東方星神録   作:あんこケース

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あー…一話に一万字越えたのいつぶりだろ…?


赤の世界

ツクヨミの神殿 門前 VSヒュペリオン

 

 

ゼウス《轟け!我が稲妻よ!》

 

スサノヲ《唸れ!俺の轟炎!》

 

ヒュペリオン《…ちぃ!おらぁ!!》

 

 

ドゴゴゴォォォンッッ!!!!

 

 

その頃、神殿の門の上空では雷雲が空を覆い、そこからゼウスが()()()雷とスサノヲが剣から出した火炎放射がヒュペリオンの炎とぶつかり、大爆発を引き起こしていた。

 

『オリン』の最高神と『アマハラ』の荒ぶる軍神が主力となってVSヒュペリオン戦が展開されている。

 

霊夢「…っ!援護したいけど…」

 

華扇「この熱を避けて攻撃を命中させるのは一苦労ですね…」

 

妹紅「…リザレクション覚悟で飛び込むか…?」

 

さとり「…」

 

門を見上げるように霊夢達四人はゼウス達を見上げて、援護の方法を検討していた。今までとは段違いの威力の創界神の戦いに、どう介入したら良いか考えていると……

 

アヌビス《…おろろ…ならば拙者達の出番と行こう》

 

ブラフマー《爆裂!爆発!これが最後の祭りだぁぁ!》

 

雷鼓「私も行くわ!良い作戦があるのよ♪」

 

自信満々の剣士創界神×2と雷鼓はそう言って準備に取りかかる。アヌビスとブラフマーは空での戦闘に近づいていき、二人同時に自分の神力を練り固め『化神』を呼び出した。

 

アヌビス《『恐怖』を司る拙者の化神!『ディノヴェンジ』よ!斬り裂け!!》

 

ブラフマー《『ジェネレータードラゴン・ゼロ』!この世界の未来を創造せよ!》

 

アヌビスから飛び出したのは黒と紅の甲冑に長刀を持った肉食恐竜人。まさに狩人という鋭い目つきの『ディノヴェンジ』が闇のエネルギーを纏った突きをおみまいしようとする。

 

ブラフマーの炎から現れた銀のアーマーを着た赤いドラゴン。闇とは反対の光の力で、四本の手で剣を振りかぶり、灼熱の一撃がヒュペリオンに襲いかかる。

 

 

ヒュペリオン《…ぐっ!…へっ…そんなもんか…?》

 

アヌビス《…おろろ…》

 

ブラフマー《…なぁにぃ…?》

 

しかしヒュペリオンは両手の籠手で『ディノヴェンジ』と『ジェネレータードラゴン・ゼロ』の一閃を受け止めてしまった。仮面の下でヒュペリオンがほくそ笑んでいるのが目に見てとれる。

 

スサノヲ《おいおい!お前ら何考えて》

 

雷鼓「行くよ!二人とも離れなさい!八鼓『雷神の怒り』!!」

 

さとり「…なるほど。では…!想起『あやふやなエレキテル』!」

 

雷鼓の太鼓がドドン!と鳴り響き、ゼウスが作り出した雷雲も共鳴するかのようにゴロゴロ鳴り出した。さらにさとりが『想起』した電気も雷雲に吸い込まれていく。

 

雷鼓「私版!『雷霆(らいてい)』!!ドドンッ!!」

 

 

バリバリバリバリィィ!!ドガァァンッッ!!

 

 

ヒュペリオン《 ギャァァァァッッ!!!!

 

 

たっぷり電気を含んだ雷雲から雷の柱がヒュペリオンに落ちてくる。アヌビスとブラフマーはすんでのところでかわしたが、二体の『化神』を受け止めていたヒュペリオンはそのまま雷に飲み込まれた。

 

雷鼓「今だよ!」

 

ゼウス《おぉ!頼もしいな!ならば儂も続こう!『サンダー・Z・レオン』!》

 

スサノヲ《やるじゃねえか!『ムラクモレックス』!》

 

妹紅「私も行かせてもらうぜ!バッ!!」

 

ゼウスのオーラが一つに収束して行き、傍らに翼を持った巨大なライオンが現れた。『サンダー・Z・レオン』は顎下のゼウスを見た後、グルルと唸ってヒュペリオンを威嚇している。

