東方星神録   作:あんこケース

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ついさっき見た動画で環境トップの『遊精』を『ブラフマーを捨てて、アレスと不倫してる』って形容してました…飲んでたコーラ返せ…ww…!


はっちゃけ十王裁判

戦場 端

 

 

阿求「アテナ様!たった今中心部で隠岐奈さんと幽香さん、蓮子さんが三人と交戦し始めました!」

 

アテナ《了解!右翼の神奈子が少し押されていますので、空中部隊はそちらを重点的に援護を!》

 

慧音「…さすが最強の防衛神…!」

 

アンターク《…感心するなら指示飛ばして!左翼の妖夢とフランはそのまま暴れていいわ!》

 

ここは戦場の端っこ、林の入口付近でこの四人は各方面に指示を飛ばしていた。いつもは紫や永琳の仕事だが、今は少しでも戦力が欲しいので、戦闘向きではない阿求と慧音、その相棒のアテナ達が指令部の役割をはたしている。

 

阿求「…!はい…!左翼の映姫様からです!埴安神 袿姫と接触!これから戦闘に入るそうです!!」

 

アテナ《…良い知らせです!ヘファイストスがこちらに戻れば神話ブレイヴの調整が格段によくなりま…ぅぅ!》

 

アンターク《…!アテナ!》

 

慧音「やはりこの結界を張るのは無理があるのでは!?」

 

阿求の連絡に表情を明るくさせたアテナだったが、その顔はすぐに苦痛がにじみ出る表情へと変わる。それもそのはず、阿求と慧音を守るために彼女は自らの神力を大幅に削り、敵が入ってこられないよう結界を張っていたのだ。

 

アテナ《…ま、まだ…まだ!この結界が破れるのは…!我らが破れたときのみ!》

 

阿求「…永琳さん…!急いで…!」

 

 

 

 

 

 

 

戦場 左翼

 

 

映姫「…向こうも厳しい戦いのようですね…」

 

袿姫「…なら早くに投降する方が賢明だぞ?」

 

映姫「黙りなさい。ここは戦場、あなたを正気に戻すには戦うしかありません!」

 

戦場の左翼側…そこでは阿求の連絡通り映姫と埴輪兵隊を率いた袿姫が火花を散らしている。後ろの兵隊を見ても映姫は何時ものごとく杓を構えて袿姫の攻撃を迎え撃とうとしていた。

 

袿姫「…ふんっ!」

 

映姫「はっ!ガキンッ!!」

 

一瞬の静寂の後、袿姫の彫刻刀が映姫の杓とぶつかる。そこから戦場に彫刻刀と杓がぶつかる音が何度も響いた。

 

袿姫「埴輪『偶像人馬造形術』!!」

 

映姫「黒!!」

 

袿姫「…!…『白黒はっきりつけた』…」

 

映姫「その通り。私の能力は結界術と非常に相性が良いのです。ただ守る防御壁なら幻想郷で右に出る者はいません」

 

袿姫は後ろに下がって接近戦から遠距離戦に切り替える。だが即座に精製された騎馬埴輪は映姫の声と共に展開された結界を破れず、次々と砕けて土に還っていった。

 

映姫自身も自負するように彼女の戦闘能力はその『能力』により極めて高い。だが閻魔という役職故、それが人目にさらされることは滅多にないので、袿姫も映姫の力を侮っていた。

 

袿姫「…たかが地蔵の成り上がりが…!やれ!埴輪兵隊!!」

埴輪兵《ザッザッザッ…!》

 

映姫「…審判『ラストジャッジメント』!!」

 

袿姫が後ろに下がり、交代するように大量の埴輪兵達が映姫に押し寄せてくる。映姫はエネルギーの杓を連射して前列の埴輪兵を砕いていくが、いかんせん数が多く壊しても壊しても次の埴輪兵が進んできた。

 

袿姫「これは受けられるか!?鍛冶『ウルカヌスクリーチャー』!!」

 

映姫「ぐぇ…!!ズザザザ…」

 

袿姫が両手を広げると、地面からマグマが噴き出して映姫に襲いかかる。降ってきたマグマは味方の埴輪兵もろとも映姫を飲み込み、防御壁ごと押し流してしまった。

 

そのマグマ自体は映姫に傷を負わせなかったが、衝撃によって映姫の身体は地面を転がった。

 

