蒼穹のファフナー 〜Wunsch〜   作:naomi

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その傍らに
第四十話「叶わぬ望み」


「師匠。どうして僕は今回の防衛戦に参加出来ないんですか?外の世界で実戦も経験し、マークニヒトにもシュミレーションで勝ちました。なのにどうして」

 

「………。」

 

師匠から告げられた宣告に納得のいかない僕は、おもわず突っ掛かる。

 

「亮一くん。これはね零央ちゃんが悩みに悩んで決めた事なんだよ」

 

「そんなの納得いきません。これまでと違ってしっかりと実績は残しています。」

 

「亮一くん。これは防衛戦だからね。君の戦闘スタイルでは長時間の戦闘は困難だと判断された結果なんだ」

 

「そんな、防衛戦なら陸戦型で近接戦闘の師匠の方が向いてないんじゃないですか?僕は中距離でも対処出来ます」

 

「亮一くん。前にも言ったわよね。これは様々な点を考慮して下された命令よ。Alvisの一員としての自覚があるのなら従いなさい」

 

「なら僕が納得のいく説明をしてください。只でさえ人員不足なのに戦える人を召集外だなんておかしいですよ。それにファフナーの戦闘なら美羽姉や総士よりも、僕の方が…」

 

「美羽ちゃんは彼女の力によって無駄な戦闘を避ける事が出来るし、彼も戦闘力では充分な力を持っているわ。貴方に出来る?あの機体を扱うことが」

 

「それは…出来ないです、でもそもそもマークニヒトは総士以外動かせないのでしょ。ならマークニヒトって観点を差し引いたら僕だって…」

 

「亮一。これを観ろ」

 

師匠から渡された1つの映像。そこには先日の総士との模擬訓練が纏められていた。

 

「これは、初めて総士と訓練した時の」

 

「そうだ、何か気がついたことはあるか?」

 

「気がついたこと…ですか」

 

「そうだ。お前の『フレイヤ』について気がついたことはあるか」

 

「何かおかしいのですか?」

 

「自分の機体をよく視てみろ」

 

よく観てみると、被弾した箇所のペイント弾がどの戦闘でも複数箇所ついていた。

 

「こんなに被弾していたんですか、僕」

 

「そうだ。ファフナーに乗る以上機体の損傷は痛覚として自分の身体にも残る。損傷箇所によっては致命傷にもなりうる。ましてやお前の身体は見た目は立派だが、本来10代前後のファフナー搭乗の条件下からは離れた身体だ。そんな身体でその映像のような損傷を受けたら、お前の身体が持たない危険性がある。」

 

「………。」

 

「それにだ亮一が指摘したように、人員不足な状態で戦闘不能になった機体をフォローするのは非常に困難だ。その穴埋めの為に担当エリアを放棄しなければならなくなる。そんなことしたらそこから突破されて島が滅ぶ。ここまではわかるか?更に損傷した機体を追撃されて命を落とす可能性も高くなる。」

 

「なんで総士は…」

 

「あいつの機体は損傷しても自己再生するからな、あいつが無事なら問題はない。これがお前を今後の戦闘から外す理由だ。これまでと桁違いに激しい戦闘になる事がわかってるからな。この結論に至ったんだ。」

 

「…でも、僕も師匠達と一緒に島を護る為に戦いたい」

 

「亮一。戦いに私情を挟むなって教えただろ?お前の力はこれから先に必ず必要になる。だから今は俺達の判断を信じてくれねーか?」

 

「…でっでも、皆さん長い間戦い続けて身体はボロボロじゃないですか。同化現象の末期症状もいつ発生するかわからないし、1人でも増えればそれだけ皆さんへの負担も…」

 

「亮一。いい加減にしろ」

 

「でも、それでもやっぱり納得出来ないですよ。その訓練の日から更に成長してるって皆さん言ってくれたじゃないですか」

 

「亮一!!!」

 

師匠の怒号が響き渡る。ここまで怒る師匠は始めてだった。

 

「命令に従えないというのなら、破門だ。二度と俺の前に顔を出すな」

 

「えっ………そんな………うぅっ………うわぁー」

 

「亮一くん。ちょっと零央ちゃん幾らなんでも…零央ちゃん…」

 

拳を握り締める零央。その場にいた者は彼の心情を推し量り沈黙を貫くしか無かった。

 

「ったく。亮一のやつ勢い良く人にぶつかっておいて謝りもせず何処かに走っていって。なんだよ」

 

「あの…皆さん何かあったんですか」

 

 

 

「おかえり亮一。ちょっとどうしたの?亮一、亮一」

 

「配達から戻りました。お母さんどうしました?」

 

「カンナ…亮一が今帰ってきたんだけど、あの子何も言わないと一目散に自分の部屋に籠っちゃたのよ」

 

「亮一が…そういえば今日亮一はAlvisに呼ばれたんですよね?何かあったのでしょうか?」

 

「あの子があんな表情見せるだなんて…ちょっとそっとして置いてあげましょ」

 

「いいのですか?」

 

「落ち着くまで待ってあげた方がいいわきっと」

 

「そうですか…わかりました」

 

2人が様子を見ようとした矢先。総士が亮一の家を訪ねて来た。

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