三体目の龍【黒龍王】   作:龍狐

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特訓 オートスコアラー編

~特訓開始から4日目~

 

 

現在、龍たちは荒野にいる。

違う世界の特訓場(グルメ界)で3日間特訓した皆は、次に何も変哲のない荒野に足を踏み入れた。

 

 

「あの…龍さん…。今度は何もないところですよね?」

 

「ビームとか振って来たり…」

 

「重力が普通の100倍あったり…」

 

「時間の流れが無茶苦茶だったり…」

 

「山とか振って来たり……」

 

「空気の濃度とかがすごく濃い場所とかじゃないデスよね!?」

 

 

あの三日間。九人は地獄を体験した。

まず重力がすごい場所に連れていかれたり、

とんでもないもの(山とかレーザーとか生き物とか)が降って来たり、

酸素や窒素などの濃度がすごく濃い場所に連れていかれたりした。

 

普通なら死ぬのだが、彼女たちにはシンフォギアがある。

そのため何度か死ぬようなことがあっても、なんとか生きていられた。

ちなみに龍はそんな場所でも生身で普通に生きていた。環境適応度が半端ないだろ。

 

 

「でも…」

 

「一番解せないのが…」

 

「マリアさんや翼さん、奏さんがいないことなんだよね…」

 

 

そう、今この場に三人はいない。

彼女たちは有名なため、仕事がどうしても入ってしまう。

いくら優秀なマネジャーがいても一週間の休みは無理だったようだ。

まぁ彼女たちにとっても地獄の訓練を休めるということは天国以外のなにものでもないだろう。

 

 

「まぁ、そういうことで、しばらくはあの三人を抜いて特訓するから」

 

「また地獄なことはやめてくださいね!?」

 

「ハハハ、それを決めるのは俺じゃない」

 

「え、どういうこと?」

 

「君たちの特訓を決めるのは、彼女たちだ」

 

 

そうして龍は右手を広げる。

するとそこからオーロラカーテンが出現し、そこからキャロルとエルフナイン。そして四人の少女が姿を現す。

 

 

「よう、キャロル」

 

「よう、特訓は順調か?」

 

「この場所での特訓は、ボクたちがやります」

 

「よかったぁ~~~!!エルフナインちゃんなら大丈夫だ!!」

 

「なにを言っている。オレとエルフナインは監視兼補佐役だ」

 

「え゛?じゃあ私達の特訓は…?」

 

「無論、こいつらだ」

 

 

そうしてキャロルが指差したのは後ろの少女四人。

それを見ると、彼女たちは嫌な顔をした。

 

 

「えぇええええ~~!?【ガリィ】ちゃんたちが!?」

 

「嫌デス!!特にこの青い奴には!!」

 

「…キャロル。どうしてあの青の子は嫌われているだ?」

 

「ああ、実はな…」

 

 

「ヒッハハハハハ!!安心しでください。皆さん纏めて地獄に送ってあげますから!!」

 

 

「………」

 

「と、こんな感じで精根が腐っているんだ…」

 

「ちなみに、彼女たち四人は、オートスコアラーと言う自動人形で、性格はキャロルの精神構造をベースにして創られています」

 

「…………」

 

 

光のない目でキャロルを見る龍。

実際、龍は『じゃあキャロルもこんな腐った性格を…?』と思っていた。

 

 

「そんな目でオレを見るな!!」

 

「あ、ゴメン…。で、それで、どんな訓練をするの?」

 

「やっぱり、派手にやる方がいい」

 

「どうせなら楽しい方がいいゾ」

 

「でもやっぱり、優雅な方がいいしねぇ~~」

 

「…(ていうか、他三人も個性的だな……あ、そう言えば…)」

 

 

龍はしゃがんで、キャロルの耳に顔を寄せる。

 

 

そう言えば、俺が渡したあのチップ。どうなっている?

 

ああ、あれのことか。金髪とキチガイ白髪や錬金術師のあの三人とオレとエルフナイン…皆で調べてみたが、あのチップには結構興味深いデータが内臓されたいた

 

後で教えてくれ。あとお前も金髪だろ

 

やかましいぞ。後で見せてやる

 

「マスター、一体なんの話をしているんですか?」

 

「ああ、なんでもない。それで、結局どんなことをするんだ?」

 

「まずは私に任せてくださいフフフフフフフ……」

 

 

この時、オートスコアラーを除いた全員がこう思った。

 

 

不安要素しかない/ねぇ(デス)よ…

 

 

と。

そして、訓練が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギャハハハハハハハハ!!もっと早く走らないと追いつかれちゃうぞ!!」

 

『『『『『ギャアアアアアアアア!!!』』』』』

 

 

そして今……青のオートスコアラー【ガリィ・トゥーマーン】の特訓(いじめ)が始まった。

内容で言えば、彼女が現像した竜を投影したものに、六人は追いかけられている。

彼女は地面を凍らせ、スケートの如く高速で移動して奏者たちを煽っていた。

 

