一方人里組は…
紫「…覚えていらっしゃる?私が幻想郷で(弾を除いて)最強のカードバトラーだと」
阿求「…ならその肩書きは今夜までです!メインステップ!鋼鉄乙女003クレッサを召喚します!効果でデッキの上四枚から『創界神アテナ』を回収!」
先行を取った阿求は大きな盾を持った鋼鉄乙女を召喚する。その盾に埋め込まれた白い宝玉が光って阿求のデッキをめくっていった。
阿求「…創界神アテナがあったので手札へ。ターンエンド」
紫「メインステップ。天翔ける創界神アレックスを配置、神託でコア三個を増やすわ。さらにグランドローを使って計三枚ドロー」
アレックス《よし…何時でもこい!》
アテナを回収した阿求に対し、紫は背後にグラン・デーヴァを持ったアレックスを呼び出した。続けてグランドローの効果によりアレックスのコアを二個ボイドに戻すことで、紫は三枚手札を補充する。
紫「これでターンエンド」
阿求「…メインステップ!鋼鉄の叡知!創界神アテナを配置!神託でコアを二つ置きます!さらに鋼鉄乙女007マデリーンと鋼鉄魔神のアクセルを使用してコアを増やし、デッキ三枚を確認!」
アテナ《………》
阿求はアテナを配置して二枚のアクセルを使う。再び三枚がデッキから浮き上がり、阿求はそのうち二枚をデッキボトムに戻した。
阿求「バーストをセットしてクレッサをレベルアップ…ターンエンドです」
紫「…手元を増やされるのは厄介ね。メインステップ。ネクサス、アイツのカードを配置…こちらもバーストを伏せるわ。ターンエンド」
紫もネクサスとバーストを配置するだけでターンを終える。お互いアタックせずににらみ合いが続いていた。
阿求「…来ませんか…メインステップ!鋼鉄機士アガピオス、鋼鉄魔神を直接合体します!」
紫《…そろそろ攻めてくるわね》
阿求は盾と剣を持ったマント機械騎士に鋼鉄魔神をくっつけて召喚する。『機人』デッキの打点追加要員の鋼鉄魔神を見て、紫は阿求の攻撃を警戒し始めた。
阿求「アタックステップ!アガピオスでアタックです!」
紫「…ライフで受ける!…んん…!」
鋼鉄魔神の力を受けてパワーアップしたアガピオスが剣で紫のライフを砕く。その痛みは普段以上だったが、崩神よりかは楽だった…が……
紫《…グゥゥゥン…え…何か…体内の奥深くから沸き上がってくる…?》
阿求「ターンエンド。レベル2にしたアガピオスはエンドステップ時に回復します!」
ライフを砕かれた痛みとは全く違う衝撃が紫を襲ったのだ。突然の違和感に紫は顔を歪ませるが、阿求のターンエンドの宣言によって、アガピオスが回復したので我に返った。
紫「…まぁ良いわ…メインステップ。吟遊詩竜オルフェスタードラゴンを召喚。召喚時効果でBP7000以下のスピリットを破壊してトラッシュに落ちた『界渡』『化神』を一枚手札へ」
阿求「…クレッサは破壊……ですがバースト貰います!魁の覇王ミブロック・ブレイヴァー!!これでオルフェスタードラゴンとバーストを」
紫「それは読めてるわ。手札の超星使徒スピッツァードラゴンを自身の効果で1コスト支払って召喚。そしてそのバーストを破棄してコアを自身に二つ置く……ブレイヴァーの効果を使う前にね」
紫が召喚したオルフェスタードラゴンが竪琴を奏でてクレッサを破壊すると、阿求のバーストが開きかける。しかしそれに割って入った赤と紫色の炎がバーストを吹き飛ばした。