袿姫「畳み掛けろ!埴輪兵!!」

 

埴輪兵《ガガガガガガ!!》

映姫「く…黒…!!」

 

袿姫はさらに転がる映姫に追撃の埴輪兵を向かわせる。態勢を崩しながらも映姫は障壁を張って攻撃を防ぐが、その表情は苦しそうだ。

 

袿姫「食らえ!角刀投げ!!」

 

映姫「グサッ!ぎゃ…!」

 

オシリス《映姫!》

 

埴輪兵のせいで脆くなった結界は袿姫が投げた彫刻刀によって崩壊する。さらにその彫刻刀が映姫の手足に突き刺さり、映姫の身体は地面に倒れ伏した。映姫が起き上がれずに呻いている辺り、ただの彫刻刀ではないようだ。

 

映姫「…か、身体に……力…が……!」

 

袿姫「元地蔵なのが裏目に出たな。だが所詮地蔵の…『石』の身体は捨てきれまい…」

 

映姫「…まさか…!偶像神(イドラデウス)の力が…!こんな所で…!」

 

袿姫「…ふふふ…さて…今完璧な偶像へと変えてやる…!」

 

映姫はなんとか身体を動かそうとするも、突き刺さった彫刻刀から放たれる袿姫の神力がそれを許さない。反対に袿姫は勝ち誇った様子で手のひらに巨大なエネルギーの球体を作り出した。

 

映姫「…まず…い……!」

 

袿姫「安心しろ…!お前の死体は私の手で美しく作り直されるのだ!死ねぇ!!」

 

袿姫の青いエネルギー弾が動けない映姫めがけて放たれた…!!

 

 

 

 

 

小町「だぁぁぁぁぁぁ!!

 

映姫「…!…小町…!?」

 

その時、ものすごいスピードで映姫の前に飛び出して来たのは近くで戦っていた小町だった。そして小町は袿姫のエネルギー弾を自らの大鎌で受け止めようとした。

 

小町「…ぐぐぐ…!ぁぁぁぁ!!」

 

映姫「小町ぃぃ!!」

 

久佗歌「小町さん!!しっかりしてください!」

 

小町「……ぅ………」

 

だが創界神の力も加わった袿姫の一撃は凄まじく、構えた大鎌はへし折れ、小町の身体は大きく後ろに吹き飛んでしまう。そのまま地面を転がった小町に久佗歌が駆け寄ってくるが、それにも気づかないほど小町の怪我はひどかった。

 

袿姫「ふんっ…邪魔が入ったか…まぁいい。今度こそ…!」

 

映姫《…私は…私は何をやってるのですか!みすみす部下を目の前で……!》

 

舌打ちをして袿姫は再びエネルギーを貯め始める。一方いまだに倒れていた映姫は唇を噛み締めて自分自身を責めていた。するともがく映姫の懐から何かが転がり落ちた……

 

映姫《…!…浄玻璃の…鏡…!》

 

それは映姫が手鏡として持っている写し出した者の過去を写す鏡、『浄玻璃の鏡』だった。今写し出されているのは砂がついた映姫自身の顔……浄玻璃の鏡は映姫の過去を写し始めた。

 

 

写し出されたのは彼女にとって強烈に記憶に残っている最近の出来事……その中でも映姫は彼らの言葉に衝撃を受けていた。

弾《本気で彼らを導くつもりなら彼らの目線に立たないといけない!》

 

紫《あなた達が幻想郷を滅ぼそうとしているのよ!!》

 

この言葉は幻想郷に尽くしている『つもり』だった映姫のあり方を考えさせられた。映姫としては身勝手な幻想郷の人妖を導いているはずだったが、弾の叱責や紫の叫びを受けて何人かに自分の評判を聞いてみた。

 

結果は御察しの通り。次に写し出されたのはその衝撃に映姫は落ち込み、閻魔の通常業務すら手に負えなくなるほどだった時のこと…何気ない弾との会話が鏡に写る。

 

映姫《…私は…閻魔失格です…周りの人々の罪を減らせぬどころか…自らが罪を犯していたなんて……》

 

弾《…ガチャッ…映姫、大丈…夫…じゃないな…》

 

是非曲直庁の執務室で映姫は机に突っ伏してうなだれていた。そこに弾が心配の言葉を言いながら入ってくるが、貧乏神でもないのに映姫から放たれている負のオーラに思わずドン引いた。

