ギガンテス型を葬り去る為に両人類軍の放ったタイラントからなんとか逃れた僕達は大西洋をさ迷っていた。
「引き揚げる為とはいえ、あのタイプを残したのは不味かったか」
「むしろ、あのタイプをターゲットに探せば、レガートとやらと再び遭遇出来るのではないか」
「あぁ、当面はあのフェストゥムを追う」
「その前にあっちの問題をどうにかしないとな」
脱出する際に起きてしまった問題が僕達の進む道を阻んでいた。
「クルス…ごめんね」
「亮一酷いよ。僕を『服従』させようとするなんて」
「本当にごめんなさい」
「もう。あっちに行ってくれる。君とは話したくない」
来主はどこかへ行ってしまった。
「クルス…」
「時間が必要なだけだよ。そんなに思い詰めなくても大丈夫」
「甲洋さん」
「そんな悠長なことを言っていて大丈夫なのか、これを機会に敵になるってことも…」
「もし、そうなら俺達は既にこの艦から強制的に弾き出されている。この艦は来主自身だからな」
「そうなのか」
「来主もわかってはいるんだ。ただ心の整理に時間が必要なんだ」
「心…」
「フェストゥムに『心』って顔だな」
「あるんだな。奴らにも」
「だが、あまり長引かれても任務に支障が出る。キッカケが欲しいな」
【2人】の問題もあり身動きの取れないボレアリオス。悠長なことは言っていられなかった。
「もう見つかったか。どっちだ」
「…あいつだ」
「来主。待って」
「あの反応ってことは、バーンズのとこか」
ティフシュワーズ・モデルの攻撃がボレアリオスに向けられる。
「あのタイプは迎撃するしかないな」
「行くぞ、亮一」
「…」
「亮一」
「はっ、はい」
「敵だ。行くぞ」
「溝口。亮一が心配だ私も出るぞ」
「すまんな。頼む」
遅れて僕とカンナさんが出撃すると、既にクロノスとエウロス型そしてアバトンは、ティフシュワーズ・モデル部隊と交戦し、マークエルフリペアはボレアリオスの近くで静観していた。
「どうしたのだ、参戦しないのか」
「…厄介なヤツらも混じって来た」
後方からはスペクターと見たことのないファフナー達が接近していた。
「あのファフナーなんだ」
「わからん。スペクターに似てるが見たことの無いタイプだ」
「あれはファフナーじゃない。あいつらの全身からフェストゥムの気配を感じる」
「…フェストゥムが擬態したファフナー、レガートが引き連れてるっぽいし差詰め『ファフナー・ベノンモデル』てか」
「お前達は危険だ。ここで始末する」
「2人は向こうを頼む」
「でも一騎さん。1人でこの数の相手は」
「来主が心配だ、最悪また亮一の『力』が必要になるかもしれない」
「そんな…」
「代わりに甲洋をこっちに呼んでくれ」
「行くぞ亮一」
「カンナさん。でも」
「彼を信じろ。強いんだろ」
「…わかりました」
来主の元に向かう僕達。追おうとするスペクターをマークエルフリペアがルガーランスで止める。
「1人でやる気か、随分舐められたものだ」
「…」
「こいつ、こいつ…また僕の家族を」
「来主。落ち着いて、他の家族が混乱してる。君が冷静でいなきゃ」
「なんで、こいつをやっつけれないんだよ」
「…援軍。2人とも」
「甲洋さん。こっちは僕達がレガートが変なファフナー部隊を引き連れて一騎さん1人で応戦中です。甲洋さんはそちらを」
「こんな状態の来主をほっとけないよ」
「…僕がまた制御します」
「亮一くん…」
「安心しろ、私が2人の動向を注視しておく」
「…わかった。頼んだよ」
アバトンは急ぎマークエルフリペアのもとへ向かった。
「来たか、霧島亮一」
彼のティフシュワーズ・モデルが一直線に僕に向かって来た。
「お前の相手は僕だ」
クロノスが間に入り応戦する。
「亮一。周りのヤツは私が牽制しておく。2人で黒烏の牙をやれ」
「はい、やろうクルス」
「君は邪魔だよ」
「クルス…」
2機で応戦するが連携が全く出来ておらず。むしろ圧され始めた。
その隙を付き、ティフシュワーズ・モデルはクロノスをワイヤーで捕らえ、斬りかかる
(ダメだ、やっぱりこのパイロットに僕の力は効かない)
咄嗟にクロノスを押し出していた。
「いたい、亮一…」
機体を貫かんとする武器が迫る。すると強い衝撃が機体に走った。
「なに…えっ…」
振り返ると、僕が受けるはずだった攻撃をフォックスワンが受けていた。
力無く崩れ落ちるフォックスワン。
「カンナさん」
僕は急ぎ海に堕ちて行くフォックスワンを追いかけた。