その二色の炎は紫のフィールドで収束していき、ゴッド・ゼクスを思わせる翼、まるで古代ギリシャの天文学者のようなドラゴンへと変わった。
阿求「…へ?発動したバーストを棄てて…召喚して…コアブーストまでぇ!?」
アレックス《…本当にスゴい読みですね…》
紫「弾の側に立つなら当然よ。まだ私のメインステップよね?光を滅し古き鎖を壊す破壊龍!滅神星龍ダークヴルム・ノヴァX!レベル2で召喚!!」
阿求「な…!?見たこともないスピリット…!!」
紫のフィールド上空が黒い雲に包まれる。そして黒い息を吐きながら漆黒のジークヴルム・ノヴァが地面に降り立ち、禍々しいオーラと共に咆哮した。
さらに紫のアイツのカードの効果で『ヴルム』が現れたので、紫はさらに手札を補充する。スピッツァードラゴンから阿求は度肝を抜かれてばかりだった。
紫「アタックステップ!行きなさい!ダークヴルム・ノヴァ!」
阿求「ダブルシンボル…ライフで受けます!!」
ダークヴルム・ノヴァの暗黒火炎放射が阿求のライフを二つぶち壊した。
紫「ターンエンド」
阿求「…ズキッ…ん!?…め、メインステップ…アクセルで鋼鉄乙女009アスパシアを使用!二枚オープンして『鋼鉄』を持ったカードを手元に置きます!」
ライフが砕けた衝撃で阿求は少し記憶が戻りかける。だがまだ完全には戻らず、阿求はアスパシアのアクセルを使って再びデッキをサーチしていく。
阿求「…鋼鉄魔神と鋼鉄騎神アテナイアーを手元へ!そしてもう一体鋼鉄魔神とアスパシアをそのまま召喚!召喚時効果で今置いたアテナイアーを1コスト召喚します!!」
阿求は新しい鋼鉄魔神と甲冑姿の鋼鉄乙女を召喚する。そして現れたアスパシアが旗を一振りすると、地面を突き破ってアテナイアーが這い出してきた。
紫「…きた…でも今なら…」
阿求「鋼鉄魔神をアテナイアーとアスパシアに合体!アタックステップ!アテナイアーでアタック!アタック時効果でスピッツァードラゴンとオルフェスタードラゴンをデッキの一番下へ!!」
二体目の鋼鉄魔神によってアテナイアーはパワーアップし、槍を振るって突進する。さらにスピッツァードラゴンとオルフェスタードラゴンが弾き飛ばされて紫のデッキボトムに戻った。
阿求「さらにアテナの神技を使います!これでアテナイアーは回復です!」
紫「でもダークヴルム・ノヴァは自身の効果でフィールドに残るわ。そしてバースト発動!煌星銃ヴルムシューターを召喚して一枚ドロー…さらに煌臨!光の王!超神星龍ジークヴルム・ノヴァ!」
アレックス《よし!煌臨時効果でトラッシュのコアが戻る!しかもライフは全快!》
アテナの槍がアテナイアーを回復させるが、紫のバーストから飛び出したヴルムシューターに空から炎が降り注ぐ。その火の玉からジークヴルム・ノヴァがフィールドに降り立ち、紫のライフを5にまで回復させた。
紫「今のジークヴルム・ノヴァはBP25000!アテナイアーを迎え撃ちなさい!」
ジークヴルム・ノヴァが向かってくるアテナイアーめがけて炎を吹く。アテナイアーは盾で防いで槍を突き出すが、ジークヴルム・ノヴァは槍の軌道を読んでヒラリと紙一重でかわす。
そしてジークヴルム・ノヴァは攻撃を外したアテナイアーの懐に潜り込むと、渾身の右ストレートを腹に打ち込む。その一撃は硬いアテナイアーの装甲を砕いて破壊した!
