東方星神録   作:あんこケース

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よ、ようやく月面戦争が終わった……でもストックがないからとにかく書かないと……


誓いのlove&peace

月の都 上空

 

 

ウカノミタマ《 …はぁ…はぁ…!もう…!全員死ねば良いのよ!!

 

月の都を見渡せるまで飛んだウカノミタマは九本の狐の尻尾を出してエネルギーを貯める。それぞれの尾にどす黒い色のエネルギー球が生み出され、眼下の月都めがけて放とうとした。

 

 

永琳「させないわ!!ガシィッ!」

 

ウカノミタマ《…ちぃ!邪魔するな!!バッ》

 

だが下から永琳がウカノミタマに掴みかかり、堪らずウカノミタマはチャージを中止して接近戦に移る。空中で永琳の拳や蹴りがウカノミタマの九尾と激しい格闘戦が繰り広げられた。

 

 

永琳「…っっ!」

 

ウカノミタマ《無駄よ。創界神であることを拒み、逃げたあなたとは違う…純粋な創界神の私に…!力で勝てると思って?》

 

永琳「…バッ!はぁぁぁぁ!!」

 

永琳の右ストレートをウカノミタマは軽く左手で受け止めて見せた。彼女の言うとおり、永琳とウカノミタマでは創界神としての『格』が違う…永琳は唇を噛み締めてその手を振り払う。

 

永琳「スチャ…射手座『サジッタアローレイン』!!」

 

ウカノミタマ《…パチンッ…》

 

永琳「!?…消えた……!?」

 

永琳がエターナル・ジュエリーを構えながら後ろへ飛びずさる。そして無数の炎の矢を放ったが、ウカノミタマは指を鳴らすだけで炎をかき消してしまった。

 

ウカノミタマ《…狐火!》

 

永琳「うっ…!く…!」

 

お返しのウカノミタマの火炎攻撃を永琳は避けようとしたが、完璧には避けられず少し炎が被弾してしまう。そのよろけた隙をウカノミタマは見逃さない。

 

ウカノミタマ《ふんっ!ビュンッ!》

永琳「…ぅ…ギリギリ…ぁ…!」

 

ウカノミタマの九尾が永琳の四肢に巻きつき、強く締め上げる。永琳がもがくもその尾を振り払うことができない。

 

ウカノミタマ《潰れろ!》

 

永琳「…ぁぁ!!」

 

ボガァァァァァンッッ!!!

 

永琳を締め上げたまま、ウカノミタマは永琳を殴り飛ばす。永琳の身体は一直線に月面に吹き飛び、都の地面を大きく削ってようやく止まった。

 

永琳「…まだまだ!水瓶座『アクエリアス・D・カッター』!」

 

ウカノミタマ《…しつこいわよ。結界!》

 

土埃から飛び出してきた永琳が今度はエターナル・ジュエリー自体に白い斬撃を纏わせて放つ。それもウカノミタマは即座に張った障壁で防いでしまった。

 

ウカノミタマ《…いい加減認めなさい。あなたが勝っても馬神 弾はあなたを一番に取らない》

 

永琳「…!…うるさい!!牡牛座『タウラスチャージ』!」

 

ウカノミタマは言葉巧みに永琳を懐柔しようとするが、怒声をあげて永琳は拳を突き出して拒否の意思を示す。

 

ウカノミタマ《…バンッ!…ズズズ…あなたも同じ…ツクヨミに選ばれなかった私と同じなのよ。どうせ捨てられる》

 

永琳「…………黙れ!!蠍座『スコーピオンパイル』!!」

 

永琳の拳をウカノミタマは九本の尾で受け止め、揺さぶりを続ける。先ほどと同じように永琳は拒否したが、その間は気持ち長めだった。

 

そして迷いを振り払うように永琳は身体を青い光に光らせ、突進しようとした。

 

ウカノミタマ《…残念ね。魔導『流し灯籠』》

 

永琳「…あ」

 

その先の言葉を永琳は口にできなかった。ウカノミタマの周囲に再びどす黒い色のエネルギー球が生成され、それを至近距離でぶつけられたのだから……

 

…その威力に永琳は意識を失ってエターナル・ジュエリーを離し、重力のまま月面に落ちていく……

 

ウカノミタマ《さようなら。馬神 弾には宜しく伝えるわ…彼女は立派に戦ったってね》

 

今の永琳の耳にはウカノミタマの別れの言葉も聞こえない。ボロボロの姿で一直線に固い月面へと向かっていく。そして月の都の大通りに永琳の身体は大きなクレーターを作った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

