東方星神録   作:あんこケース

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…最近創界神のキャラ付けをするときは「何か似合うキャラいないかなぁ」と考えます。そして似合う!と個人的に思って生まれたのが今回の創界神です。


ヒッキー神

幻想郷 人里

 

 

鈴仙「ありがとうございました~!」

 

元気な声と共に頭を下げる鈴仙。今日は人里で薬の訪問販売の日で、鈴仙はいつも行商人のような格好で人里の家々をめぐり、良心的な値段で薬を売っている。

 

鈴仙「ふぅ…あとは寺子屋だけね…じゃちょっと休憩しよ…」

 

歩きながらそう思った鈴仙はちょうどいい茶屋を見つけて外の椅子に座り込む。薬が入ったつづらをおろしそうとした…その時、背中のつづらが座っていた男性にぶつかってしまった。

 

???《…ガンッ…いて…!》

 

鈴仙「…あ…!すみません!つづらぶつけちゃって…」

 

???《…い、いや…そんなこと…ないでしゅ…》

 

鈴仙「ほんとうにすみま…せ……ん…………」

 

鈴仙は慌てて座っていた男性に謝罪する。何軒も家をまわり、疲れていたこともあって注意が散漫になってしまったことを鈴仙は悔いた…だがそれはすぐ忘却の彼方へ飛んでいってしまう…そのわけは…

 

鈴仙「…目が…!目が…!腐ってるぅぅ!!?

 

???《…………いや…これ俺の個性……》

 

…そう…その男性の目がまるで腐った魚のように黒く淀んでいたからだ。

 

鈴仙「ほへぇ~…こんな目ってあるんですねぇ…ちょっと拝見しても良いですか?」

 

???《…ど、どうじょ……そ、そのつづら…君が一人で運んでいるんで?》

 

鈴仙「…へ…あ、はい。私が出来るのはこういう労働ぐらいなもので…」

 

医者の卵としてその男性の目に興味を示した鈴仙が腐っている目をじろじろと観察していると、男性は鈴仙が背負っていたつづらを見て質問する。

 

???《…おじさん、この娘に茶と菓子もうひとつ》

 

店主「はいよ!」

 

鈴仙「え!?いやいいですよ!ぶつけちゃったのはこちらなのに!」

 

???《…おいおい…ちゃんと休憩する権利はどの世界でも認められている。それにどれだけ仕事中にサボれる時間を探すってのが俺の生き甲斐だ…たまには社会の歯車から解き放たれろ》

 

鈴仙「…えぇ~…」

 

???《…おかしいか?より少ないリスクで最大限のリターンを

得ることこそが労働の最大の目的であり、サボりたいからこそ人間は活版印刷機や機関車を発明したと思うんだが?》

 

あまりにも後ろ向きな発言…ここまで仕事に関して意気込みのない人に鈴仙は初めて会った。そんな感じで鈴仙と男性はどうたらこうたら話しながら一服し終わった。

 

鈴仙「…ごちそうさまでした。なんか…すみません」

 

???《…おい…優しくすんなよ…友達だと思っちゃうだろ…グイッ…次はどこに行くんだ?》

 

鈴仙「……まさか…代わりに持ってくれるんですか……?」

 

???《…バカ野郎…一人で重い薬箱背負って頑張ってるんだろ?どうしてひとりぼっちで頑張ってたやつを否定しなきゃいけねぇんだ…独りでやることがそんなにダメなのか?…社会ってのは厳しい…だから俺くらいは優しくしてやるんだ》

 

そう言いながら重たい薬が詰まったつづらを背負って鈴仙に話しかける。鈴仙は《思ったより優しい人なんだな…》と彼の評価を改めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人里 寺子屋前

 

 

鈴仙「ここです。どうですか?童心に帰って遊んでいっては?」

 

???《…寺子屋ねぇ…寺子屋には行ってないが…ガキの頃…菌扱いされたり靴隠されたりした思い出があるな…》

 

鈴仙「……もしかして…ぼっち…でした?」

 

???《…違う。真の強者というのは群れないんだ。それにぼっちの生き物…例えば狼はカッコいいし猫はかわいい…つまりぼっちはカッコよくてかわいいんだ。そして群れるということは》

 

鈴仙「…ごめんくださ~い!慧音さんいらっしゃいますか~!!?」

 

???《…無視!…スゲェレベルで黙殺されたよ…これ今度クリシュナに言ってやろ…》

 

寺子屋の前で話していた鈴仙と男性だったが、あまりにもネガティブ&マイナス&後ろ向きなセリフに鈴仙は反応出来なくなり、大声で寺子屋の教師代表……上白沢 慧音を呼んだ。

 

