東方星神録   作:あんこケース

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最近ずっとアマテラス様のこと考えてたから、お気に入り創界神がツクヨミからアマテラス様に移りそう。あの神々しさとか…


アマハラ3姉弟ぶらり散歩

その頃 迷いの竹林

 

 

アマテラス《…ん~…良い子がいないわねぇ~》

 

ツクヨミ《…姐上…いったい何を…?》

 

スサノヲ《……姉貴が自分から外に出歩くなんて…何年ぶりだ…?》

 

弾達が命蓮寺への道を歩いている頃、『アマハラ』の三大創界神は何の行く宛も無しに迷いの竹林を歩いていた。

 

正確に言うならば『アマテラスに連れられて弟二人もついて来た』の方が正しいだろう。一見姉弟水入らずの散歩だが、ツクヨミとスサノヲが出歩くということは当然『依り代』もついていかなければならない訳で………

 

藍「……テクテク……(無表情)…」

 

妹紅「……(ものすごく緊張した顔)……」

 

…とまぁ…さすがに自分の出身国の(藍は不明だが)最高神達と散歩するなら、こうなるだろう。二人はアマテラスの両脇に従者の如くきっちりと背筋を伸ばして付き添っていた。

 

アマテラス《…ねぇ藍ちゃん?》

 

藍「…ビクッ!…は、はい!な、なんでございましょう?」

 

アマテラス《…少し変わった妖怪…そんな子に心当たりはある?》

 

藍「…変わった妖怪…でしょうか…?ええと……ぇぇ……」

 

そんな二人にとって拷問にも等しい空気をアマテラスは地獄へと変えた。急なアマテラスの質問に藍は子狐のように身体を震わせ、急いで答えをだそうと頭をフル回転させる。

 

だが『変わった妖怪』というのはかなり抽象的な表現。理系の藍は適当な人物が出てこず、焦りを募らせていく……

 

ツクヨミ《…姐上、なぜその『変わった妖怪』を?》

 

スサノヲ《…そしてな姉貴…あまり藍ちゃんや妹紅を怖がらせないでくれよ。二人とも処刑台に送られる罪人みたいな顔だぜ?》

 

アマテラス《あら?最初に「別に特別扱いしなくて良いから」って言ったのだけど…チラッ》

 

藍「…ピタッ…!」

 

妹紅「…ピタッ!」

 

アマテラス《あ、あれ?二人とも…これだるまさんが転んだじゃないわよ?》

 

もう死にそうな顔の藍を見かねてツクヨミとスサノヲがフォローに入る。それに当のアマテラスは立ち止まり、振り返って藍と妹紅の顔を覗き込むが、またもや二人を萎縮させてしまった。

 

 

アマテラス《……もし緊張させてしまったのならごめんなさい。私が探しているのはあなた達のような『依り代』なのよ》

 

妹紅「…へ、へぇ…そのために『相棒』となる妖怪を。するとアマテラス様も御出陣を?」

 

アマテラス《当然です。仮にも私は『主神』、臣下が戦っているのに動かない訳にはいきません》

 

アマテラスは話題を作って二人と話そうとさっきのツクヨミの疑問に答える。妹紅も前からスサノヲと接してきたからか、アマテラスの会話にどうにか答えるようになってきた。

 

藍「…ですが…なぜ『変わった妖怪』を探しておられるので?既に我らの勢力には十分良い妖怪達がおりますが…?」

 

アマテラス《…ん~藍ちゃんは経験したと思うけど、私の力は大きすぎて普通の妖怪じゃ身体がもたないのよ。七曜の魔女や萃める鬼、綿月の姉も良い子達なんだけどねぇ…》

 

妹紅「…強いのも大変なんだな…」

 

藍《…あの膨大な神力…鬼で最強格の萃香でももたないとは…!》

 

アマテラスはため息をついてまた歩き出す。彼女の言葉に藍は先日のアマテラス降臨時の衝撃波を思いだし、改めて彼女の強さを理解した。

 

 

だからだろうか…()()の反応に一歩遅れたのは。

 

 

???「死ねぇぇぇぇ!!!」

 

藍「…!!アマテラス様」

 

妹紅「な!?や」

 

アマテラス《…ん?》

 

 

ガキンッッッッッ!!!