 

ヒュペリオンを挟んで反対の空にはスサノヲから産み出されたティラノサウルスの竜人が尖った歯を鳴らしている。背中の金属の輪を回転させつつ、『恐龍武神ムラクモレックス』は右手の七支刀に炎を灯す。

 

さらに下からもフェニックスの翼を広げた妹紅が飛んでくる。死んでも死なない彼女はゼウスとスサノヲに挟まれても、尻込みせず自らの全力を放出しにかかった。

 

ゼウス《化神『剛勇吼波(ごうゆうこうは)!』

 

スサノヲ《化神『草薙ノ轟炎』!!》

 

ゼウスの分身たる『サンダー・Z・レオン』の身体が蒼い雷へと変わり、ヒュペリオンに飛びかかる。その澄んだ藍色の身体はまるで雲一つ無い青空のよう…

 

『ムラクモレックス』もスサノヲの号令を受けて口から炎を吐き出す。その炎が顎を数倍に巨大化させると、『ムラクモレックス』は大口をあげて突っ込んだ。無数の牙の炎がヒュペリオンを挟み込みにかかる…

 

 

ヒュペリオン《ウゴォォォッ…!!》

 

妹紅「『フェニックス再誕』!!」

 

 

ドガァァァァンッッ!!

 

 

雷の『サンダー・Z・レオン』と炎の『ムラクモレックス』が両サイドからヒュペリオンの両腕に噛みつき、だめ押しに妹紅の不死鳥型の炎が直撃する。膨大なエネルギーを持つ『化神』の雷と炎が合わさり、ヒュペリオンを覆い尽くした。

 

妹紅「…サァァ…うへっ…すごい回数死んだな…」

 

ヒュペリオン《…うっ…グググッッ!ならっ…!雷も炎も全部ぶっ飛ばしてやる!ハァァァァ…!!》

 

さとり「…!!まずい…!」

 

炎の状態で妹紅は身体を再生しつつ、地面に着々する。すると上空ではヒュペリオンが『サンダー・Z・レオン』の雷と『ムラクモレックス』の炎を振り払おうと、膨大なエネルギーを吸収し始めた。

 

雷鼓「これも想定内!博麗の巫女!後はしくよろ!」

 

霊夢「バリバリ!!ったく!ようやく出番が回ってきたわ!」

 

だが雷鼓はここまで計算していた。稲妻のスピードで妹紅と入れ替わった霊夢がお札を構えてヒュペリオンに飛んでいく。

 

霊夢「ただの巫女だと思わないことね!神技『八方龍殺陣』!!」

 

ヒュペリオン《崩符……っ!?》

 

もう創界神達の力を身に宿し、霊夢は人間の域を越え始めた。ヒュペリオンが放とうとした怒りの業火は霊夢の『結界術』によって防がれ、逆に炎を自らに浴びせる結果になった。

 

ヒュペリオン《グォォォォ…!!》

 

アポローン《…さぁて…最後は俺か…》

 

霊夢の『結界』で自分を苦しめる炎や雷が分散しないヒュペリオンはもがき苦しむ。結界の中ではどんどんエネルギーが上がっていくその時、門のてっぺんには一人の創界神の姿があった。

 

雷鼓「アポローン!ラストお願い!」

 

アポローン《ラジャー!燃え上がれ!俺の『化神』!『太陽神星龍アポロヴルム』!!》

 

アポローンの背後に控えるは深紅の髪に日輪の翼を持った西洋ドラゴン。『アポロヴルム』はアポローンが構えた弓めがけて炎を吹くと、たちまち炎は巨大な矢へと変化した。

 

アポローン《…堕ちろ…!(イケメンvoice)》

 

どこぞの名スナイパーの如くアポローンは炎の矢を打ち上げる。その矢は一直線に空を駆け抜けていき……ヒュペリオンを包む結果を打ち破った瞬間…!!

 

 

ドッガァァァァァンッッッ!!!!

 

 

ヒュペリオン《 グァァァァァァァァ!!!!

