東方星神録   作:あんこケース

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もう新しいシリーズが始まるのに、今さらイシスとかポセイドンデッキを組みたくなっている私でございます


楽園の最高裁判長VS舟幽霊

命蓮寺 本堂内部

 

 

バゴォォォンッッ!!!

 

 

水密「ぐへっ…ゴロゴロ」

 

一輪「うへっ…ズザザ!あんがと雲山!」

 

 

命蓮寺の障子をぶち抜いて、水密と一輪…雲山もだが…は黄金色の畳が敷いてある本堂に吹き飛ばされてきた。一輪は背後の雲山が支えてくれたのか、態勢は崩れていない。

 

映姫「…ツカツカ…あぁ申し訳ありません。後で障子は弁償致しましょう」

 

水密「…なら良かっ…じゃなくて!」

 

一輪「ムラサ!後で聖に謝るとして、この狭めの空間をうまく使うよ!!」

 

壊れた障子を跨いで歩いてきたのは、既に『分神』状態の映姫。エメラルドグリーンの閻魔服に杓を持ち、静かに本堂の中へ足を踏み入れてきた。

 

水密「…なーる!転覆『道連れアンカー』!!」

 

一輪「さすがに部屋の中じゃ避けられないでしょ!嵐符『仏罰の野分雲』!」

 

水密が一輪のアドバイスを聞いて得意気に愛用の錨を手に取る。そしてその錨を追うように一輪が拳を突き出すと、無数に分裂した雲山の拳が映姫に飛んでいった。

 

ちなみに今三人がいる命蓮寺の本堂は何十人も人を入れることができるほどの広さはある。だが柱や仏像などの障害物が多いので、意外と避けるスペースは限られている…

 

 

 

…だがヤマザナドゥ(映姫)の前では無力。飛んでくる錨と雲の拳に映姫はただ杓を構えるだけで、能力を発動する。

 

 

映姫「…審判『異端審問会』!」

 

オシリス《…ほぅ…見事な障壁だな》

 

映姫が力を解放すると、彼女を覆うようにバリアが展開されて水密の錨や雲山のパンチを弾き返した。

 

水密「…えぇ…反則じゃん…」

 

一輪「…なら直接殴りに行くよ!でぇぇぇい!!」

 

水密「ええいっ!女は度胸!!」

 

映姫「来なさい。ですがご無理の無いよう…」

 

遠距離攻撃が弾かれるや否や、一輪は両手に金の輪を取り出して映姫に切りかかる。一歩遅れて水密も小型の錨を持って後に続いた。

 

映姫「…サッ…はいっ!キィンッ!」

 

一輪「カスッ…う…バシッ!」

 

水密「キィンッ!…おお!?」

 

映姫「驚きましたか?御生憎、閻魔試験には『実技』もあるのですよ」

 

一輪の金の輪を映姫はほんの少し身体を反らしてかわし、次点の水密の錨を閻魔の杓で受け止める。予想が外れたのか、水密はつばぜり合う錨を持ちながら驚くが、映姫の表情は一切変わらない。

一輪「後ろがお留守よ!ブンッ!!」

 

映姫「…スルッ…は!ゲシッ!ドカッ!」

 

一輪「ガンッ!ぶべっ…!!」

 

水密「ゴンッ!ほげぶっ!」

 

映姫の背後から再び一輪が輪を振り下ろすが、これまた水密の錨を横に流しながら、映姫は一歩ずれるだけでその一撃をかわす。オマケに避けた勢いを利用して一輪に蹴り、水密に杓の打撃をおみまいした。

 

二人が畳に転がる間、映姫は懐から取り出した『浄玻璃の鏡ー手鏡versionー』で一輪の『罪』を調べ上げた。

 

映姫「…ふむ…雲居 一輪。あなたは仏門に身をおきながら…酒を断てていないようですね》

 

一輪「…げっ…!!」

 

映姫「戒律を破りましたね。判決『普声処(ふしょうしょ)地獄ー蛇ー』」

 

オシリス《…来な。我が眷属達よ》

 

映姫の判決が宣言されると、彼女の背後の布地から何十匹もの蛇達が這い出て来た。シューと鳴きながら蛇達は膝をついている一輪めがけて這い寄っていく……

 

一輪「こ、こ、こっちくんな!しっしっ!」

オシリス《やめておけ。私の蛇達は狂暴だぞ?》

 

ガクガクブルブル震えながら一輪は金の輪で追い払おうとするも、蛇達は当たらない微妙な距離で静止する。だがその目は確かに『獲物』を狙う目……

 

 

映姫「ジャッジメント!パチンッ!」

 

一輪「おんぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

映姫の指が鳴らされ、準備万端の蛇達が一輪めがけて飛びかかった。身体中を噛まれた痛みのあまり、一輪は命蓮寺を揺らすほどの絶叫をあげて畳に転がり、悶え始める。

 

