東方星神録   作:あんこケース

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…陰陽童…まさかまたお前に苦しめられるのか…!!?


カリスマ吸血鬼VS邪仙

命蓮寺裏手 墓地 レミリアVS芳香&青娥

 

 

レミリア「…ガシッ!でぇい!ブンッ!」

 

芳香「わー!バゴンッ!」

 

青娥「…チッ…馬鹿力に定評がある吸血鬼…侮り過ぎましたか…」

 

 

命蓮寺の境内から少し離れた場所、いつもは小傘などが掃除をしている墓地ではレミリアと芳香、青娥が戦闘を繰り広げていた。

 

キョンシーとしての異常な怪力で芳香はレミリアに組みかかるが、吸血鬼に加えて『分神』したレミリアは素手で芳香を受け止める。そのまま芳香は投げ飛ばされ、近くの墓石を砕きながら地面に転がった。

 

 

青娥「…ならば翻弄するまで。仙術『壁抜けワームホール』ヒュンッ!」

 

レミリア「…!ちょこまかと…!」

 

ディオニュソス《オーオー…墓石をすり抜けるとは。毎度幻想郷の奴らは変な能力持ってるねぇ~》

 

直接の殴り合いでは勝ち目無しと判断した青娥は自らの髪をとめていた簪を抜き取る。それを近くの墓石に突き刺すと、スルリと青娥の身体が硬い墓石をすり抜けた。

 

そのまま青娥は次々に別の墓石をすり抜けてはまた別の墓石に入り、レミリアを翻弄し始める。呑気にディオニュソスが彼女の能力に感心している一方、レミリアは鋭い目で青娥を視界に捉えようと首を四方八方に向けた。

 

 

青娥「…仙術『ウォールランナー』!!」

 

芳香「だぁ~!毒符『ゾンビクロー』!!」

 

レミリア「…ディオス=フリューゲル!」

 

ディオニュソス《ほいっ!》

 

隙を見せたレミリアに青娥は左右にエネルギーの壁を作りだすと、レミリアをプレスしようと壁を動かす。さらに芳香が戻って来て、腐った両腕の爪でレミリアを切り裂こうとした。

 

 

レミリア「…スピア・ザ・グングニル!パシッ!…来い!」

 

 

ガキィィィンッッッッ!!!!

 

 

青娥「………は……?」

 

芳香「うー!こいつ~!バカみたいに力強い~…!」

 

レミリア「ふんぬぬぬぅぅ!」

 

なんとレミリアは左手に生成した愛槍『グングニル』の両端を迫ってくる壁に突き刺して動きを止め、右手の『冥府神剣ディオス=フリューゲル』で芳香の爪を受け止めていたのだ。

 

ディオニュソス《ふゅ~♪やるね~♪》

 

レミリア「ギギギ…当然…よ!!!星符『アリアドネ・オブ・クラウン』!!」

 

芳香「ぎゃー!!!」

 

青娥「っっ!!」

 

ディオス=フリューゲルがおどろおどろしいオーラを放ちはじめると、レミリアは芳香の爪を弾いて止めていた両壁ごと芳香をぶったぎった。壊れた壁の破片やあまりの衝撃に距離を取っていた青娥も顔に手を当てて、踏ん張る。

 

青娥「…ふぅ…ひとまず退散」

 

レミリア「シュタッ!どこにだ?邪仙?」

 

ディオニュソス《フハハッ!残・念☆!》

 

不意打ちさえも聞かないレミリアから、青娥は倒れた芳香を放置して撤退しようとした。だが小さなコウモリの群れに姿を変えられるレミリアは青娥を認識し、即座に彼女の行く手に立ちふさがった。

 

 

青娥「あ、あらぁ~…さすがは最強の吸血鬼様。物理的には勝てませんわ」

 

レミリア「ならカードでなら勝てると?面白い」

 

青娥「…では…お相手いたしましょう」

 

 

レミリア 青娥「「ゲートオープン!界放!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青娥「お先に。メインステップ。『前鬼』を二体召喚しますわ。これでターンエンドです」

 

優雅な口調で青娥はゲームを開始する。フィールドには小さな鬼が二体召喚され、お互いの爪を研いでいた。

 

レミリア「メインステップ。酔い狂う創界神!『創界神ディオニュソス』を配置する!神託の効果で対象カードが二枚、トラッシュへ落ちた。よってコアを二個追加する」

 

ディオニュソス《続けて来な『冥府石像ボーン・ガルグイユ』。俺の『神域』で維持コアはゼロだ》

 

 

後手のレミリアはまず背後にディオニュソスを、そしてフィールドには骸骨の小型ドラゴンを呼び出す。ディオニュソスの加護を受けた『無魔』のボーン・ガルグイユはコアゼロ個でも、生き生きしていた。

 

レミリア「ターンエンド。お前の番だ」

 

青娥「それではメインステップ。ネクサス『千本槍の古戦場』を配置しますわ。バーストも伏せましょう」

 

青娥のフィールドが、荒れ果てて人骨や槍があちこちに散乱する荒野へと変わる。

 

