東方星神録   作:あんこケース

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最終章はかなりリアルファイトが多めになります…べ、別に…弾さんもリアルファイトできますからね!スペルカードも持ってますし!

…なのでオリジナルスペルカード出ます…


時戻異変

幻想郷は、予想以上に騒がしい日々をおくっていた。

謎の来訪者に、夏の亡霊も戸惑ってるかの様に見えた。

 

そんな全てが普通な夏。

辺境は紅色の幻想に包まれた。

 

勘の鋭い少女は、直感を頼りに湖の方向へ出発した。

普通の少女は、何かめぼしい物が無いか探しに行くかのように出発した。

むしろ探しに行ったのだった。

 

湖は、一面妖霧に包まれていた。

普通の人間は30分はもつ程度の妖気だったが、普通じゃない人もやはり30分程度はもつようだった。

 

妖霧の中心地は、昼は常にぼんやり明るく、夜は月明かりでぼんやり明るかった。

霧の中から見る満月はぼやけて数倍ににも膨れて見えるのだった。

 

もしこの霧が人間の仕業だとすると、ベラドンナの花でもかじった人間であることは容易に想像できる。

 

中心地には島があり、そこには人気を嫌った、とてもじゃないけど人間の住めないようなところに、窓の少ない洋館が存在した。

 

 

昼も夜も無い館に、「彼女」は、いた。

 

 

pixiv大百科 「東方紅魔郷」あらすじより抜粋

 

 

 

 

幻想郷 魔法の森 上空

 

 

弾「…なに?この紅い霧は以前、レミリアが起こしたものだって!?」

 

霊夢「ええそう!まったく…これじゃまた洗濯物が乾かないじゃない!」

 

魔理沙「…それよりも…!…もしこれもレミリアの仕業っていうなら……目的はなんだ!?」

 

あのあと紫は「他にも何か小さい異変がないか調べてくるわ!」と蓮子、異界王と幻想郷の各地に飛んでいった。そして弾はゼウスとロロを降ろした霊夢と魔理沙を率いてこの紅い霧の元凶(容疑)…レミリア・スカーレットが住む、紅魔館へと向かっていた。

 

道中その詳細を聞かされた弾は魔理沙の「レミリアの動機」について考えていた。だが弾が幻想郷の創界神になったあと、紅魔館はフランの一件や咲夜の存在もあってレミリアは「全面的に協力するわ!」と協力を快諾してくれていた。

 

弾「……まず…レミリアが俺に危害を加えることが考えられない…それなら咲夜やフランが絶対文句を言うに決まってる…」

 

ゼウス《…フム…そしてなぜ霊夢は無事だったのだ…?》

 

霊夢「…もしかしたら…弾の加護かも…かなり最近だけど、弾を祭っている博麗神社(うち)の中にいたから…私もゼウスも無事だった…とか?…さすがに外のあうんは狛犬のままになってたけど…」

 

ロロ《…僕たちは魔理沙を追っかけて外の世界に行ってたからセーフだったのかな…?》

 

魔理沙「…ああんもう!わからんことが多すぎる!!とにかく紅魔館に行けばわかることだ!」

 

まだ完全に疑問が晴れないなか一行は紅魔館への道を突っ走った。数十分経つと霧の湖の湖畔にたどり着いた。そして湖の縁に沿って紅魔館の門の前に到着した。

 

三人が門前の地面に降り立つと……いつもは寝ているはずの中華服門番が珍しく鋭い目付きで仁王立ちしていた。

 

美鈴「来たな…!博麗の巫女!そして博麗神社の守り神!」

 

霊夢「…はぁ?何いってんのこいつ…」

 

魔理沙「……霊夢!弾!やっぱりこれは紅霧異変だ!弾がいるからちったぁ違いがあるが、あの時とほとんど変わってない!!」

 

得意の中国風拳法の構えをとる美鈴に呆れる霊夢とは反対に魔理沙は二人にそう忠告する。いつもは丁寧で気さくな美鈴がここまで無愛想…それどころか敵意まで見せるのは考えられなかった。

 

その言葉にまず最初に弾の脳裏をよぎったのは……地下室で孤独に『殺意衝動』と戦っていた一人の吸血鬼少女のことだった。

 

弾「……魔理沙!この頃のフランは大丈夫なのか!?」

 

魔理沙「…はっきり言って…ヤベェ!すぐに手を打たないと……!」

 

美鈴「…来ないならこちらから行くぞ!」

 

霊夢「…!二人とも!来るわよ!!」

 

霊夢の声に二人は視線を前に戻す。すると美鈴が拳を構えて飛びかかってきていた。その動きには一切の無駄も遠慮もない全力の拳だった。

 

その気迫に魔理沙は一瞬怯んでしまったが、弾はすぐに反応し…懐から取り出したバトスピのカードとは別のお札のようなカードを構えて…その技名を叫んだ。

 

弾「…星符『アクエリアスバリア』!!」

 

ガキィィィィィン!!!