慧音「おお、鈴仙。いつもすまないな」

 

アンターク《……あら?ヒキガエルが二本足で立ってるわ。こんな妖怪がいたなんてねぇ…》

 

???《うるせ、誰がヒキガエルの妖怪だよ。てか何でお前がここにいんだよ…》

 

アンターク《この娘と契約したのよ。あなたとは違って彼女はまともだから》

 

???《…おい、遠回しに俺がまともじゃないって言うなよ》

 

鈴仙「…アンターク様とお友達なのですか?」

 

出てきたのは慧音とアンタークだった。そして二人をほっといてアンタークは男性と話し始める。完全に悪口に聞こえる内容だが案外仲良くしているので、鈴仙はまた尋ねてみた。

 

アンターク《…昔、ゼウスと戦争した時に私は彼の軍に世話になったのよ……残念なことに》

 

???《…はぁ…お前もアレックスとか少しは友達が増えたと思ったら…ジィ…》

 

慧音「…ん?どうかしたか?」

 

するとその男性はその淀んだ目の視線を慧音の方に向ける…失礼、慧音の豊かな胸部に目を向ける。

 

アンターク《…どこに目を向けているのかしら?ずいぶん変態染みたわね》

 

???《…いやこれは万乳引力の法則によってだな…》

 

慧音「…それより…薬なのだが…」

 

鈴仙「…あ、はい。どうぞ…!」

 

もう脱線も脱線していく二人を今度は慧音と鈴仙が放置してやり取りを進める。その間男性とアンタークはお互い、目線を向けはするが喋らない空間が続いた。

 

慧音「…そうだ、鈴仙。これから子供達にバトルの見本を見せたいと思っていたのだが…今大丈夫か?」

 

鈴仙「…すみません…今クリシュナ様が居ないので…」

 

アンターク《ならそいつで代用したら?そいつも同じ『甲竜』の創界神だし》

 

鈴仙「……っえ…?」

 

目が点になって耳もシワシワになった鈴仙がギギギと首を回す…すると男性は頬をかきながら渋々名乗った。

 

???《…インディーダ所属の…維持の創界神…ヴィシュヌだ》

 

鈴仙「…大変ご無礼をおかけしました…でぇすが悪いのはこの私一人であり…永遠亭は悪くございましぇん…

 

アンターク《あ~あ、年下の女の子を泣かした~!》

 

ヴィシュヌ《…ブラフマー…シヴァ…助けて……》

 

……哀れ鈴仙……

 

 

 

 

 

 

数分後 寺子屋 グラウンド

 

子供達「「「センセ~ガンバれぇ~!(*゚▽゚)ノ」」」

 

慧音「…フルフル…」

 

鈴仙「…なんだかやりにくいなぁ……」

 

ヴィシュヌ《…世の中こんなもんだ…》

 

復活した鈴仙は校庭で慧音と向かい合っていた。子供達の声援に手を振る慧音とバトルするのをためらう鈴仙に体内のヴィシュヌがツッコミを入れた。

 

慧音「さて…いくぞ!」

 

鈴仙「…はい!」

 

慧音 鈴仙「ゲートオープン!界放!!」

 

 

 

 

鈴仙「先行もらいます!メインステップ!ヴィシュヌの維持神殿を配置してバーストをセット!ターンエンドです!」

 

鈴仙はまず背後にメカニックな白い神殿を配置する。バーストもセットしたので防御も問題ないだろう。

 

慧音「ではこちらのターン。No.21ダイバージェンスヒル、さらに神の歴史記す女神!創界神アンタークを配置する!神託によりコアを三個置くぞ」

 

アンターク《さぁ…!いくわよ~!》

慧音のフィールドが紫の小川と白い丘に変わると、背後にアンタークが現れた。

 

慧音「ターンエンドだ」

 

鈴仙「メインステップ!世界の安寧司る神!維持の創界神ヴィシュヌを配置!神託を使ってコアを二つ置きます!さらに神樹龍機ヴェーダーンガを召喚!」

 

ヴィシュヌ《……いくか…》

 

鈴仙の背後にもヴィシュヌが現れ、フィールドにも樹木の翼を生やした二本足のドラゴンが登場した。

 

鈴仙「……う~ん…まだいいかな…ターンエンドです!」

 

慧音「…メインステップ。調査員エウロー、調査員ラーテンをどちらもレベル2で召喚!ダイバージェンスヒルの効果!コスト3のスピリットが召喚でドローするぞ!」

 

アンターク《よし…!維持神殿の効果をうまくかわしたわ!》

 

慧音は昆虫の調査員と氷姫の調査員を呼び出してネクサスの効果で手札を補充する。ヴィシュヌの維持神殿の手札破棄効果は『スピリットの効果』限定だったので、発揮しなかった。

