スペクターと対峙する僕達を囲むように展開する人類軍。睨み合いが続いていた。
「展開している人類軍の意図がわからんな」
(東側から来ているということは狙いは…)
「溝口。狙いは恐らく私だ」
「なに。どういうことだ」
「東側から展開しているというとこはおそらく新国連の人類軍。スクラーベに関連した部隊ではないかと」
「スクラーベってお嬢さんの言っていた組織か」
「はい。口封じに来ているのではないかと」
「じゃあお嬢さんは変に出撃しない方がいいかもな」
「私を囮に…」
「そんなこと亮一が許すと思うか」
「…それもそうだな」
「いいか。お嬢さんは下げるぞ」
「わかりました」
「おいおい反対側からも部隊が来たぞ」
後ろを見ると、別の人類軍の艦隊が迫っていた。
(しかもあのなかに独立人類軍の旗艦『イナンナ』がいるってことは…)
「こんなところで何をしているんだ。溝口」
「バーンズ。真壁から聞いてねーか、調査だよ調査」
「ここは我々独立人類軍の領海だ。活動する際は許可を取る取り決めではなかったか」
「真壁経由で取っているはずなんだけどな」
「まあいい。貴様らの目的はなんだ」
「あのファフナーの鹵獲だ今回の任務の貴重な情報源だからな」
「バーンズ将軍。反対側に展開中の人類軍から砲撃です」
「痺れを切らして撃ってきたか。全艦迎撃…。まぁあまり我々の邪魔をしてくれるなよ溝口」
「お気遣いどうも」
砲撃の嵐が蓬莱島に着弾する。
「近辺に反応。フェストゥムの群れです」
(レガートが呼んだのか)
「どうしても戦うのか、亮一が差し出した手をはね除けてまで」
「彼の言葉を認める訳にはいかないからな」
構えるスペクター
「一騎。ここは僕に任せてもらえないか、スペクターは僕が抑える」
「わかった。亮一俺達でフェストゥムと人類軍を抑えるぞ」
「わかりました」
1つの島に出来る無数の戦場。そこにはただ激しい火花だけが乱発していた。
「還りな。お前達のいるべき無へ」
(凄いな一騎さん。迫り来るフェストゥムを一瞬で、よし僕も)
SDPを発動させ人類軍のファフナーを機能停止に追い込む。
「見つけたぞ、霧島亮一」
一機が突っ込んできた。
「大丈夫か、亮一」
「大丈夫です。君は確か」
「約束を果たそう。お前を殺す」
リベラル・イェーガーの乗るティフシュワーズ・モデルが僕のマークアハトを襲う。彼に対応するので精一杯で次第にSDPが解け、人類軍のファフナーが行動を再開する。
「くっ、砲撃」
ボレアリオスの方向からの攻撃
「ありがとうクルス」
「あいつ厄介だね、このまま食べちゃおう」
クロノスとエウロス型がティフシュワーズ・モデルに集中砲火を浴びせるが、見事にかわしてみせた。
「俺をその程度の攻撃で殺れると思うな、フェストゥム」
次第にエウロス型が倒されていく
「こいつ僕の家族を」
「クルス。落ち着いてそんな闇雲に攻撃しても当たらないよ」
「いいのか、かなり荒れているようだが」
「来主のことは一騎と亮一に任せればいい。僕は君を逃さないこと」
「それは叶わないな」
アバドンに強力な光線が飛んでくる。
(この規模の攻撃。まさか…)
「10時の方向…『ギガンテス型』です」
「甲洋。大丈夫か」
「一騎、撤退しよう。あいつが現れたということは、ベノン配下のフェストゥムも来ている。これ以上入り乱れた戦場でレガートを鹵獲するのは至難の業だ」
「アイツを俺がやれば」
「ただでさえここに来て力を使い続けてる。そんなのはダメだ」
「だが」
「一騎。俺も撤退を提案する」
「溝口さん。なんでです」
「あのタイプを人類軍が倒そうとするのに考える手は1つしかない。巻き込まれない為にも今すぐにでもここを離れるべきだ」
「折角手に出来る手掛かりなんだぞ」
「ここで誰かを失うことになったら意味ないだろ」
「…」
「お話し中すみません。例のティフシュワーズ・モデルが急に撤退を始めたんですけど…」
「亮一。直ぐに全員蓬莱島を離れるぞ」
「えっ、でもレガートが」
「人類軍がタイラントをぶっぱなす可能性が高い」
「えー。でもクルス。あの機体追いかけて行っちゃいましたよ」
「なに」
「一騎。連れ戻さないと」
「わかった」
(撤退していく…この場は離れた方がよさそうか)
三機がクロノスに接近する。
「来主。撤退するぞ」
「一騎止めないで、アイツ僕の家族をたくさん殺した。やっつけないと」
「このままじゃ人類軍の火に焼かれてまた沢山死ぬぞ」
「せめてあいつだけでも…」
(ボレアリオスは来主じゃないと動かせない。どうすれば説得出来る)
「一騎さん提案があります…」
「亮一」
「来主。早く離れるぞこのままじゃあ皆死んでしまう」
「離せ。邪魔をするなら君を食べるぞ」
クロノスがアバドンにルガーランスを向ける。
「来主落ち着いて」
「僕を離せ」
(ごめんね。クルス)
クロノスの動きが止まる。
「…来主」
「みんな…かえるよ、ここを…はなれよう」
(まさか…亮一くん)
蓬莱島の沖にいたボレアリオスが島を離れ始める。艦隊から煙とともに何かが打ち上げられる。
「急げ。お前ら」
「亮一」
着弾する厄災、一瞬で蓬莱島は爆炎に飲まれた。
ギガンテス型を残し僕達は蓬莱島を後にした。