 

美鈴「…くぅ…!さすが幻想郷の主神…!!」

 

弾「…悪いが……オレの行く手を阻むなら……容赦しない!星符『タウラススパーク』!!」

 

美鈴「キャァァァァァ!!!?」

 

弾が放ったスペルカードは白い壁を形成して彼女が拳に纏わせた『気』から霊夢と魔理沙を守り、同時に美鈴の右ストレートを軽く受け止めた。

 

そして弾は美鈴をはじくとすぐさま別のスペルカードを発動させ、着地しようとした美鈴の隙をつき、反対側の手からフルパワーの雷をぶっぱなす。さすがの美鈴もかわせずにあえなく雷の餌食になった。

 

美鈴「…プスプス……キュー……プスプス……」

 

霊夢「…うわぁ…」

 

ゼウス《………気のせいか……?》

 

黒焦げで地面にぶっ倒れている美鈴にあの霊夢ですら同情していた。その一方、ゼウスは弾が放った雷にどこか近似感を覚えていたが、ただのそら似だと首を振った。

 

魔理沙「……んで…まぁ行くか……あいて!」

 

ロロ《魔理沙!…これは…結界か何かか…?》

 

炭と化した美鈴を尻目に魔理沙が大きな門に手をかけようとすると、バチっと火花が飛んで魔理沙の腕を弾き飛ばした。その衝撃に魔理沙は思わずしりもちをついて腕を離す。

 

ロロが上を見上げてみると、紅魔館をすっぽり覆うようにして強固な結界が張られているのが分かった。

 

霊夢「…ッツ!…あの時こんな結界なかったのに…!」

 

弾「…どうやら真の異変の首謀者はオレたちを本当に中に入れたくないらしいな……さてどうするか………」

 

魔理沙「…ってぇ~!…やったなぁ~!行くぜ!霊夢!!こういうときは簡単だ!ぶっ壊せばいいんだぜ!!」

 

霊夢「…そうね!それでいくわ!チマチマ術式解除なんてやってられない!!ついでに玄関ごとぶち破るわ!!」

 

結界を合理的な方法で壊そうとする弾にこの若い二人(弾も幻想郷の奴らから言えば若いが)は即決で「物理で殴る」という方法を選択した。二人の中の創界神達も反対の声がないと言うことは、賛成なのだろう。

 

弾「…イヤ…そんな何でも力ずくで解決」

 

霊夢「……雷符『博麗ケラノウス』!!」

 

魔理沙「…創符『創造神の星屑』!!」

 

弾「この…!ああもう!星符『サジットストライク』!!」

 

弾の言葉を無視して二人は創界神を降ろした際のスペルカードを宣言する。霊夢の身体から雷が迸り、魔理沙からは六色のオーラが放出される……そして二人の右足にエネルギーが貯まると一斉に空中へと飛び上がった。

 

弾も一瞬遅れてスペルカードを宣言して飛び上がる…どうやら諦めたらしい…その足にも射手座のエネルギーがチャージされている。

 

霊夢「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

魔理沙「でりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

弾「…話してる……!!途中だろうがぁぁぁ!!!」

 

そんな叫び声と共に三人のライダーキックが紅魔館を覆う結界に炸裂した!

 

バリィィィィィン!!!

 

創界神×3(しかも主神)のエネルギーがこもったキックが直撃し、結界は跡形もなく粉々にはじけとんだ!……が………

 

パカッ

 

全員「《えぇぇぇぇぇぇぇぇーーっっ!!!?

 

…なぜこのような情けない声をみんな揃ってあげたのか……そりゃ…蹴り破ろうとした門どころか正面玄関ですら三人のキックが当たる寸前で、絶対わざと中から開けられたのだから

 

…そんなわけで…三人はまるでどこかのホテルクラスの広さを持つ紅魔館正面玄関に「ダイナミックお邪魔します」をかました…が全員揃って着地に失敗し、ゴロゴロと床を転がった(100%さっきの驚きが原因)

 

霊夢「…いったぁ……何よ!あのタイミング狙ったような開け方!」

 

???「あら?逆に誉めてほしいわね」

 

???「…でもまさかあの結界を破ってくるとは思わなかったけど…」

 

魔理沙「……どうやら……てかやっぱりコイツらか…!」

 

