あの日から僕と総士の切磋琢磨しあう日々が始まった。
「どうした亮一。また僕の勝ちだぞ」
「まだだ…もう一本!」
「挑むところだ」
「くっそ~またシュミレーションで負けた」
「総士は単純だから動きが読みやすいんだよね」
「僕の動きが単純だと!?ならば…よし…こうすれば…。よし亮一もう一回だ」
「わかった。いつでも来な総士」
「2人共お互いを意識してこの数日でまた急成長をとげてるね」
「本当だよね。どうですか2人の成長の様子はお師匠さん?」
「…順調に進んでるとは思う」
「なに~零央ちゃん。もしかして2人が急に自分の手を離れて寂しいの?」
「そんなんじゃねぇーよ…総士。30分後にいつもの俺達とのプログラムをやるぞ。それまでに準備しておけよ」
「わかりました」
(…そうですかやはり)
(えぇ。貴方としてはどう?一番身近で見守ってきた貴方としての考えは)
(俺も、同じ感想を抱いていました)
(…辛いなら私が言うけど)
(いえ、俺に言わせてください。これは今まであいつを見てきた俺のケジメです)
(そう…じゃあよろしくね)
(わかりました)
「零央師匠どうかしましたか?」
「亮一か…いやなんでもねーよ、お前はこの後どうする?」
「カンナさんに稽古つけてもらうので大丈夫です。総士のやつビシバシ鍛えてやってください」
「あぁ、わかった。しっかり励めよ」
「はい!」
どこか浮かない師匠の表情がずっと気になった。
「そうか、それは気になるな」
カンナさんと鍛錬中、そのことを相談してみた。
「私が会っている時はそのような印象は無かったがな、美三香さんとの仲も変わらず良好だ」
「気のせいなのでしょうか?」
「うむ…私よりも亮一の方が付き合いが長いからな、細かい変化にも気がつきやすいのかもしれん」
「そういうものなのでしょうか」
「恐らくな、ところで亮一。昨日からのこの急激な環境の変化について何か聞かなかったか?」
「じきに調査報告が公表されると言ってましたけど、なんでもベノンの影響みたいです。ルビィ姉が言うには『マレスペロ』のSDP『絶対領域』という、感覚を強制的に遮断する領域を展開して、生命活動を停止に追いやる力が海神島を覆っていると」
「そうか…先日マリス・エクセルシア達が接触を図って来たと聞いてもしやとは思っていたが、やはり見つかったのだな、ベノンに」
「はい。…マリス………。」
「敵になった相手のことを考えても今はどうしようも無い。島を護る為に自身のやれることをする。そうだろ」
「そうですよね。カンナさん続きお願いします」
「あぁ、行くぞ亮一」
翌日。慕っていた師に呼ばれ伝えられたのは自身の予想を裏切る内容であった。
「亮一。今後の作戦でお前をパイロットから外す。」
戦う決意を固めた少年に突き付けられた苦渋の宣告。それは彼の歯車を狂わせる事となる。