東方星神録   作:あんこケース

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もー12月ですねぇ…今年中に妖々夢イージーでもクリアしてぇなぁ…


最終二章~崩神の桜吹雪~
状況把握


幻想郷 某所

 

???「???さま!一大事です!」

 

???《…む…?…いったい何事だ?》

 

暗い部屋で静かに何かの映像を見ていた男に外の世界で弾達と接触した女性が部屋に飛び込んできた。その声は荒く見るからに焦りの感情が見てとれる。

 

???「先ほど馬神 弾一派が紅魔館に攻め入り、レミリア・スカーレット一派が敗れました!!」

 

???《…そこまで慌てることも無かろう。そうして少しずつ創界神達と戦わせて力を削ぐのが》

 

???「そして紅魔館の一派全員が元の記憶を思い出してしまいました!!」

 

???《…は……?》

 

続けざまに言われた言葉にその男は変な声を出して愕然となった。イレギュラーである馬神 弾や八雲 紫、宇佐見蓮子は仕方なかったとしても、まさか元の記憶を取り戻させることができるとは予想だにしてなかったようだ。

 

???《……ともかく…なぜそうなったのかを確認する…!故にこのまま馬神 弾排除の計画は続行だ………フンッ!》

 

???「…かしこまりました…」

 

自らを静めながら男は手を掲げて何かを幻想郷中に放つ……するとだんだん周囲の気温が低下し、思わず女性も身体を震わせた。

 

???「…さて……あなた達に『春』はこないわ……紫……」

 

 

 

 

 

 

 

 

紅魔館 とある一室

 

 

レミリア「…すまない…迷惑をかけた…」

 

美鈴「…でももう少し加減してほしかったです……あぁ…まだ焦げ臭い……トホホ」

 

パチュリー「…全く……だけど今回の異変は過去最大規模じゃない?私たちの記憶すら操作するなんて……」

 

半壊の紅魔館で無事だった部屋に弾達一同は状況整理のために集まった。まずは紅魔館組が操られていたとはいえ弾達に謝罪していた……だが一人…ヤベーイ人物が……!

 

咲夜「…だ、弾さまに…や、刃を……(この世の終わりのような目)…お嬢様…」

 

レミリア「…な、なに?」

 

部屋の隅で項垂れていた咲夜はスクッと立ち上がってレミリアに話しかける。その目は何かを悟ったほど澄んだ瞳だったが、逆に尋常ではない様子はレミリアを大いに戸惑わせた。

 

咲夜「…不肖…十六夜 咲夜、お嬢様より先に旅立つことをお許しください…!!」

 

ペルセポネ《…ガシッ!ちょっと咲夜ちゃん!落ち着いて!!》

 

咲夜「いやぁぁぁぁぁ!!

 

信頼どころか崇拝の域にまで達しているほど弾を敬愛していた故か…咲夜は半狂乱になってナイフを自らに突き刺そうとした。なんとかペルセポネが押さえ込んだので一大事にはならなかった……

 

紫「弾!一大事よ!!」

 

蓮子「まるで幻想郷の時間が戻っちゃったみたいなんだって!!」

 

異界王「…そちらは解決できたようだな…」

 

弾「…時間が…!?」

 

そんな騒ぎの中にスキマが開かれて三人が飛び出してくる。そして報告されたのは想像の斜め上をいく物だった。

 

紫「…あと…スキマを移動してたらアレックスとバトルになったわ……」

 

アレックス《…ぅぅ…ご迷惑を………》

 

フラン「…うわぁ…ぼこぼこ……」

 

紫がさらにスキマを開けて出てきたのはシュンっとなっているアレックス……おそらく紫をバトルでコテンパンに叩きのめされたのだろう。これで一応弾陣営が揃ったので、話を進めることにした。

 

ロロ《…さて…まずは状況を確認しよう。僕たちは外の世界で謎の女性と交戦した。そのあと幻想郷に帰ってきたら…まるで時が戻ってしまったように紅魔館のメンバーと戦闘になった…》

 

ゼウス《…ふむ…敵の正体も目的も動機も不明だな…》

 

霊夢「…て言うか…レミリア達は何か知らないの?」

 

レミリア「……わからないわ…あの時の人格…たぶんあのカードを軸に人格を植え付けられていたかもしれないけど……」

 

そう言ってレミリアはチラリと視線をテーブルの上に移す。そこには敵が使っていた「デストロイア」「デュークモン クリムゾンモード」「松田 啓人」のカードが並べられていた。

 

紫「…これらのカードから邪気は感じ取れないわ…弾の力で浄化されたのかしら?」

 

シヴァ《…それより…これからどーするよ?》

 

異界王「…まだ情報が少なすぎる。これでは動こうにも動けん………む?」

 

シヴァが今後を考える方向に話の舵を切ると壊れた屋根から…性格には空から何かが降ってきた。肌に当たるとほんのり冷たい…そしてすぐに消えてなくなる白い結晶……

 

弾「…雪…か…?」

 

魔理沙「はぁ!?確か紅霧異変は夏真っ盛りじゃなかったか!?」

 

蓮子「……みんな!外見て!!」

 

蓮子の驚いた声に全員が窓に近寄って外を見る。すると外では…紅霧異変直後ではあり得ない光景が広がっていた……

 

ゼウス《…なんという…銀世界…!》

 

紫「…まさか…敵は……過去の異変を再現している…?」

 

