蒼穹のファフナー 〜Wunsch〜   作:naomi

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第二十八話「因縁との対峙」

「…『スクラーベ』だと」

 

「あぁ…人類軍でもごく一部の者しか知らない曰くの噂の耐えん組織だ」

 

「…知らねーな」

 

「まあそうだろうな。知っていたとしても何故貴様らが知っているのかという問題になるからな」

 

「で、そのスクラーベって組織がどうしたんだ」

 

「我々の将校を次々に消しにかかっていてな、タチの悪いことに我々の裏切り者達を使って」

 

「それで…なんで俺達が協力しなきゃならねーんだ」

 

「なにぶん。2年前どっかの輩が派手にドンパチをしてくれたおかげでこちらが隠密に動かせる戦力に限界があってな、スクラーベを叩くのに戦力が足りんのだ」

 

「俺達だって隠密に動かせる戦力は無いぞ」

 

「…報告は上がっている」

 

「…」

 

「24時間やる。良い返事を期待している」

 

「ったく秘匿回線使って良かったぜ」

 

「溝口さん。今の話し」

 

「亮一。それにカンナもなんでいる」

 

「私はたまたま亮一の帰りが遅いので迎えに来ていた」

 

「どうするんです」

 

「どうするもあるもんか、俺達に割ける戦力は無い。真壁達の帰りを待って検討するよう交渉していくしか無いな」

 

「やりましょうよ溝口さん」

 

腰を下ろそうとした溝口さんは立ち直した。

 

「やるって誰が参加するんだよ」

 

「僕が行きます」

 

「なんでお前が」

 

「あんな組織を野放しになんてしておく訳にはいかないじゃないですか」

 

「余計な事に口を突っ込む必要はないんだよ、必要以上の正義感は自分の周りそして自分自身を殺すことになる」

 

「そんな…あの組織の実態を溝口さんも知ってるじゃないですか」

 

「俺達の任務は島を守ることだ。履き違えちゃいかん亮一、スクラーベはまだ俺達に何も危害を加えていない。今ここで踏み込めば、将来的に島を危機にさらす危険性が高いんだ」

 

「危害を加えて無い…いやそれは違います溝口さん」

 

「なに」

 

「奴らは既に僕の大切な家族に危害を加えています」

 

「…」

 

「…言っちゃ悪いが、確かにあの一件で俺もスクラーベって組織の存在を知った。今はその1人の被害で済んでいるが、今介入すればそれ以上の被害をもたらすんだぞ」

 

「徹底的に叩けばそんなことは」

 

「隠密で動く部隊でスクラーベのような根の深い組織を壊滅させるのは不可能だ」

 

「もういい」

 

カンナさんの声が響き渡る。

 

「あの…溝口さん大丈夫ですか」

 

「あぁ、大丈夫だ。すまなかった」

 

「溝口さん。亮一の言うことに私は賛成です」

 

「でもよ、カンナお前」

 

「ありがとうございます。溝口さんのお気遣いには感謝します」

 

(気遣い…)

 

「ですが。あの組織を私も見過ごす訳にはいかないと思います。潰すチャンスがあるのなら徹底的に潰しておくべきです」

 

「…人が関わっているんだぞ」

 

「その時は私が引き受けます」

 

「ったくよ、お子ちゃまのくせして頑固な2人だな…皆が知る必要の無い極めて闇の深い任務になる。期限は3日。それまでに『ケリ』をつけてこい」

 

僕達は直ぐに出発の準備を始めた。

 

「追加の派遣部隊として行くことになったの」

 

「…うん。なんでも緊急を要する事態なんだって」

 

「そう…。2人共気を付けてね」

 

「行ってきます」

 

 

 

「行くのですね。亮一」

 

「うん」

 

「本当は止めるべきなのでしょうが、決めてしまったのなら仕方がありません」

 

「ルヴィ姉さん…ありがとう」

 

「貴方達に島の加護がありますように祈っています」

 

 

 

「ほんとにいいのか真壁の判断無しに」

 

「最終的に真壁には報告するが、他の皆に知られなければ、取り敢えず今はいい」

 

「フレイヤと念のためにマークエルフリペアを搭載しておいた。必要なら使ってくれ」

 

「ありがとうございます。保さん」

 

「いいか2人共、必ず生きて帰ってこいよ」

 

「はい」

 

僕とカンナさんは2人で指定座標に向かった。

 

「ありがとうございます。カンナさん」

 

「ハッキリと言っておくが、今回の件は溝口さんの方が正しい」

 

「…」

 

「だが、お前の私を労ってくれる気持ちも良くわかった。だからお前に感謝も込めて賛同した。あのまま勢いだけで行きそうな危なっかしいお前を1人で行かせる訳にもいかないしな」

 

「すみません…」

 

「焦る事は無いんだ、本当は。亮一の力が本当に必要な時は、きっともっと先の事なんだから」

 

「カンナさん…」

 

「やると決めたからには徹底的にやるぞ。ここで少しでも逃せばそのツケは私達の島に悲劇を生む」

 

「わかりました」

 

自動潜行モードで移動していた艦が指定座標に到着する。

 

「…まだ誰もいないのか」

 

「貴様らがバーンズ将軍より連絡のあったDアイランドの戦士か」

 

聞き覚えのある声の男がこちらに向かって歩いて来た。

 

「俺は独立人類軍のリベラル・イェーガー。今回の一件の指揮を任されている。よろしく頼む」

 

それは2年ぶりの初対面であった。

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