蒼穹のファフナー 〜Wunsch〜   作:naomi

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第二十三話「師弟」

この日、私は修行をしに行くという亮一についていった。

 

「海神…道場。ファフナーの訓練とは違うのか」

 

「勿論。ファフナーの訓練も受けてますけど、ファフナーに乗る為には技術以外にも必要な事があると、師匠は仰ってました」

 

「師匠…」

 

「僕の先輩ファフナーパイロットで年はカンナさんに近い人です」

 

「そうなのか」

 

元気良く亮一が道場の門を潜ると、確かに私と年齢の近そうな男女が先に利用していた。

 

「なあ、ここは神聖な場所だからよ。それは家に置いてこいよ。美三香」

 

「わかってないな零央ちゃん。美三香にとって【コレ】を読むことが零央ちゃんにとっての修行と同じ役目を果たしてるんだよ」

 

「ったくよ。おっお疲れ亮一」

 

「お待たせしました。師匠」

 

「ったく。師匠はやめろ、そんな大層なもんじゃねぇから」

 

「それでも僕にとって零央さんは師匠ですから」

 

「そう思ってくれるのは勝手だけど、やっぱ師匠呼びはやめてくれ」

 

「わかりました」

 

「亮ちゃーん」

 

美三香と呼ばれていた女性が亮一に勢い良く抱きついた。

 

「美三香さん苦しい」

 

「あっ、めんごめんご。亮ちゃん『機動侍ゴーバイン』最新巻読む」

 

「えー。ゴーバインの最新巻出てるんですか。読みます読みます」

 

「こら。美三香そっちに誘惑するな、亮一どうやら今日は一段としごく必要が有りそうだな」

 

「お手柔らかにお願いします…」

 

「っと、客人もいらっしゃるのにとんだ失礼を、御門零央です。よろしく」

 

「水鏡美三香です」

 

「カンナ・メネスです。よろしくお願いします」

 

「あんたが亮一の手助けをしてくれてたんだって。ありがとう」

 

「いや、彼には何度も助けてもらった。礼を言うのは私の方だ」

 

「よければあんたもやってくか」

 

「そうだな。是非やらせてもらおう」

 

そうして私も亮一と同じく修行を受けることとなった。

 

慣れない胴着を美三香さんに手伝ってもらい身につけ、始まりは脚を組み身体を一切動かさず瞳を閉じる『座禅』と呼ばれることから始まった。

 

「ファフナーを動かす上で安定した心は、敵からの同化や読心能力に対して優位性を得られる。まずは心を空にしリラックスした状態を創るんだ」

 

少しすると、隣から何かで叩かれる音が聞こえた。

 

「邪念を捨てろ亮一。今は心を空にすることに集中しろ」

 

「~~~」

 

(一方でこっちは流石に外の世界を生き抜くだけあって。安定してるな)

 

(Dアイランドの戦士達はこういった観点からも訓練してきたわけか。どうりでその場で叩き上げに近い方法で生き抜く人類軍と違い。パイロット一人一人が優秀な訳だ)

 

そんなことを考えた刹那、私の背中に激痛が走った。

 

暫くそのような精神面を鍛える修行を行いより実践的な修行にここでも私は思わぬ方法を目撃した。

 

「…刀を使うのか、しかも刃が付いているではないか」

 

「より実践的な方がいいのでね。よし来い亮一」

 

「よろしくお願いします」

 

「危険ではないか、止めさせるべきだ」

 

「大丈夫ですよ。零央ちゃん強いし」

 

「そういう問題では…」

 

「この修行の目的は『命』の大切さを学んでるんです」

 

「これがなのか」

 

「勿論誰もがやる訳じゃないんですよ、亮ちゃんも最初は木刀だったんです。だけど亮ちゃん真面目に取り組む子だからメキメキと力を付けて零央ちゃんと対抗出来る位まで成長しました。木刀だと相手を倒す勢いできちゃうけど、私達は敵を倒す為に戦うんじゃない。島を…大切な人達を護るために戦っています」

 

「それはここ何日かこの島に触れてわかった、だがこの方法は矛盾している。これでは誤って相手を殺しかけないではないか」

 

「『自分達に大切な人達がいるように、刃を向ける相手にも大切な人達がいる。それを理解し忘れず戦うことが戦士の責任だ』って零央ちゃんはそう亮ちゃんに言い聞かせています」

 

「『戦士の責任』…」

 

「だから敢えて刀で修行するそうです。自分の手にした力が相手を傷つける危険性を肌で感じて『命の尊さ』を。もし相手を殺めてしまう必要性がある時に討ち果たした後身に襲いくる『命の重さを背負う覚悟』を身につける為に」

 

「…いるのか、この島に『人を殺めてしまったパイロット』が」

 

「…。いますよ私達の先輩に」

 

ギャキーン

 

丁度そのタイミングで私の目の前に刀が転がって来た。その方向を見ると亮一の喉元に刃が突き付けられようとしていた。

 

「外の世界を知って心配だったけど、忘れてねーみたいでホッとしたぜ」

 

「…正直危なかったです。カンナさんがいなければ」

 

「そうか…。あんた…」

 

気がつけば私は目の前の刀を握り構えていた。

 

「私にも教えてくれないか…『命の尊さ』を」

 

「…手加減はしませんよ」

 

「あぁ。頼む」

 

そこから私はひたすら『命の尊さ』を学ばせてもらった。

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