阿求「ぐ…でも十分削りきれます!アスパシアでアタック!」
紫「甘いわよ。フラッシュでダークヴルム・ノヴァの滅界放を使うわ!アレックスのコア二個を置いて鋼鉄魔神を二体とも破壊!」
アテナの神技を含めて打点は足りる…そう思った阿求だったが、アレックスの力を受けてダークヴルム・ノヴァが体内のエネルギーを解放する。そのバトルフィールドを揺らすほどの黒い衝撃波が鋼鉄魔神達を塵へと還してしまった。
紫「…アスパシアのアタックはライフで受ける!…んん…!?」
アタックしていたアスパシアは剣を紫のライフに突き立てて破壊する。すると再び紫は違和感に顔を歪ませた。
阿求「…アテナの神技でも耐えられる…ターンエンド…」
紫「メインステップ。星よ!炎となって降り注げ!龍星皇メテオヴルムXを召喚!さらにダークヴルム・ノヴァの効果でアスパシアを破壊する!アタックステップ!ジークヴルム・ノヴァで攻撃!効果でお互い手札を破棄!!」
二体のノヴァの真ん中に隕石が落下すると、そこからメテオヴルムが現れる。それに呼応してダークヴルム・ノヴァは紫の炎でアスパシアを破壊し、ジークヴルム・ノヴァが空へ舞い上がった。
阿求「アガピオスでブロックします!アテナの神技で回復させてジークヴルム・ノヴァを手札に戻す!」
紫「…ならメテオヴルムに煌臨させるわ。これならメテオヴルムも召喚できるし、ソウルコアも戻るわね。もう一度ジークヴルム・ノヴァでアタック!効果でアガピオスを破壊する!」
アレックス《…僕も転神させて貰います…!》
阿求は何とか踏ん張ろうとアテナの神技を使うも、ノヴァとメテオヴルムの効果の前では焼け石に水だった。再び炎を纏って飛ぶジークヴルム・ノヴァを追うようにしてアレックスも飛び出した。
阿求「…ライフです……ぃぃ!?」
紫「終わりよ。アレックス!」
アレックス《だぁぁぁぁ!!》
ジークヴルム・ノヴァの虹色の炎とアレックスのグラン・デーヴァが阿求のライフをすべて破壊した!
蓮子「さぁて…行きますか!」
慧音「…メインステップ!歌う調査員アーシアを召喚!ターンエンド」
慧音は初めに詩姫の調査員を召喚する。初手でゴッドシーカー系列のスピリットか創界神を張らなかった所を見ると、あまり手札は良くないようだ。
蓮子「メインステップ!ブレイドラXを召喚!さらに最高最善の魔王!異界王を配置してアーシアを破壊!さらに神託も合わせて3コア追加!」
異界王《真の歴史と向き合わない歴史家など歴史家ではない!》
蓮子のフィールドにオレンジ色の小さなドラゴンが「キィ」と鳴いて現れる。背後にも異界王が腕を組んで登場し、アーシアを破壊した。
蓮子「バーストを張って…ターンエンド!」
慧音「アーシアの効果でドロー…きたか…メインステップ!創界神アンタークを配置する!神託の効果でコアを三個置く!」
アンターク《…………》
ドローステップで引いたのか、慧音はアンタークを配置する。だが追加で召喚するにはコアが足りないので、これ以上は動けなかった。
慧音「…ターンエンドだ」
蓮子「…メインステップ!スプレッド・トータスを召喚してコアブースト!さらにブレイドラをレベル3にアップ!」
蓮子は戦車の胴体を持つリクガメを召喚してブレイドラのレベルを上げた。
蓮子「アタックステップ!ブレイドラXでアタック!効果でコア一つを創界神ネクサスに追加する!」
慧音「ライフで受ける!」
パタパタとブレイドラが走りだし、口から放った炎が慧音のライフを一つ破壊した。
蓮子「ターンエンド」
慧音「…先手をとられたか…メインステップ!調査員オッザニア、調査員ノルドを召喚!」
まだ慧音はダイバージェンスヒルやシラベルを出せてない。それでも数押ししようと竜人、闘神の調査員を連続召喚してきた。
慧音「アタックステップ!まずはオッザニアでアタック!ノルドの効果でブレイドラを破壊!さらに自身の力でBPプラス3000かつ一枚ドローするぞ!」
蓮子「…きた…調査員の連携コンボ…ライフで受ける!」
オッザニアが走り出すと、ノルドから青い衝撃波が放たれてブレイドラが吹き飛ばされる。それに苦い顔をした蓮子はオッザニアのアタックをライフで受けた。
慧音「続けてノルドでアタックする!ブレイドラを破壊だ!」