 

 

さとり「…やった…!!」

 

ブラフマー《へへっ!どんなもんよ!》

 

突然結界が弾けたことで、ヒュペリオンを閉じ込めていたエネルギーが放出される。ゼウスにスサノヲ、妹紅、そしてヒュペリオン自身が放ったエネルギーが外へ漏れ、結果的に空で大爆発が巻き起こった!

 

ゼウス《スタッ…良くやったぞ!付喪神の少女よ!》

 

スサノヲ《スタッ…そうだな!あんがとよ!》

 

雷鼓「てへへ~」

 

降りてきたゼウスとスサノヲはそれぞれ作戦をたてた雷鼓に称賛の言葉を贈る。格式高い創界神達に誉められ、雷鼓は照れながら太鼓に腰かけた足をバタバタさせていた。

 

ヒュペリオン《ドサッ…うっ…ま、まだだ!》

 

妹紅「…まっ…あれだけで死ぬわけ無いか」

 

華扇「…なら私が行きましょう。私だけ活躍できないのもしゃくですし」

 

石畳に落ちたヒュペリオンは傷だらけでヨロヨロと立ち上がる。それに対するはさっきの作戦に唯一参加できなかった華扇。スタスタとヒュペリオンの前におどりでた。

 

スサノヲ《…よぅアヌビス。俺も混ぜてくんねぇか?》

 

アヌビス《…それは華扇殿が決めることでござる》

 

華扇「…協力してくれるなら喜んで。それに()()も使って見たいところなので…」

 

そう言って華扇はスサノヲの参戦を快く了承した。するといつの間にか彼女の手には見たこともない『一枚のカード』が握られていた。

 

華扇「では…いざ勝負!」

 

ヒュペリオン《…こいっ!》

 

 

華扇 ヒュペリオン「《ゲートオープン!界放!!》」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

華扇「…んんっ…さすがに創界神二人分は身体にきますね…!」

 

ヒュペリオン《前のような失敗はせん!》

 

二柱の創界神をおろすのに華扇は少し顔を歪ませる。だがそれは『少し』だけであり、彼女にはまだまだ余力がありそうだ。

 

華扇「始めます。メインステップ。高天ヶ原の荒ぶる神!『創界神スサノヲ』を配置します!『神託』によりデッキを三枚破棄。その中の対象カード一枚分、コアを置きます」

 

スサノヲ《オマケに落ちた『護国ノ威光』は俺にコアを増やして手札に入る!》

 

先行の華扇はスサノヲを呼び出して始まった。さらにトラッシュの『護国ノ威光』が青く光り、華扇の手札に収まる。

 

華扇「これでターンエンド」

 

ヒュペリオン《メインステップ!ネクサス!『彷徨う天空寺院』を配置!バーストセット!!》

 

対してヒュペリオンが配置したのは『赤の大型軸』お馴染みの『彷徨う天空寺院』。恐ろしいのは配置した次のターンに、簡単に大型スピリットが出てくることだ。

 

ヒュペリオン《ターンエンド》

 

華扇「…メインステップ!『護国ノ威光』を使います!デッキから三枚ドロー後、手札の『刃鎧竜ヤイバノスケリド』を破棄」

 

スサノヲ《さぁ~てぇ~?どいつが来たのやら》

 

華扇は配置された『彷徨う天空寺院』を警戒しつつ、手札を補充する。そして上手く『ヤイバノスケリド』をトラッシュへ送り込んだ。

 

華扇「…よしっ!冥府の剣客!『創界神アヌビス』!こちらも『神託』を行います!コア二個貰いますよ!」

 

アヌビス《…おおっと…まさかお主と並ぶ時がくるとはな…》

 

スサノヲ《全くだ。あの戦争の頃は考えられねぇなこりゃ》

 

『護国ノ威光』で引き当てたアヌビスがスサノヲの隣に現れる。アヌビスの何気ない呟きにスサノヲも遠くを眺めて目を細めた。

 

華扇「…ふむ、ターンエンド」

 

ヒュペリオン《メインステップ!赤き創界神ネクサス!『灼熱のゼロ』を配置!『神託』によって対象カードが二枚落ちたので、二つコアを追加!》

 

アヌビス《むっ!?》

 

