蒼穹のファフナー 〜Wunsch〜   作:naomi

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帰らぬ人となりて
第四十三話「君を許すように」


ベノンによる海神島への侵攻が始まった。僕は『フレイヤ』の中にいた。

 

それはファフナー部隊が発進を終えたタイミングであった。

 

「・・・亮一?お前ここで何してる。」

 

「あっ、剣司さん。その・・・」

 

「お前はこの作戦は未招集で居住区に避難しているはずだろ。なんでブルクにいるんだ。」

 

「クルスが揉めたと聞いて気になってつい」

 

「………」

 

「羽佐間先生?」

 

「ったく。問題ねーよ、どこで聞いたんだそんな情報」

 

「それは・・・」

 

「困ったわね、いくらAlvis内部とはいえ作戦行動中よ。居住区へ亮一くんを送り届けることは難しいわ」

 

「CDCに問い合わせてはおくか」

 

「とりあえず、『フレイヤ』の中に入ってろ」

 

「いいの剣司くん。勝手に乗せて」

 

「とりあえずの暫定処置ですよ容子先生。下手にAlvis内をうろつかれるより、俺達が把握出来る範囲内にいてくれていた方が安心ですし、一応こいつもパイロットですから最悪ファフナーを動かすことも可能です」

 

「それもそうね」

 

「CDCからはこちらに任せると連絡が来た」

 

「機体から絶対に出るなよ亮一」

 

「はっ、はい!」

 

断続的に発生する揺れ

 

静まり返るブルク。コックピット内には剣司さん達の緊迫した声がときより聞こえてくる。

 

「なんだ、通信障害なのか!?急に他の場所とコンタクトが取れなくなったぞ」

 

「各部署で電力障害が起きてるようだわ」

 

「なっ…敵が内部に侵入してるんですか?」

 

「わからん。だがCDCが保安部隊に調査を要請したのを最後に状況がわからなくなったぞ」

 

(保安部隊…ってカンナさん。大丈夫なの)

 

 

 

 

皆逃げて

 

 

 

「剣司さん。今」

 

「なんだ亮一通信に割り込むな」

 

 

「今。ルビィ姉が」

 

「こっちは僅かに入ってきたCDCがやられたって状況の後追いをしてるんだ。後にしてくれ」

 

 

「でも、ルビィ姉の声が」

 

通信が切れてしまう。外の状況がわからないこの閉め切った空間に僕は徐々に耐えられなくなっていた。

 

「剣司さん出して怖い。怖いよ」

 

「駄目だ。CDCがやられた可能性がある以上お前にとってそこが一番安全な場所だ」

 

「皆どうなってるの?総士は?ルビィ姉は?カンナさんは?」

 

「こっちも状況を把握出来てないんだ。静かにしていてくれ」

 

剣司さんの聞いたことの無い張り詰めた怒声に事態の深刻さが表れていた。

 

沈黙して暫く電力が復旧した。

 

「剣司くん。どうやら第3CDCが立ち上がり。真壁の生存も確認されたようだ」

 

「そうですか、真壁司令の無事が確認出来たならあとはどう合流して建て直すかですね」

 

「それが、指揮権限が第3CDCに委託されたようだ」

 

「………司令になにかあったんですか」

 

「わからない。現状わかっているのはファフナー部隊が全員無事だということくらいのようだ」

 

「そうですか………鏑木?どうした………そうかわかった」

 

「鏑木くんどうしたの?」

 

「例のプランを実行するようです」

 

「そうか、現状打開にはそれしかないのか。」

 

(一騎………)

 

剣司さんと小楯さんの会話を最後に沈黙したブルク。

 

その沈黙は機械音によって破られた。

 

「皆よくやってくれたお疲れ様」

 

「なんとか切り抜けることが出来ました。こちらの被害は」

 

「………まだ全てを把握している訳ではないが、かなり深刻だ」

 

「そうですか………」

 

「まずは2人ともゆっくり休め」

 

「はい。」

 

「お言葉に甘えて」

 

(この声は師匠と美三香さん?戦闘は終わった?)

 

「そんなお母さんは」

 

「おい遠見」

 

「待ってお姉ちゃん」

 

(今のは真矢さんと美羽姉。なんだか真矢さん凄く切羽詰まった声だったけどなにかあったのかな?)

 

機体を出ると既に誰も居なかった。

 

人を探しながらブルクを歩き回っていると

 

「無事だったか亮一」

 

カンナさんが出入り口で待っていた。

 

「カンナさん無事だったんだね。お疲れ様」

 

「バカ者。組織に属する人間ならば、身勝手な行動はするんじゃない」

 

「ごっ、ごめんなさい」

 

「無事で良かった。帰ろう。お義母さんも心配している」

 

帰路につく2人

 

「カンナさん。なんだか凄く深刻そうな状況だったけど、なにか知ってる?」

 

「まずは家に帰えろう。そこでしっかり話す。お義母さんにはしっかり話さなきゃいけないこともあるしな」

 

神妙な面持ちで歩くカンナさん。繋ぐ手から力強さを感じた。

 

そして家にてカンナさんから語られる今回の被害状況。数々の衝撃を受けながらカンナさんが大きく深呼吸をして語ったのは

 

 

 

 

竜宮島の母がいなくなった

 

 

 

 

という知らせだった。

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