「そうですか…」
作戦の経緯を母さんに説明する溝口さん。
「行ってくるね、母さん」
「1つ聞いてもいい」
母さんが僕の顔を抑えじっと見つめる。
「貴方は無事に帰って来てくれる」
すぐに返事が出来なかった。島を離れる以上安全な場所はどこにもないことは、皆の話しを聞いてある程度想定していた。
「うん。総士を探しに行くだけだし、きっとすぐに、戻れるよ」
「溝口さん。亮一をよろしくお願いします」
深々と溝口さんに頭を下げる。
「しっかりと連れて帰る。任せろ」
数時間後、空母ボレアリオスが海神島に到着した。
「彼が、霧島亮一かい一騎」
「そうだ」
「春日井甲洋。必ず君を守るよ」
「よろしくお願いします。甲洋さん」
すると、突然男が現れる。
「来主操だよ。よろしくね亮一」
「よろしくお願いします。来主さん」
「クルスでいいよ、亮一。ふーん君はあの人の後継者なんだね」
「子どもね、クルス」
「わかってるよ。相変わらず堅いね君」
「子どもと後継者では全然意味が違う」
「そうなの」
苦笑いしか出来ない僕
「相変わらずお前らの会話は抽象的でわかりにくい」
荷物をまとめた溝口さんがボレアリオスに乗艦する。
「よろしく頼むぜ」
「溝口。よろしく頼む」
「おう。任せろ」
「一騎、亮一くん。二人にはこちらを用意した。必要な時には迷わず使いたまえ」
真壁司令が目をやる先には2機のファフナーがあった。ファフナーブルクエンジニアの小楯保さんが説明してくれた。
「まず、一騎くんにはマークエルフリペア。マークエルフのデータを元にエインヘリアルモデルで新造した。マークザインには及ばないが一騎くんの力を充分発揮出来るはずだ。亮一くんはマークアハトだ。ジークフリードシステムとスレイブニールシステム搭載型で中距離支援機。実質指揮官機を想定している。トルーパーを2機あらかじめ一緒に配備してあるから。良かったら活用してくれ」
「ありがとうございます」
「かつて俺と一緒に島の為に戦った機体だ。お前を必ず助けてくれる。」
「この機体の前任者は剣司さんなんですか」
「そうだ。機体の微調整もこれまでの亮一の戦闘データをフィードバックして済ませてある。必ず生きて帰るんだぞ」
「剣司さんありがとうございます。大切に使います。」
「島がこの座標を動くことはない。君達のなるべく早い帰還と良い報告を待っている」
「はい、行ってきます。…ところでこの船の船長は誰ですか」
「部隊の司令官は俺だが、船は…」
「ぼくだよ亮一」
またしても苦笑いが止まらなかった。
「亮一」
振り向くと母さんが勢いよく抱き締めてきた。
「気をつけてね」
「うん。行ってきます」
こうして、皆城総士を探す旅が始まった。