東方星神録   作:あんこケース

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ツクヨミ様の戦いは『急急如律令!』てつければカッコいい説


月下の陰陽師

永遠亭 上空 藍VS純狐

 

 

藍「…ブツブツ…急急如律令!」

 

純狐「こざかしい!ふんっ!」

 

妹紅から少し離れた永遠亭の空、そこでは藍の式神達と純狐の呪術が火花を散らせていた。戦局としては藍が次々と作り出す鎧甲冑の兵隊を純狐が『純化』させて、消滅させている。

 

藍「…まずいな…!このままでは…!こちらの体力が無くなる…!」

 

ツクヨミ《…藍、私に任せろ…ブツブツ…》

 

純狐「フハハハッ!不倶戴天の敵っ!『嫦娥』よっ!見ているかっ!?今ここで!お前の主を地獄へ落としてやろう!『殺意の百合』!!」

 

純狐はいつものセリフと共に紅色の『気』を収束させる。純狐の手中で作られた気質の玉は、純狐の手を離れた瞬間、紅い槍となって藍めがけて伸びてきた。

 

目の前に危険が迫る藍だったが、体内のツクヨミが何かの呪文をブツブツと唱え始めた……

 

純狐「咲け!『殺意の百合』よ!!」

 

ツクヨミ《………魔影『式札の驟雨』!急急如律令!》

 

 

ボキィィィンッッ!!!!

 

 

純狐「なに!?『殺意の百合』が…折られただと!?」

 

『殺意の百合』が藍の身体を貫こうとしたその時!突然藍と紅の槍の間にお札が現れて藍を守ったのだ。それどころか撃ってきた『殺意の百合』の方が折れて、散り散りに霧散していくほどの強度である。

 

藍「!?…これは…!」

 

ツクヨミ《大したことではない。ただの『結界術』の親戚だ》

 

純狐「…むっ!ならばこれならどうだ!『純粋なる狂気』!」

 

お札の壁に驚く藍と軽く説明しているツクヨミに、純狐は幾重にも蛇行した細かいレーザーを浴びせてくる。先ほどのパワー技とはうってかわり、数で押す作戦に切り替えたようだ。

 

 

それでも彼の術は破れなかった。

 

ツクヨミ《…急急如律令…》

 

 

ボキンッ!ボキンッ!ボキンッ!ボキンッ!

 

 

次々と飛んでくるレーザーを、お札の壁が防ぐ。しかも凶悪なシステムとして、一度防いだお札が散り散りになり、また別のレーザーを防ぐ壁へと変わることだ。

 

純狐も暇を与えずにレーザーを生み出すのだが、ツクヨミのお札は的確に飛んでくるレーザーを防いで霧散…そして再構成されて別のレーザーを対処…と全く怯む様子を見せない。

 

純狐「ハァ…ハァ…」

 

ツクヨミ《…ざっとこんなものか。今だ!》

 

藍「…毎回驚かされてばかりです…!ブツブツ…!」

 

とんでもない『気』をレーザーとして費やした純狐は、一端レーザーを生み出すことを辞め、大きく肩で息をする。まさに『隙』といえる瞬間を藍は見逃さず、追撃の陰陽術の呪文を唱えた。

 

藍「…月輪『魔影妖戒レーザー』!!急急如律令!」

 

ツクヨミ《貫け!札の槍よ!》

 

二人の呪文が発動し、藍の身体を守っていた無数のお札が一直線に純狐へと飛んでいく。その札は一本の大きな槍となって純狐の身体を貫こうと伸びる。

 

純狐「…むっ…!『純」

 

藍「…無駄だ!『散』!!」

 

ツクヨミ《これならば対象不在で能力は不発だろう》

 

純狐もただ貫かれるのを黙って見てるわけではない。すぐさま己の能力で槍を霧散させようとしたが、それを読んだ藍の一声で、槍が元のお札の群れへと戻った。

 

純狐「…なん…だと!?」

 

藍「『再構成』!!」

 

純狐「うがっ…!!」

 

そして再び槍になったお札が純狐の腹部を貫く。たまらず純狐は顔を歪め、フラフラと高度を落としていった。

 

藍「…スタッ…そんなものか?貴様の怨みとやらは?」

 

純狐「ズザッ…ま、まだだ!『エジット』の最高神の力を思い知らせてやろう!」

 

