迷いの竹林 永遠亭
???《…どうやら奴ら…動き出したみたいよ》
永琳「…さすが…あなたの眷属は情報収集に長けていらっしゃいますね…」
弾達が動き始めたのと同時刻、永遠亭では永琳とまるで科学者のような実験服を着た女性が作戦を練っていた。だがその女性に対する永琳の対応はとても丁寧で、以前から面識があるように思われる。
永琳「…すみません、わざわざご足労いただいて…」
???《気にしなくて良いのよ。それよりも私の眷属だけじゃなくてあなたの部下達も配置につけなさい》
永琳「既に鈴仙とてゐは戦闘準備を終えています。後は敵が来るのを待つだけです」
???《…へぇ…それは楽しみね…》
永琳の言葉に女性は妖しく微笑むと、ツカツカ歩いて部屋を出ていった。
同時刻 人里前の門
紫「…ついたわ…」
蓮子「…あれ…?人里が…ない?」
人里に向かっていた二人だったが、紫が「到着した」と言った場所には人里どころか建物ひとつない荒れ地だった。蓮子は頭を混乱させながら紫に続いて地面に降り立つ。
紫「ええ、歴史を食って『無かった』ことにされたのよ。そうでしょう?上白沢 慧音」
慧音「…まさか私の能力すら見抜くとは…さすがは『妖怪の賢者』と言うべきか……」
阿求「ですがここで退くわけにもいかないです。あなた方は私達が討伐します!」
蓮子「あ、阿求ちゃんだ…ちょうど良かった!私達もあなた達に用があったのよ」
紫が何もない荒れ地に向かって話しかけるとぐにょんと空間が歪む。そこから人里の有力者、上白沢 慧音と稗田 阿求が歩いて現れた。さらに彼女達の後ろに銀色の透明な結界が張り巡らされ、アテナの力を使っていることも容易に理解できた。
紫「…さて…率直に申し上げますわ。今幻想郷では私達馬神 弾勢力と崩神勢力が争っています。崩神達はこの世界を自分たちの得になるように好き放題していることは大きな問題です」
阿求「…それで…私達もそちらにつけと?」
慧音「すまないが…馬神 弾を信用できない。お引き取り願おうか」
紫《…ち…こちらも改変されていたか…》
いつもの張りつけたような笑みを浮かべた紫の提案を慧音は一蹴した。紫は内心舌打ちし、人里の人々の記憶すらも崩神達は操作していたことを悔しがった。
蓮子「…そう言ってお引き取りする奴はいないでしょ…ならどうする?ケンカでもする?」
慧音「…生憎私達の腕っぷしではお前達には勝てん…だからこちらで勝負だ」
阿求「私達が勝ったら諦めてもらいます。負けたらお好きにどうぞ」
異界王「…案外、簡単にカードでの決着に持ってこれたな」
アレックス《まぁ彼女達はリアルファイトでは強くないですからね》
蓮子の挑発に二人は簡単に乗ってきた。体内からあれこれと話している異界王とアレックスの声をスルーして、紫は蓮子が最初からこの流れに持ってこようとしていたことに気づいて目を丸くした。
紫「…蓮子、そんな口上手かったっけ?」
蓮子「ふふーん♪王様は演説しないといけないからね~…さ!メリー行くよ!」
紫「…ふふ…ええ!」
四人「ゲートオープン!界放!!」
人里の戦い 宇佐見 蓮子&八雲 紫VS上白沢 慧音&稗田 阿求
同じ頃 迷いの竹林 上空
魔理沙「…なぁ…アリスは今回の異変をどう思う?」
