第三十二話「旧交」
「よく無事で戻った。どうだケリはついたか」
「一応ついたと思います」
「そうか、それは良かった。コアによれば救出部隊も任務を成功させ、既に島に戻って来ているそうだ」
「総士が、帰って来る」
そのことに僕の心は昂っていた。
「確か皆城総士とはよく遊んだ仲だったと言っていたな」
「美羽姉が一緒によく遊んでくれてました。あとマリスも…」
「マリス・エクセルシア。日野美羽に匹敵する高いエスペラントとしての力を持ち、ベノンのもとへ去っていった人物でしたね」
「マリスは帰って来ますか」
「わからん。だがアイツがこの状況を招いた元凶だ。期待はしない方がいいだろう」
「そうですか…」
「亮一…」
「ほら、さっさと帰った帰った。母ちゃんに無事に戻った姿を早く見せてやれ」
「帰ろう亮一。私達の家に」
「失礼します」
「おう。母ちゃんによろしくな」
家に帰ると佐喜さんと陣内さんが母さんと立ち話していた。
「ただいま」
「お帰り。早かったわね。救出部隊はまだ戻ってないって聞いたけど」
「それが…」
僕達はありのままを3人に話した。
「成る程ね、それで私達に嘘ついて行った訳だ」
「ごめんなさい」
「溝口さんも溝口さんよ、そんな危険な任務を2人だけに任せるなんて」
「おやっさんも聞いた限りだと必要以上に島の人々が知る必要がない内容だと判断したんだろ、きっと真壁司令が帰ってきたら報告するさ」
「カンナ。平気」
母さんの一声にカンナさんの目が潤んで見えた。
「大丈夫です。今の私にはお義母さんと亮一がいますから」
「そう。それならよかったわ」
「ところで皆城総士とはどんな子なのですか」
「どんな子か…」
「総士は無邪気でね、泣き虫だった」
僕の総士に対する印象を聞いたカンナさんは困惑しているように見えた。
「皆城総士。その子は生まれ変わりなんだ」
「生まれ変わり…ですか」
「生まれ変わる前は、一騎君や真矢ちゃんと同年代の青年で、寡黙でその年代では一番大人びた雰囲気だったな」
「本当。大人顔負けの頭脳明晰さと大人びた性格してたわ」
「そうですか。総士くんも一騎くんとか真矢ちゃんみたいな無邪気なところありましたよ、花言葉を信じる純粋な心を持ってましたし」
「あの総士君が意外だ」
「恵は彼等と年も近いしそういった一面も見れたかもね」
僕は、一騎さんや真矢さんにそのような頃があったのかとそっちに興味が湧いた。
「今の総士君はどうなんだ」
「あまりしっかりと関わってないからわからないわ、恵は。亮一がよく一緒に遊んでたから付き添いとかで見てたんじゃない」
「今の総士くんは、そうね甘えん坊だったわね」
「甘えん坊ですか」
「うん。一騎くんにベッタリで、亮一や美羽ちゃんが誘うと最初は恐る恐るなんだけど徐々に一緒に遊び始めるの。その姿が可愛いらしくてね」
「亮一は弟みたいに可愛いがってたから、よく総士くんと一緒に遊びたがってね」
「僕って一騎さんとも遊んだことあるの」
「いや、一騎くんは任務で島を離れることが多いから総士くんを私に預ける為によく会ってたけど、亮一とはそんなに関わってないんじゃない」
「なにか亮一と皆城総士の思い出はないですか」
「そうね…色々あるわ」
そうして母さんは幼い日の僕と総士について語り始めた。