 

慧音「さて…アタックステップ!ラーテン、エウローでアタック!!」

 

鈴仙「どちらもライフです!」

 

飛び出したラーテンとエウローが放ったビームが鈴仙のライフを二つ撃ち抜いた。

 

慧音「エンドステップ!エウローの効果で調査員達を回復させる。ターンエンド」

 

ヴィシュヌ《…あの効果…ヴェーダーンガにもあったぞ…?》

 

鈴仙「ええ~…もう…同じ系統なのにクリシュナ様のデッキとは大違いじゃない~…!」

 

ヴィシュヌ《……言い訳するなよ。馬神 弾や八意 永琳はこんな時に言い訳しろって教えてんのか?》

 

鈴仙「……ええ……」

 

鈴仙の呆れるような声に辛辣に答えるヴィシュヌ…だがため息のあとヴィシュヌは話を続ける。

 

ヴィシュヌ《…わりぃ…ついブラフマーやシヴァに言う感覚で言っちまった。だがよ…ここ(バトルフィールド)じゃ誰も助けてくれねぇのはマジだぜ?…俺は甘ったるい励ましは嫌いなんだ…そこん所覚悟しとけよ…》

 

鈴仙「…わかりました!メインステップ!ゴッドシーカー ヴァーマナを召喚してデッキを四枚オープン!」

 

ヴィシュヌの言葉に身を引き締めた鈴仙はピンクのビームソードのような翼を持った甲竜を呼び出す。オープンされたカードは…リカバードコア…ミラージュカーテン…ムーンショウオ…そして三龍宝剣アブソリュートキャリバー…!!

 

 

鈴仙「…まずミラージュカーテンを手札に加えてヴィシュヌにコアを追加!さらにインディーダの三宝剣の一振り!三龍宝剣アブソリュートキャリバーをヴィシュヌに直接合体召喚!」

 

ヴィシュヌ《…来たぜ…愛刀…!》

 

鈴仙は先ほど回収したアブソリュートキャリバーを召喚する。するとヴィシュヌに白い光がまとわりつき、その手に白銀の剣が握られた。

 

鈴仙「ヴェーダーンガをレベル2に上げてアタックステップ!ヴェーダーンガでアタック!フラッシュでヴィシュヌ様!転神を!」

 

ヴィシュヌ《…めんどくせ…まぁ…ほどほどに頑張りますか…!》

 

ヴェーダーンガが背中の樹木の翼をはためかせて飛び出すと、アブソリュートキャリバーを構えたヴィシュヌがフィールドに降り立った。

 

慧音「ライフで受けよう!」

 

ヴェーダーンガの腕の爪が慧音のライフを引き裂いた。

 

鈴仙「さらにヴィシュヌ様!お願いします!!」

 

ヴィシュヌ《…セイ!》

 

慧音「…エウローでブロックする!」

 

ダブルシンボルをライフで受けることを嫌った慧音はエウローでブロックする。エウローのビームをヴィシュヌはアブソリュートキャリバーでエウロー自身ごと斬り捨てた。

 

鈴仙「続け!ヴァーマナ!!」

 

慧音「…これはライフ!!」

 

ガンガン攻める鈴仙はヴァーマナもアタックさせ、ヴァーマナはビームソードの翼でライフを切り裂く。

 

鈴仙「ターンエンド!」

 

アンターク《…ノッてきたわね…》

 

慧音「…リフレッシュステップ…」

 

鈴仙「ヴェーダーンガレベル2からの効果!相手のリフレッシュステップ時、甲竜とインディーダの創界神を回復!さらに単白の創界神が回復したので、ライフをひとつ砕く!!」

 

ヴィシュヌ《…あ~…回復しただけでライフバーンなんて…楽!》

 

慧音がリフレッシュステップを始めると、ヴェーダーンガの翼が大きく広がって自身、ヴァーマナ、そしてヴィシュヌを起き上がらせる。オマケにヴィシュヌの力で慧音のライフを破壊していった。

 

慧音「…このタイミングで…やるな!メインステップ!バーストをセットし調査員オッザニア、アーシア、ノルドを召喚!そしてネクサスの効果でドロー!」

 

慧音は怯まずに竜人、詩姫、闘神の調査員を呼び出す。だが慧音は手札から更なるカードを手に取った……!!