青娥「…ターンエンドです」

 

レミリア「…ふむ…メインステップ。バーストをセットして『冥府貴族ミュジニー夫人』を召喚する。召喚時に二枚ドロー」

 

ディオニュソス《あのねーちゃん、何がしたいと思う?…ミュジニーちゃん?》

 

レミリア「おいおい、突然話をふるな。緊張でビクビクしているぞ」

 

ボーン・ガルグイユの隣にこれまた骸骨の中世貴族風な貴婦人が現れて、レミリアの手札を増加させる。骸骨にもかかわらず、その一挙一動は丁寧だったが、ディオニュソスが質問した時にはあたふたとしていた。

 

その様子はレミリアが助け船を出すほど、困り果てていたようだった。

 

レミリア「…アタックステップ!『ボーン・ガルグイユ』で攻撃!自身の効果でBPプラス5000!!」

 

青娥「『千本槍の古戦場』レベル1効果、相手のスピリットが疲労したことにより、一枚ドロー。そのアタックは『前鬼』で受けましょうか」

 

『ボーン・ガルグイユ』がガラガラと鳴いて翼を広げる。そして骨だけの爪で一体の『前鬼』の身体を切り裂いた。

 

青娥「『前鬼』の破壊時効果。手札から『陰陽皇リクドウ』を棄てて一枚ドローします」

 

レミリア「…続けて『冥府貴族ミュジニー夫人』でアタック!」

 

青娥「これはライフで受けましょうか」

 

レミリアはさらに『ミュジニー夫人』に攻撃を命じる。優雅に舞い上がった『ミュジニー夫人』は手から紫色の球を投げつけて、青娥のライフを破壊した。

 

レミリア「ターンエンドだ」

 

青娥「…そろそろ…メインステップ。『紫煙獅子』を召喚。召喚する際、私のデッキから三枚をトラッシュに置くことで、コストをマイナス3します」

 

青娥は紫煙を纏ったライオンを召喚し、ようやくトラッシュを肥やすことができた。落ちたカードを見て青娥は妖艶に微笑む。

 

青娥「…うふふ…マジック!『反魂呪』を使用!トラッシュから『夜族』をコストを支払わずに召喚しますわ!死体操る陰陽師!『陰陽皇リクドウ』!」

 

レミリア「…へぇ…そういうこと…」

 

青娥が手札から発動したマジックによって、フィールドに黒い穴が開かれる。その中から錫杖と仮面をつけた陰陽師が不気味な呪文と共に現れた。

 

そして『リクドウ』はどす黒いオーラを撒き散らして錫杖をレミリアの方へ突きつけた。

 

青娥「アタックステップ!『リクドウ』でアタック!レベル2のリクドウは、アタック時にトラッシュから紫のスピリットを一体甦らせる!召喚!『魔界七将パンデミウム』!」

 

ディオニュソス《…リバイバル前の『パンデミウム』か…ふーん…そういう戦法か…》

 

『リクドウ』が錫杖を振り回し、反対の指を立てて顔の前に持ってくる。そのまま何かの呪文を唱えると、先ほどの黒いモヤが下半身が蛇の悪魔に変化していった。

 

蛇の悪魔…『パンデミウム』は大きな鎌を出現させ、残った鎌を振り払う。

 

青娥「さらに相手の手札を一枚破棄!ヒュンッ!」

 

レミリア「…チッ…ライフで受ける!」

 

青娥が手から小さなエネルギー弾を放ってレミリアの手札を撃ち抜く。そして『リクドウ』が錫杖をレミリアのライフに叩きつけた。

 

青娥「まぁこんなものでしょう。ターンエンド」

 

レミリア「やったな…!メインステップ!『冥府骸導師オー・ブリオン』を召喚!召喚時効果で手札/トラッシュから『冥府』かつコスト8以上のスピリットを召喚するぞ!」

 

ディオニュソス《『冥府三巨頭』だよ!全員集合~!》

 

反撃にレミリアが召喚したのはボロボロの洋服に杖をもった骸骨の魔法使い。『オー・ブリオン』の杖が怪しく光り、地面を砕いて『冥府三巨頭』の三体が這い出してきた。

 

何本もの腕を持った仏像のような骸骨は『冥府三巨頭バロック・ボルドー』。阿修羅像の如くバロック・ボルドーは手の剣や槍を構える。

 

紫色の翼に巨体な牙を持つ骸骨竜は『冥府三巨頭ザンデ・ミリオン』。質量のない骨の身体を震わせて、ザンデ・ミリオンは地面を揺るがすほどの咆哮をあげる。

 

『パンデミウム』と同じように蛇の下半身を持ち、女性的な体つきを持つ魔神は『冥府三巨頭クイン・メドゥーク』。長い髪を揺らしてクイン・メドゥークは蛇のように舌舐め刷りをした。

 

レミリア「ふふん!三体召喚したので『オー・ブリオン』の効果で三枚ドロー。そして」

 