追いかけている竜はもちろん、幻影なので触れることはできないのだが…

一つ、問題があった。それは…

 

 

「ヒィイイイイ!!」

 

「あ、案の定な結果になっちまった!!」

 

「やっぱりあの人苦手ェェッ!!」

 

「いや、人ではなくオートスコアラーですけどね…」

 

「ていうか、幻影だって、幻だってわかっているのに…!!」

 

「キモすぎて近寄れられないデス!!」

 

 

そう、彼女が投影した竜、気持ち悪すぎたのだ(・・・・・・・・・)。そう、例えるならエロいおっさんの顔である。そのくらい気持ち悪い顔の竜が、奏者たちを追っているのだ。

 

 

「……あれ、特訓なのか?」

 

「……少なくとも、足腰の特訓にはなっているんじゃないか?」

 

「…気持ち悪いゾ」

 

「近寄りたくないわね…」

 

「それに、華麗さが足りない。」

 

「ハハハ…皆さん、頑張ってください…」

 

 

見守る側は、ただ見ているだけしかできなかった。

そしてしばらく経ち、休憩の時間になった。

 

 

「あの…その…なんだ。お疲れ様…」

 

『『『『『お疲れ様じゃない!!』』』』』

 

「ハハハハハ…」

 

「よりにもよってガリィちゃんたちの特訓を受けることになるなんて…」

 

「いくら初対面だからとはいえ、さすがにこれは…」

 

「いや……俺が彼女たちに頼んだんじゃないんだがな…」

 

『『『『『え?』』』』』

 

「実は、今のガリィが事前に俺に連絡してきてな。『私に奏者たちの特訓をさせてくれ~~』って。最初は断ったんだけど、よくよく考えてみて、その子たちの力を見るいい機会だなって思って了承したんだが…まさかあんな性格だとは思ってもいなかった」

 

「ガリィ…そんなことしていたのか」

 

「龍さんがオートスコアラーの皆さんに響さんたちの特訓をやらせるなんて聞いたときは本当に驚きましたよ…」

 

「いやエルフナインちゃん!?その時に言って欲しかったよ!!」

 

「すみません…」

 

「まぁ、次は他の三人だし、大丈夫なんじゃない?」

 

「まぁ、ガリィと比べたらな」

 

 

そうしてこの場にいる全員がガリィ達のいる方向を見る

 

 

「ハハハハハ、楽しかった」

 

「ガリィ、あれはさすがに気持ち悪かったゾ…」

 

「派手だったが、些かあれは…」

 

「普通にアウトだと思うけど?」

 

「面白かったらそれでいいんだよ!!」

 

 

『『『『『…………』』』』』

 

 

「さ、さて、休んだし、次に行こうか…」

 

 

 

~ファラ・スユーフの場合~

 

 

「さて…私が出来ることと言えば基本的に剣を扱ったり、風を操ることしかできないし…」

 

「お、それだったらいい案があるぞ」

 

「?」

 

 

そして、奏者たちの前に現れたファラ。

だが…

 

 

「な、なんでこいつの上に乗っかってんだ…?」

 

 

クリスがそう言う。

ファラが何に乗っかっているか。

それは…

 

 

「なにって、【マグナギガ】だけど?」

 

 

そう、彼女は【ミラーモンスター】、【マグナギガ】に乗っかっているのだ。

 

 

「いや、そうじゃなくて…どうしてこれが必要になるんですか?」

 

「ああ、まず、こいつの性能は、クリスが一番知っていると思うが、こいつは弾丸やミサイル、レーザーを放つことが出来る」

 

「え゛。そ、それで…それがファラちゃんとどんな関係が…?」

 

「まず、銃弾って、回転しながら発射されるだろ?弾は回転すると速度や貫通力が上がる。だから、風を操る彼女の能力を使って、マグナギガの放つ弾のスピードと威力を跳ね上げてもらうのさ」

 

『『『『『…………』』』』』

 

 

このとき、六人はこう思った。

『まだ地獄が続くのか…』と。

 

 

「あ、後皆だけじゃあれだし、俺も混ざるよ」

 

「本当ですか!?良かったぁ~~。苦難は皆で乗り越えれば楽だって言いますしねぇ~」

 

「いや、ちっともよくなってねぇよお前はバカか!!龍のあの身体能力忘れたか!?」

 

「あ……」

 

「さて、それじゃ特訓スタート!!」

 

「え、ちょっと待ってくださいまだ準備が「じゃあ発射します」え。ギャアアアアアアア!!」

 

 

そうして始まった【エンドオブワールド(永久)】。

マグナギガから放たれた弾、ミサイル、レーザーが奏者と龍を襲う。

そしてファラが風を操ってすべての弾の速度と貫通力を上げた。

 

 

「クソがぁ!!」

 

 

クリスは同じ弾丸とミサイルを使って弾を相殺しようとするが、威力はあちらの方が上なため、すべて無駄に終わった。

 

 

「デデデデデデェェェスゥゥゥゥゥ!!」

 

