東方星神録   作:あんこケース

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3つの戦場

魔法の森 上空

 

 

霊夢「…見えたわ!」

魔理沙「なんじゃありゃ!?」

 

咲夜「あれが八咫烏…!」

 

永遠亭の飛び出していった一同が目にしたのは何とも言えない光景だった。いや…情報では理解できているのだが、理性が追いついて来ないからかもしれない。

 

そこにいたのは黒い飛行機にも匹敵する大きさのカラスだった。太陽神アマテラスの使いの八咫烏だったが、意識はなく当たり構わず火炎弾を撒き散らして暴走している。

 

 

八咫烏《 キョェェェェェェェ!!!

 

ツクヨミ《…っ…!おい!八咫烏!私だ!!》

 

スサノヲ《…聞こえてねえか…》

 

カグツチ《もうこれ暴走してるよ!》

 

永琳「とにかく!周りに被害を出さないように!!相手の攻撃を打ち消す者と攻撃する者に分かれなさい!!」

 

『アマハラ』の創界神が語りかけるも八咫烏は奇声をあげて炎の撒くだけだった。永琳の声で全員は空や地面に散りぢりに解散していく。

 

レミリア「…八坂 神奈子!確か八咫烏は地霊殿の覚妖怪の所に居なかったか!?」

 

神奈子「……まさか…!誰か!八咫烏の体内を覗ける者は!?」

 

アリス「………!あなたの予想通り!この怪鳥の中に二つの生命エネルギーがあるわ!たぶん例の地獄烏よ!」

 

アルテミス《…()()…って…もうひとつは…》

 

スサノヲ《十中八九姉貴だろ!》

 

八咫烏《 ギョェェェェェェェ!!!

 

レミリアの声に魔法使いのアリスの目はその答えを返す。そんなやり取りも気にせずに八咫烏が口から炎を吹いてきた。

 

妖夢「斬っ!!」

 

映姫「はいっ!」

 

紫「…パチン!!」

 

妖夢が氷の剣で炎を切り裂き、映姫の結界が炎を弾き、紫がスキマを開いて受け流す。それでも放たれた炎の半分程度しか対象出来ず、残りが辺り一帯を燃やしていった。

 

文「…まずっ!風符『爆風大渦(ソニックブラスト)』!!」

 

永琳「水瓶座『アクエリアス・D・カッター』!!」

 

妹紅「海龍『八岐大蛇』!!」

 

燃え盛る炎を消火するため文の竜巻や永琳の水の斬擊、そして妹紅の水竜の群れが森に降り注ぐ。だがその最中にも八咫烏は炎を吐いて火の海を広げていった。

 

咲夜「…どうしよう…このままじゃあ…」

 

シヴァ《なぁ!ツクヨミ!お得意の術式でどうにかならねぇのか!?》

 

ツクヨミ《…私の陰陽術に意識のコントロールを奪取するものはあるが…!いかんせんデカさがデカさだ…!》

 

藍「…なら私もお手伝い致します!式を編むならば得意中の得意ですから!」

 

八咫烏の周りを飛び回りながら藍と体内のツクヨミは術式の計算に取りかかる。八咫烏に次々とお札が張られ、そこから膨大な数式が浮かび上がってきた。

 

藍「……はぁぁぁぁ!」

 

ツクヨミ《…ブツブツブツブツブツ…!》

 

八咫烏《 ギャェェェェェェェ!!!

 

そして藍は八咫烏の前に躍り出て、力を込め始めた。そうしている間にも火の海は広がり、その炎もまるで生きているかのように燃え盛る。

 

藍「…この幻想郷を…!灰にはさせん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻 有頂天

 

 

天子「あはは!!そぉれぇぇ!!」

 

さとり「…あらあら。お空ったら張り切っているわね」

 

ここは有頂天。雲より高い山のてっぺんの草原に二人の少女が立っていた。雲間から見える八咫烏を見て、天子とさとりはニヤニヤしている。

 

早苗「着きました!」

 

袿姫「…居たぞ!奴らだ!!」

 

天子「…ふーん、案外早く来たわね!」

 

さとり「…なるほど…馬神 弾が…」

 

そこに雲を突っ切って来た早苗と袿姫が二人の前に着地する。天子は面白そうに緋想の剣を構え、さとりはサードアイから情報を読み取った。

 

 

袿姫「先手必勝だ!線形『線形造形術』!!」

 

天子「上等!剣儀『気炎万丈の剣』!!」

 

すぐさま袿姫は前方にレーザーを網型に発射して天子を取り囲む。対する天子は緋想の剣を巧みに操り、レーザーを切り落としていった。

 

天子「ほらぁ!ガキィンッ!!」

 

袿姫「くっ!何の!」

 

天子は要石を浮かべながら剣を振るう。袿姫も目にも止まらぬ速さで埴輪を造ると、彫刻刀の平刀と共に天子の攻撃を受け止めた。二人の上で注連縄を巻いた岩々と刀や槍を持った埴輪兵隊がぶつかり合う。