床に座りながら文句をブーたれる霊夢の声に答えるふたつの声。いつもは聞き慣れているこの声が、今や敵とは弾や魔理沙にはかなり心に堪えた。

 

咲夜「でもわざわざ扉を開けたってことは……ここで私達があなた達を仕留めると言うことよ」

 

パチュリー「…それに今私は調子が良いの…そこの魔法使いもどきには負けないわ」

 

霊夢「…弾、コイツらは私と魔理沙が相手するわ。あなたは先に!」

 

魔理沙「…メインディッシュは譲ってやるよ!」

 

弾「…悪い…!任せた…!」

 

咲夜とパチュリーに向き合いながら霊夢と魔理沙は弾にそう言う。弾は一瞬迷ったが、すぐさま首を振って横の通路へと駆け出した。

 

だが『完全で瀟洒な従者』の異名を持つ彼女がそれを見過ごすことはなかった。

 

咲夜「…行かせないわ!幻世『ザ・ワールド』!!」

 

……その瞬間…世界は静止した…彼女…十六夜 咲夜以外の森羅万象が微動だにせず動きを止める。すぐさま咲夜は愛用している無数のナイフをばらまく……しかし昔から『激突』していくこの男を押さえることはできなかった。

 

弾「……悪いが…!オレの世界は止まらない!!賢神『天網蜘網捕蝶の法』!!」

 

咲夜「な!?ぐぅ……!」

 

創界神としてかはたまた彼の思いの強さ故か…だが弾が止まったはずの世界で動きながら宣言したスペルカード…それは弾の右腕として名高い永遠亭の薬師のスペルだった。すると玄関中に光のレーザーがナイフを破壊しながら駆け巡り、まるで網目のように床や壁に突き刺さる。

 

霊夢「…んん!…咲夜の能力が使われたみたいね…」

 

魔理沙「でも弾は止められなかったらしいな」

 

パチュリー「…ウソ…!」

 

そのレーザーが虹色に光ると霊夢達が咲夜の『能力』から解除された!

 

弾「霊夢!魔理沙!このスペルで紅魔館ごと世界を固定した!もう咲夜の能力は使えない!!」

 

霊夢「あんがと!ほら!さっさと行きなさい!」

 

レーザーの網が床と壁に吸収されていき、弾は紅魔館の「時間」を動かすことに成功した。そして再度先に進もうと玄関を後にした。

 

霊夢「……さて…どうする?私達としては…バトスピ(こっち)で蹴りをつけても良いのだけど?」

 

咲夜「…いいわ…!その判断を後悔させてあげる!」

 

パチュリー「……久しぶりにそっちもいいかも…」

 

魔理沙「へへ…!行くぜ!」

 

 

四人「ゲートオープン!界放!!」

 

 

 

 

 

 

紅魔館 地下室前

 

弾「……ここだ……懐かしいな…」

 

地下室の扉の前に到着した弾は少し感慨に更ける。弾が幻想郷に来て数日後に訪れた紅魔館…対応も状況もまるで違ったが、この厳重に鎖で封印された地下室の扉は変わらない。弾としては変わっていて欲しかったが……

 

弾「…輝夜…借りるぞ!……ふんっ!!」

 

すると弾は扉に手を当てて輝夜の能力『永遠と須臾を操る程度の能力』を発動させる。少し前、弾が魔理沙と弾幕ごっこをしていると突然魔理沙が放った弾幕が遅くなったことで分かったのだ。

 

弾《…あれから色々と試していろんな能力…正確には『オレに信仰を寄せている人妖の能力』がちょっと使えるようになってたな……さすがに藍や妹紅、サグメの能力は真似できなかったけど……》

 

そんな思い出に浸りながら弾は目の前にそびえる鎖で閉ざされた扉の『耐久年数』を『一瞬』に書き換える。すると強固な鉄の扉がみるみる錆びついていき、霧散してしまった。

 

弾「…フラン…!」

 

フラン「アハハハハハ!!ア!アナタガ新シイオ人形サン!?アソボアソボ!!!

 

部屋に入ると空中に浮かんでいる小さな少女の姿が目に入る…だが最初に出会った時より『狂気』の侵食が酷く、部屋はフランの能力のせいでメチャクチャになっていた。

 

弾「…オレはお人形さんじゃない……君を助けにきた…!」

 

フラン「…フーン…マァイイヤ!アソビマショ!!

 

フランの目がギラリと光り、口元が三日月のようにつり上がる。刹那、二つのエネルギーがぶつかった。

 

 




はい。ありがとうございました。

…ヤベェ…弾さんがヤベェ……『弾さんの幻想郷主神っぽさが欲しい』&『少し弾さんをリアルファイトさせたいなぁ』がベストマッチしてしまった結果です…

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