蒼穹のファフナー 〜Wunsch〜   作:naomi

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第十六話「入り乱れる戦場」

スペクターと対峙する僕達を囲むように展開する人類軍。睨み合いが続いていた。

 

「展開している人類軍の意図がわからんな」

 

(東側から来ているということは狙いは…)

 

「溝口。狙いは恐らく私だ」

 

「なに。どういうことだ」

 

「東側から展開しているというとこはおそらく新国連の人類軍。スクラーベに関連した部隊ではないかと」

 

「スクラーベってお嬢さんの言っていた組織か」

 

「はい。口封じに来ているのではないかと」

 

「じゃあお嬢さんは変に出撃しない方がいいかもな」

 

「私を囮に…」

 

「そんなこと亮一が許すと思うか」

 

「…それもそうだな」

 

「いいか。お嬢さんは下げるぞ」

 

「わかりました」

 

「おいおい反対側からも部隊が来たぞ」

 

後ろを見ると、別の人類軍の艦隊が迫っていた。

 

(しかもあのなかに独立人類軍の旗艦『イナンナ』がいるってことは…)

 

「こんなところで何をしているんだ。溝口」

 

「バーンズ。真壁から聞いてねーか、調査だよ調査」

 

「ここは我々独立人類軍の領海だ。活動する際は許可を取る取り決めではなかったか」

 

「真壁経由で取っているはずなんだけどな」

 

「まあいい。貴様らの目的はなんだ」

 

「あのファフナーの鹵獲だ今回の任務の貴重な情報源だからな」

 

「バーンズ将軍。反対側に展開中の人類軍から砲撃です」

 

「痺れを切らして撃ってきたか。全艦迎撃…。まぁあまり我々の邪魔をしてくれるなよ溝口」

 

「お気遣いどうも」

 

砲撃の嵐が蓬莱島に着弾する。

 

「近辺に反応。フェストゥムの群れです」

 

(レガートが呼んだのか)

 

「どうしても戦うのか、亮一が差し出した手をはね除けてまで」

 

「彼の言葉を認める訳にはいかないからな」

 

構えるスペクター

 

「一騎。ここは僕に任せてもらえないか、スペクターは僕が抑える」

 

「わかった。亮一俺達でフェストゥムと人類軍を抑えるぞ」

 

「わかりました」

 

1つの島に出来る無数の戦場。そこにはただ激しい火花だけが乱発していた。

 

「還りな。お前達のいるべき無へ」

 

(凄いな一騎さん。迫り来るフェストゥムを一瞬で、よし僕も)

 

SDPを発動させ人類軍のファフナーを機能停止に追い込む。

 

「見つけたぞ、霧島亮一」

 

一機が突っ込んできた。

 

「大丈夫か、亮一」

 

「大丈夫です。君は確か」

 

「約束を果たそう。お前を殺す」

 

リベラル・イェーガーの乗るティフシュワーズ・モデルが僕のマークアハトを襲う。彼に対応するので精一杯で次第にSDPが解け、人類軍のファフナーが行動を再開する。

 

「くっ、砲撃」

 

ボレアリオスの方向からの攻撃

 

「ありがとうクルス」

 

「あいつ厄介だね、このまま食べちゃおう」

 

クロノスとエウロス型がティフシュワーズ・モデルに集中砲火を浴びせるが、見事にかわしてみせた。

 

「俺をその程度の攻撃で殺れると思うな、フェストゥム」

 

次第にエウロス型が倒されていく

 

「こいつ僕の家族を」

 

「クルス。落ち着いてそんな闇雲に攻撃しても当たらないよ」

 

「いいのか、かなり荒れているようだが」

 

「来主のことは一騎と亮一に任せればいい。僕は君を逃さないこと」

 

「それは叶わないな」

 

アバドンに強力な光線が飛んでくる。

 

(この規模の攻撃。まさか…)

 

「10時の方向…『ギガンテス型』です」

 

「甲洋。大丈夫か」

 

「一騎、撤退しよう。あいつが現れたということは、ベノン配下のフェストゥムも来ている。これ以上入り乱れた戦場でレガートを鹵獲するのは至難の業だ」

 

「アイツを俺がやれば」

 

「ただでさえここに来て力を使い続けてる。そんなのはダメだ」

 

「だが」

 

「一騎。俺も撤退を提案する」

 

「溝口さん。なんでです」

 

「あのタイプを人類軍が倒そうとするのに考える手は1つしかない。巻き込まれない為にも今すぐにでもここを離れるべきだ」

 

「折角手に出来る手掛かりなんだぞ」

 

「ここで誰かを失うことになったら意味ないだろ」

 

「…」

 

「お話し中すみません。例のティフシュワーズ・モデルが急に撤退を始めたんですけど…」

 

「亮一。直ぐに全員蓬莱島を離れるぞ」

 

「えっ、でもレガートが」

 

「人類軍がタイラントをぶっぱなす可能性が高い」

 

「えー。でもクルス。あの機体追いかけて行っちゃいましたよ」

 

「なに」

 

「一騎。連れ戻さないと」

 

「わかった」

 

(撤退していく…この場は離れた方がよさそうか)

 

三機がクロノスに接近する。

 

「来主。撤退するぞ」

 

「一騎止めないで、アイツ僕の家族をたくさん殺した。やっつけないと」

 

「このままじゃ人類軍の火に焼かれてまた沢山死ぬぞ」

 

「せめてあいつだけでも…」

 

(ボレアリオスは来主じゃないと動かせない。どうすれば説得出来る)

 

「一騎さん提案があります…」

 

「亮一」

 

「来主。早く離れるぞこのままじゃあ皆死んでしまう」

 

「離せ。邪魔をするなら君を食べるぞ」

 

クロノスがアバドンにルガーランスを向ける。

 

「来主落ち着いて」

 

「僕を離せ」

 

(ごめんね。クルス)

 

クロノスの動きが止まる。

 

「…来主」

 

「みんな…かえるよ、ここを…はなれよう」

 

(まさか…亮一くん)

 

蓬莱島の沖にいたボレアリオスが島を離れ始める。艦隊から煙とともに何かが打ち上げられる。

 

「急げ。お前ら」

 

「亮一」

 

着弾する厄災、一瞬で蓬莱島は爆炎に飲まれた。

 

ギガンテス型を残し僕達は蓬莱島を後にした。

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