ヒュペリオンが次に配置したのはなんと創界神ネクサス。しかしそのネクサスは配置されるだけで、フィールドには誰も現れなかった。

 

その不可解な創界神ネクサスにスサノヲは心当たりがあった。

 

スサノヲ《確か…『メジェド』の野郎が使ってたのもあんなネクサスだったな…》

 

華扇「警戒はしますが…警戒し過ぎてもいけませんね」

 

ヒュペリオン《続けるぞ。さらに『ガーディアン・ドラゴン』を召喚する!》

 

ヒュペリオンは続けて斧と盾を持った中型のドラゴンを召喚した。大型のスピリットはまだ出てこないようである。

 

ヒュペリオン《ターンエンド》

 

華扇「…ドローステップ……あら…来たわね…」

 

スサノヲ《お?なんだなんだ?》

 

華扇はドローしたカードを一瞥してフッと微笑む。そしてスサノヲやアヌビスの不安をよそに、そのカードはフィールドに送り出された。

 

華扇「…炎渦巻く戦いの世界!全ての赤の起源!『赤の世界』を配置!!」

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!!!

 

 

ヒュペリオン《こ、これは…!?》

 

アヌビス《フィールドが…火山帯に…!?》

 

華扇がネクサスカードを配置すると、バトルフィールド全体がマグマ溢れる火山地帯に変化した。それはただネクサスの効果の範囲を越え、この世界が完全に変わったかに見える。

 

華扇「配置時効果!最もBPの低いスピリットを破壊!『ガーディアン・ドラゴン』を指定するわ!」

 

華扇の遥か背後に盛り上がった火山が噴火し、火山弾が降り注ぐ。大きな高熱の岩が『ガーディアン・ドラゴン』を押し潰して破壊した。

 

華扇「まだ終わりじゃないわよ!『暴走竜バリオウ』と『ライデンハイドラ』を召喚!『ライデンハイドラ』の召喚時効果でコアブースト!」

 

アヌビス《おぉ…拙者の欠点を上手く埋めているのお》

 

高熱の溶岩フィールドに日本風の甲冑を着た『地竜』と二つ首の青い『海首』が連続召喚される。特に『ライデンハイドラ』は『地竜』に乏しいコアを増やしてくれた。

 

華扇「『ライデンハイドラ』をレベル2にして…アタックステップ!『バリオウ』でアタック!」

 

スサノヲ《『ライデンハイドラ』は『地竜』/『海首』スピリットのアタック時にもコアを増やすぜ!『バリオウ』に置いてレベルアップだ!》

 

華扇「レベル2の『バリオウ』の効果。一枚ドローします」

 

 

『バリオウ』が両手の鉤爪を研ぎながら走り出す。同時に『ライデンハイドラ』が青く光って、コアを増加させた。さらにレベル2の『バリオウ』のアタック時効果で、手札も増やす。

 

ヒュペリオン《…アヌビスの『神域』は無しか…ライフで受ける!》

 

コアが足りないからか、華扇はアヌビスの『神域』を使わずにスルーする。だがきっちり『バリオウ』はヒュペリオンのライフを一つ切り裂いていた。

 

華扇「ターンエンドです」

 

ヒュペリオン《フンッ!ただのネクサスに恐れるか!メインステップ!『ソウエン・ドラグーン』と『六分儀のルリ・オーサ』を召喚!レベル2『ルリ・オーサ』の効果で二個コアをもらう!》

 

華扇「…『滅竜』…でしょうか?」

 

『赤の世界』を恐れずヒュペリオンは灰色のカグツチドラグーンと『赤緑連鎖』の中核を担う六分儀剣の昆虫人を呼び出す。これを見て華扇は、ヒュペリオンのデッキをある程度想定できた。

 

ヒュペリオン《『ソウエン・ドラグーン』をレベル2へ……ターンエンドだ》

 

それでもヒュペリオンは剣のような翼を撫でながら、アタックせずにターンを終えた。

 

華扇「動きませんか…メインステップ。こちらから行かせて貰いますよ!荒神の赤き半身!『恐龍武神ムラクモレックス』!レベル2で召喚!!」

 

スサノヲ《攻めなかったことを後悔させてやるぜ!》

 

