蒼穹のファフナー 〜Wunsch〜   作:naomi

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第二十九話「共闘」

「独立人類軍のリベラル・イェーガーだ。よろしく頼む」

 

その名前に僕は動揺した。

 

「私は、木島環奈だよろしく頼む」

 

(えっ、カンナさん咄嗟に…)

 

「そっちは」

 

「き…木島竜一です」

 

「お前達姉弟か」

 

「あぁ。ハーフだからな見た目は似てないかもしれないが、竜一は私の弟だ」

 

「よろしくお願いします」

 

「…まあいい、しかしDアイランドはこんなガキも平然と戦場に送り出すのか」

 

「今は改良が進んでいるからそう思うだろうが、少し前までは私達の年齢ではファフナー自体に乗れなかったんだ。むしろ私とお前の方がイレギュラーだよ」

 

「ふん、作戦について説明する。他のメンバーを別の場所で待たせているからなついてこい」

 

イェーガーの後ろをついて歩く。

 

(どうして本名を名乗らなかったんですか)

 

(こういう共同作戦で個人情報を漏らすのは厳禁だ。本当に信頼の置ける相手ならまだしもだ。それに奴の名前…余計こちらを知られる訳にはいかないだろう)

 

(確かにそうですね。でもカンナさん木島環奈って、名前言っちゃってますよ)

 

(っつ。あれは咄嗟だったからな、亮一こそ何故姉弟ということにしたんだ。変なフォローをすることになったじゃないか)

 

(でもカンナさんの言うとおりならなんであいつ本名を)

 

(リベラル・イェーガーという名がそもそも偽名なのかもしれん)

 

「ついたぞ」

 

そこには2人の男女が待っていた。

 

「独立人類軍所属ガウルン・ヘルベルトだ」

 

「同じく、ミレイヌ・アモンド」

 

「木島環奈と木島竜一というらしい」

 

「姉弟仲良くってか、Dアイランドは余程人員不足なんだな」

 

「そちらもわざわざ此方に助けを乞うとは人類軍も随分弱体化したんじゃないか」

 

「んだと、やるか女」

 

「ふん。力に自信があるのか知らんがあまり女だからと馬鹿にしない方がいいぞ」

 

「てめー。ぶち殺してやる」

 

「ガウルン。止めろ」

 

「リベラル。けどよ」

 

「先にけしかけたのはお前だ。すまなかったな」

 

「いや。こちらこそすまなかった」

 

カンナさんを挑発した男は不満そうに拳を下げた。

 

「この5人で人類軍の組織スクラーベを壊滅させる。スクラーベについて2人はどれくらい情報を持っている」

 

「そちらの上官がある程度の情報を提供してくれた」

 

「そうか。ならば本題から説明する。いいか小僧」

 

「大丈夫です」

 

最後の一言に少しムッとした。

 

「スクラーベの本拠地とされる場所がユーラシア大陸南部にあるサラエボという場所だ。この拠点と必ず消しておく必要がある人物がいる。それがこいつだ」

 

1人の男の写真が情報端末に共有された。その時カンナさんの表情が強張ったように見えた。

 

「人類軍南ユーラシア方面総司令官ピクルス・ハーパー大将。この男がスクラーベの実権を握っている」

 

「確かなのか」

 

「こちらの諜報員が自らの命と引き換えに掴んだ情報だ。間違い無い」

 

「そうか…」

 

「今回の作戦だが、ターゲットは近頃近辺の警備を厳重にしているということだ。恐らく自分がターゲットになっていることに気づいている」

 

「まじかよ、大丈夫なのか」

 

「やるしかない。潜入しターゲットを殺るのは俺達3人でやる。お前2人は陽動と潜入中の俺達を通信でフォローしてくれ。どちらがどっちをやる」

 

「陽動は私がこの子がフォローする」

 

「待って、僕より姉の方がより冷静に状況確認が出来る。だから姉が…」

 

「陽動は危険な任務だ私がやる」

 

「…こちらとしては、物事を冷静に視れそうな姉がフォローしてくれた方が助かるが」

 

「僕は大丈夫だから。ねっ」

 

「…」

 

「決まりだ。早朝には拠点に到着しその夜には決行する。以上だ」

 

その夜、僕はカンナさんに顔を強張っていたことを尋ねた。

 

「そうか…私もまだまだだな」

 

「知ってる人なんですか」

 

「よく知ってる。士官学校で私の教官を勤めてくださり、私達が一人前になるまで卒業後も自らの部隊に私達を組み込んで指導してくださった方だからな」

 

「私達って」

 

「2年前の件で、ハリーという男を見たろ。あいつも一緒だった」

 

「…」

 

「そんな顔をするな。あの時までは、ハリーも私にとって大切な家族みたいな存在だった。…だからかな、ピクルス教官もハリーもまだ信じたいと思う自分がいる」

 

「僕はあいつが許せない」

 

「…前も言ったろこの事でお前の手を汚す必要は無いんだ。始末は彼等がやってくれる。これで私の過去と本当にケリがつくんだ。きっと…。さあ明日は早い寝るぞ」

 

「はい。おやすみなさい」

 

これで決着をつける…その決意を胸に朝日が昇る頃僕達は目的地を目指した。

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