地面に降りて藍と純狐は、お互いの創界神のオーラを撒き散らしながらデッキを構える。

 

 

藍 純狐「「ゲートオープン!界放!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

純狐「…貴様など3ターンあれば十分だ…!」

 

藍「ほう?ちょうど私もそう思っていたところだよ。メインステップ!急急如律令!『創界神ツクヨミ』を配置!」

 

ツクヨミ《『神託』のカードの中に、対象は二枚。二つコアをもらうぞ》

 

純狐は最初から『VS嫦娥モード』で3ターンキルを宣言する。実際この二人のデッキ構成(超速攻デッキ)なら、バトルはそれぐらいで簡単に終わるだろう。

 

藍「ターンエンド」

 

純狐「メインステップ!エジットの太陽!『創界神ラー』を配置!『神託』せよ!対象が二枚、コア二個を『ラー』へ。そして『子フィンクス』を召喚!」

 

ラー《……………》

 

こちらも速攻に向けて、ラーと小さなスフィンクスを召喚する。現れた『子フィンクス』はニャーと鳴いて顔を擦り始めた。

 

純狐「『子フィンクス』をレベル2へ。ターンエンド」

 

藍「…この手札だと…メインステップ。『十式戦鬼・断蔵』をレベル2で召喚!レベル2の効果でライフを砕き、黄シンボルを二つ増やす!」

 

ツクヨミ《続けて来たれ!『ちょうちんゴースト』『ゴッドシーカー 陰陽式鬼』!》

 

藍はフィールドに鎖をぶん回す甲冑型式神(制限カード)を呼び出し、自らのライフを削って展開の準備に取りかかる。

 

そして『断蔵』の隣にはちょうちんの妖怪と小さな陰陽師が並び立った。

 

藍「『陰陽式鬼』の召喚時効果。デッキを三枚めくり、黄/紫の『天渡/化神』を一枚回収する。めくられた『妖戒帝エンオウ』を手札に加えるぞ」

 

純狐「…フフフ…」

 

藍「……アタックステップ!『ちょうちんゴースト』『断蔵』でアタック!」

 

『陰陽式鬼』がデッキから『エンオウ』を掘り起こし、『ちょうちんゴースト』と『断蔵』が駆け出す。

 

純狐「来い!ライフで受ける!」

 

ツクヨミ《『妖戒/魔影』を持つスピリットが相手のライフを減らしたことにより召喚!我の化神のひとつ、十王がひとり『妖戒帝エンオウ』!》

 

藍「召喚時の『天界放』!『創界神ツクヨミ』からコアを移動させて『子フィンクス』のブロックを封じる!」

 

『ちょうちんゴースト』の突進と『断蔵』が投げた鎖が純狐のライフを破壊する。その砕けたライフがツクヨミの胸の鏡に吸収され、クルクル回転しながら『エンオウ』が華麗に着地した。

 

藍「『陰陽式神』でアタック!手札の『十王ヘンジョウ』を破棄して一枚ドロー!」

 

純狐「させん!フラッシュタイミング!『子フィンクス』へ神煌臨!我が元へ顕現せよ!神をも焼き殺す光!『太陽神獣セクメトゥーム』!」

 

『陰陽式鬼』が攻撃しようと、紫色の玉を精製する。しかし『子フィンクス』に『ラー』の光が射し込み、その身体をより大きな翼を持つライオンへと変えた。

 

煌臨した『セクメトゥーム』はグルルと唸り声をあげて熱い光を放ち始めた。

 

純狐「『セクメトゥーム』は煌臨時に相手のスピリットを『子フィンクス』のコスト分BPマイナス10000!『エンオウ』と『ちょうちんゴースト』を指定して破壊だ!」

 

藍「…だがコスト0の『ちょうちんゴースト』の破壊により、『十王ヘンジョウ』の『不死』が発揮。トラッシュから召喚!」

 

純狐「『セクメトゥーム』!『陰陽式鬼』をブロックせよ!」

 

『セクメトゥーム』の熱線が藍のスピリット二体を焼きつくすが、藍もトラッシュから『ヘンジョウ』を呼び出してカバーする。そしてエネルギー弾を撃とうとした『陰陽式鬼』は『セクメトゥーム』の前足に踏み潰された。

 

藍「ターンエンド」

 

純狐「メインステップ!こいつの攻撃は防げまい!『古代想機ヌム』『古代想機ネイト』をどちらもレベル2で召喚!『ヌム』の召喚時効果でデッキから四枚オープンする!」

 

自信ありげに純狐が召喚したのは、金色のジャッカルと銀色の水牛。そして純狐のデッキトップ四枚中、一枚に対象のカードが存在した…!