スサノヲの剣から放たれた炎がフィールドに落ち、地面を突き破ってティラノサウルス型竜人、『ムラクモレックス』が召喚された。『ムラクモレックス』はヒュペリオンをにらみつけ、牙や剣をガチガチ鳴らし始める。

 

華扇「アタックステップ!『ムラクモレックス』でアタック!!『天界放』!!『創界神アヌビス』のコアを二つ置き、『ソウエン・ドラグーン』を破壊!」

 

スサノヲ《さらに青シンボルがあるから、相手の創界神のコア二個を飛ばして回復!レベル2効果も入れてライフをいただきだ!》

 

『ムラクモレックス』の炎の七支刀が『ソウエン・ドラグーン』を貫き、『灼熱のゼロ』のコアやヒュペリオンのライフごと焼き殺す。『ライデンハイドラ』の効果も合わせれば、たった一度の攻撃で、華扇は莫大なアドバンテージを稼ぐことができた。

 

ヒュペリオン《ライフ減少によって…バースト発動!『龍の覇王ジーク・ヤマト・フリード』!『ムラクモレックス』を焼き殺せ!》

 

アヌビス《しまった…!!》

 

だがアドバンテージが大きい分、相手のバーストを踏む確率も高くなる。結果的にヒュペリオンのバーストからたち昇った火柱が『ムラクモレックス』を燃やしてしまった。

 

ヒュペリオン《その後『ヤマト』は召喚される。さぁ、どうする?》

 

華扇「…ここは控えましょう。ターンエンド」

 

雲の中から剣と共に降りてきた『ヤマト』を警戒し、華扇は残りのスピリットをブロッカーにしてターンを終えた。

 

ヒュペリオン《…良い感じにコアも貯まったな…メインステップ!我が眷属よ!奴を喰らい尽くせ!『滅龍帝ジエンド・ドラゴニス』!ネクサスの効果でコスト2で召喚!!》

 

スサノヲ《ちっ…来やがった…》

 

貯まったコアを使い、ヒュペリオンの空から漆黒の西洋ドラゴンが降りてくる。『ジエンド・ドラゴニス』の着地時、不気味な嘶きがフィールドを揺らした。

 

ヒュペリオン《そしてもう一体!破壊の申し子!『激神皇カタストロフドラゴン』を召喚する!》

 

アヌビス《『虚神』までも…!?》

 

それだけに留まらず、ヒュペリオンは『ジエンド・ドラゴニス』より大きなワイバーン型のドラゴンを召喚する。まるで闇が編まれていくようにそのドラゴン『カタストロフドラゴン』は生成され、大きく咆哮した。

 

ヒュペリオン《召喚時効果!赤のスピリット一体につき、相手のスピリットを破壊してドロー!消えろ!『バリオウ』!『ライデンハイドラ』!》

 

華扇「…ブロッカーが…!」

 

『カタストロフドラゴン』の火炎弾が『バリオウ』と『ライデンハイドラ』に直撃して破壊されてしまう。それにドローまでさせられた。

 

ヒュペリオン《…苦しめ…!バーストセット!アタックステップ!『ジエンド・ドラゴニス』レベル2でアタック!!》

 

華扇「フラッシュタイミング!マジック!『ロックシュート』!!BP3000以下のスピリットを二体破壊します!」

 

アヌビス《この上限はトラッシュの『地竜』の数によって2000ずつ上がるぞ!今回はBP11000以下となる!》

 

『ジエンド・ドラゴニス』ががら空きの華扇のフィールドを飛ぶ。それと交差するように華扇のマジックから放たれた燃える岩々がBP10000の『カタストロフドラゴン』とBP6000の『ヤマト』を押し潰した。

 

華扇のトラッシュには先ほどの『バリオウ』や『ムラクモレックス』の他に、『護国ノ威光』や『神託』で落ちたスピリットがいた。ゆえにトラッシュは肥えきっている。

 

ヒュペリオン《だろうな。再びバースト発動!『双光気弾』!二枚ドローして『赤の世界』を破壊!》

 

華扇「………フッ…」

 

反撃をもヒュペリオンはアドにしようと、バーストを使って手札を肥やす。さらに二筋の炎が『赤の世界』に命中し、燃え上がった………

 

ヒュペリオン《ははっ!どんなものかと思えば…大したこと》

 

華扇「残念。『赤の世界』は相手によってフィールドを離れる時、代わりに裏返せるのです。『転醒』せよ!『赤き神龍皇』へ!!」

 

 

破壊されるかと思われた『赤の世界』はだんだんと華扇のフィールドに収束していく。そして華扇がカードを裏返した瞬間、『赤の世界』は一体の赤いドラゴンへと生まれ変わった!