 

慧音「…剣の世界守る究極!究極なる女王アンタークを召喚!レベル5!!」

 

アンターク《…懐かしいわね…ダークネス・ホールでドンパチやったの…》

 

慧音のフィールドに究極シンボルが現れて中から甲冑に身を包んだ女騎士が現れる。その登場に調査員達もどこか嬉しそうだ。

 

慧音「アタックステップ!究極なる女王アンタークで攻撃!!Uトリガー!ロックオン!!」

 

鈴仙「…コスト3…ヴィシュナーガ・シクシャー…!」

 

慧音「ヒット!まずはBP10000以下のヴェーダーンガを破壊し、コアをひとつ究極なる女王アンタークに置く!」

 

アンタークが剣を抜いてヴェーダーンガを一刀両断する。そしてその力を吸収してアンタークは自身の力とした。

 

鈴仙「…ようやく来た…!バースト発動!!マジック!リカバードコア!!破壊されたヴェーダーンガを手札に戻してそのまま召喚!!ヴァーマナのコアも全部使ってレベル3に!ブロックしなさい!!」

 

ずっと張られていた鈴仙のバーストがとうとう開き、先ほど斬られたヴェーダーンガが復活してアンタークの行く手を阻む。しかしヴァーマナのコアを使ったとしてもBPは10000。BP15000のアンタークには届かないが……

 

アンターク《……あ…!》

 

ヴィシュヌ《…今気づいたのかよ…まだまだ若いなぁ!》

 

鈴仙「フラッシュタイミング!ヴィシュヌのコアをひとつヴェーダーンガに移動させて神煌臨!!決して朽ちぬ白き盾!維持神龍トリヴィ・クラマ!!

 

ヴェーダーンガにヴィシュヌが放った白いビームが直撃する。するとヴェーダーンガの身体がさらに白く、大きく変化していく。最後に背中に四対の翼を装着したロボット龍が現れた。

 

鈴仙「トリヴィ・クラマのレベルは3!BPは16000!!返り討ちよ!!」

 

アンタークの剣を腕の装甲で防ぐと、トリヴィ・クラマは背中の羽から白いビームを放ってアンタークの鎧を貫き、破壊した!

 

慧音「…フ…ターンエンドだ」

 

鈴仙「メインステップはそのまま、アタックステップ!トリヴィ・クラマでアタック!!まずはバーストを手札に戻して回復します!」

 

ヴィシュヌ《…そしてアブソリュートキャリバーの効果…!コア四個を使ってトリヴィ・クラマはブロックされない…!》

 

四枚の翼を展開したトリヴィ・クラマは衝撃波で慧音のバーストをバウンスさせて回復する。さらにヴィシュヌがアブソリュートキャリバーの剣先をトリヴィ・クラマに向けると、白い光を放って光の道を形成した!

 

慧音「ライフだ!」

 

光の道を突っ切ってトリヴィ・クラマの腕が慧音のライフを破壊する。

 

鈴仙「トリヴィ・クラマ!フィニッシュ!!」

 

再度舞い上がったトリヴィ・グラマが翼から白いビームをぶっぱなした!!

 

 

 

 

 

 

 

 

子供「わー!」

 

子供「きゃ~!」

 

子供「ゾンビだ~!」

 

ヴィシュヌ《……はぁ……》

 

鈴仙「…大変…ですね…」

 

慧音「こらぁ!お前達!失礼だぞ!」

 

バトル後、子供達と遊んでいた鈴仙とヴィシュヌだったが、やはり淀んだ目を向けられて嬉しい子供は一人もいず、むしろ怖がってしまった。

 

ヴィシュヌ《…さて…俺帰るわ……鈴仙…だっけ?》

 

鈴仙「…は、はい…!」

 

ヴィシュヌ《……うちの…インディーダの連中…はっきり言ってうるさくてめんどくさい奴らだけどよ…根は良い奴らだから……よろしくたのむわ…》

 

そうヴィシュヌは言い残すと寺子屋の門に向かって歩いていった。鈴仙はその後ろ姿を見つめていると、隣にアンタークがやって来た。

 

アンターク《…彼…ひねくれてるけど…頭もアテナやツクヨミクラスに回るし…優しい奴なのよ。よろしく頼むわね》

 

鈴仙「……はい!」

 

鈴仙の返事が寺子屋に響く…その声にアンタークは目を細めて微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい。ありがとうございました。

…維持→現状維持→後ろ向き→ネガティブ→高2病…と変換されました。

ヴィシュヌ

インディーダ所属の甲竜の創界神。最高神『トリムルティ』の一角で、冴える頭脳を持つため実質彼がインディーダを動かしていると言っても過言ではない。性格はとにかくひねくれていて、人の優しさの裏を探るのが癖、何かやろうとすれば「めんどくさい」「疲れる」という言葉が出てくる…しかし根は純粋で曲がったことを許さない正義感も持っている。アンタークとは軽口たたく腐れ縁状態


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