「じゃあ母さん行ってきます」
「気をつけてね」
翌日。早速私は亮一の案内のもと海神島を見て回った。
その町並みはとてもこの世界の町とは思えない美しさと綺麗さそして穏やかさがあった。
「どうです。カンナさん」
「あぁ、亮一の言う通りな島だなここは。ところで今はどこに向かっているんだ」
「学校ですよ」
「…学校」
「ファフナーに乗って戦場に出たといっても、島の人達からしたら僕は子どもなので」
「カンナさんは学校に通ったことは無いんですか」
「あるぞ。ただ軍隊の学校しか知らない、ここから行く学校もそういったところか」
「いえ、銃の扱い方やファフナーの乗り方は学校では学びません。ここで学ぶのは今日までのこの世界の歴史やこの島が守ろうとしている『平和という文化』そのような『人として大切な事』を学んでいるんだと先生は言っています」
「そうか。それは楽しみだ」
昔はそのような教育の場所が至るところにあったとは聞いていた。しかしこの世界に本当にそんな場所があるとは思いもしなかった。
「おはようございます」
「はい。おはよう」
学校に着くと、小さな子ども達が元気良く挨拶しながら門をくぐっていた。
「おはようございます」
「おはよう。久しぶりの登校だね亮一」
「近藤先生おはようございます」
「欠席した分の宿題山程あるからね。逃げるんじゃないよ」
「えー。そんな」
「先生も少しだけなら手伝ってやるから。…そちらが例の」
「はい。カンナ・メネスです」
「近藤咲良です。この学校で教師をしてます」
「近藤先生は僕のクラスの担任の先生なんです」
「亮一。おはよう」
近藤先生という方と話していると、1人の少女が声をかけてきた。
「先生おはようございます」
「美羽ちゃんおはよう」
「美羽姉おはよう」
「どうだった初めての外の世界は」
「うん。大変だった聞いてたよりも」
「そっか。またいっぱいお話ししようね」
「うん。またね美羽姉」
少女との会話に亮一が照れているように感じた。
「えっとカンナさん。一応これから授業になるので行きますけど、どうします」
「どうしますとは」
「初等教育になるので聞いていたカンナさんの年齢では聞いていても退屈されるのではないかと」
「いえ、この島の『文化』というものに触れたいので是非見学させてください」
「わかりました。学園長は既に承知済みなので自由に見学してください」
私は亮一の授業を教室の外から見学させてもらった。年相応の無邪気な彼に私は癒された。
(兄様。また俺のを勝手に使ったな)
(うん。それはカンナがやったんだぞ)
(何故。私の名前が出てくる)
(俺。カンナがハリーの部屋の机あさってるの見たんだよなー)
(なっ、あれは自分の私物が間違えてハリーのところにないか確認しに行って欲しいとお前に頼まれたからだろテリー)
(…)
(私じゃあない。そんな疑いの目で見るなハリー)
(ハハハハハ。やっぱりカンナは面白い)
(テリー貴様)
(わっあぶねー。そんなモノ振り回すなカンナ。ハリー、カンナを止めろ)
(自業自得だよ兄様)
「カンナさん。どうかしました」
気がつくと授業は終わっていた。
「あぁ。お前の姿と幼き日の私がダブって昔のことを思い出してた」
「そうですか…」
「…あの1件があるからな。亮一からしたら私の過去について心配になるだろうが、別に昔が全て嫌な思いをしたとは思わない」
「本当ですか」
「機会があれば、話してやるよ。それよりもっと学校を案内してくれ」
「はい」
学校を一通り見学し、まだ見ぬ未来に目を輝かせる少年少女達を見て、私の成すべきことを今一度確認した。