東方星神録   作:あんこケース

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今日は『仮面ライダークウガ』二十周年だそうですね。

???「祝え…!祝えと言っている…!」


風神少女VS風崩神

守矢神社 境内

 

神奈子「なにぃ!?早苗…!勝手に一人で突っ込んでいったぁ!?」

 

諏訪子「だってぇ…あの早苗はどうやってってとめられないんだよぉ…」

 

一方その頃、件の守矢神社では神奈子と諏訪子がぎゃあぎゃあ騒いでいる。早苗が「なるほど!敵は永遠亭という所ですね!では成敗してきます!」と飛び出してはや数刻、保護者の二人は早苗の自由奔放さに頭を抱えていた。

 

神奈子「…どうする…?」

 

諏訪子「…どうするって言ったって…」

 

霊奈「…なんだ…あの緑の巫女は居ないのか?」

 

神奈子 諏訪子「「ぎゃぁぁぁ!!?」」

 

二人が悩んでいると突然背後からむっすり顔の霊奈が出てきた。どうやらこっそり様子を見に来ていたようで、知らなかった神奈子と諏訪子は飛び上がって驚く。

 

神奈子「…あんたか…何かあったのか?」

 

霊奈「…当代博麗の巫女と白黒魔法使いがこちらに向かっているとの情報が入った。おそらく東風谷 早苗を下したものと思われる」

 

諏訪子「え!?じ、じゃあ早苗は!?」

 

霊奈「…敵の捕虜になったようだな…」

 

神奈子「お、おのれぇぇぇぇぇ!!早苗ぇぇぇぇ!!今私が助けるからねぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

諏訪子「どこのどいつじゃぁぁぁ!!早苗を傷つけたやつはぁぁぁぁぁぁ!!」

 

霊奈「…そこまで…いや…当たり前か…」

 

怒りに燃える二柱の神々はヤル気満々で敵を迎え撃つようだ。その親バカな様子に霊奈も少し引いていたが、自分だって霊夢が敵に捕まったら烈火の如くぶちギレると思って納得した。

 

しかしそこから霊奈の頭を支配したのは霊夢が自分を倒そうとしているという事実だった。そうでなければ白黒魔法使いと共に来ない。その事実に霊奈は二柱から目をそらし、下を向いて唇を噛み締めた。

 

霊奈「…なぜだ霊夢…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃 妖怪の山 上空

 

文「…ふぅ…ようやく追いついた…あんた達ねぇ…私の付き添い抜きで妖怪の山に入るなんて正気!?」

 

魔理沙「わりぃわりぃ…ってお前口調変わってないか?」

 

霊夢「…それで?さっさと案内してよ」

 

二人の前の空中で文は呆れるように腕を組む。さすがは幻想郷最速を誇るだけあって、文は簡単に二人に追いついたようだった。

 

文「…もうすぐ天狗の領域に入るわ。たぶん天狗達も変に記憶を操作させられてるはずだから全速力で抜けるわよ!」

 

魔理沙「よっしゃ!準備はできてるぜ!」

 

霊夢「…めんどくさ…!でもやるしかないわね…!」

 

文の力強い掛け声に二人はさらに気を引き締めて速度を上げる。どんどん周りの風景が後ろへ流れ、三人の耳に風の音しか入らなくなったその時…!

 

ホルス《…!文!あぶねぇ!!》

 

文「!バシッ!」

 

???「…さすが文さん…今の速度でも私の攻撃を見きりますか」

 

一番前を飛んでいた文の横から何者かが攻撃を仕掛けてきた。だが千年以上を生きた大妖怪である文にとって不意打ちを対処するなど動作もない。簡単に懐の葉団扇を取り出すと攻撃を軽く受け流した。

 

攻撃してきた人物はくるっと体勢を戻して三人の前に移動する。その白い狼の天狗に三人が気づかない訳がなかった。

 

文「あら椛、上司に牙を剥くとは…始末書じゃすまないわよ?」

 

椛「残念ですけどこれは天魔様のご命令です。その二人を山に入れるわけにはいきません」

文《…ち…!あのクソジジイ…!》

 

三人の前にほぼトレードマークと化している紅葉の紋様が施されている盾と刀を構えた椛が立ちふさがる。しかも天狗のボスの命令という言葉に文は内心悪態をついていた。

 

文「…チラッ…コクンッ」

 

魔理沙「…!…グッ」

 

霊夢「…!…」

 

椛「さぁ…早く投降」

 

文「するわけないでしょ!疾風『風神少女』!」

 

文は横目で二人にアイコンタクトを送り、椛めがけて竜巻を引き起こす。その隙に霊夢と魔理沙は全力でエネルギーを噴射し、椛の間合いから外に出た。

 

文「さぁ!早く行きなさい!!」

 

魔理沙「サンキュー!無事でいろよ!!」

 

