目の前に現れた『マークニヒト』に僕は驚愕した。
「なんで総士はマークニヒトなんだよ」
「彼が乗ることになるのはこの機体よ、より実戦に近い状態を想定しているのだから当然よ」
「そんな~」
「なんだ、お前怖いのか?僕が」
「…そんな訳あるか!機体のハンデなんて僕には関係無いもんね」
「無理して見栄を張らなくても、お前なんて一瞬で倒してやるよ」
「なんだと」
「亮一くん。これはあくまで現時点での配置よ、彼にあの機体の適正が無いと判断したら、すぐに降ろして別のファフナーに乗せるわ」
「なんだって!?そんなの聞いてないですよ」
「当然よまだ見極めている段階なんだから、…あと亮一くん。貴方にとってもこれは大事な訓練よ」
「えっ」
「今後激しさを増す戦いに貴方を参加させるか否かを決める訓練になるわ」
僕の中で一気に緊張感が増した。
「少なくとも、今の彼に勝てないようならばこれからの戦いに貴方を参加させることは出来ないから。そのつもりでこの訓練に挑むように」
「わっ、わかりました」
始まる訓練、設定上SDPが使えない為僕はメデューサで牽制しつつ、ワームスフィアやアンカーに当たらぬようにガンドレイクで弾きながら徐々に距離を詰める。
暫くして先輩3人組が様子を見に来た。
「失礼します。どうですか?訓練の方は」
「………観ての通りね。」
「おー。やってるやってる、でっ2人のお師匠さんはどっちが勝つと思う?」
「俺に振るな。…まぁ間違い無く勝つのは…」
「…どっち?どっちなの?」
「言わねー」
「えっー零央ちゃんのケチ」
「大方の予想通りという感じでしょうか?」
「そうね。」
「問題はそこじゃねーけどな」
「零央、どういうこと?」
「訓練終了。2人共お疲れ様」
3戦を約6時間にかけて行われた訓練。結果は…
「皆さん見てたんですね!どうでした?僕の戦いは」
「亮一くん。ビックリしちゃったよ、いつの
間にかこんなに成長しちゃって」
「美三香さん、くっ苦しい…」
「あっ、めんごめんご」
「でも本当に驚いたよ、特にガンドレイクにワイヤーを巻きつけてヌンチャクのように扱ってアンカーを弾いたところは参考になったよ」
「エヘヘ。そうですか?でもアレは彗さんの戦い方を参考にしたんですよ。どうでした零央師匠」
「…ニヒトを倒したのはよくやった。」
「僕成長出来てますかね?島の力になれますかね?」
「成長はしている。だが過信するな、過信は隙を生み、その隙はお前自身に刃を向ける。それを胆に銘じとけ」
「はい!」
師匠に褒められ喜んでいると、師匠はすぐに総士のもとへむかった。
「…あいつに1回も勝てなかった」
「ったりめーだ。亮一は俺が一番ミッチリ鍛えている後輩パイロットなんだ。訓練はじめたばかりの今のお前に負けたら、俺の名折れだ」
「くっそ…」
「だが、ニヒトのコントロール…精神のコントロールって点では俺の予想を遥かに超えて安定し、モノにしている。その調子で鍛錬を怠るな」
「あっ、ありがとうございます…」
総士は満更でもない様子だった。
「今日は2人共ゆっくり休みなさい。これで解散だから」
真矢さんはそう言って立ち去ってしまった。
お辞儀をして見送ると総士が手を差しのべてきた。
「どうしたの?」
「今日は、僕の負けだ。だがこのままにするつもりは無い。明日から僕の特訓に付き合え、亮一」
「総士…いいよ。でも勝ちを譲るつもりはないから」
「当然だ。僕は自分自身の力で亮一や零央さん。そして真壁一騎を越えるんだ」
ガッシリと握られる両者の手。そんな総士との雰囲気に僕は何処か懐かしさを感じていた。