アリス「…はっきり言って…この前話題に上がったタカミムスビっていう創界神がカギを握ってそうだわ…」
魔理沙「やっぱりそう思うよなぁ……なぁロロ、ヘラ、そのタカミムスビはどこにいんだよ?崩神達より強いんだろ?」
ロロ《………》
ヘラ《…ん、んん~…はて?どこにいたんやったっけかなぁ…?》
魔理沙は箒の後ろに腰かけているアリスにふと尋ねる。アリスの考えは魔理沙とほぼ同じだったが、創界神達の返事はえらく曖昧だった。
魔理沙「…そんなにしゃべりにくいことな……っっ!?」
アリス「…?…魔理沙、どうしたの……うっっ!?」
魔理沙とアリスの追及は途中で打ちきりとなった。なぜなら下の竹林から突如炎の弾丸が飛んできたからだ。魔理沙は弾幕ごっこで鍛えられた反射神経をフル活用してすべてを避けきると、すぐさま『分神』状態へと変わった。
魔理沙「あっぶねぇ…!」
アリス「…パチン!…炎…ってことは…!」
妹紅「へぇ…今のを避けきるなんてな……さすがは馬神 弾の側近と言うべきか」
銀色のオーラを放出して杖を構えた魔理沙、六枚羽を生やして数体の人形を展開しているアリスの前に現れたのは…もちろん、蓬莱人 藤原 妹紅だった。背中にはいつもの不死鳥型の炎を燃やしている。
魔理沙「…へへ!ちょうどいい!前とは違ってお前を探してたぜ!」
アリス「…結局、あなたはどっち側なの?にっくきかぐや姫は私達の敵なのだけど?」
妹紅「はん!確かにな。だがお前らを始末すれば何でも願いを叶えてやると言われてる…お前らに恨みは無いが……死んでもらう!」
魔理沙「やっぱりか…!」
そう言うと妹紅は身体から炎に加えて水を放出し始める。これは彼女の中にいるスサノヲの『海首』の力であろう。魔理沙とアリスは改めて気を引き締め、まずは妹紅をカードバトルに持っていくために
???《……バッ!…》
魔理沙「…ぐへっ!?な、なんだ!?」
アリス「…狐の……幽霊!?」
ヘラ《…まさか……!?》
妹紅「…案外優しいな…」
妹紅めがけて魔法を放とうとした魔理沙の横腹に何かが突っ込んできた。魔理沙はそのままよろけるが、態勢を立て直して攻撃してきた奴を見ると、それは紫色をした狐の幽霊だった。
さらに二人を囲むようにタヌキ、犬、猫、ウサギなどの動物の幽霊がうじゃうじゃ竹林から飛び出してきた。
アリス「…動物霊…!?いや…畜生界の奴らとは魂の強さが段違い!」
魔理沙「ちぃ!アリス!妹紅は任せた!私はコイツらに一泡吹かせてやる!!」
アリスが返事するのも聞かず、キレた魔理沙は周りの動物霊達に杖の照準をつけて撃ち落としにかかる。アリスはため息をつくもその力強い目は炎と水を纏った妹紅に向けられていた。
アリス「…良いわよ…魔界の力!見せてあげるわ!」
妹紅「…来な!不老不死の炎で燃やし尽くしてやる!!」
迷いの竹林 上空の戦い 霧雨 魔理沙&アリス・マーガトロイドVS藤原 妹紅&動物霊達
同時刻 永遠亭付近の竹林
霊夢「……いっ…!」
咲夜「…霊夢、まだ痛むの?」
霊夢「…ふん!これぐらい平気よ!」
フラン「…あんまり無茶しないでね」
弾達五人は迷いの竹林を徒歩で移動していた。空を飛ばないのは『竹林から狙撃される可能が高いから』である…魔理沙達はおもいっきりハマったが……
咲夜「…カッ!はっ!!」
レミリア「咲夜!?」