椛「く!…文さん、これが何を意味するかわかっていますよね?」

 

文「…悪いけど…もう私は()()()についていくって決めてんの。目覚まさせてあげるから私にやられていなさい!!」

 

ホルス《空中戦なら得意中の得意だ!》

 

椛「…仕方ありません…スチャッ」

 

文と椛は空中で向かい合い、葉団扇と刀を構えて隙をうかがい合う。そしてヘルメスの力を使う椛とホルスを降ろしている文は風を纏ってぶつかった。

 

文「ギリギリ…!フンッ!」

 

椛「ドカッ!…っっ!バッ」

 

ぶつかった瞬間、文は身体をねじって椛の横に回り込む。その勢いのまま文の回し蹴りが椛の脇腹に炸裂し、飛ばされながら椛は顔を歪ませて体勢を持ち直す。

 

文「…ちゃんと鍛えてる?見回りばっかで鈍ってるわね?」

 

椛「…っ!うるさい!狗符『レイビーズバイト』!!」

 

文「遅い!『無双風神』!!」

 

椛「グハッ!!」

 

椛は文を縦に挟み込むように弾幕の壁を作り、即座に押し潰そうとした。しかし幻想郷最速の文は余裕を持って脱出し、もはや文自身が風になるほどの速度で椛に突っ込んだ。

 

あまりの速さに椛は対応どころか反応すらできず、もろに腹を殴られて地面に叩きつけられた。

 

文「…スタッ…別に私は白狼天狗が弱いとは思わない。でもあなた程度の強さじゃ勝つことは不可能よ」

 

椛「…ま、まだ…う…!が…!あぁ!」

 

文「!?…椛!?」

 

ホルス《なんか…!苦しみ出したぞ!?》

文がそう言うと突然椛は盾を落とし、頭を抱えて苦しみだした。目の瞳孔は開き、地面に倒れてまるで駄々をこねる子供の如くのたうち回っていた。

 

文「椛!しっかりしなさ」

 

ホルス《…ん!?待て!文!》

 

文「え?どうして…ザクッ!…グハッ!?」

 

苦しむ椛に文は駆け寄ろうとしたが、何か嫌な気を感じ取ったホルスはそれを制止する。文がそれに首を傾げたその時…

 

 

…椛が持っていた刀が文の腹に突き刺さった…

 

???《 へへへ…よっこいせと…なぁんだ…こんな簡単に引っかかるなんて…拍子抜けだぜ

 

文「ゴフッ…あ、あなた…!もしかして…!げ、原初…神…!」

 

???《 イエ~ス!俺様こそ原初神が1柱!風と知恵の神プロメテウスだ!ちょいとこの娘の身体を借りてるぜぇ~

 

口から血を吐いて文は刀を腹から引き抜くと、下がりながらそう言い捨てる。その苦悶の表情とは正反対に立ち上がった椛…に取りついた原初神は笑顔で軽く名乗った。まるで愉しくてたまらないと言わんばかりの笑顔だ。

 

文「…ハァ…ハァ…へぇ…ずいぶん…卑怯な手口で戦うのね…原初神様は…!」

 

プロメテウス《 合理的戦術ってやつだ。勝てば正義なんだよ!ドカッ!》

 

文「ぐぅ…!ドサッ…」

 

椛…プロメテウスがチンピラキックで文を蹴り飛ばす。大怪我で動けない文はそのまま地面を転がって突っ伏した。

 

プロメテウス《 さ~て…お嬢ちゃんに恨みはないけど……スチャッ…死んでもらうね~

 

文「…ハァ…ま、まず…ハァ…グググ…ぅぅ…!」

 

仰向けに倒れた文にプロメテウスは血のついた刀を持って近づいていく。文は痛みを堪えて動こうとするも、ただ身体を地面から少し浮かせることしかできずにもがくだけだった。

 

プロメテウス《 だいじょーぶ、すぐに君の仲間も後を追わせてあげるから~

 

文《……ま…だよ…!弾…!まだ…あな…たに…は…恩を返せてないのに…!》

 

プロメテウス《 あはは~!しーね♪

 

笑いながらプロメテウスが文に刀を振り下ろした……

 

 

 

 

???《…ったく…!数日でまた呼ばれるとは…!》

 

プロメテウス《 …グググ…なん…だとぉ!?

 

文「…え…だ、誰……?」

 

ホルス《…何が起きた…!?》

 

…だがその刀が文の柔肌を傷つけることはなかった。文の脳内に誰かの声が響くと、プロメテウスが振り下ろした刀が寸前の所で止まっていたからだ。文もホルスもプロメテウスさえも…誰が何をしたのかわからないまましばし硬直状態が続く。

 

???《…フンッ!》

プロメテウス《 どわぁぁぁぁ!!?ドゴンッ!

