蒼穹のファフナー 〜Wunsch〜   作:naomi

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第七話「大人の事情」

「もうすぐ目的の基地に着くぞ、準備しておけ」

 

カンナさんを送り届けるためにボレアリオスは人類軍の太平洋生存圏の基地拠点『シドニー』の防衛圏内に入った。

 

「溝口さん。偽装鏡面は解除しないんですか」

 

「この艦をあちらさんにさらす訳にはいかんからな、お嬢さんの乗ってきたファフナーで単独で行ってもらわなきゃならん。この艦のフェストゥムのおかげで最低限の修理は出来てるはずだ」

 

「フェストゥムが我々のファフナーの修理をしただと…どうやって」

 

「まぁ修理っつっても来主に頼んで、ここのフェストゥムに損傷箇所を同化して貰ったんだ。それで損傷箇所を塞いでる」

 

「…なんとも納得のいかぬ話しだが、世話になったな」

 

「なに、困った時はお互い様だ。それに礼なら亮一に言ってやれ」

 

「そうだな。ありがとう亮一」

 

短い間ではあったが一緒に過ごした為か少し寂しさを感じた。

 

「お元気で、カンナさん」

 

「お前もな」

 

カンナさんの乗ったファフナーは単身『シドニー』へ向かう。

 

「どうしてカンナさんファフナーを起動させないんですか。動いた方が早いのに」

 

「防衛圏内でいきなりレーダーに反応したら怪しまれるからな、見つけてもらって自主回収してもらうつもりなんだろう。俺達も長居すると危険ださっさと圏外に出るぞ」

 

「はい…待ってください溝口さん。カンナさんの機体攻撃されてませんか」

 

「うん。本当だなおい、攻撃されてんぞ」

 

「なんで…」

 

「それはわからんがあのままじゃマズイな」

 

「助けないと」

 

「俺達は人類軍に見つかる訳にはいかん。彼女の運次第だ」

 

「そんな目の前の命を見捨てるんですか」

 

「そうじゃない。今この状態で動けば、やがて島の皆を巻き込むことになる」

 

「どうしてそうなるんですか」

 

「俺達は隠密で動いている。だがその事情を人類軍側は知らない。俺達Alvisは定期的に人類軍側に自分達の動きを公開する協定を結んでるんだ。そんな状態で彼女との関与を疑われたあかつきには、人類軍の奴らは協定違反だと抗議してくる。そして奴らのことだそれを口実に島を滅ぼしにくる」

 

「そんな…」

 

「その可能性が高いからな、今接触する訳にはいかんのだ」

 

「俺の機体を使いましょう」

 

「一騎…どういうことだ」

 

「俺のマークエルフリペアはまだデータベースに登録されてないからこちらのファフナーと疑われる可能性はありますが確証を与えることは出来ません、マークエルフリペア単機で彼女の機体の救出に向かいます」

 

「だが、機体を破壊してみろ、黙ってないぞ向こうは」

 

「亮一のSDPを使うんです」

 

「僕のSDPをですか」

 

「かつて君と似たSDPを持つパイロットは、発動させるとファフナーが起動を拒否する現象を起こした」

 

「すごい。そんなことが」

 

「そのパイロットは自分専用のファフナーを見つけるのに長い月日を要したがな」

 

「…」

 

「君のSDP『服従』であのファフナー達を機能停止に追い込むんだ。その隙に彼女の機体を回収する」

 

「お願いします。溝口さんやらせてください」

 

「…チャンスは1度だ、必ず成功させろ亮一」

 

「はい」

 

ボレアリオスが『シドニー』防衛圏外へ出たところで、僕は一騎さんのマークエルフリペアを借り、出撃した。

 

(ファフナーが一機接近してくる…あれは確かあいつらの)

 

「おい、私のことなどいいからあっちへ行け」

 

「カンナさん。今助けます」

 

「その声は…バカよせこれくらい私だけでも」

 

「まともに武装も無いのに1人でやれる訳ないじゃないですか」

 

「平和ボケした甘ちゃんがやれるほど相手は…」

 

(なんだ、ファフナーの動きが止まった…)

 

「クソどうなってやがる」

 

「どうした動け…動けよ」

 

「今の内に…」

 

「あっ…あぁ」

 

無事にカンナさんをボレアリオスまで回収出来た。

 

「この大馬鹿者。お前まともに戦ったこともないのにあんな危なっかしいことするんじゃない」

 

「ごっ、ごめんなさい。どうしても放っとけなくて」

 

「まあまあ、お嬢さん。でも亮一のおかげでまたあんたは助かったんだ、礼の一言くらいあってもいいんじゃないか」

 

「それは…そうだが…ありがとう亮一」

 

「カンナさん。どいたしまして」

 

こうしてカンナさんを乗せて僕達は再び総士捜索任務に戻った。

 

 

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