青娥「あら、バースト貰いますわ。マジック『千枚手裏剣』。相手のスピリットを二体疲労させて二つコアを増やします。そして『千枚槍の古戦場』によりドロー」

 

得意げにドローするレミリアだったが、青娥の開いたバーストから数えられないほどの緑の手裏剣が溢れ出す。その手裏剣の群れは『バロック・ボルドー』と『クイン・メドゥーク』に群がると、二体に突き刺さって疲労させてしまった。

 

レミリア「げっ…ひ、ひとまず…ターンエンドよ」

 

青娥「ではターンを。メインステップ。『パンデミウム』と『リクドウ』をレベル2へ。アタックステップ!まずは『紫煙獅子』でアタック!!」

 

青娥は『パンデミウム』と『リクドウ』をレベルアップしただけでアタックステップへ移る。紫色の煙を撒き散らして『紫煙獅子』が走り出した。

 

レミリア「…『ザンデ・ミリオン』でブロックよ!」

 

ディオニュソス《あー…それは~やっちゃアカンやつよ》

 

少し考えてレミリアは『ザンデ・ミリオン』にブロックを命じる。『ザンデ・ミリオン』は巨体を羽ばたかせて『紫煙獅子』を宙に浮かすと、大きな前足で押し潰した。

 

だがディオニュソスは頭をかきながら「やっちまった」とぼやいていた。

 

青娥「『紫煙獅子』は破壊されました。ですが『千枚槍の古戦場』により一枚ドロー。さらに『パンデミウム』のレベル2効果、こちらのスピリットが破壊されたので、『オー・ブリオン』を疲労させます」

 

レミリア「…!!…そういうコンボだったのね!」

 

ディオニュソス《そ。しかも今『オー・ブリオン』が疲労したから『千本槍の古戦場』がまた発動だぁい》

 

『パンデミウム』が鎌を振り回して『オー・ブリオン』に膝をつかせる。それに反応して『千本槍の古戦場』が青娥にどんどんカードを引かせていった。

 

青娥「さらに『リクドウ』の効果。手札の『後鬼』をレベル2で召喚します。最後にトラッシュの『前鬼』を蘇生」

 

レミリア「…しぶとい…!」

 

青娥「それが『リクドウ』の能力ですわ。続けて『後鬼』でアタック!!」

 

 

『リクドウ』が再び指を切って降霊術を唱える。そして現れた大きな鎧を着た鬼が剣を持ってズンズンと歩き出した。

 

レミリア「…ライフで受ける!」

 

青娥「お次は『リクドウ』でアタック!トラッシュの『紫煙獅子』を再度召喚!そして手札破棄!」

 

『後鬼』の剣がレミリアのライフを二つ砕いて行く。さらに『リクドウ』が先ほど破壊された『紫煙獅子』を復活させ、錫杖を構えてレミリアの手札を棄てつつ飛び出した。

 

レミリア「…フラッシュタイミング!マジック!『冥府秘術ネメシス・リープ』!!疲労状態の『リクドウ』を破壊する!」

 

ディオニュソス《そんでもって俺のコアを三個ボイドへ!これで今伏せてる『冥府貴族バロン・ド・レスタック将軍』のバーストを発動するぜ~!》

 

レミリア「失せろ!『前鬼』ども!」

 

押されていたレミリアは手札のマジックで反撃に入る。するとレミリアに飛びかかった『リクドウ』が透明な鎌に切り裂かれて爆散し、バーストから放たれた紫色の波動が『前鬼』二体を消滅させた。

 

青娥「…チッ…ターンエンド」

 

レミリア「メインステップ!冥府に流れる二筋の血!酔いしれろ!『冥府神王カヴァリエーレ・バッカス』!!召喚!」

 

ディオニュソス《アハハ!行ってこい!》

 

なんとかしのいだレミリアのフィールドに、ディオニュソスがワインをばらまく。そのワインが徐々に肉体を形成し、化神『カヴァリエーレ・バッカス』へと変わった。

 

レミリア「アタックステップ!『カヴァリエーレ・バッカス』でアタック!!『冥界放』!『パンデミウム』のコア三個とライフ一つをリザーブへ!!」

 

ディオニュソス《ついでに俺のコアを三個トラッシュに置いて、リザーブのコア五個をトラッシュ送りに!》

 

青娥「…っっ…!あ、あら?」

 

『カヴァリエーレ・バッカス』が両手の剣で『パンデミウム』を貫くと、その衝撃波が青娥のライフも一つ砕いていく。そして残ったのは疲労状態の『後鬼』一体のみ…

 

レミリア「さぁ!このアタックはどう受ける!?」

 

青娥「ら、ライフです…!」

 

『カヴァリエーレ・バッカス』は青娥に接近して両手の剣を×の字にしてライフを切り裂いた。

 

レミリア「決めてやれ!『ザンデ・ミリオン』!!」

 

ディオニュソス《チェックメイト》

 

レミリアが右手を挙げると、上空に飛び上がった『ザンデ・ミリオン』が口から巨大な火炎弾を発射した!!

 

 

 

 

 

 


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