東方星神録   作:あんこケース

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最終八章~女神帰還~
創界神の王


どこかの時間軸 どこかの戦場

 

 

ゼウス=ロロ《どうした!?インディーダの最高神とはそんな程度か!?》

 

ブラフマー《くそぅ!》

 

シヴァ《やっぱり気に入らねぇ!!》

 

ヴィシュヌ《…クリシュナ!アレックスを頼む!》

 

とある世界のとある荒野……そこでは強大な雷を迸らせてそびえる一柱の創界神…ゼウス=ロロがいた。彼に向かい合っているのは『インディーダ』のトリムルティ達……だが明らかに疲弊の色が見えていた。

 

アマテラス《この愚弟ども!ゼウス=ロロに味方して!》

 

ツクヨミ《…姉上!こちらこそアマハラが栄える道です!》

 

スサノヲ《それに…!こっちの方が楽しめそうだしな!》

 

ウカノミタマ《ツクヨミ、援護するわ》

 

また別の一角では『アマハラ』の創界神達が言い争っている。お互い姉弟からか手を出すまでには至っていない…だが何時火花が着火するかわからないほどヒートアップしていった。

 

ポセイドン《…むぅ…姉さん、良く考えてみてはいかがかな?》

 

ヘラ《…うちの役目はゼウスを支えること。それは変わらんで!》

 

アレス《標的。アテナ並びに裏切り者の創界神達》

 

アテナ《……スチャッ……》

 

ヘルメス《…あー…このショタ!この前はよくもやってくれたねぇ!》

 

ヘファイストス《ゴキゴキ…今日は機械の調子が良いんだ。覚悟した方が良いよ!》

 

デュオニソス《……ニヤニヤ……》

 

アプロディーテ《…?…とにかく…片付けますか…》

 

一番大きく割れて戦闘状態になっているのはオリンの創界神達。アマハラとは違って既に光弾を撃ち合ったり、武器をぶつけたりしている。

 

アポローン《よし、アルテミス。俺たちはアマテラスの援護に向かうぞ!》

 

アルテミス《オッケー!》

 

トト《…さて…ホルス、僕たちはどうする……ホルス?》

 

ホルス《…なんか…!!やべぇ風が吹いてきた…!!なんだこの風…!?》

 

残りのアポローンとアルテミス兄妹は一VS多数のアマテラスの援護に向かっていく。エジット勢の二柱の内、ホルスは何やら近づいてくるものすごい『力』を感じ取っていた。

 

アレックス《まだだ!僕たちのロロを返してもらう!》

 

マナカ《待って!アレックス!》

 

アンターク《あまり挑発しない方が…》

 

ケイ《…!…来るぞ!!》

 

ゼウス=ロロ《愚かな…!逆賊アレックスよ!裁きの雷をくらえい!!》

 

 

『ウル』の創界神の先頭に立ってアレックスはグラン・デーヴァの刃先をゼウス=ロロに向けて叫ぶ。格下の創界神にゼウス=ロロは不快に雷を落とそうとした……

 

 

???《 そこまでだ、お前達

 

 

アルテミス《…ん!?》

 

ヘルメス《…誰だ…?》

 

ヘファイストス《…でもスゴい神力…!》

 

…その時、戦場の端から太く響き渡る声が戦場に響き渡る。全創界神が膨大な力に振り向くと、そこには黒地に黄金のアーマーを纏った初老の男性が歩いてくるところだった。

 

ヘラ《…え…ええ!?Σ(Д゚;/)/》

 

ツクヨミ《…な、なぜあなた様が…!?》

 

スサノヲ《………やっべ……》

 

???《…お前達!何を勝手に戦争を引き起こしているのだ!!恥を知れ!!

 

その男性に心当たりのあるヘラ、ツクヨミ、スサノヲは顔を青くして怯え始める。それに構わず彼は野太い声で怒鳴り付けた。

 

クリシュナ《…ヴィシュヌ様…あちらの方は…?》

 

ヴィシュヌ《……アマハラ所属…星と命を創界神、タカミムスビさんだ…最古の創界神にして最強の創界神でもある》

 

タカミムスビ《…さて…今ここにいる全創界神達に告ぐ!この世界を支配する権利は誰にもない!よって神世界全ての勢力図を『創界大戦』前までに戻すことを要求する!!》

 

タカミムスビを知っているインディーダの『トリムルティ』達が彼を知らないアレックスやクリシュナ達に紹介する。その紹介が終わらぬ内に、タカミムスビは戦場に自らの要求を響き渡らせた。

 

アレス《ふんっ…何処の誰だか知らんが…わざわざ獲得した世界を返せ?ふざけるな!》

 

ヘラ《まちぃ!アレス!》

 

だがその要求に納得できないアレスはランパートブレイカーをタカミムスビに振り下ろそうと迫る。ヘラは焦って止めようとするも、もう間に合わなかった。

 

タカミムスビ《…はっ!》

 

アレス《ガァ!!?》

 

ヘファイストス《……へ…?》

 

アテナ《…軍神のアレスを……一撃で…》

 