妖夢「…!…幽々子様!弾様!敵襲です!!」
シヴァ《ん!?どこだ!?》
未来予知した咲夜がナイフを取り出し、何の変哲もない草むらに投げる。その直後、妖夢も何者かの気配を感じとり、刀を抜刀して警戒度をマックスに引き上げた。
てゐ「…あっぶな…!あと少しナイフがそれてたら死んでたよ…」
鈴仙「…シュタッ!ほう…!ここまで迷わずに来るとは…中々やるな!」
アプロディーテ《…イタズラウサギと……え、鈴仙ちゃん?》
ペルセポネ《何か……中二臭いセリフを…》
咲夜「…あれは自分の能力で波長を操ることで、性格を好戦的に変えてるんです」
ガサゴソと草むらからてゐが出てくると、木の上からも鈴仙が華麗に着地した。何時とは似てもにつかない鈴仙の様子に創界神達は戸惑うが、すぐさま咲夜が彼女の能力を説明した。
弾「……通してくれないか?」
鈴仙「断る。なぜならお前達は今から跡形もなく消し去られるのだからな!」
てゐ「あ~んど!カモン!師匠のご友人の眷属!!」
???《ザザザザザザザザザ!!》
レミリア「わぁ~!咲夜!忍者!忍者よ!」
咲夜「喜んでいる場合ですか!?」
弾の説得も今の鈴仙には聞き入れられなかった。すると鈴仙の隣にいたてゐの声と共に、竹林から次々と忍装束の蟲人がアクロバティックな動きで現れた。
咲夜「…軽く五十人はいそうね…」
ゼウス《…蟲の…忍…じゃと!?》
フラン「よーし!レーヴァテイン!ネクロキャリバー!!」
妖夢「幽々子様!弾様!ここは私達にお任せを!」
弾「ありがとう!」
幽々子「レッツゴ~♪蟲は美味しくないし」
『分神』したフランは右手にレーヴァテイン、左手にネクロキャリバーの二刀流で蟲の忍達に斬りかかった。続いて妖夢も桜観剣を抜いて弾と幽々子の道を作り、二人は蟲の忍達が後ずさった道を突き進んでいった。
霊夢「え、ちょっと!私も親玉を…ガチャ…きゃ!?」
レミリア「私も…ガチャ…な!?」
てゐ「やーい!引っ掛かった~!泥トラップ!」
でしゃばり二人組もすぐに後を追おうとしたが、おもいっきりてゐのトラップを踏んでしまい、頭から泥まみれになってしまった…一瞬の沈黙が二人の動きを止めると次は怒りの感情が二人を支配する。
霊夢「やりやがったわね!あのクソウサギぃぃぃ!!!」
レミリア「鍋にぶちこんでやるわぁぁぁぁ!!!!」
てゐ「にっげろ~!」
迷いの竹林 内部の戦い 咲夜&妖夢&霊夢&レミリア&フランVS鈴仙&てゐ&蟲忍者達
永遠亭 内部
弾「…ガラッ…これは……?」
幽々子「あら…ここは前と同じね」
アプロディーテ《…空間拡張魔法…かしら?》
永遠亭に到着した二人が扉を開けると、そこに広がっていたのは弾が馴染みのある玄関ではなく、果てしなく続く渡り廊下だった。
幽々子「…さて…どうする?確か真っ直ぐ行くのは罠だったはずよ」
弾「…スチャ…斬る…」
幽々子「…へ…?」
幽々子が尋ねた瞬間弾はどこからかグランシャリオを取りだし、すたすたと幽々子の前に躍り出た。
弾「妖夢と映姫の能力を相乗して…断罪剣『十王斬』!!」
弾は妖夢の『剣術を扱う程度の能力』でグランシャリオの切れ味を強化して、映姫の『白黒はっきりつける程度の能力』も纏わせる。
そして白と緑のオーラを纏ったグランシャリオが果てしない長廊下を真一文字にぶったぎった!