 

アヌビス《なんとっ!?ネクサスがスピリットに!?》

 

スサノヲ《…あっ!それってタカミムスビさんが使ってた奴じゃん!》

 

華扇「『転醒』時効果!BP10000以下のスピリットを破壊します!『ルリ・オーサ』を指定!」

 

生まれた『赤き神龍皇』はさっそくマグマのフィールドに拳を入れ、溶岩をぶちまける。たまらず『ルリ・オーサ』は溶岩に押し潰された。

 

ヒュペリオン《はぁ!?…だが『ジエンド・ドラゴニス』のアタックは有効だ!》

 

華扇「ライフで受けます!!…ぐぅっ!」

 

『ジエンド・ドラゴニス』の前足の爪が華扇に振り下ろされる。『原初神』とのバトル&二点一気の衝撃に華扇は思わず呻いた。

 

ヒュペリオン《…ちっ…ターンエンドにしてやる…》

 

華扇「メインステップ!『轟将龍ゴルゴノオビト』をレベル2で召喚です!!『赤き神龍皇』の効果でコスト5以上の赤のスピリットにシンボルを増やします!」

 

火山地帯の地面が割れて、鎧で武装したティラノサウルス風のスピリットが這い出してくる。『ゴルゴノオビト』は『赤き神龍皇』のオーラを受けてより一層力強く吠えた。

 

華扇「アタックステップ!『ゴルゴノオビト』でアタック!!」

 

ヒュペリオン《…フラッシュタイミング。マジック『アイスエイジシールド』だ。『ゴルゴノオビト』を指定してこのターン、そいつの効果/アタックではライフを減らせない!》

 

ズシンズシンと『ゴルゴノオビト』がヒュペリオンに歩いていく。するとその前に形成された氷の壁が『ゴルゴノオビト』の尻尾攻撃を防いでしまった。

 

さらに追加効果のライフ貫通も、これでは無意味となる。

 

 

華扇「…くっ!ターンエンド…」

 

ヒュペリオン《今度こそ決める!メインステップ!ネクサス!『永久なる神都』を配置!トラッシュのコスト8以上のスピリットを手札に戻す!》

 

華扇の『赤の世界』と拮抗するように神秘的な古代都市がヒュペリオンのフィールドに広がる。その配置時効果で一気に破壊されたスピリット達を回収した。

 

ヒュペリオン《そして甦れ!破壊の化身!『激神皇カタストロフドラゴン!!』レベル3で召喚!!召喚時に相手スピリットを破壊!!》

 

スサノヲ《うげっ!『赤き神龍皇』が…!》

 

再度現れた破壊の化身『カタストロフドラゴン』が『ゴルゴノオビト』と『赤き神龍皇』を燃やし尽くす。ここまではヒュペリオンの計算通りだった。

 

華扇「『赤き神龍皇』!『根幻回帰』しなさい!相手の効果でフィールドを離れる場合、再度『赤の世界』として配置です!」

 

ヒュペリオン《…はっ…?》

 

アヌビス《良いぞ!配置時のスピリット破壊も使える!『ジエンド・ドラゴニス』!討ち取った!》

 

炎に消え行く『赤き神龍皇』…そのエネルギーが華扇のフィールドに満ち溢れ、再び『赤の世界』が広がった。しかも火山弾が『ジエンド・ドラゴニス』を道連れにしていく。

 

ヒュペリオン《くそっ!なら『赤魔神』を召喚して『カタストロフドラゴン』と合体!そしてバーストセット!!》

 

苛立ちながらヒュペリオンは巨大な赤の魔神を呼び出して『カタストロフドラゴン』を強化する。しわがれた翼がより大きく広がり、紅色を瞳は殺気を隠さない。

 

