蒼穹のファフナー 〜Wunsch〜   作:naomi

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力なき者
第三十五話「忘却の再会」


【例の機体】…それは第四次蒼穹作戦で『皆城総士』が搭乗し、多大なる成果を挙げこの海神島を護った美和姉の搭乗する『マークザイン』と対を成すザルヴァートル・モデル

 

『マークニヒト』

 

パイロットの『皆城総士』が同化現象によりいなくなったことで扱える者がいなくなり、世界樹『アショーカ』の加護のもと封印されていた『無の力』が復活した。

 

Alvisはすぐに警戒態勢に入り、僕もブルク待機を命じられた。

 

「僕は出撃しないんですか」

 

「そうだ。ダメだ」

 

「何故です。僕だって島の…」

 

「戦闘経験の浅いお前にあの怪物の相手をさせる訳にはいかん」

 

「保さん…」

 

「いいか、指示があるまではブルク待機だ。絶対だぞ」

 

保さんとの通信が切れた。

 

(状況はどうなっているんだ…)

 

僕はいても経ってもいられず、コックピットを降りた。

 

「どうした?亮一」

 

「外部の映像が見たいんです。いいですか?」

 

「あぁブルクにいる限りはいいと思うぞ」

 

「ありがとうございます。イアンさん」

 

外では既にアズライール・スサノオ・ツクヨミそしてマークザインが対処していた。

 

彼等は性能では圧倒的な不利なはずなのに、マークニヒトを軽くあしらっていた。

 

(これが、ここまで戦い抜いた戦士達の力…)

 

最後はマークザインがマークニヒトをなだめるように額を重ね合わせ、マークニヒトは沈黙した。警報も解除され、安堵の空気がAlvis内に流れる。

 

「一安心ってところだな」

 

「マークニヒトって誰も動かせないんじゃなかったんですか?」

 

「聞いたところでは、連れ戻した『皆城総士』がコアの導きで乗ったと聞いてるが」

 

「総士が…帰ってきた」

 

イアンさんの静止を振り切り僕は総士を探した。

 

「あれ?亮一は」

 

「皆城総士を探して何処か行ってしまったよ」

 

「ったく…あいつは、ファフナーに乗ってたんだから、ここに戻って来るに決まってるってのに」

 

「慌てん坊なお弟子さんだね。零央ちゃん」

 

「2人とも急いで医療ブロックに運ぶよ」

 

「了解。」

 

Alvis内を探して回っても見つけられずブルクに戻った僕はイアンさんから入れ違いで医療ブロックに運ばれたことを聞いた。

 

急いで医療ブロックに向かうと近藤先生に止められた。

 

「いつ会えるんですか?総士に」

 

「わからん。精密検査があるし、何よりニヒトで暴れちまったからな。そう簡単には開放されないだろう」

 

「そんな…って総士がマークニヒトに乗ってたんですか?」

 

「今さらだが、そうだ。総士が乗ったことでアレは目覚めた」

 

(総士がザルヴァートル・モデルに…凄いじゃないか。総士)

 

「早く会わせてください。近藤先生」

 

「面会出来るようになったら、教えてやるよ」

 

その日は諦め家に帰った。

 

 

 

その日の夕飯は総士の話しで持ちきりであった。

 

「そう…総士くんが」

 

「でも、まだ会えないみたいなんだ。近藤先生が面会出来るようになったら教えてやるって」

 

「お義母さん。前から疑問に思っていたことでもあるのですが、何故亮一や美和はファフナーに乗れるのですか?」

 

「どういうこと、カンナさん」

 

「私はファフナーに乗れるのは10代前半…それも思春期と言われる14,15歳から20代前半までと教わった。しかし、亮一や美和…それに聞く限り総士もまだその年齢ではない」

 

「…それはね、【肉体の年齢を無理矢理成長させた】からなの」

 

「それはどういうことですか?」

 

「美和ちゃんは前に話した『島外派遣』の時、アルタイルとコンタクトする際に身体が充分成長していなかった為にアルタイルとしっかりとしたコンタクトが取れなかったの、だから美和ちゃんはアルタイルとしっかりと対話する為に、アショーカに望んで身体を成長させたって聞いたわ」

 

「亮一は?その頃はまだ赤子なのだろ?」

 

「僕は…その…」

 

「亮一は、総士くんがマリスくんに連れさられた後に何も言わないで1人でアショーカの元に行って。自分から身体を成長させるように願ったの」

 

「…。」

 

「帰ってきた時は、驚いたわ。急に見た目が10歳前後の男の子になるし、一週間近く急激に身体を成長させた副作用で寝込むし」

 

「なんて無茶を」

 

「どうしても総士を救出する作戦に参加したくて。間に合わなかったけど」

 

「それだけ、亮一にとって皆城総士が大切な存在ということなのか、羨ましいな皆城総士が」

 

「勿論。それがカンナさんでも僕は一緒の行動をしてましたよ。きっと」

 

「ありがとう。」

 

僕の頭を身体に寄せて撫でるカンナさん。恥ずかしくも嬉しかった。

 

 

数日後。総士の状態が落ち着いたことを聞きつけ、医療ブロックを訪れた。

 

「近藤先生。どうして教えてくれなかったんですか?」

 

「亮一。やめておけ、今の総士に会っても傷つくだけだ」

 

「総士!」

 

扉が開くと、美和姉と総士がそこにいた。

 

「やっと戻ってこれたんだな、総士」

 

「誰だお前。」

 

「えっ…。」

 

僕達の関係は振り出しに戻った。

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