あとヘファイストス…それロボットだったんか…
帰還!その名は異界王!
とある世界 都市郊外の家屋
蓮子「…う…う~ん…ハ!…ここは…」
鈴仙「大丈夫ですか?良かった…この世界についた途端また気絶しちゃったからどうしようかと……」
蓮子「…そうだ…私…負けたんだ……」
別の何者かの意思によって別世界に飛び込んだ蓮子は創界神達が用意した家のベッドで目を覚ました。だがその目は暗く闇の奥底に沈んでいるように感じられる…
さとり「目覚めたようですね。突然ですがこの世界でやらなければならないことがあります」
文「…一体なんなの?もう気力のカード調達は十分じゃない?」
さとり「…実はメジェド異変の後、行方不明となっていた四魔卿達がこの世界にいることがわかりました」
鈴仙「え!?」
驚く鈴仙をほっといて文とホルスは蓮子にメジェド異変の詳細を説明した。そしてさとりが読み取った弾の考えを伝える。
さとり「…ですのであなたにはこの世界で四魔卿達を探して貰います。たぶん弾は彼らのエネルギーも神々の砲台のエネルギー源にしようと思ってますから、あなたにも悪くない話ですよ?」
蓮子「………よくわかんない……」
ブラフマー《…へ?》
蓮子「…もう…お父さんがなんなのかわかんない…みんなは最低最悪の魔王だって言うし…現にそう言える悪逆無道を行ってるし……でも…私に道を示してくれたお父さんは確かに最高最善の魔王だったの……」
クリシュナ《……鈴仙ちゃん、ちょっと蓮子ちゃんとそこら辺を散歩してきなさい》
ホルス《…さとりん、お前もついていってくれないか…?》
世界を滅ぼそうとした魔王という面と尊敬していたという父親の面との板挟みになって、蓮子は苦悩の渦の真っ只中にいた。それをみかねて創界神達は気分転換に散歩してくることを勧めた。
さとり「…なるほど……以前弾が倒したのがあなたの父親だったとは思いませんでした……」
蓮子「…はい…結局…お父さんは何であんな極悪非道な人になっちゃったんだろう……」
鈴仙「……辛いですね……自分に愛情を注いでくれた肉親がそうなってしまうのは…」
三人は近くの公園でブランコをこぎながら蓮子の父親について話を聞いていた。するとさとりは少し躊躇いながら、あることについて話し出した。
さとり「……あなたの父親を止めようとした弾のその後…何があって幻想郷の創界神になったのか…知りたいですか?」
蓮子「……コクン…」
文「…分かりやすくいえば…敗北したそうです…あなたの父親と同じように…世界の無理解と見識の狭さに……」
蓮子「…え…あの人も…?」
そこから蓮子の耳に入ってきたのはえげつない…とても残酷な話だった。世界の矛盾を正そうと奮闘したのに、それをよく思わない闇の人間が社会的に弾達を抹殺……そして親友の死…蓮子は途中で耳を塞ぎたくなるほど重い人生を彼が生きてきたことを知った。
蓮子「…それなのに……戦えるんですか?」
さとり「……私は…できません…いえ、できないと思い込んでいました。悲しいことに私は強力な力を持っている妖怪ではないのです。それどころか心を読むという力を疎ましく思われて地底に追放されました……」
蓮子「あなたも!?」
さとり「…ですが彼は自分にできることを全力で取り組み始めました。その想いに…私達は心打たれたのです…それから私もできることから始めました。それが今回の四魔卿退治なのですよ」
さとりの語りに蓮子はものすごく引き込まれていた。弾や彼女はと父親が同じだったとしたら……蓮子は思いきって聞いてみた。
蓮子「…父も…絶望したそうです…でもあなた方と何が違ったんでしょう…」
鈴仙「…同じだったのよ……弾様も…あなたのお父さんも……あえて言うなら師匠も……熱い信念を持って世界を良くしようと尽力した…でも同じだから…それを邪魔した奴らを見てねじまがってしまった……強いて違いを言うなら…理解者…だと思うわ」
蓮子「…理解者……」
鈴仙「同じような仲間がいたなら…あなたのお父さんも踏みとどまれたのかもね……」
鈴仙も隣でキーコキーコとブランコをこいで話し出す。彼女も自分の師匠が…永琳の昔の境遇を弾から聞いた時のことを思い出していたのかもしれない……
???「よーし!アタックステップ!」
???「く…!ライフで受ける!」
鈴仙「…あー…もう止め…!子供見てると私達が悩んでることなんてちっちゃいことに感じてきたわ…」