サラ《…て言うか…なに…したの…!?》

 

古株創界神の案の定、振り下ろされたランパートブレイカーはタカミムスビに当たる寸前で止まり、返しの衝撃波がアレスを大きく後ろへ吹き飛ばしていった。

 

これにより創界神であるアレスを、手も触れずに瞬殺したのを見た若輩創界神達はタカミムスビの強さを思い知った。

 

タカミムスビ《…まったく…手のかかる犬だな…ツクヨミ、スサノヲ、そしてゼウス。お前達はどうする?》

 

スサノヲ《………俺達は…!もうあんたの後ろについてく子供じゃねぇ!恩人のあんただろうと…!倒す!!》

 

ツクヨミ《…申し訳ありませんが…スサノヲの意見に賛成です》

 

ゼウス=ロロ《…今の我は全知全能!タカミムスビさんだろうと敵ではないわぁ!》

 

三柱はそう言って炎の剣、小太刀と陰陽札、凄まじい電撃を構えてタカミムスビに相対する。並の創界神ではまともに立つことも難しいエネルギーが放たれているが、タカミムスビは意に介さずため息をついていた。

 

 

タカミムスビ《…はぁぁ…なら好きにしろ…!》

 

スサノヲ《行け!ヤマタハイドラノカミ!!》

 

ツクヨミ《切り裂け!スメラギンガ!!》

 

ゼウス=ロロ《潰せ!グラン・ロロ・ドラゴレオン!》

 

三柱の背後にそれぞれの化神が地響きをたてて現れる。ヤマタハイドラノカミが尻尾の剣を、スメラギンガが刀を、ドラゴレオンが牙を光らせてタカミムスビに襲いかかった。

 

タカミムスビ《…パチン…射ぬけ…!!》

 

ヤマタハイドラノカミ《ギャァァァ!バタンッ……》

 

スメラギンガ《…ギギガギ…!ズズンッ……》

 

ドラゴレオン《グォォォォ…!!ドガンッ…》

 

しかしタカミムスビは冷静に弓を取り出すと、三本の矢をつがえて化神達へ放つ。その矢は全て化神の腹に命中し、三体とも悲鳴をあげて倒れ込んだ。

 

アプロディーテ《…ほら…言わんこっちゃない…》

 

ホルス《…すげぇ……》

 

スサノヲ《…っっ…!おらぁぁぁぁ!!》

 

ツクヨミ《…ブツブツブツ…!行け!十式戦鬼達よ!》

 

タカミムスビ《…無駄だ…ふんっ!》

 

化神が倒されたスサノヲは炎の龍や水の龍、ツクヨミは紫色の騎兵式神を呼び出してぶつけていく。だがタカミムスビは手をかざすだけで弾き飛ばしながら歩いて接近してきた。

 

タカミムスビ《…ガシンッ……グラン…スラッシュ!!》

 

スサノヲ《…ぐぇ……!》

 

そしてとうとうタカミムスビはスサノヲを殴れる位置にまで接近し、剣に変形させた弓でスサノヲを袈裟斬りにした。スサノヲは剣ごと斬られて仰向けに倒れる。

 

タカミムスビ《…夢想……封印!!》

 

ツクヨミ《…ぎゃ…!!》

 

次にタカミムスビは手をツクヨミに向けて虹色の弾幕を撒き散らす。その弾幕はツクヨミの十式戦鬼達を軽く蹴散らしてツクヨミを包み込んだ。

 

タカミムスビ《……チラッ…あとは……》

 

ゼウス=ロロ《…ぬぅぅぅ!降り注げ!雷よ!!》

 

最後にタカミムスビはゼウス=ロロへ歩き出す。彼の気迫に気圧されたゼウス=ロロだったが、気を取り直して空から雨あられと雷を降らせた……が…

 

 

タカミムスビ《……イルミネーションには使えそうな電気だな》

 

ゼウス=ロロ《……マジか……》

 

タカミムスビ《…俺の化神よ!この世界に平和をもたらすのだ!》

 

爆煙の中から無傷のタカミムスビとその背後に一体のドラゴンが現れる。そしてタカミムスビの号令と共に背後のドラゴンがゼウス=ロロに咆哮した。

 

 

タカミムスビ《やれぇい!!超龍騎神グラン・サジット・ノヴァ!!》

 

 

 

 

 

世界のどこか

 

 

???《くそっ!まさか月の都が落とされるとは…!!》

 

豪華なイスに座り込んでそう喚く謎の男…有能な手足だった霊奈やウカノミタマが倒され、いよいよ手駒が無くなってしまった。

 

???《…崩神もあと一柱…アイツだけで倒せるとは……!…いや待て……》

 

謎の男は爪を噛んで次の作戦を練っていると、ふと何かを思い出した。彼の頭で組み上げられた案を彼自身で反芻し…男は再び黒い笑みを浮かべ始めた。

 

???《…フフフ…これならばどれだけ創界神がいようと問題無い。奴らは本気で動けんからな……せいぜい良い動力源になってくれよ……

 

 

 

 

 

……アマテラス?》

 

 

 

 


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