 

映姫《…どうしましたか…あぁ、こんなダメ閻魔を笑いに来たのですね……》

 

弾《…そう思えるなら良いんじゃないか?》

 

映姫《…へ……》

 

弾《少なくともそう思ってるってことは自分が間違っているって自覚できてる。なら…変われば良い。一番罪深いのは『知らないこと』『知っていても変わらないこと』だ》

 

映姫の机の前に立った弾はそう話す。その瞳の中には自嘲染みた感情があることを映姫は感じたが、彼の境遇を知る映姫はそれ以上突っ込まなかった。

 

映姫《…申し訳ありません、無駄に心配をおかけして…》

 

弾《…はぁ~…ムニィ~…》

 

映姫《うぇぇ!?にゃにふゅるんれす!?》

 

するとまだ硬い顔をしている映姫の頬の弾はおもいっきりつねった。閻魔の頬をつねるなどたとえ霊夢や魔理沙ですらやらない蛮行だが、弾は軽く笑いながらそれをやる。

 

弾《お前は固すぎるんだよ。もっとはめをはずしても良いと思うけどなぁ》

映姫《…んん!こらっ!勝手に人の頬をつねるとは!説教しますよ!》

 

こんな一幕、なんだかんだで映姫はいつもの調子を取り戻していた。

 

 

 

 

 

映姫「…そう…グググ…ですね…!あなたの言うとおり…!少しはめをはずさせてもらいます!!」

 

オシリス《…よし…立て直すか…》

 

袿姫「ぬぉ!?」

 

浄玻璃の鏡に奮い立たされた映姫はフルパワーで気力を放出させて立ち上がる。刺さっていた彫刻刀は砕け、その衝撃波に袿姫のエネルギー弾は霧散していく。

 

映姫「…あなたも我らが最高神に忠誠を誓った者!今それを思い出させます!!」

 

映姫の姿はまるでツクヨミの側近『転輪十王ゴドウ』のような服装に変わり、唯一違う所は袈裟の下地が映姫のトレードカラーの緑色であるところか。

 

袿姫「ちぃ!もう一度やれ!埴輪兵隊!!」

 

埴輪兵《ズドドドドド!!》

 

オシリス《…行けるか…いや、それは無駄な心配か?》

 

映姫「…バチバチ…ええ。私の力は星の指針…星符『超電磁貫撃(エレクトロランチャー)』!!」

 

ズドォォォォォォォン!!!!

 

 

映姫の右手がなにやらバチバチと音をたてると、向かってきた埴輪兵に手をかざす。そこから放たれたエネルギー弾が埴輪兵達の次々貫いて一列を土に還した。

 

あいにく今は戦場の反対側にいるとある現人神(早苗)が今の攻撃を見たら、こう言うだろう……まるで『超電磁砲(レールガン)』だと…

 

袿姫「…な…!?強度は最大まで上げたはず…!」

 

映姫「それをこちらが上回っただけです。オシリス様、武器をお貸しいただけますか?」

 

オシリス《…好きに使いな、怪我するなよ》

 

まだ『磁力』でバチバチ言っている映姫の右手にオシリスの神話ブレイヴ『妖蛇神杖オグドアド』が現れる。 オグドアドが妖しく光ると、辺りの地面から黒い砂のようなものが浮き上がってきた。

 

袿姫「…これは…!砂鉄!?」

 

映姫「ジャッジメント!!磁符『六道輪廻』!!」

 

埴輪兵《ギギギギ……!》

 

袿姫「…ごはっ!!」

 

映姫がオグドアドを袿姫に向けると、映姫のまわりにまとわりついていた砂鉄が六本の鋭い刃になって埴輪兵達を切り刻む。さらに袿姫の腹にも砂鉄の刃が突き刺さった。

映姫「…デッキを出しなさい。あなたの判決はそれで出します」

 

袿姫「…ぐぅ…私を裁けると思うなよ!」

 

 

映姫 袿姫「「ゲートオープン!界放!!」」

 

 

 

 




はい。ありがとうございました。

『分神』映姫様は『緑の服の転輪十王ゴドウ』っぽい感じです。自分映姫様に『磁場操作』能力ってすごく似合うと思います。『黒』は引き離し、『白』は引っ付く…まさに裁判長

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