映姫「…さて…もう一人…」

 

水密「…っ!…雲山!一輪をお願い!私は…カードでこいつを倒す!」

 

映姫「宜しい。その勝負、受けましょう」

 

 

映姫 水密「「ゲートオープン!界放!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

水密「…いざっ!勝利へ!」

 

映姫「ではこちらから。メインステップ。『アンクスネーク』を召喚して召喚時効果。一枚ドローします」

 

先行の映姫は小さな紫の蛇を召喚して手札を増やす。尻尾に丸と十字架をつけた『アンクスネーク』はボトリとフィールドに降り立つと、鎌首をあげて水密を威嚇した。

 

映姫「ターンエンド」

 

水密「私のターン!メインステップ!ネクサス!『戒めの天空の祠』を配置!」

 

映姫「…あら?初めて見るネクサスですね…」

 

水密が配置したのは禍々しい空気を漂わせた巨大浮遊岩石だった。見た目はただの浮いている大きい岩なのだが、内部から気味の悪い風が吹いてくる…

 

水密「これでターンエンド!」

 

映姫「…メインステップ。冥府の裁判官!『創界神オシリス』を配置!『神託』します。対象カードが三枚落ちたので、『オシリス』にコア三個を増やします」

 

オシリス《さらに『オシリスの地底神殿』を配置しようか。レベルは一応2にしておこう》

 

ひとまず映姫は背後にオシリスを呼び出し、さらに自身のフィールドを暗い地底墓のように変える。

 

映姫「…今は攻め時ではありませんね。エンドステップ。『オシリスの地底神殿』はトラッシュから『妖蛇』を持つスピリットカードを一枚手札に戻せます。『ガラフィンスネーク』を戻して、ターンエンド」

 

『オシリスの地底神殿』が紫色に発光すると、映姫のトラッシュからカードが一枚手札に戻っていった。

 

水密「メインステップ!『壬戌兵ツインヘッドビーグル』をレベル2で召喚だ!召喚時効果でコスト5以下のスピリットを破壊!さらに『連鎖』でコアブースト!」

 

続いて水密は頭が二つある猟犬スピリットを召喚する。『ツインヘッドビーグル』はレベル2からの効果で自身のシンボルを『緑』にできるので、『連鎖』が発動した。

 

召喚された『ツインヘッドビーグル』は『アンクスネーク』に噛みつくと、そのまま噛みちぎって破壊した。

 

水密「アタックステップ!『ツインヘッドビーグル』でアタック!『連鎖』!もう一つコアを増やすよ!」

 

映姫「ライフで受けます!」

 

『ツインヘッドビーグル』が二つの口から青いビームを放ち、映姫のライフを砕いた。

 

水密「うぉっしゃ!ターンエンド!」

 

映姫「…普通の『青緑』ではない…メインステップ。『ガラフィンスネーク』を召喚。召喚時効果。トラッシュの『生還者カイトコブラ』を召喚します!」

 

 

見慣れぬ動きをする水密に映姫は警戒しながら、背鰭が特徴の小蛇を召喚し、『オシリス』の『神託』で落ちた『生還者カイトコブラ』を蘇生させる。

 

映姫「アタックステップ!『生還者カイトコブラ』でアタックします!」

 

水密「ライフで受けるよ!」

 

『生還者カイトコブラ』が地面を這った後、尻尾を水密のライフに打ち付けた。

 

映姫「エンドステップ。再びトラッシュから『冥界蛇神アウザール』を回収。ターンエンド」

 

水密「…良いタイミング…!メインステップ!『ティンバートール』を召喚!召喚時効果!相手のコスト3以下のスピリットを全て破壊し、コアを増やすよ!」

 

オシリス《『カイトコブラ』は『生還者』。破壊はされんぞ》

 

良いカードを引いた水密が召喚したのは頭が猟犬のケンタウルス……『ティンバートール』は持っていた弓矢で映姫の『ガラフィンスネーク』を射ぬいていった。

 

水密「さらに『ティンバートール』をレベル2に!これで『戒めの天空の祠』をレベル2として扱う!」

 

映姫「…!…何を…?」

 

水密「レベル2の『戒めの天空の祠』はターンに一度、手札から『異合』スピリットを踏み倒せるのさ!召喚!!深海より恐怖をもたらせ!『異海神ディスト・ルクシオン』!」

 

『ティンバートール』の効果で青く輝き始めた『戒めの天空の祠』から水が吹き出す。その水流に乗って鼻先の角、胸部のサンゴが目を引く首長竜がフィールドに泳いできた。

 

水密「『ディスト・ルクシオン』をレベル2へ!アタックステップ!まずは『ツインヘッドビーグル』でアタック!破壊はできないけどコアは増やせる!」

 

映姫「む…ライフです!」

 

