亮一の家を訪ねる総士。
「すみません。亮一君居ますか?」
「あら、総士くんどうしたの?」
「ちょっと亮一君と話しをしたいのですが」
「それが亮一。Alvisから帰ってきてから、部屋に籠っててね、反応が無いのよ」
「Alvisで何があったか知っているのか?皆城総士」
「どうやら、パイロットから外されてふてくされて出てったみたいですよ」
「パイロットを外された?」
「ちょっと総士、今はやめなよ」
遅れて美羽が駆けつけた。
「なんだ美羽か、こういう事は先延ばしせずにハッキリさせておくべきなんだよ」
「…じゃあ総士くん。お願い出来るかしら」
「いいの?恵お姉ちゃん」
「事情を詳しく知らない私達には、本人が話してくれるまでどうしようも無いし、総士と美羽ちゃんにならもしかしたら何か話してくれるかもしれないから。よろしくね。」
「わかりました。」
「おい、亮一!」
「ちょっと総士」
「…大丈夫でしょうか?」
「…大丈夫よ。きっと彼等なら」
ドンドンと誰かが近づいてくる音がする。
「亮一。美羽だよ。どうしたの?」
「………放っといてよ」
「お話ししよ。美羽と」
「一人にしてよ!美羽姉ならなにがあったかもうわかってるんでしょ」
「亮一………あのね。きっと零央さんは」
「情けないな。パイロットから外されたくらいで」
「なんだと」
扉の向こうから聞こえた総士のいつもの口調が許せなかった。
「総士に何がわかるのさ。島の力になりたくてここまで修練を積んできたのに、それをそれを一番傍で見てくれた零央さんに否定されて、あげく絶縁だなんて………」
「………。」
「皆に特別扱いされている総士になにがわかるのさ!」
「言いたいことは、それだけか?」
「えっ」
「確かに僕はここの人達にとって重要な存在だから特別扱いされている面はあるのかもしれない。でもベノンのスパイじゃないか疑われていた僕から今の僕になったのは、僕が僕の成りたい僕を目指した結果だ。正直パイロットとしての実力なんて亮一と大差ないと思うし。」
「実力は僕の方がまだまだ上だもん。それに師匠として仰ぐ人に絶縁を言い渡された気持ちなんて」
「わかるもんか。でも別れという意味では、僕はこの島に連れて来られる前に妹を殺されている。真壁一騎に」
「一騎さんが?!そんな」
「総士。だからそれは」
「君は黙っていてくれ、アイツがなんで乙姫を…妹を殺したのかはわからない。だけどだから繋がりが無くなる時の辛い気持ちはわかる。亮一はいいじゃないか。まだいくらでも話す機会があるんだから」
僕は何も返す言葉がなかった。
「全く。零央さんも大変だな。こんなお子様が一番弟子を名乗ってるなんて、なんで零央さんがそんな事を言ったのか考えてみろ」
「うっ」
「まぁ、そこで一生塞ぎ込んでいろ。その間にどんどん僕は先に進んでやるからな、じゃあ。行こう美羽。」
扉の向こうからまた音が聞こえる。僕は言い返したくて急いで扉を開けた。
「なんだ。元気あるじゃないか」
「言いたい放題言ってくれたな。総士」
「悔しかったら、僕を見返してみろ。………僕は少なくとも亮一のお父さんに敬意を評するよ」
そう言い残し2人は家を後にした。
(僕の父さん………)
「随分言い争っていたようだが、大丈夫か亮一?」
心配そうな表情のカンナさんが声をかけてくれた。
「大丈夫です。ありがとうございます。カンナさん……母さん」
「どうしたの?」
「僕の父さんについて教えて」
知っているようで、よく知らない父の存在をこの時初めて知る事になった。