蓮子「…んー…それもライフで!バースト発動!!大甲帝デスタウロスの効果で疲労しているスピリットを全部破壊する!!」
ノルドが拳で蓮子のライフをさらに削る。しかし蓮子のバーストから出てきたデスタウロスの剣の一振りが2体を叩き伏せた。
慧音「…ターンエンドだ」
異界王《…攻めるか?》
蓮子「…バーストないし今の効果でコアも増えたしね。メインステップ!獄獣ガシャベルスレベル3、飛鋼獣ゲイル・フォッカーを召喚!!」
今がチャンスと見た蓮子は骨のケルベロスと機械の野狐を召喚していく。慧音のブロッカーはゼロ、ライフは残り4つ…射程距離には入っていた。
蓮子「アタックステップ!デスタウロスでアタック!」
慧音「…ライフだ!」
デスタウロスが右腕の剣を慧音のライフに突き立てる。その衝撃でライフが二つ砕け散った。
蓮子「続けてガシャベルス!追撃よ!」
慧音「…ッッ!フラッシュタイミング!氷雪サークル!ソウルコアを使ってゲイル・フォッカーとガシャベルスを指定!これでライフは減らない!」
ガシャベルズが低く嘶いてフィールド駆けるが、慧音の前方に氷の結晶が展開される。ガシャベルスの突進はその結晶に阻まれて慧音のライフに通らなかった。
蓮子「あちゃー…防御札あったかぁ…ターンエンド」
慧音「…ズキン…くぅ…!頭痛が…!メインステップ…!調査員ラーテン、そしてアルティメット・リバース・ドラゴンを召喚!!召喚時効果でゲイル・フォッカーをデッキ下へ!!」
頭痛を堪えながら慧音は虫の調査員とアンタークが作り出した魔法陣から出てきたアルティメット・リバース・ドラゴンを呼び出す。召喚されたリバース・ドラゴンはそのステンドグラスのような翼をはためかせてゲイル・フォッカーをデッキボトムへと送還させた。
慧音「アタックステップ…!まずはラーテンでアタックする!」
蓮子「フラッシュタイミング!アクセルで三十三代目風磨頭首ヤタガライ…ほんと名前長い…これでリバース・ドラゴンを疲労させてデスタウロスは回復する!」
蓮子はラスト一枚の手札を切って緑の竜巻を引き起こす。その暴風がリバース・ドラゴンに膝をつかせ、デスタウロスを起き上がらせた。
蓮子「ラーテンはデスタウロスで受ける!」
慧音「…フラッシュでアンタークの神技を使うが…打点は足りないな…ターンエンド」
慧音はアンタークの神技で疲労したリバース・ドラゴンを回復させるが、アンタークの残りコアでは蓮子のライフを削りきるにはあと一点足りなかった。
蓮子「ガシャベルスの効果でドローステップにさらにもう一枚ドロー!メインステップ!太陽よ!星の力纏いて竜となれ!太陽龍ジーク・アポロドラゴンX!レベル3で召喚!!」
ガシャベルスの闇の霧がドローの枚数を増やし、蓮子は赤い太陽龍を召喚する。蓮子の後ろからのっしのっしとジーク・アポロドラゴンがフィールドへと這い上がってきた。
蓮子「アタックステップ!行け!ジーク・アポロドラゴン!ライフをひとつ砕いてリバース・ドラゴンに指定アタックよ!」
ジーク・アポロドラゴンが雄叫びと共にリバース・ドラゴンへと突っ込んだ。鳥のような四枚の翼を羽ばたかせてリバース・ドラゴンは地面を踏みしめるが、完全には止められず外壁に叩きつけられる。
そしてジーク・アポロドラゴンはほぼゼロ距離で口から火炎放射を浴びせて破壊した!
蓮子「デスタウロス!」
慧音「…ぐ…無念…!」
再びデスタウロスが剣を振り上げて慧音のライフを一刀両断した!
阿求「…Q~…」
慧音「…キュー…」
紫「…さて…これで人里は解放されたわね……ッッ!!?」
蓮子「…メリー…感じた?」
倒れて目を回している二人をスキマに放り込むと、二人は迷いの竹林へと視線を向けた。なぜなら物凄い威力でぶつかり合う二つの神力を感じ取ったからだ。
紫「大丈夫…よね…?」
アレックス《すぐ向かいましょう!》
蓮子「…永琳さん…もし弾を殺そうとしたって気づいたら…」
異界王「…まだわからん」
様々な不安を抱えながら紫と蓮子は迷いの竹林へと走り出した。
はい。ありがとうございました。
まぁ…あの紫の体調は…あれですよね(わかるか)…?
次回の更新は参賀日明けを予定しています。でも筆が進めば更新できるかも……はい、自分のやる気次第ですね…