「切ちゃん落ち着いて!!」

 

 

調と切歌は攻撃を避けているが、徐々に当たっている。

調が鋸を盾にして弾を防ぐ。だが、威力がありすぎて押されている。

 

 

「ハワワワワ…」

 

「セレナちゃん大丈夫!?」

 

「量が多すぎるよぉ~~~!!」

 

 

セレナと未来と響はこの大量の弾に困っていた。

だが…

 

 

「それくらい、シンフォギアだったら大丈夫でしょ?」

 

『『『『『…………』』』』』

 

 

対して、塔銀龍は、(・・)で弾をはじき返していた。しかも手が見えない速度で…。

それも、ミサイルやレーザーでさえも…

それを見ていたキャロルたちも…

 

 

「…あいつは本当に人間なのか?」

「疑ってしまいますね…」

「改造とかしていたりして」

「…あれはさすがに派手を通り越して怖いな…」

「あれ、レイア怖いのかゾ?」

 

 

と、こんな感じになっていた。

 

 

「……どうして素手でそんなことが出来るんですか!?」

 

 

質問をしたのは響である。

響は来る弾を避けたりしているが、余裕がなかった。

 

 

「素手?なに言ってんの?…これ見なよ」

 

「え?」

 

 

よく見ると……、龍の手には、籠手が着けられていた。

そしてその籠手は、すごく見覚えがあった。

 

 

「それ……いつも龍さんが召喚している黒い龍の顔じゃないですか!!?」

 

 

そう、その籠手とは【ドラグクロー】である。

実はこれ、ストライクベントやソードベントのカードなら生身でも使えるのだ。

 

 

「いやさ、さすがにビームはね、手を火傷しちゃうし…」

 

「え、それってつまり銃の弾やミサイルは素手でも大丈夫だってことですか!?」

 

「……それは自分で考えてくれ、未来ちゃん」

 

「出来るんですか!?」

 

 

ここで今、改めて龍の異常性を知った皆であった。

 

 

 

~ミカ・ジャウカーンの場合~

 

 

 

「私はなにをすればいいのかゾ?」

 

「うん、ただ皆を殴ればいいから」

 

「え、ちょっと龍さん!?「分かったゾ!!」え、ちょ!!」

 

 

そうして龍にカーボンロッドで殴りかかるミカ。そしてそれを素手で受け止める龍。

 

 

「え?」

 

「ちゃんと合図してからね…?」

 

「(ゾクッ)わ、分かったゾ……」

 

 

そうしてカーボンロッドを離す龍。そしてすぐに龍から離れるミカ。

 

 

「こ、怖かったゾ!!」

 

「おい…いきなりはないだろう…」

 

「ハハハ…」

 

「さて、気を取り直してやるから、来て!!」

 

 

そうして持ち場に着いた皆。

そして始まった戦い。ミカと響はいい勝負だった。

と、龍は言っていた。

 

 

 

~レイア・ダラーヒムの場合~

 

 

 

「さて、私は派手にやりたのだが、どうすればもっと派手に特訓が出来る?」

 

「そうだな…派手だとしたら、やっぱりあの(・・)ミラーモンスターがいいな」

 

「なにかあるのか?」

 

 

「あの……なんかもっと変なことにならないでくださいね…?」

 

 

そんな響の声を無視して、話は続いた。

 

 

そして、特訓が始まった。

 

 

 

『『『『『………』』』』』

 

 

そして奏者六人は上を見上げていた。

それはあまりにも眩しすぎた。

 

 

「さて、派手に行こうではないか」

 

 

『『『『『ちょっと待って!!?』』』』』

 

 

奏者全員がツッコンだ。

そして、何故ツッコンだのかと言うと…

 

 

「なんですかその鳥!?」

 

 

レイアは、黄金の鳥【ゴルトフェニックス】の上に乗っていた。

 

 

「これこそ、私が求めていた派手さ!!さぁ、派手は攻撃で強くなるがいい!!」

 

 

そうして始まった再びの地獄。

黄金の羽が舞い降り、レイラが上空からコインを飛ばす。

ゴルトフェニックスの羽は触れると爆発する。そしてこのコインはとんでもない威力である。

 

 

『『『『『ギャアアアアアアアア!!!』』』』』

 

 

――ドガン ドガン ドガァアン!! キンキンキンキン!!――

 

 

「もう嫌ぁああああ!!」

 

「…全く、これくらいちゃんとしないと」

 

 

そしてそこで現れたのが龍であった。

龍は自分に迫ってくる羽とコインをすべて避けていた。

 

 

『『『『『………』』』』』

 

 

そうして、しばらくし、今日の特訓は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、今日はこれくらいで終わりだね。今日感じたことはなにかな?」

 

『『『『『今日改めて龍さんの異常性を知りました』』』』』

 

「……そうか、さて、明日は学校だから、もう早く帰って寝よう」

 

「…そうですね…」

 

 

そうして、解散した。

 

 

本番まであと5日。

 

 

 


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