再び駆け出した『ツインヘッドビーグル』が突進して映姫のライフを破壊する。『カイトコブラ』を破壊はできないが、キチンとコアブーストとライフ砕きを果たしていった。

 

水密「続け!『ディスト・ルクシオン』!!」

 

映姫「フラッシュタイミング!『カイトコブラ』へ煌臨!『妖蛇の神皇シェンマドー』!煌臨時効果!手札/トラッシュからコスト6以下の『妖蛇』を召喚します!」

 

オシリス《トラッシュの『アンクスネーク』『ガラフィンスネーク』そして手札より征け!蹂躙せよッ!我が化神『冥界蛇神アウザール』!!》

 

映姫「『アウザール』の効果!コアが三個以上の『ツインヘッドビーグル』と『ティンバートール』を破壊して『オシリス』にコアを二個追加!

 

『ディスト・ルクシオン』は『ガラフィンスネーク』でブロックします!」

 

泳いでくる『ディスト・ルクシオン』に『カイトコブラ』から変化した『シェンマドー』が大きく甲高い声をあげる。それによって召喚された『ガラフィンスネーク』が映姫の代わりに角に貫かれた。

 

 

しかも同時に召喚された『アウザール』が後続のアタッカーを破壊したので、水密はこれ以上アタックできなくなった。

 

 

水密「あじゃ…ターンエンド」

 

映姫「メインステップ!『アウザール』をレベル3に!アタックステップ!『オシリス』のコア三個を『アウザール』へ!これで『妖蛇』はシンボルが増えますよ!」

 

映姫のフィールドの『妖蛇』達が『アウザール』の力を受け、ダブルシンボルへとパワーアップする。水密にはブロッカーが居ないため、絶好の攻め時ではある。

 

映姫「まずは『シェンマドー』でアタック!」

 

水密「まだ終わらないよ!フラッシュタイミング!マジック!『ハイドロ爆流』!!コスト6以下のスピリット三体を破壊!ソイツらまとめてぶっ飛ばせ!」

 

『シェンマドー』が水密のライフに襲いかかるが、水密がソウルコアを使って放ったマジックカード…そこから流れてきた水流が『アウザール』『アンクスネーク』そして『シェンマドー』を飲み込んでしまった。

 

映姫「くっ…!エンドステップ。『シェンマドー』を戻します…ターンエンド」

 

水密「勝った!メインステップ!『深淵の巨剣アビス・アポカリプス』をレベル3にした『ディスト・ルクシオン』に合体!」

 

勝ちを確信した水密は蒼い巨剣をフィールドに召喚する。『アビス・アポカリプス』の登場で水浸しになったフィールドを『ディスト・ルクシオン』が泳いできて、『アビス・アポカリプス』を咥えた。

 

水密「アタックステップ!決めろ!『ディスト・ルクシオン』!」

 

映姫「終わりませんよ?フラッシュタイミング!マジック!『ルーンサモン』!トラッシュの『妖蛇』を召喚!」

 

オシリス《召喚!『医神龍アイスクラーピウスドラゴン』!そしてフラッシュ効果!破壊された『アウザール』!再び召喚!!》

 

『ディスト・ルクシオン』の行く手を映姫によって召喚された蛇の杖を持つドラゴンが塞ぐ。『ディスト・ルクシオン』は口の『アビス・アポカリプス』で叩きのめそうとするが……

 

映姫「『アウザール』の召喚時効果!『ディスト・ルクシオン』を破壊です!!」

 

水密「…ああっ!」

 

その瞬間『アイスクラーピウスドラゴン』の杖から『アウザール』が飛び出してきて、『ディスト・ルクシオン』の首元に噛みついた。そのまま毒を流し込んだのか、『ディスト・ルクシオン』はピクピク痙攣しながら爆散した。

 

水密「…『アビス・アポカリプス』はフィールドに…ターンエンド…」

 

映姫「ふぅ…メインステップ!!再び『アウザール』をレベル3へ!アタックステップ!『オシリス』のコアを『アウザール』に!」

 

『アビス・アポカリプス』が地面に突き刺さり、油断していた水密はターンを終えるしかなかった。そしてもう一度『アウザール』が大きく吠えて『妖蛇』達に力を与える。

 

映姫「行け!『アイスクラーピウスドラゴン』!!ダブルシンボルです!」

 

水密「ら、ライフ…!うぎゃ!」

 

『アイスクラーピウスドラゴン』の杖が水密のライフにぶちこまれ、ライフが二点砕かれる。

 

映姫「『アウザール』!!ジャッジメント!!」

 

空へ舞い上がった『アウザール』が大きな口を開け、紫色の炎を水密めがけて吐き出した!!

 

 

 

 

 

 




はい。ありがとうございました。

ちなみに普声処(ふしょうしょ)という地獄は実際にある地獄です。戒律を破って飲酒した人が落ちるそうで、一輪にはぴったりだなぁ~…

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