 

早苗「開海『海が割れる日』!!」

 

さとり「…ヒュンッ…想起『エクスパンデット・オンバシラ』!」

 

早苗がさとりの両脇を青い光線で塞ぎ、赤い光線をさとりめがけて放つ。さとりはサードアイに手をかざして早苗の記憶から神奈子のスペルカードを読み取り、赤いエネルギー柱で相殺させた。

 

早苗「…神奈子様の…!」

 

さとり「…うふふ…まだまだありますよ…?」

 

 

 

 

 

 

 

永遠亭 病室

 

 

へカーティア《…っていうのが私と純狐の出会い。あの時はあの娘すんごく荒んでいたのよ》

 

弾「…へぇ~…」

 

豊姫「…知りませんでしたね…」

 

依姫「…『嫦娥』様から聞かされた話とだいぶ違いますね。ずいぶん改変されていたのですね」

 

その頃、病室の弾達はへカーティアから純狐との出会いのことを聞かされていた。綿月姉妹は月の都で聞いていた話とかなりの解離があったので『嫦娥』がいかに真実を語らなかったかが良く分かる。

 

へカーティア《…さて…!お次は弾!あなたとまゐちゃんの馴れ初めよ!》

 

豊姫「あ!私も聞きたいわ!」

 

依姫「…どんな運命的な出会いを…!?」

 

弾「…えぇ…!?」

 

ビシッとへカーティアの人差し指が弾に向けられる。綿月姉妹も座っていたイスから身を乗り出して弾に迫った。

 

サラ《…ガチャ…失礼するわ》

 

弾「…!あんたか…どうした?」

 

サラ《…ブラフマーのことよ。あなた…何か知っていない?》

 

その時病室に入ってきたのは戦いに行かなかった創界神サラスヴァティーだった。最初からつっけんどんな顔と声色で弾の前にツカツカと歩いてくる。

 

弾「…何で俺に聞く?」

 

サラ《さっきあの緑髪の巫女に指示していたことを聞いたわ。あの洞察力…ヴィシュヌやアテナを越えてるわよ》

 

弾「……さぁね?そこまで気になるなら戦場へ行ったらどうだ?」

 

車イスの弾を見下ろしながらサラスヴァティーは尋問するように尋ねる。だが弾は首の後ろに手をやって、皮肉で返す。実際サラスヴァティーが戦ってくれないことが弾達は不満だったのだ。

 

サラ《別にアイツらが死のうがどうなろうが、私はブラフマーさえ無事なら良いの。さっさと教えなさい……今の状況を考えた方が身の得よ?》

 

弾「脅迫か?ならブラフマーが死のうがどうなろうが俺には関係無いな」

 

サラ《この…!何でどいつもこいつも……!》

 

へカーティア《…珍しい…弾がここまで冷淡な対応をするなんて……》

 

サラスヴァティーの殺気立つ要求も弾の表情を崩すことはできなかった。あからさまに語気を変えて弾は軽くサラスヴァティーを突っぱねる。

 

弾「…たとえ知っていようと…あんたには教えたくないな」

 

サラ《…何ですって…!?》

 

弾「……あんた…人が怖いんだろ?腹の中で何を考えているかわからない。だから『仮面』を被り、自分自身を守ろうとしている」

 

サラ《………………》

 

弾「…もしその答えを知りたいなら……まぁここで待ってみな。すぐに答えは舞い込んでくるよ」

 

 

同じ部屋の綿月姉妹にへカーティア、そして霊奈やウカノミタマすら置いてきぼりにして弾は語る。一応弾の誘いに乗ったのか、サラスヴァティーは鋭い目のまま、空いていたイスに足を組んで座った。

 

 

サラ《…勘違いしないで。私は私の欲のために待つ》

 

弾「……ふふふ…」

 

霊奈《…!…あの目は…()()()と同じ…!?》

 

ウカノミタマ《……耳が痛いわ…私も……怖い…》

 

つり目のサラスヴァティーは弾をにらみつけてそう宣言する。そんな会話を霊奈とウカノミタマは隅のベッドで聞いていた。思うことは違うが、弾の言葉に少なからず影響を受けているようだ。

 

 

弾「…依姫、実は少し頼まれてほしいんだ」

 

依姫「へっ!?は、はい!何ですか?」

 

弾「とある神を降ろしてほしい。気になってることがあるから」

 

サラスヴァティーと話し終わると、弾はもはや部屋のインテリアと化していた依姫に声をかける。依姫がビクッと背筋を震わせて反応したら、弾が『神降ろし』をしてほしい…つまりどこかの神と話したいと頼まれた。

 

依姫「それは出来ますが……どちらの神様ですか?」

 

弾「それはな………とある魔界神さ」

 

 

 

 


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