永琳「…ん…んん…まだ…!終わってないっつの…!」

 

何とか意識を覚醒させて永琳は全身の痛みを堪えて起き上がる。そして自身を落としたウカノミタマがいるであろう方向を見上げた…

 

 

 

……が永琳の目に飛び込んできたのは辺り一面の花畑…色とりどりに咲き誇る花々は生命のない月面にあるまじき光景だった。

 

 

永琳「…え?ここは…?確か私は…あの女の攻撃を受けて…」

 

???《もー!おとーさんお~そ~い~!!》

 

???《おいおい、俺はもう年なんだ…》

 

永琳「…はへぇ!?」

 

永琳が状況を飲み込めないでいると、突然後ろから声が聞こえてきた。それに振り返ってみた永琳はまた変な声で驚いてしまう…それもそのはず。その言葉を話したのは……

 

 

永琳「…子供の頃の…私!?」

 

幼永琳《えぇ~!おとーさんいっつもそう言って遊んでくれないじゃ~ん!》

 

永琳「……私が「お父さん」と呼んだ…ということは…タカミムスビ…」

 

永琳の目の前でまだ三歳くらいの永琳が紅色の髪をした男性に文句を言っている。永琳が『父親』と認識していることから、彼こそ星の原初神にして『創界神の王』創界神タカミムスビで間違いなかった。

 

永琳「…そうよ。まだ幼かった時、いつもは遊んでくれなかったお父さんが珍しく外で遊んでくれた日…」

 

タカミムスビ《はぁ…まったく…永琳、そういうばかりでは一人前の医者にも科学者にもなれんぞ?》

 

幼永琳《え~!?ねぇねぇ!なら何がいるの?どうしたら立派な医者や科学者になれるの?》

 

花畑で胸の前に腕をやり、ピョンピョンジャンプしながら幼い永琳は父親に尋ねた。タカミムスビは微笑みを浮かべて永琳の目線まで腰を落とし、頭を撫でながら話し出す。

 

タカミムスビ《それはな永琳…自分が心に決めた『思い』だ。何になるにしてもその『思い』がなければ、たちまち脆くなる》

 

幼永琳《思い~?》

 

タカミムスビ《…ま…永琳が『何のために』医者や科学者になりたいのかが重要だと言うことさ》

 

幼永琳《ふ~ん…よくわかんないけど…お医者さんや発明家になりたい訳ならあるよ!》

 

永琳「…………………」

 

大人の永琳の前で親子は仲睦まじく話し続ける。そんな中、幼い永琳が得意げに胸を張って父親の難しい話を理解しようとしていた。

 

タカミムスビ《…ん…いったいなんだい?》

 

 

幼永琳《それはね~!愛と平和のため!私が世界を良くするんだ~♪》

 

 

永琳「……え………?」

 

幼い永琳が答えた理由…それに永琳は驚いた。『愛と平和』は父親であるタカミムスビがよく言っていたスローガンのようなものだ。だがそれを言い出したのは永琳がもう少し成長した後だと思っていたのだ。

 

 

ザ…ザザザ……ザ…!!

 

 

永琳が驚いていると、永琳の周りの景色にノイズが走り出す。そして綺麗な花畑は姿を消し、普段の月面の世界へと切り替わった。

 

永琳「…今のは…誰かが見せていた映像…?」

 

???「思い出したか?永琳?」

 

永琳「……クルッ……お父さん…!」

 

景色が変わっても…大人になっても聞き慣れた声…永琳が振り返ってみるとそこには普段着ではなく、黒地の服にまるでダブル合体サジットのような装飾のアーマーを身に纏った『創界神タカミムスビ』の姿があった。

 

 

タカミムスビ「…お前は忘れていたかもしれないが…『愛と平和』を最初に掲げたのは…他でもない。お前自身だ」

 

永琳「……私の…思い…」

 

タカミムスビ《その通り。永琳、もしお前が『愛と平和』のためにウカノミタマを止めると言うのなら……もう逃げることはできんぞ》

 

永琳「…………」

 

タカミムスビ《…お前は『創界神であること』を頑なに拒んできた。それ故力を十分に発揮できていない》

 

満天の星空の下で腕を組んだタカミムスビが永琳に語りかける。渋い顔つきと固い言葉だったが、声色は優しかった。

 

タカミムスビ《…どうする?また逃げるか?それとも……戦う覚悟を決めるか?》

 

永琳「……やるわ。私はもう目を背けない!創界神として…世界を守る!!」

 

タカミムスビ《……ニコッ……》

 

月面で地球をバックに永琳はそう宣言する。地球と共に太陽に照らされ、その決意に満ちた娘の顔と不器用に微笑む父の顔を明るく照らし出した。

 

 

ザ…!ザザ…!ザザザ…!