そこにはさっきまで初夏の暑さを感じるほど茂っていた木々の葉がすべて純白の雪化粧に変わっており、空気中には先ほど紅魔館内に降ってきた雪が舞っていた。

 

 

 

 

 

 

数十分後 紅魔館 正門前

 

 

霊夢「ふぅ…冬服があってよかったわ」

 

魔理沙「………私はいつでも行けるぜ…!」

 

咲夜「それでは弾さま、お嬢様…いって参ります」

 

ゼウス《……冬服霊夢……ジィー……がはっ!?》

 

ロロ《…ペルセポネ…おもいっきり足踏んでない?》

 

ペルセポネ《…ヘラ様がいない今!私がやらずして誰がやる!》

 

以前、この異変を解決した霊夢達が紅魔館前で準備を整えた。今回は紅魔館の戦力が不安なこともあり、弾は蓮子、フランと共にお留守番になった。

 

弾「…みんな、気をつけてな」

 

レミリア「大丈夫よ。『運命』は私達の味方…」

 

フラン「いってらっしゃーい!」

 

霊夢「…あーハイハイ、ほらゼウス!行くわよ!」

 

魔理沙「…待ってろよ…!今いくからな!!」

 

咲夜「…ここでご無礼を帳消しにするほど頑張るわ!」

 

霊夢はゼウスを自分の体内に突っ込みながら、魔理沙は何か覚悟を決めたような顔つきで、咲夜は弾とレミリアに一礼して雪が舞う空へと飛び出して行こうとした。

 

弾「…魔理沙!忘れ物だ!」

 

魔理沙「…おっと…!サンキュー!!」

 

弾は魔理沙に何か丸いボールのようなものを投げ渡した。それは赤い部分が黒い陰陽球…博麗の霊力ではなく、弾の神力が込められたものである。自分が行けないので、代わりに託したのであろう。

 

レミリア「咲夜!忘れ物よ!」

 

咲夜「…まさか………」

 

するとレミリアも咲夜に何かを渡す。それはふたつの星のマークが描かれた紫色の球体だったが、咲夜は顔をひきつらせていた…

 

ペルセポネ《…それは?》

 

咲夜「ちょ!お待ちください!」

 

咲夜の必死の止めも時すでにおすし。ペルセポネの問いにレミリアは自信満々に答えてしまった。

 

レミリア「これは名付けて!マジカル☆さくやちゃんスターよ!!どう!?良いネーミングでしょ!?」

 

…その場の空気が氷点下を軽く下回ったのは雪のせいではないだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蓮子「…大丈夫…だよね…」

 

弾「…あぁ…それに…あいつも一緒に飛び出していった。なら大概の敵は問題ないだろう」

 

蓮子「…そうだ…レミリア、この『春雪異変』っていったいどんな異変だったの?」

 

霊夢達を送り出して中に戻る途中、蓮子は以前起きた『春雪異変』について尋ねてみた。同じく新参者の弾やほとんどを地下暮らしだったフランも興味津々でレミリアを見つめている。

 

レミリア「…この異変は幻想郷中の『春』が奪われたことがきっかけよ」

 

蓮子「…へ?…春って形あったっけ?」

 

弾「…確か…幻想郷では『春度』と呼ばれるものが上がれば春になるんだよな?そのエネルギーを横取りした…ということか?」

 

レミリア「さすが弾、理解が速いわね。この異変の元凶は春度を集めてとある桜を咲かせようとしたのよ」

 

レミリアの言葉を理解できた弾が分かりやすく噛み砕く。弾の説明に蓮子も納得した表情を浮かべたが、まだ気になることがあるのか再度レミリアに質問した。

 

蓮子「…ちなみに…その元凶とは…どなたで?」

 

レミリア「……根城は冥界の白玉桜、もちろんその主「西行寺 幽々子」よ」

 

 

 

 

 

 

辺境から暖かさが奪われ、永い冬が訪れた。

 

白銀の悪魔は幻想郷の人間を黙らせた。

 

 

時は経ち、次第に春の香りが訪れる頃になった。

 

いつもなら、幻想郷は白い吹雪から桜色の吹雪に変わるはずだったのだ。

 

 

そして春はまだ、来ない。

 

今回も博麗の巫女、普通の白黒魔法使い、厳粛なメイドが解決に向けて飛び立つ。

 

だが以前とは違う点がふたつ…ひとつは全員その身に世界そのものを司る神を降ろしていること……そしてもうひとつは……

 

 

いつもは目玉が浮かぶ空間に腰かけている()()が余裕のない表情を浮かべて並走している点であろう。

 

今日の彼女はいつもの妖しく艶かしい表情を捨て去り、焦燥感を隠せずにいる。空間の乗り方もまるでスノーボードに乗るかのように乗っていた。

 

覚妖怪でなくとも今の彼女の心は予測できる。愛する弾や幻想郷を苦しめたことへの怒り、そしてそれに何もできなかった自分の不甲斐なさ…

 

だがそれ以上に彼女の心を支配していたのは……昔から自分を支えてくれて、お互い心のうちを吐き出せるほどの親友の安否だった。

 

 

彼女は空を駆ける。友を救うために……

 

 

八雲 紫 出陣

 

前半 pixiv大百科『春雪異変』ストーリーより抜粋

 

 

 




はい。ありがとうございました。

「幻想郷は不安よな。紫、動きます」

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