ヒュペリオン《アタックステップ!これで死ね!『カタストロフドラゴン』でアタック!!》

 

『カタストロフドラゴン』がゆっくりと華扇に近づき、ライフを砕こうとする。しかし華扇は冷静に手札を切った。

 

華扇「お断りします。フラッシュタイミング!『リミテッドバリア』!コスト4以上の『カタストロフドラゴン』では私のライフは減らせません!」

 

スサノヲ《…分かってはいたが…こえぇなおい…》

 

『カタストロフドラゴン』の特大火球が直撃しても、華扇のライフは砕けない。なぜなら白いバリアが華扇を守っていたからだった。

 

ヒュペリオン《…っっ!…良い良い…!次こそ…》

 

華扇「『次こそ』?貴方達はみな『次』と言いますね……笑止!!この世界は常に一期一会かつ諸行無常!都合良く世界は動かない!」

 

スサノヲ《俺達はそんな『理不尽』な世界に生きる。だからこそ必死に生きてる奴らが輝くんだよ!》

 

アヌビス《挙げ句の果てに都合の悪い世界を消すだと?それは創界神の前に…1『命』として許すわけにはいかぬ!》

 

華扇と二柱の創界神達はまだ『次』があると考えているヒュペリオンの楽観視をぶち壊す。

 

『鬼』と『仙人』との間で苦しみ、ようやく答えを掴めた華扇。傍若無人な態度を改め、キチンと創界神の務めを果たしたスサノヲ。『裏切り者』のレッテルをはられながらも、命を救うことを誓ったアヌビス…

 

必死に世界で生きた彼らだからこそ、言える言葉だった。

 

 

華扇「メインステップ!闇の輝石率いる恐怖の化身!今その剣は義を得る!『闇輝石六将 冥恐斬神ディノヴェンジ』!!レベル3で召喚!!」

 

アヌビス《さらに『暗黒の魔剣ダーク・ブレード』よ!拙者の『ディノヴェンジ』と合体!!》

 

闇の斬撃が空間を切り裂いて、闇のオーラがにじみ出る。その中から帯刀した肉食恐竜が降り立った。『ディノヴェンジ』は『カタストロフドラゴン』を見据えて刀の鯉口を切った。

 

さらに『ディノヴェンジ』の手に紅色の雷が落ちる。その雷が変化した『ダーク・ブレード』を『ディノヴェンジ』は反対の手で振りかぶって構えた。

 

華扇「アタックステップ!『ディノヴェンジ』!世界の未来を切り開け!!『冥界放』!!発揮!!」

 

アヌビス《拙者のコアを二つ『ディノヴェンジ』へ!トラッシュの『ヤイバノスケリド』の力で二点!ライフを砕くぞ!》

 

右手に愛刀、左手に『ダーク・ブレード』を装備して『ディノヴェンジ』は飛び上がった。アヌビスのエネルギーに加え、トラッシュに落ちた『ヤイバノスケリド』の力によって『ディノヴェンジ』を強化する。

 

フィールドを駆け抜けながら『ディノヴェンジ』は渾身の突きを繰り出し、ヒュペリオンのライフを撃ち抜いた。

 

華扇「さらに『ダーク・ブレード』の合体時効果!『カタストロフドラゴン』に指定アタック!!」

 

ヒュペリオン《…バースト発動!『絶甲氷盾』!ライフを回復し、『激神皇カタストロフドラゴン』でブロック!『赤魔神』との合体でBPは合計26000!》

 

『カタストロフドラゴン』に向かって『ディノヴェンジ』が二刀を構えて突っ込む。体格が何倍も大きい『カタストロフドラゴン』にも怯まず、『ディノヴェンジ』は口から炎を吐く。

 

だがレベル3効果も含めて『ディノヴェンジ』のBPは25000。ギリギリ『カタストロフドラゴン』には届かず、徐々に火力が弱まっていく。そしてとうとう『ディノヴェンジ』は『カタストロフドラゴン』によって地面に競り落とされてしまった。

 

華扇「フラッシュタイミング!マジック!『オフェンシブオーラ』!!BPプラス5000!!『ディノヴェンジ』のBPは合成30000よ!!」

 