 

 

タカミムスビ《…さぁ、早く戻れ。戦いはこれからだぞ》

 

永琳「…うん…お父さん…ごめんなさい。そして…ありがとう…」

 

また周りの背景にノイズが走り、永琳の視界から月面や星空、そして父の姿が消えていく……その最後の瞬間に永琳は心からの感謝を伝えた。

 

 

 

 

タカミムスビ《………永琳…まゐや霊夢達を…頼むぞ!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び月の都 上空

 

 

ウカノミタマ《…さて…あとは戦場にいる馬神 弾と創界神達を始末すれば良いか…》

 

そう言いながらウカノミタマは空を悠々と飛んでいた。既に永琳を倒したと思っている彼女の脳内は月面にいる弾達のことに気をとられている。

 

 

だからこそ次の攻撃をウカノミタマはかわせなかった。

 

 

永琳「まだ終わってないわよ!」

 

ウカノミタマ《…っう!?》

 

下から永琳が不意打ちのパンチをウカノミタマの腹におみまいしたのだ。呻いてウカノミタマは咄嗟に永琳から距離を取る。

 

ウカノミタマ《…永琳ちゃん…!その姿は…!!》

 

永琳「悪いわね。覚悟を決めたのよ!」

 

今の永琳は赤と青の衣と裳に身を包み、黒い両腕の籠手と胸当てをつけて空中に浮いている。風にたなびく銀色の髪が創界神の神々しさをさらに増幅させていた。

 

永琳「でぁぁぁぁ!!」

 

ウカノミタマ《く…!》

 

永琳が拳を前に伸ばし、ウカノミタマに肉薄する。ウカノミタマは狐の尾でガードするが、すぐさま永琳は反対の手で弾く。そのスピードもパワーもさっきまでとは段違いだった。

 

ウカノミタマ《…この…!また尾で縛りあげて》

 

永琳「賢神『八卦封印』!!」

 

ウカノミタマ《あがっ!?》

 

ウカノミタマは再び九本の尾を永琳に伸ばすが、永琳の周囲に現れた八つの小さな青いクリスタルに阻まれる。そのクリスタル達は尾を防ぐと共にウカノミタマ自身にも打撃攻撃を加えた。

 

永琳「まだまだ行くわ!ふんっ!ブンッ!」

 

ウカノミタマ《っ!…キィンッ!うぐっ!》

 

永琳はクリスタルを展開したまま剣にしたエターナル・ジュエリーで斬りつける。だが永琳自身やクリスタル達はウカノミタマの防御を掻い潜り、次々とダメージを与えていった。

 

尾をかわして剣の刃がウカノミタマの白衣ごと切り裂き、クリスタル達が追撃のビームをおみまいしていく。ウカノミタマの尾や狐火はことごとくかわされるか、クリスタルに阻害されていた。

 

ウカノミタマ《このォ!来なさい!フシミイナリ!!》

 

永琳「…!こちらも!ストライクヴルム・ノヴァ!!」

 

一気に劣勢と化したウカノミタマは自らの化神『神聖冥獣フシミイナリ』を呼び出して背中に飛び乗る。永琳も『超神月光龍ストライクヴルム・ノヴァ』を召喚して後を追った。

 

お互い紫色の狐火と紅い炎や青い雷がぶつかって強烈な爆風が辺りに吹き荒れる。

 

 

ウカノミタマ《…ドガンッ!言ったはずよ!もしあなたが原初神どもを倒しても!…バァンッ!…馬神 弾は八雲 紫を選ぶ!それどころかこの月の都の人々は都を裏切ったあなたを嫌悪しているわ!…ボンッ!》

 

永琳「…ビュンッ!それで!何が言いたいの!!?…ドゴォンッ!」

 

ウカノミタマ《アイツらはあなたに感謝することもなければ!称賛することもない!あなたは何も得られないのよ!》

 

激しい空中戦の最中、ウカノミタマはそう叫ぶ。それでも永琳は攻撃の手を緩めず、ストライクヴルム・ノヴァごとフシミイナリに飛びかり、壮絶な取っ組み合いになった。

 

