蒼穹のファフナー 〜Wunsch〜   作:naomi

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第四十九話「姉弟二人」

「どうする?亮一。奴は以前対峙した機体とは別物だ。一切『姿』が見えないぞ」

 

「大丈夫だよ姉さん。策はあります」

 

僕は『フレイア』のSDPを発動させる。

 

 

 

(くそー。亮一のSDPは厄介だな)

 

総士と共に訓練をしていた頃の後半。SDPを使ったより実践的な模擬戦を行っていた。

 

(どうだ総士。僕のSDPは相手を支配下に置くことが出来るんだ)

 

(支配?僕は亮一のSDPの支配下になったことは無いぞ)

 

(そんな馬鹿な!?だってマークニヒト動けなくなってたじゃん)

 

(確かに一時的に動きを制限されたけど、僕は自分の意思で行動していたし、亮一は僕をコントロールしているって実感はあったのか?)

 

(そういえば……動きが止まるだけで、僕の考えた通りに動いたこと無いかも)

 

(だろ?だから僕はお前に支配された覚えは全く無い)

 

(おかしいな?前にフェストゥムや人類軍のファフナーはコントロール出来たのに)

 

(強大な敵にはそのSDPは効かないんじゃないか?)

 

(そんな……来主だってこの力で抑えたことがあったのに)

 

(味方にそんな力を使うなんて何考えてるんだよ)

 

(そんなこと言ったってあの時はそうしないと全滅した可能性があったし………)

 

(まぁいいよ。そんな事は取り敢えず強敵との戦いには亮一のSDPは効果が無いってことはわかった)

 

(なんだと!?)

 

(ただ一時的とはいえ動きを制限されるのは厄介だな)

 

 

 

「これは!亮一のSDPが敵のファフナーに効いている。無理に動かそうとして誤差が生じる為に一時的に『姿』が見える」

 

「今だ!姉さん!!」

 

『シュッツ』に渡す為に持ってきたドラゴントゥースを『シュッツ』に託す。岩壁を支えにして狙いを定めたドラゴントゥースが敵に直撃した。

 

「やった」

 

「いや、致命傷は避けられた」

 

(思ったよりキツい。こいつはやはり『服従』しきれない)

 

「亮一。大丈夫か?」

 

「アイツにSDPを当てるのに思った以上に力が必要みたいです。クッ!」

 

追撃が無いとみた敵は発砲しながら両機に接近する。

 

「これは『シュッツ』の『力の無力化』。姉さん!」

 

「態勢を立て直せ亮一。お前のSDPが再度使えるようになるまで私がお前を守る」

 

「了解」

 

距離をとりながら『シュッツ』のSDPで敵の攻撃を凌ぐ両機。『フレイヤ』のSDPが発動するたびに『シュッツ』の反撃の砲撃が放たれる。しかし

 

(お互いにSDPを使い過ぎだ。このままではいずれ同化現象に襲われる。なにか打開策を練らねば)

 

「リベラル……『リベラル·イェーガー』」

 

亮一は確信を持っているかのように敵のファフナーに話しかける。

 

「Alvisと独立人類軍は今協力関係なんだろ!なんでベノンと一緒に島を襲うんだ」

 

「その声は…霧島亮一。久しいな、俺の今の任務はその島を滅ぼすことだ」

 

「じゃあ、独立人類軍は協力関係を破棄したの?」

 

「貴様に教える道理は無い」

 

「くぅっ!」

 

「いつか誓ったな、その時の約束今果たさせてもらう」

 

「なにを、やられるものか」

 

(攻撃を当てれそうなところで機体が思うように動かなくなる。ヤツの力か…)

 

(くそ、やはり一時的にしか動きを止められない。そろそろSDPを使うのもキツい)

 

(亮一。聞こえますか?)

 

(クロッシング。この声・・・・・ルビィ姉さん。どうしたの?)

 

(私の力を貴方達に託します)

 

激しい砲撃と格闘戦が入り乱れる。

 

「うっ・・・・・」

 

同化現象が発現した『フレイア』の足が止まる。敵はその隙を見逃さない。

 

「・・・・・戦場で動きを止めることは命とりだ霧島亮一」

 

「これで最後だ」

 

「またお前のその力か、もうその攻撃は・・・・・!?」

 

何度も繰り返された戦法。唯一違うのはその砲撃はドラゴントゥースの砲撃ではなかった。

 

(このエネルギー量はマズい)

 

『サキモリ』と同化したドラゴントゥースが回避した敵の左肩を打ち抜いた。

 

(・・・・・了解)

 

回避と同時に姿を消す敵。警戒する両機。こちらに近づく機影。

 

「もうそこに敵はいないよ。亮一」

 

「クルスと甲洋さん」

 

「外の敵も一時的に引き上げ始めた」

 

「では先行したLボートは?」

 

「敵の奇襲を皆城総士が覚醒したことで退けた。今こちらに撤退している」

 

「総士が・・・・・。良かった皆さん無事なんですね」

 

「・・・・・・。あのね亮一」

 

「・・・・・・クルス?」

 

「今はまず撤退だ亮一くん。SDPの使い過ぎで君の身体が限界を訴えている」

 

「そうですね。わかりました」

 

「よくやったぞ亮一」

 

CDCから通信が割り込む。

 

「溝口おじさん。ありがとうございます」

 

「おじさんはやめろ。早く母ちゃんに無事な姿を見せてやれ」

 

「はい」

 

ブルクに戻り。機体を降りると母さんが僕達を抱きしめた。

 

「お帰り。2人共」

 

「母さん。ただいま」

 

「只今戻りました。・・・・・Lボート部隊は既に帰還したと聞きましたが。なにかあったのですか?」

 

戦士を迎えるには重い雰囲気が漂っていた。

 

「亮一。落ち着いて聞きなさい」

 

無事を祝う喜びの表情が一瞬で強張った。

 

「零央くんと美三香ちゃんが倒れたわ」

 

「・・・・・えっ」

 

覚醒したもう一人の戦士に待っていたのは、喧嘩別れした師の危篤であった。

 

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