霧の湖の畔
紫「…全員構え!来たわよ!」
アレックス《…なんでしょう?後ろのは…?》
弾達が幽香&隠岐奈達と交戦し始めたのと同時刻、紫達も大量の霊魂が目に入っていた。しかもその後ろには地獄に住む魔物の姿も見える。もちろんそいつらの最前列にいたのは…
映姫「これはこれは…八雲 紫、それに博麗の巫女までもいるとは…ちょうど良いです」
文「あやや…やはり立ちふさがって来ますか…」
紫「…閻魔が霊魂を勝手に連れ出すなんて…あなたも堕ちたものね」
映姫「特例です。あなた達が幻想郷を歪ませ、醜い歴史を作ってきた罰ですよ」
紫「…またそれ…そんな屁理屈で幻想郷を荒らすのは許さない!」
たくさんの霊魂や死神を引き連れた映姫は操られていた幽々子と同じような理屈を言う。対して紫は映姫の言葉を一蹴して交渉の余地なしの意思を表明した。
映姫「…そうですか…まぁ期待はしていませんでしたが…残念です」
文「…手加減すらしないわよ?」
死神達《うぉぉぉぉぉぉ!!》
怪物達《ギシャァァァァ!!》
蓮子「…すぅ~…はぁ~……マザーコアよ…!私達を守れ!」
異界王「…ほぅ…百瀬 華実と同じ力か…」
映姫が杓を持ってない手で合図すると、一斉に死神達や霊魂、巨大な怪物達が紫達めがけて突進してくる。始めに迎撃したのは意外にも蓮子だった。
彼女の目の前の地面からおびただしい数の蔓が生えてきて、前列の死神達を一気に凪ぎ払った。
文「へぇ…でもただの数押しの
紫「…ええ、そうね…
文「…!?それはどういう」
???《こう言うことさ》
余裕そうに空中に腰かける文が動揺した瞬間、死神達と紫達の間に巨大な影が射し込んだ。驚いて文と映姫が空を見上げると、いつの間にか空は夜になっている。そこには……
霊夢「サジット!」
サジット《よ!弾から頼まれてな!》
ボルグ《こっちの戦力と敵との関係を考えたとのことです》
タウラス《それに今は俺たちぐれぇしか実体化できねぇし!だからおもいっきり暴れるぜぇ~!!》
降り立つったのは弾の化神達の十二宮スピリット達だった。シュタイン・ボルグが説明している最中にもタウラスは雷を纏って突っ込んでいく。
アリス「…心強い助っ人ね!」
キャンサード《大方の雑魚とあの地獄の怪物は任せろ》
スコル《尻尾ビーム!》
アクア《水瓶ビーム!》
怪物達《ぎゃぁぁぁ!!!》
さらにスコル・スピアとアクア・エリシオンのビームと水流が怪物達を貫く。他の十二宮も後列の怪物達に攻撃し始めた。
霊夢「私達もよ!雷符『博麗ケラノウス』!!」
ゼウス《儂らもできる限りの力を尽くす!》
幽々子「パチン!霊の扱いは慣れてるわ。死蝶『華胥の永眠』!!」
アプロディーテ《さらに精神攻撃は魂に効果的よ!》
十二宮に続いて霊夢の身体から電気が迸り、お祓い棒に収束していく。そして霊夢がお祓い棒を振り下ろすと強力な電撃が放たれ、霊魂や死神達を撃ち抜いた。
幽々子も『分神』して手をかざし、大量のピンクの蝶を放つ。精神に干渉できるようになった幽々子の攻撃は実体を持たない霊魂達には効果抜群で、当たった魂はポンッと消えていった。
映姫「…まさか…!」
妹紅「おおっと!閻魔様!あたしの魂!裁いてくれよ!おらぁ!!」
映姫「く!不意打ちとは卑怯な!」
スサノヲ《悪いな!どこぞの大蛇もそう言ったよ!》
苦虫を噛み潰したような顔をした映姫の後ろから妹紅が蹴りを入れる。咄嗟に飛び去った映姫はいつものお説教をするが、妹紅にとってはどこ吹く風だ。
妹紅「おらっ!」
映姫「はっ!」
妹紅が拳を出すが、映姫は杓で流していく。だが体内のスサノヲの力を存分に引き出している妹紅が若干映姫を押していた。
映姫「…ん…!小町!」
小町「はいよっ!」
妹紅「なに!?ぐぇ…!!」
映姫の指示と共に瞬間移動してきた小町が鎌で妹紅の腹を斬り裂いた。斬られた傷を炎で再生させながら妹紅は後ろに下がって距離を取る。
妹紅「イテテ…おいおい…お前は船頭係じゃなかったのかよ…」
小町「悪いねぇ…これも仕事なんだ」
映姫「流石です…平時でもこれぐらい働いてくれたら良いのですが……」
小町「ちょちょ…!今はやめてくださいよ…」
痛みを堪えて妹紅は皮肉る。それにいつものあっけらかんとした口調で答える小町だったが、隣の映姫の愚痴にあたふたと誤魔化した。
妹紅「ちぃ…!不死『火の鳥-鳳翼天翔-』!」
