山客やピクニックで賑わう場所なのだが……
まさに死屍累々……その言葉が当てはまる状況になっていた……
そんな地獄絵図の様な場所に居た少年は大きく溜息を吐いた。
「ハァ……」
少年が溜め息を吐いた理由は至極単純で、自身に向かって来た相手が余りにも弱すぎた事だ。
そんなカオスの中に「…ぅ、ぁ…」今にも事切れそうな、虫の息、そんな言葉が合う人物がいた。
「お!」と反応し件の人物の前へと進み、質問をした。
「なぁ、アンタらに俺を殺すように命令したのって誰?」
「……ぁ……ぇ……」
「いやさ、ちゃんと喋れるだろ?手足へし折っただけじゃん?あ、左腕は引き千切れてるか…まぁいいか。で、誰なの?」
さらりととんでもない事を、「まぁいいか」と発言した少年に対し、虫の息の人物は「ぅぁ…」と赤子の様に呻くしかなかった。
心の中で「下手な事をしたら、間違いなく自分は死ぬ…」その事で頭がいっぱいになっていたのだ…
そんな人物に痺れを切らしたのか、少年は発言した。
「多分だけどさ、学院の奴だろ?」
虫の息の人物は、コクンと頷く事しか出来なかった。それを確認すると少年は「よしっ!」と発言し、自分にこう告げた。
「うん、うん。その反応で誰が命令したかは分かった!ここさ、よくピクニックする奴ら居るから運が良かったら助けて貰えるかもな!んじゃ!」
とまるで、友人に語りかける様に告げて去っていった。
倒れている人物は薄れ行く意識の中で思った。今のシーズンにピクニックに来る馬鹿は居ないと…
「よっと!」軽快に森の木々に飛び写りながら少年は進んで行く。この少年の名は「白堊」悪忍を育成する学院…「市立龍導学院」に通う高校生であり。
「多分、アイツはまだ学園内に居る筈だ…さぁてどう料理しますかねッ!とッ!」
龍導学院の選抜メンバーの一人にして、二つ名を「龍導学院の恥」と蔑まれる人物である。
何故に彼が「龍導学院の恥」と呼ばれるか……それは、忍達なら基本的に出来る《秘伝忍法》を一切使えないからであった。
しかし、この少年。その基本の技を使わずに選抜メンバーまで登り詰めただけあり、かなりの実力者である。
それ故に周囲からの嫉妬をよく買い、先程の様に刺客を送り込まれる事も多々ある。
が……少年はそれを基本的に快く受け入れ、《秘伝忍法》習得の糧になるかも知れないと期待していたが。
毎回毎回、三下ばかりを向けられて腹が立ったので、依頼人本人に喧嘩を売りに学院へと向かって行った……