 

 

突如竹林から飛び出してきた人影がアマテラスに襲いかかった。気を緩めていた藍や妹紅が反応出来ないうちに、その手に握られたハンマーのような物がアマテラスの眉間に振り下ろされた……

 

 

アマテラス《…ペシッ…》

 

???「ぐぇ!…ドゴンッ……シーン…」

 

藍「危な……い……」

 

妹紅「べ…ぇ………え?」

 

スサノヲ《姉貴は常時神力のバリアを張ってんだ。白の創界神だから相当かてぇぞ?》

 

ツクヨミ《だから不意打ちでも姐上を傷つけることはほぼ不可能だ》

 

……が傷どころか衝撃すら無いのか、アマテラスはハンマーを食らっても何事も無かったかのようにピンピンしている。そして彼女は右手で虫を払うように人影を弾いた。

 

人影はそのまま飛び出してきた方へ吹き飛び、竹にぶつかって気絶する。対してアマテラスは何故か嬉しそうに眉間を撫でていた。

 

アマテラス《…わぁ~!暗殺者に襲われるなんて初めて!》

 

ツクヨミ《いやいや姐上!喜ぶことですか!?》

 

スサノヲ《…それは何時も引きこもってるからだろ…》

 

妹紅「……心配して損した…」

 

藍「………」

 

インドアで普段は出歩かないからか、アマテラスは暗殺とはかなり疎遠な神だったようだ。もはや慣れている弟二人は呆れ果て、藍と妹紅は顔をピクピクとひきつらせていた。

 

 

藍「…む?この者…もしや…」

 

スサノヲ《何だ?この妖怪と知り合いなのか?》

 

藍「…いえ…ただコイツはお尋ね者として有名なだけです…確か名前は………」

 

アマテラス《…ジー…トコトコ…もしも~し?起きて~?》

 

妹紅「ちょ!危険…じゃあ…ないか……」

 

藍が襲ってきた人物を思い出そうとしていると、何かを感じ取ったアマテラスが倒れた暗殺者を起こそうとする。

 

???「…ん……げ!」

 

アマテラス《ガチッ!ちょっと待って!あなた…名前は?》

 

???「…ジタバタ!離せ!この!誰が偉そうな奴に名乗るか!!ジタバタ!」

 

目を覚ました暗殺者の肩をアマテラスはがっちりと掴み、顔を覗き込む。その腕力は相当強いようで、妖怪であろう暗殺者ですらまったく動くことが出来ない。

 

もがく彼女の黒髪に混じった赤と白のメッシュ、そして鬼より小さな二つの角が彼女の種族を露にしていた。

 

ツクヨミ《…ふむ…姐上、其奴はたぶん『天の邪鬼』かと》

 

アマテラス《天の邪鬼!へぇ~…サグメちゃんの下位互換みたいな妖怪だったかしら……うん…!決めた!》

 

正邪「ちっ!あぁそうだよ!私は反逆の天の邪鬼!鬼人 正邪様だ!わかったらとっとと離せぇ~!!」

 

ようやく名乗ったら正邪が必死にもがくが、当のアマテラスは軽く押さえ込んで正邪を逃がさない。それよりもアマテラスには気になっていることがあるようで、正邪を見つめて頷いた。

 

スサノヲ《…ん?姉貴…どした?》

 

妹紅「そんな小物に関わってたら時間がもったいないんじゃ…」

 

ツクヨミ《……あ…あれは何か変なことを思いついた顔だ…!》

 

藍「…なんだか…嫌な予感が……」

 

いまだに正邪から離れないアマテラスを不審に思ったこの四人……そしてツクヨミと藍の不安は、次のアマテラスの一言で見事に的中することとなった。

 

 

 

アマテラス《ねぇ、正邪ちゃん……

 

 

 

……私の『依り代』になって、一緒に戦ってくれない?》

 

正邪「………は?」

 

四人「……え?」

 

…迷いの竹林の空気が一部止まった瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい。ありがとうございました。

アマテラスの相棒はお空だと思った?残念!正邪でした!

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