永琳「…私達は…!そんな事のために戦っている訳じゃない!!」

 

ウカノミタマ《ならどうしてそこまでして戦うの!?傷ついたその先に何があるのよ!?》

 

揉み合う化神から飛び上がり、両手をつかみ合いながらウカノミタマは永琳に問う。彼女はなぜ永琳が戦うのか理解できなかった。

 

そんなウカノミタマに対して永琳はニヤリと微笑み、答えを返す。

 

永琳「…そんな事…!決まってるわ!『愛と平和』のためよ!」

 

ウカノミタマ《…!!》

 

永琳「私達がこの世界の明日を創る!その思いは…!原初神をも越えるのよ!!バゴンッ!!」

 

ストライク《グォォォォォォ!!》

 

ウカノミタマ《ぐぇ!!!》

 

フシミイナリ《ゴォォォォォォンッッ!!》

 

永琳は力強く啖呵を切ると、ウカノミタマの腕を振りほどく。そしてクリスタル達と自らの拳、ストライクヴルム・ノヴァのパンチがウカノミタマとフシミイナリにクリーンヒットして吹き飛ばした。

 

ウカノミタマ《…ァァァァ!!魔導『流し灯…っう!?》

 

永琳「…!バッ」

 

態勢を立て直したウカノミタマはフシミイナリの背で再び黒いエネルギー球を作る。しかし突如下から飛んできた白い弾丸がエネルギー球を霧散させた。

 

永琳が驚いて下を見る。いつの間にか月の都から外れてクレーターだらけの月面を飛んでいた二人の下…戦意の無い妖怪や式神達の中央に大きなライフルを構えた一匹の玉兎がいた。

 

鈴仙「師匠!援護します!『幻朧月睨(ルナティックレッドアイズ)』砲弾version!!」

 

霊夢「星符『雷星封印』!!」

 

魔理沙「星符『銀河群龍(ダイナギャラクシー)』!!」

 

咲夜「奇術『ミスディレクション』!!」

 

妖夢「断氷剣『無限地獄(コキュートス)』!!」

 

アリス「魔糸『王羽緋糸(オーバーヒート)』!!」

 

蓮子「『パイロキネシス』!!」

 

フシミイナリ《ゴォォォォンッッ……!》

 

月面からの総攻撃がフシミイナリに次々と当たり、フシミイナリは絶叫をあげて爆散した!

 

隠岐奈「さぁて…!永琳!これを!ヒュンッ!」

 

フラン「ありがとー!強かったよ~!ヒュンッ!」

 

幽々子「…ヒュンッ!」

 

妹紅「ははっ!ヒュンッ!」

 

神奈子「…決めろ!オモイカネ!ヒュンッ!」

 

続けて五人が一枚ずつカードを永琳めがけて投げ渡す。それは永琳の化神である月の龍達…そのカード達が永琳の懐から出てきた一枚と一緒に永琳の周りに集まる。

 

永琳「…コクンッ…集え!我が化神達!!」

 

ストライク達《シャァァァァァァ!!!》

 

永琳が神力を放出して化神達を実体化させる。六色のストライク達が永琳を中心に六角形を描き、永琳の背後にストライクヴルム・ノヴァが収まった…

 

……そしてエターナル・ジュエリーを構え、炎の矢をつがえる…!

 

永琳「……星符……『紅蓮月花』!!!」

 

ウカノミタマ《く…!魔導『流し灯籠』!!》

 

ストライク達の攻撃を吸収した永琳の矢が放たれる。六色の光を纏って飛んでいく矢はウカノミタマの黒い球群を貫き、ウカノミタマの腹に命中した!

 

ウカノミタマ《ぎゃ!…う、うそ…つ…つく…よ…み…ガクッ》

 

永琳「…ガシッ……」

 

力を失い落ちていくウカノミタマの手を永琳は握りしめる。やろうとすれば彼女の胸を射ぬくこともできたが、永琳はわざとそれをやらなかった。

 

永琳「…後で…ちゃんと伝えなさい…」

 

鈴仙「師匠~!」

 

輝夜「え~り~ん!!」

 

永琳「…ふふっ…!」

 

月面から今度は明るい声が聞こえてくる。永琳はウカノミタマの手を握ったまま、下へ降りていった。

 

 

 

 




はい。ありがとうございました。

この永琳は『分神』という訳ではありません。永琳自身の創界神としての姿『創界神オモイカネ』の姿です。

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