六月の上旬、まだまだ梅雨には早いが少し暑い時期ではあるが半袖半ズボンで腹を出して眠っていた青年はゆっくりと体を起こして背伸びをする。
まだ少し眠いのだろうか目を擦りながらも冷蔵庫を開けて昨日の夕飯の残りを取りだしレンジに入れる。
「いただきます」
お釜の予約ボタンを押し忘れてたせいで回鍋肉と食パンという、アンバランスな朝食になってしまったが文句は言えない。自分が悪いんだもの。
朝食の片付けを終えたら四月から着ているまだ新品同様の制服を着て学校へ急ぐ。
廊下側の自分の席に座り朝のホームルームを聞き流し、授業を真面目に受けたり、サボって寝たり、バレて怒られたりしながら気付けば放課後である。
特にやることもないし帰ってゲームかなと青年は音楽プレイヤーを装着し帰路につくといつも使っているコンビニの前で三人組の女子中学生を見つける。
「葛西さん!」
三人組の一番髪の長い子がこちらに気付き手を振ってくる。
「あら、そこの殿方と佐天さんお知り合いですの?」
もう一人横にいるツインテールの子は頭の上に?を出しながら髪の長い子に質問する。
「おー涙子ちゃん」
青年も気付き、イヤホンをしまい小走りで涙子と呼んだ髪の長い子に駆け寄る。
「涙子ちゃんこれから遊ぶのかい?」
「はい、これからショッピングです…あ、葛西さんも来ませんか?」
「女の子三人の中で男がいたら邪魔でしょ、きをつかわなくていいから楽しんでおいで」
「ちょっとよろしくて!」
二人だけの空間で話されてはこっちの質問が通じないとツインテールの子は少し声を張って呼び掛ける。
「佐天さん、その殿方はどなたでどのようなご関係で」
「あーごめんなさい白井さん、説明してませんでしたね」
「もしかして例のお兄さんですか?」
佐天の後ろからぴょこっと出てきた佐天と同じ制服の頭に花冠を乗せた少女が佐天に質問する。
佐天は青年の横に立ち、ツインテール少女と花冠少女に説明する。
「こちらのお兄さんが私の恩人の葛西 柊(かさい ひいらぎ)さんです」
「どーも柊っていいます、だから恩人っほどのことしてないって」
「なにいってるんですか!葛西さんが助けてくれなければ私は今頃どうなってたか」
「見かけたから通報しただけなんだけど…」
そんな柊の呟きを無視して今度は二人の真ん中に移動し説明を始める。
「こっちが私のクラスメイトの初春 飾利(ういはる かざり)です」
「はじめまして、初春です。葛西さんのことは佐天さんから話を聞いたことがあります」
ペコリと初春は頭を下げるが花冠は落ちずにピタッと頭にくっついたままである。不思議だ…
「で、こっちがあの常盤台中のlevel4白井 黒子(しろい くろこ)さんです」
「はじめましてですの」
「あの常盤台の…」
常盤台中学とは学園都市の中でも有名なエリート校で花のお嬢様学校、level3以上の能力者しか入学を認められないという学校である。
「私の説明より葛西さんが恩人とはどうゆうことですの?」
「ちょうど一年前に私、ある不良集団に拐われそうになったのです。そこを葛西さんが助けてくれたんです」
「だから通報しただけだって」
「通報したあとに不良集団に突っ込んでいきましたよねー」
「うっ!」
佐天がニヤリと笑いながら見てくるので目を反らして頭をかく。
「集団に突っ込んでいったって、葛西さんもしかして高位能力者ですか」
「そこら辺にいくらでもいる無能力者だよ。突っ込んでいったっていっても注意を集めて逃げてただけだし」
初春が目をキラキラさせながら質問してくるも返ってきた答えに苦笑いする。
「それ以降、メールアドレス交換してメル友状態です!」
佐天は携帯を取りだし二人に画面を見せながら決めポーズをしている。
そんな和気あいあいと会話していると背後からチャラチャラした男二人組が話しかけてくる。
「ねーねーお兄さーん、そこにいる女の子とオレらも話したいんだよねぇ」
「てか、避けてくんね邪魔」
三人組を狙ったナンパであろう、男達に気付いた黒子と初春はポケットからなにかを取り出そうとしているが、それより柊が先に行動する。
「向かいのファミレスで待ってて…」
「へ?」
「お二人とも、もっと良い女の子と旨い話があるんですよちょっと来てください」
「お、おい!」
「なんだお前!」
佐天だけに聞こえる音量で呟くと男達の肩に手をかけて裏路地に歩いていく。
「っな!失礼なレディーを前にもっと良い女の子がいるなんて!」
黒子は柊の喋ったことに怒り心頭である。
ずんずんと柊が消えていった裏路地に向かおうとする黒子を佐天が止める。
「白井さん、ストップ!」
「なんですの!」
「まぁまぁ落ち着いて、葛西さんなら大丈夫だしさっきのは嘘で言葉のあやだから。
あそこのファミレスで待ちましょう、たいして時間もかからないから」
佐天は笑いながら白井と初春の手をとりファミレスに向かう。
「でも佐天さん、葛西さん大丈夫なんですか無能力者なんですよね今からでも助けに…」
「大丈夫、大丈夫。ああ見えても強いから」
一方裏路地に向かった男どもは…
「邪魔なんだよ、くそが」
「ガキだが久々の上玉なんだよ、テメェ」
裏路地の開けたところに出ると柊の腕を振り払い男達は罵倒する。
「まぁまぁ落ち着いて、ロリコンは犯罪だし病気だぞ」
「うっせぇんだよ、テメェこそ仲良く話してたじゃねえかよロリコン野郎!!」
「説教のつもりかアァン、テメェ邪魔なんだよ!!」
なだめるつもりで話したのだが、逆にキレてしまったようだ、隠していた警棒で殴ろうと振り下ろしてくる。
「なっ!!」
「お前なにふざけてんだよ、棒立ちの野郎にあたらないなんて」
「ちげぇよ!完全に当てにいったのにあたらないんだよ」
もう一人が手のひらに炎を生み出し投げ付けてくる、恐らく火を操る発火能力者であろう。
しかし警棒と同じく柊に当たることなく地面に着弾する。
二人組がかりで攻め立てるが柊が避けるまでもなく警棒や炎のほうが避けているようにあたらない。
実際、柊に向かって降り下ろされている警棒と炎は柊に当たるのを嫌がるように空を切る。
「人を待たせてるからな、少しだけだ」
柊の目が少しだけ鋭くなると背後に2㍍位の青い影が現れる。
「ヒィ幽霊!!」
「ば、化物だ!!」
攻撃が当たらず息が切れている二人は青い影に驚き怖がり始める、最初は能力者だと思ったが背後に現れた影に違和感を感じた。
『Everything wii flow 』
柊が名前を呼ぶと青い影は腕を振りかぶり一人顔面を殴り、もう一人を壁に叩き付けて気絶させる。
「おつかれさん」
柊が携帯を取りだし、希望した教師によって構成された警察的な組織「アンチスキル」に通報するころには青い影は消えていた。
携帯をしまい柊は女子三人組を待たせているファミレスに向かうことにした。
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