幽々子「…パチパチ…お見事」
アプロディーテ《……なるほど…閻魔の力で曖昧になっていた『廊下の長さ』を元に戻したのね》
弾「まぁな…これで道はできた」
弾達がそんな話をしている後ろで、先の見えない渡り廊下がまるでガラスが割れるような音を起てて崩れていき、何の変哲もないいつもの永遠亭の廊下へと戻った。
幽々子「…少し…いいかしら?」
弾「ん、なんだ?」
幽々子「………」
すると歩き始めた弾に幽々子が話しかけた。弾はそのまま奥に向かいつつ話を聞くが、当の幽々子は少し目を伏せるだけで続きを話さなかった。
弾「……西行妖の封印のことか?」
幽々子「…!…ええ…聞くつもりはなかったのだけど……あの桜の下に埋まってるのは……」
弾「…察しの通りだ…」
歩きながら二人の会話はお互い核を喋らず、だがそのまま続いていく。そして一番奥、輝夜が住んでいる部屋の前に到着すると…幽々子がさらに言葉を発した。
幽々子「…また私は…紫を苦しませていたのね…」
弾「…………」
扉に手をかけたまま弾はどう言葉を返したら良いか分からなかった。ここで『仕方ない』と言うのも無責任過ぎる行為、『お前は悪くない』と言うのも紫に責任転嫁したと幽々子の罪悪感を増幅させるだけだ。
どれだけ時間が過ぎたかは分からないが、豪華絢爛な襖の前で二人はぼうっと立ちつくしていた。すると自嘲したような笑みを浮かべて弾は口を開いた。
弾「…分からないなぁ…なら考え続けるまでだな」
幽々子「…それでも…答えが出るかはわからないわ…」
弾「…そりゃそうだ。人の考えがそんなに簡単なら『すれ違い』や『仲違い』なんて起きない…なら自分の考えとは違う物を除いて…考えて考えて…その先にあるのが『答え』なんじゃないのか?」
幽々子「…紫は…許してくれると思う?」
弾「…さぁな…オレは幽々子と紫が積み上げてきたモノを知らないから…だがいつかは面と向かって話すべきだとは思うな…よっと…ワシャワシャ」
幽々子「ひゃ!?」
幽々子の目をしっかりと見て弾は話す。そして目を伏せたままだった幽々子の頭をわしゃわしゃと撫で回した。幽々子は突然予想外のことをされたので、変な声を出してしまう。
弾「…勇気を出して…ちゃんと話し合ったらきっと分かり合えるさ……」
幽々子「………もう…紫が見たら発狂しちゃうわよ…?」
アプロディーテ《…この天然たらし…!》
…仮にも敵地のど真ん中でこんなことをやっています…弾の手を乗せられた幽々子が目を細めていると…
……前の襖を突き破って矢が飛んできた。
弾「おおっと!?」
輝夜「…ちょちょ!永琳!何ぶっぱなしてんの!?ついさっき「敵が入ってきたら迎撃する」って言ったじゃない!?」
永琳「……何か…イライラするわ…!」
アプロディーテ《…記憶無くても…そういう感情はあるのね…》
矢は弾と幽々子の間を抜けて行ったが、壊れた襖の先では輝夜の戸惑いを他所に永琳がものすごい黒いオーラを放ちながら次の矢を構えていた……
永琳「……ゴゴゴ…そこの亡霊…早く彼から離れなさい…!!」
幽々子「…あ、そうだ…ヤーダ♪ダキッ」
弾「…げ…!」
何かを思いついた幽々子は頭に乗せられていた弾の腕に抱きついた。その豊かに実ったモノが押しつけられるのを目にした永琳は「もう何かに変身してしまうのでは?」と思わせるほど目のハイライトを消し、
永琳「…ゴゴゴ…」
輝夜「…え、えーりん…?」
永琳「もう一度殺してやる!!!!」
弾「…ゆ、幽々子、輝夜…任せていいか?」
幽々子「はーいヽ( ・∀・)ノ」
輝夜「ヽ(ヽ゚ロ゚)ヒイィィィ!!!」
永遠亭 最奥部 弾&幽々子VS永琳&輝夜
はい。ありがとうございました。