蓮子「あはは…確かに……」
さとり「…!…二人共…!近くから四魔卿の気配を感じます…!!」
ふと声がした方向を見た鈴仙と蓮子は公園のベンチで二人の少年がバトスピで遊んでいるのを見つけた。その賑やかな様子に鈴仙と蓮子は和んでいたが、さとりの言葉に気を引き締める。
するとバトスピをしていた二人の少年にどこからか現れた褐色肌の青年が近づいていた。
鈴仙「…なんだか…言い争ってるようですね…」
さとり「…間違いありません…!あの近づいてきた青年から邪な気を感じます…!」
???「探したぞ…十二神皇に選ばれし勇者達よ…」
???「お前…!何でこの世界に…!?」
???「あの落盤を…生き延びていたのか…」
邪悪な気を纏う青年に首からヘッドホンをかけた赤髪の少年と長いマフラーをした金髪の少年が何やら会話している。だが友好的では無さそうだ。
???「…ふん…お喋りはここまでだ。邪神王の支配する世界に…お前らは不要だ…!消えろ!」
???「うわぁ!?」
鈴仙「…!光弾!?…く!」
青年は話は終わったというと、その手に禍々しい色のエネルギー弾を精製して少年二人に向かって放った。二人は驚いて避けることができなかったが、間一髪鈴仙の弾幕がエネルギー弾の相殺することに成功した。
???「…邪魔をするな!」
鈴仙「なに突然子供を襲っておいてそんな口を!」
蓮子「君たち、大丈夫!?」
???「あ、あぁ…大丈夫だ…」
鈴仙が青年の気を引き付けている間、蓮子とさとりが少年達に駆け寄った。二人は驚いてはいたが、すぐに状況を理解を察するほどこのような事態に慣れているようだった。
さとり「…!…あなた達…!邪神王を封印した…?」
???「え!?何でそれを?」
???「隙あり!!」
鈴仙「…!!さとりさん!蓮子さん!危ない!!」
鈴仙の焦った叫び声がさとりと蓮子の耳をつんざいて二人は振り向く。すると青年が放ったエネルギー弾が至近距離まで迫っていた。さとりは咄嗟に少年達を庇い、蓮子は腕を前に出して少しでもダメージを軽減しようとした……
蓮子「…!カハ…」
ずどぉぉぉぉん!
するとその時、蓮子の体から膨大なエネルギーが滲み出す。その溢れだしたエネルギーが青年のエネルギー弾を防ぎきった。
鈴仙「…!?なにが…起きたの…?」
さとり「……蓮子さん…今のは…?」
蓮子「…知らない…私…今何もやってないし…う…!」
蓮子も何が起きたのか分からない…そんな状況でしどろもどろになっていると、また蓮子の中からエネルギーのオーラが吹き出してきた。
今度はオーラが蓮子の前に収束していき、人の形をとっていく…そして完全に人の姿を取った瞬間、蓮子は驚愕を表情を隠せなかった…
蓮子「…お、お、……お父さん…!!!?…ど、どうして…!?」
蓮子の父「話は後だ!ずらかるぞ…!…は!」
青い司祭のような服に古代風のアクセサリーを着けた男……蓮子の父はそう叫び、腕を突き出して衝撃波を青年に向けて放つ。それに青年が怯んでいる隙に蓮子の父は少年達ごとどこかにワープした。
???「……逃げられたか…」
文「……へぇ…というとアレックス様はスゴかったんですね」
ホルス《まあな。あいつの活躍あって今の神世界に平和があるんだ》
ブラフマー《…あの時は少し若くてゼウスにも突っかかっていったからな……まぁけしかけたのは俺だったんだが…》
クリシュナ《…もう!乙女の柔肌に傷をつけるなんて…!》
グレン《…止めてやれ…それを未だにゼウスはヘラやイシスやアプロディーテに怒られているぞ……》
文「…そりゃ当たり前ですねぇ…ん?帰ってきましたか…?」
三人が散歩に行っている間創界神達は文に昔の戦争のことを話していた。文がだいたいゼウス=ロロVSラーの決着の後、アレックスがインディーダとアマハラを味方に着けた所までメモすると、玄関の扉が開く音が聞こえた。
文「お帰り…ってどういうこと!?」
さとり「…文さん…とにかくこの子達を…」
文「…わかりました……」
出迎えた文は三人が連れ帰ってきた二人の少年と一人の男性を見て驚いた。しかしさとりの表情と様子を察して少年達を中で招き入れた。
鈴仙「…蓮子さんの…お父様ですね…ありがとうございました」
蓮子の父「礼には及ばん。それに……最近はこう呼ばれている…
……異界王とな…」
はい。ありがとうございました。
とうとう蓮子の父親が登場…もう彼なら何でもやれそうな感じが…