蒼穹のファフナー 〜Wunsch〜   作:naomi

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第十三話「憤怒」

「良かった。無事で」

 

「どうしてお前がここに」

 

「それはここを脱出してからです。クルス」

 

「はい。ごめんねもう帰っていいよ…ちがうちがう、その子達は敵じゃない…もう」

 

クロノスがスフィンクス型を撃退する。

 

「やっぱり『服従』は長続きしないね」

 

クロノスが差し出した手に乗り込む二人。亮一はカンナの状態に気がつき自分の纏っていたコートをそっとカンナの肩に掛けた。

 

「ありがとう」

 

「いえ、そんな」

 

「亮一。敵が来たよ」

 

人類軍のファフナー部隊がクロノスに近付いていた。

 

「クルス。例のポイントまで早く」

 

「わかったよ」

 

「他の3人は」

 

「別のポイントで合流することになってます」

 

指定のポイントにつくとマークアハトが置いてあった。マークアハトに乗り込む二人

 

「早く助けに来てね」

 

クロノスが先行して人類軍のファフナー部隊に突っ込んだ。

 

「しっかり捕まっていてくださいね。カンナさん」

 

「あぁ…」

 

クロノスの援護に向かうマークアハト。

 

「やっと来た亮一、どうする」

 

「先陣は頼むよクルス。僕のSDPで動きを止める」

 

「わかったよ」

 

亮一のSDPが次々と人類軍のファフナーを機能停止に追い込む。

 

「合流ポイントはどこなんだ」

 

「ブレストって場所だそうです」

 

「だいぶ距離があるぞ」

 

「大丈夫ですよ。クルスもいますし」

 

移動中、1台の車が亮一の目に留まる。

 

「…クルス先に行って」

 

「亮一どうしたの」

 

「すぐに追いつくから」

 

「わかった」

 

クロノスはひたすら前へと進んだ。

 

(あの車は確か…亮一)

 

「亮一。何をしている」

 

「あいつはカンナさんを苦しめた。生かしてはおけない」

 

カンナはふと溝口の言葉を思い出した。

 

(俺達はこいつらに『人を殺めること』を教える気はない。勿論その苦しみもな)

 

「何を考えている。止めるんだ亮一」

 

「あいつの存在がカンナさんを苦しめるんだ。あんな常軌を逸脱したやつを生かしてなんかおけない」

 

「お前がそんなことの為に人を殺める必要は無いんだ。やめてくれ亮一」

 

「許さない。僕はあいつを絶対に…」

 

カンナの平手が亮一の頬を叩く。

 

「カンナさん…」

 

「バカ野郎。折角これまで人を殺めずにここまで暮らせたんだろう、その『幸せ』を自らの手で手放すな」

 

「でもこいつはカンナさんの想いを裏切り。カンナさんを苦しめたんだ。そんなやつがノウノウとこのまま生きていくなんて、僕は許せない」

 

「私は、あいつが存在することよりも今お前があいつを殺め、その後苦しむ姿を見る方が…苦しい」

 

「…」

 

車めがけて跳ぶマークアハト。機体は車から1km先で着地した。着地の風圧で車は横転する。

 

「二人とも大丈夫」

 

クロッシングでやり取りを聞いていた来主が駆けつける。

 

「二人ともどうして泣いてるの」

 

「ありがとう亮一。お前はやはり優しいな」

 

二人の泣きじゃくる声がグラーツの夜空に響いた。

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