 

とどめをさそうと降りてくる『カタストロフドラゴン』が見たのは、土埃を振り払って殺気立つ『ディノヴェンジ』。一瞬の隙を突いて『ディノヴェンジ』が『ダーク・ブレード』を『カタストロフドラゴン』の喉元へ投げつけた。

 

 

アヌビス《成敗!!》

 

アヌビスの一声と共に『ダーク・ブレード』が突き刺さり、『カタストロフドラゴン』は悶絶する。これで終いと『ディノヴェンジ』は脳天めがけ、愛刀を振り下ろした。

 

華扇「私は負けない…負けられない!」

 

『カタストロフドラゴン』が縦真っ二つになって、崩れ落ちていく。『ディノヴェンジ』は『ダーク・ブレード』をキャッチして静かに刀をおさめた。

 

華扇「『創界神スサノヲ』レベル2の『神域』。『地竜』/『海首』を持つスピリットのバトル終了時、ライフを一つ破壊します」

 

スサノヲ《喰らいやがれ!》

 

ヒュペリオン《うごっ…だがこれ以上お前にアタックできるスピリットは…》

 

さらにスサノヲがライフを砕くが、ヒュペリオンはまだ勝てると信じている。それを華扇は静かに打ち砕きにいった…!

 

華扇「『赤の世界』の効果。コスト5以上の赤一色スピリットがバトルを終えた時、もう1つライフを破壊できる…この意味がお分かりですか?」

 

ヒュペリオン《…あ…ぁぁ…!》

 

華扇「…そう…あなたに次のターンはない!天誅!!」

 

華扇が包帯の右手を掲げると、『赤の世界』の火山弾が怯えるヒュペリオンに襲いかかった!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

華扇「…スタッ…ふぅ…」

 

さとり「お疲れ様です」

 

ブラフマー《うーっす!》

 

バトルを終えて華扇達は門前に戻ってくる。それほどライフを削られてはいなかったからか、華扇の息はあまり乱れてはいなかった。

 

妹紅「…あいつは…死んだのか?」

 

アポローン《…たぶん…?》

 

妹紅は少し離れたところで倒れているヒュペリオンに目をやる。トレードマークの剣の翼も力なく垂れて、地面に転がっていた……が……

 

 

ヒュペリオン《…ガチャッ!》

 

雷鼓「…え?まだ生きてる!?」

 

ヒュペリオン《…ちきしょう…ヨロヨロ…また数億年後…!ヨロヨロ…身体を再生したら…次こそお前らを殺す…!ヒュンッ!!》

 

スサノヲ《てめぇこの…!待ちやがれ!》

 

ヒュペリオンは何とか逃げ切ようと身体を起こし、逃走を図ろうとする。一瞬で姿を消して華扇達を撒こうと画策したが、彼は1つ重要なことを忘れていた…

 

 

ヒュペリオン《へへっ…まさかタカミムスビの時の二の舞になるとは思わ…!?》

 

 

 

 

霊夢「ガシッ!!次なんてないわ。あなたはここで消えるのよ

 

 

…『楽園の素敵な巫女』博麗 霊夢の異常な『勘』である。逃げるヒュペリオンの首根っこをわしづかみ、逃走を封じ込めた。

 

ヒュペリオン《…ま…ま、待て!》

 

霊夢「ダンッ!『夢想…天生』!!」

 

制止の声もスルーして霊夢は飛び上がり、ヒュペリオンを放り投げる。そして霊夢の渾身の霊撃がヒュペリオンの身体を貫いた!

 

 

ヒュペリオン《 ギャァァァ…ァ…ァ……ァ……

 

今度こそヒュペリオンは塵になって消滅する。崩れ行く姿を一瞥して霊夢はいつもの気だるげな顔で吐き捨てた。

 

 

霊夢「ふんっ…博麗の巫女、なめんじゃないわよ」

 

スサノヲ《…おいしいとことられた…》

 

 

 




はい。ありがとうございました。

今回の敵のデッキはバトスピアニメの敵キャラのカードを中心に組んであります。本音を言えば魔龍帝ジークフリードやアルティメット・ヤマトも入れたかったのですが……枠がね…

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