小町「あらよっと!」
映姫「審判『ラストジャッジメント』!」
妹紅「…うぉ!?」
負けじと妹紅はフェニックス型の炎を放つが、すぐさま小町が鎌を振るうと一瞬で二人の間の距離が遠ざかる。妹紅の炎が燃え尽きた瞬間距離が縮まり、映姫の杓型弾幕が妹紅を襲った。
妹紅「あぁクソ!こっちの攻撃は当たらないで向こうのは至近距離になるとか!」
映姫「その通り…それにしてもあなた本当に小町ですか?」
小町「いやいや四季様!そりゃないですよ!」
紫「そうよ♪罔兩『八雲紫の神隠し』♪」
小町「きゃん!?」
転がった妹紅に気をとられていたのか、突然スキマが開いて現れた紫の弾幕が二人に命中する。そして倒れた妹紅の隣に優雅に紫が着地した。
妹紅「…わりぃ…助かった…!」
紫「この二人が一番厄介そうだから加勢するわ。パチン!」
小町「…へぇ…それが『分神』ってやつかい」
映姫「…ふぅ…ですがあなたの『境界を操る程度の能力』は私の『白黒はっきりつける程度の能力』に致命的に弱い。それはあなたもわかっているはずです」
紫は指を鳴らして『分神』する。背中のスキマの翼が広がるのを見て小町と映姫は眉をひそめるも、映姫は冷静に相性の有利不利を指摘した。
それでも紫の顔から不適な笑みが消えることはない…
紫「…もう一度撃つわよ」
妹紅「…何か策があるんだな?」
紫「もちろん…境界『羅生門』!」
妹紅「…よっしゃ!海竜『八岐大蛇』!!」
紫の翼のスキマが鋭い刃になり、妹紅も両手から水の竜を作り出す。そのまま紫の二本の刃と妹紅の二体の水竜が小町と映姫に向かっていった。
映姫「無駄です。小町!」
小町「了解しまぐへぇ!!?」
映姫「きゃぁぁ!?」
妹紅「…なんだ?反対に近づいてきたぞ?」
小町は再び距離を取ろうとしたが、なぜか紫と妹紅の攻撃に距離を詰めてしまう。そのまま二人は被弾して地面に倒れ込んだ。
紫「確かに映姫の『白黒はっきりつける程度の能力』は私に効果的。でもそのプロセスは『歪められた森羅万象を元に戻す』という力。故に今使えばあの死神の能力も打ち消してしまうわ」
スサノヲ《…はっはーん…まさかお前、『距離を操る程度の能力』の方向の境界を反対にしやがったな?》
アレックス《…なるほど…それなら映姫さんの能力の影響を受けずに対応できますね。それを打ち消そうとしたら小町さんの能力も無効になってしまいますし》
紫「そういうこと…さて妹紅、悪いけど映姫を任せても良いかしら?そうは言っても私が戦うのは骨が折れるのよ…」
妹紅「良いぜ…その代わりあの死神どうにかしてくれ」
紫「…ボッシュート♪」
小町「ひゃぁぁ!!?」
紫が倒れた小町の下にスキマを開いて落とす。そして紫自身もスキマの中に入っていき、ここに残ったのは無傷の妹紅と所々血が滲んでいる映姫だけだった。
妹紅「さぁ…続けようぜ!」
映姫「………!」
その頃、戦場の反対側では
アリス「魔糸『
魅魔「そぉぉぉい!」
『分神』状態のアリスの糸と魅魔のエネルギー弾が霊魂軍団を次々にかき消していく。だが二人が霊魂をいくら倒しても、際限なく魂達は進んできた。
アリス「…切りがない…!」
魅魔「…ならコイツらを実質的に統率しているヤツを探そう。あの閻魔よりかは下だが、この雑魚霊魂より格上のヤツだ…」
???「コケェェェ!さぁ、魂達よ!進め進め!!」
ヘラ《…あの子やない?》
マナカ《間違いないね。彼女だけ微弱だけど神力を放ってる》
ケイ《よし…!》
アリス「…任せて!星符『プルートシャリオ』!」
???「コケェェェ!?」
創界神達が見つけた金髪の鳥人間?めがけてアリスは魔力を込めたダルクシスを構える。そのままアリスはダルクリスから紫色の波動を放って鳥人間を撃ち落とした。
アリス「…あなた…確か…庭渡…久侘歌…だっけ?どうする?殴り合っても良いけど?」
久侘歌「…イタタ…げ!?……それでは勝ち目は薄そうですね…ならカードで…!」
ヘラ《案外簡単に聞いてくれたなぁ…》
魅魔「力の弱いやつはカードバトルの方が勝つ確率が高いからねぇ…それじゃ私は魂達を止めてくるよ」
落ちてきた庭渡久侘歌はビビりながらもアリスの提案を承諾した。今のアリスは魔界神の力を纏っており、これにビビらず殴り合えるのは五ボスか六ボススペックの実力者だけだろう。
アリス 久侘歌「「ゲートオープン!界放!!」」