 

???《…どうした…幻想郷最速 射命丸 文よ。お前の翼はこんなところで堕ちるのか?》

 

再び響いた声と共にプロメテウスが刀ごと弾かれて近くの大岩に叩きつけられる。その声の主の姿は見えなかったが、文の味方であることは確かなようだ。

 

文「…そ、そんな…わけ…!ないでしょ…!」

 

???《その通り!今一度お前がなぜその身を削って戦うのかを思い出すのだ!》

 

文「…そんな事…!決まってるわ…!()()()は…!すべての世界を救うって言って…!自分を犠牲にしても戦おうとしてる…!私のことも…!!」

 

謎の声に鼓舞されて文はよろよろと立ち上がる。そして思い出したのは今までの弾とのあれこれ…

 

 

彼と出会う前の自分はただスクープを狙い、組織の歯車としか生きていないようなつまらない天狗だったと自覚している。人の個人情報をほじくり返して笑って……あー…恥ずかしい…

 

でも彼との出会いは私のちっぽけな価値観を変えた。ある意味()()()()()()()()()にしか頭になかった自分に『誰かのために』の精神が刻み込まれ、気づいたら自分もそんな耳が痛い理想のために戦っていた。

 

???《…確かにお前は慇懃無礼()()()。だが馬神 弾の思いに共鳴したということは、お前の深層心理にもラブ&ピースの思いがあったからだろう!その翼を広げよ!!愛と平和の青空を作るのだ!!》

 

 

文「…バサッ!誰だか知んないけど…!やるわよ!アイツに追いつくまで負けてたまるもんですか!」

 

ホルス《…今の声……まさか…おやっさん…!?》

 

謎の声はそう言って聞こえなくなるが、その残り香を受けて文の背中の翼が六枚に増え、緑のオーラと共に大きく広がる。同時に文の身体にホル=アクティと同じエメラルドがついたアーマーが現れていた。

 

文「…ビュンッ!」

 

プロメテウス《 イテテ…ん?…ぐへっ!?

 

文「シュンッ!遅すぎよ。今の私は…!誰にも止められない!!」

 

ホルス《…残像できてるし…》

 

文は翼を折り畳むと、ものすごい速度で起き上がったプロメテウスに拳を叩き込む。その速度は残像ができるほど速く、しかもコントロールも効いていた。

 

プロメテウス《 こんのぉ…!おとなしく死になよ!!

 

文「シュンッ…星符『暴風乱打(ハリケーンビート)』!!ヒュォ!…ドゴゴゴゴゴコゴ!!」

 

プロメテウス《 …風が!?…ぐぇぇぇぇ!!!?

 

プロメテウスが逆上して刀を文に向けるが、気づいたときには既に文の姿はそこにない。さらに文が宣言したスペルカードが風でプロメテウスの動きを封じ込め、動けないプロメテウスの頭に文は高速の連続キックをおみまいした。

文「ホルス!」

 

ホルス《……へ…?》

 

文「へじゃない!神話ブレイヴ!」

 

ホルス《…おおう…!あらよっと!》

 

さっきの攻撃でプロメテウスが倒れている間に文はホルスに合図する。少し遅れながらもホルスは虚空から文の両手に自分の神話ブレイヴ『天空双剣ホル=エッジ』を握らせた。

 

文「シュリィン…シュリィン……風符『幻舞連爪(カゲロウ)』!ビュンッ!」

 

プロメテウス《 チクショウ!おらぁ!ビュンッ!

 

文がホル=エッジを研ぎながら、プロメテウスが悪態をつきながら二人の姿が消え失せる。その直後、辺り一帯で無数の衝撃波が発生し始めた。超高速で二人の剣がぶつかり合っている証拠だ。

 

森の中、川のほとり、岩影、そして空中で次々と二人の剣が火花を散らしていく。

 

文「…ガキンッ!…もっと…!もっと速く!ガキンッ!」

 

プロメテウス《 ガキンッ…!やべ…!

 

文「…だぁぁぁぁぁ!!ズバンッ!!!」

 

二人は再び大空に戦場を移すと文の速度がさらに速さを増す。ホル=エッジを巧みに扱い、とうとう刀を掻い潜ってプロメテウスに全力の斬撃をぶち当てた。

 

プロメテウス《 ぐぅ…この…!たかが千年生きただけの小鳥が…!!こっちで叩きのめしてやる!

 

文「ええ良いわ。手加減してあげるからかかってきなさい」

 

すっかり余裕の表情を消したプロメテウスはデッキを構え、文もホル=エッジをデッキに戻して構える。

 

 

文 プロメテウス「《ゲートオープン!界放!!》」

 

 

 

 

 




はい。ありがとうございました。

『分神』文は六枚羽以外はホルスとお揃いのアーマー姿です。

『分神』妹紅や今回の文の技の名前にピンっと来た人は私と同世代ですね…ニヤニヤ…

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