第四十七話「絶望への行進」
僕が退院して間もなく『第二次L計画』が実行に移された。
総士が示したとされる『竜宮島』へ進路を向ける海神島。
『望む未来』を手にする為にLボートが出航した。
「カンナさんにブルクで待機指令って。どういうこと母さん」
「Lボートへファフナー部隊の主力を全て配置している関係での暫定的な処置なんですって。エレメントの3人が海神島を守ってくれているとはいえ不足の事態に備えて準待機指令が出て、今はブルクにいるわ」
「なら、僕も」
「あなたは退院したばかりなのよ、自分の身体をもっと大事に考えなさい」
「身体は全然問題ないよ、戦力が多いに越したことはないし、僕もブルクに」
「亮一」
母さんの悲しげな表情が自分の決意を揺るがす。
「・・・・・せめて、カンナさんの傍で見守らせて」
「なら、一緒に行きましょう」
「えっ、母さんも」
「あなたと同じで出来ることなら私も、カンナの支えになりたいもの」
「どうした亮一・・・・っと恵さん!?どうしましたかブルクにいらして」
「どうです。カンナは」
「流石です。凄く落ち着いてます」
「そうですか。なら良かった」
「亮一・・・とお義母さん!?どうしてこちらに」
外の騒ぎに気が付いたカンナさんの声がブルクに響く。
「少しでもリラックス出来るようにサポートに来たよ」
「あぁ、亮一が傍にいてくれるのは心強いよ。ありがとう」
母さんは何も言わずカンナさんの乗るファフナーを見ていた。
「どうしたの母さん」
「CDCから緊急の指示だ。マークエルフリペア『シュッツ』出撃」
イアンさんが突然カレンさんに出撃を命じた。
「そんな。どうしたんですかイアンさん」
「こちらのシステムを抜けて本島に直進する反応があるようだ。エレメントはこれ以上外部の敵を中に入れさせる訳にはいけないから身動きがとれないそうだ」
「そんな・・・」
「了解。『シュッツ』出撃します」
「カンナさん」
「大丈夫だ亮一。すぐに戻る」
「カンナ。無理はしないでね」
「お義母さん。亮一を頼みます」
「えぇ。もちろん」
『シュッツ』のハンガーが降下しブルクからいなくなる。戦況を見守るブルクの面々
「一瞬映ったあれは、人類軍のファフナーか」
侵入してきた敵に僕は衝撃を受けた。それはある時は対峙しある時は共に戦った機体。
「そんな…なんで」
「亮一?」
「なんだこれ、一方的じゃないか」
そこには見えない敵に翻弄され徐々に消耗していく『シュッツ』が映り続けていた。
「亮一くん。アレについて知っているのか」
「僕とカンナさんは島の外であの機体に遭遇してます」
「なんだと!?」
「『ティフシュワーズ・モデル』。独立人類軍オリジナルのファフナーで隠密に特化した機体だとカンナさんは教えてくれました。レーダーや探索対策が完璧でレーダー系は無意味になると」
「いや、これはそんなもんじゃないぞ。『消えている』」
「前に遭遇した時はそんな性能は…あっ」
『シュッツ』の右腕が切り落とされる。ルガーランスしか持っていなかった『シュッツ』に為す術はない。『シュッツ』を庇うように小型無人機『サキモリ』が牽制する。
なにも出来ない自分に苛立ちを覚える。そんな僕を解き放ったのは思いもしない人だった。
「亮一。行きなさい」