 

純狐「召喚!『夢幻の天剣トワイライト・ファンタジア』!『古代想機ヌム』に合体!」

 

藍「『トワイライト・ファンタジア』…!?」

 

ツクヨミ《…確かに…こちらのデッキとは最悪だな…》

 

天から黄色い光が地面に突き刺さり、一本の優雅な剣へと変化する。その剣を『ヌム』は咥えて力強くいなないた。

 

純狐「アタックステップ!ソード合体アタック!!」

 

藍「…ライフで受ける!」

 

純狐「『トワイライト・ファンタジア』合体時効果!ライフを一つ回復させる!そしてダブルシンボルだ!」

 

『トワイライト・ファンタジア』を咥えて『ヌム』はフィールドを駆け抜ける。そのまま藍のライフを二つ一気にぶったぎった。

 

純狐「続け!『ネイト』!レベル2効果!『ヌム』を回復させるぞ!」

 

藍「なに…!?」

 

『ヌム』と交代に『ネイト』が走り出すと、なんと疲労していた『ヌム』が起き上がった。この二体はアタック時にお互いを回復させる効果を持っているのだ。

 

純狐「小型しか出せないお前にこの攻撃はどうしようもあるまい!やれ!」

 

藍「…そうとも限らんが?『ヘンジョウ』でブロック!」

 

ツクヨミ《破壊される…が…手札のこのスピリットは『妖戒/魔影』が破壊された時に召喚される!我の化神のひとつ、『月魄鬼神スメラギンガ』!急急如律令!魂を切り裂け!》

 

突進してきた『ネイト』の角に『ヘンジョウ』は貫かれてしまう。しかしそれをトリガーにツクヨミは刀を夜空へ放り投げ、一本の巨大甲冑式神を召喚した。

 

ギギギッ!と『スメラギンガ』は刀を抜いて純狐のスピリットの攻撃に備える。BPは12000、合体している『ヌム』を返り討ちにできる高さである。

 

純狐「…チッ…攻めきれないか…ターンエンド」

 

藍「…さて…このターンで3ターン目か。メインステップ!『十式戦鬼・裏武蔵』を召喚。召喚時に疲労状態の『ネイト』を破壊する!」

 

『ツクヨミ』の『神技』を警戒した純狐はこれ以上アタックをせず、ターンを終える。次のターン、藍は二刀流の幽霊剣士を召喚し、疲労していた『ネイト』を切り裂いた。

 

藍「アタックステップ!行け!『スメラギンガ』よ!『天界放』!!」

 

ツクヨミ《『天界放』によりコアを二個移動。よって相手のソウルコアをトラッシュに、フィールドのコアも三個リザーブへ送る!》

 

藍「『ヌム』のソウルコア、そして残りの『ヌム』と『セクメトゥーム』のコアを外す!」

 

『スメラギンガ』が刀をブンッ!と大凪に振り抜くと、『ヌムと』『セクメトゥーム』が切り裂かれて消滅する。これで純狐のフィールドはがら空きになった。

 

さらに藍は手札のカードを切る…!

 

藍「フラッシュタイミング!マジック!『苦無ノ驟雨』!『エンオウ』よ!再び来たれ!」

 

純狐「…ッッ!『スメラギンガ』はライフで受ける…!」

 

藍のマジックカードから放たれたお札がフィールドで、『エンオウ』へと変わり、『スメラギンガ』も刀で純狐のライフを切り裂く。

 

藍「続け!『断蔵』!『裏武蔵』!」

 

純狐「…ライフだ…!」

 

『断蔵』の鎖が純狐のライフに当たり、『裏武蔵』の二本の刀もライフを両断する。

 

藍「宣言通り!終わりだ!やれ!『エンオウ』!!」

 

ツクヨミ《チェック…メイト…!》

 

飛び出した『エンオウ』が剣を振るって最後のライフを一刀両断した!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい。ありがとうございました。


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