東方星神録   作:あんこケース

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はい、皆様。ほんの数ヶ月前まで見るのも嫌だったデッキと言えば?十中八九『殻人×遊精』と答えられるかと思われます…

…はい、今回暴れます。


逝って良いってさ

月の都 人気のない大通り VSプロメテウス

 

 

ホルス《ヒュンッ!だぁっ!》

 

ヘルメス《シュッ!てめっ…意外と速い…なっ!》

 

 

プロメテウス《はんっ!当たり前だろ!これが俺様の真の力なのさ!》

 

避難指示でも出ていたのか、人っ子一人いない通りで目にも止まらぬ速さの戦闘が繰り広げられていた。『オリン』最速の創界神であるヘルメスと『エジット』の天空の王者のホルスが超高速で動き、プロメテウスも負けない速度でそれを迎え撃っている。

 

白蓮「…ビュッ!身体強化してやっと追いつける…」

 

文「…ババッ!椛に取り憑いてた時より速い…!」

 

幻想郷では1、2のスピードを誇る文や白蓮でもついていくのは一苦労。なので主な戦闘は創界神2柱に任せ、二人は戦闘に着いていきながら援護射撃を飛ばす戦法に変更した。

 

ホルス《ならこいつで勝負だ!羽ばたけ!『ホル=アクティ』!》

 

ヘルメス《振りきるぜ!『オデュッセイバー』!》

 

プロメテウス《無駄さ!俺には追いつけない!》

 

 

ホルスは己の神力を練り固め、茶色の身体に紅白の機械で武装した鳳凰『天空鳳凰ホル=アクティ』を召喚する。ヘルメスも傍らに灰色の豹『光速神王オデュッセイバー』を呼び、プロメテウスにぶつかっていった。

 

 

椛「…くっ…」

 

サラ《ホルスとヘルメスに任せとけば問題ないでしょ》

 

神奈子「…しかし…仮にも私は『軍神』。ボーッと突っ立ってる訳にも…」

 

超高速移動が出来なくて歯噛みしている椛や神奈子とは反対に、サラスヴァティーは完全な丸投げを決め込んだ。彼女の言うとおり、下手に苦手な分野に首を突っ込んだら、足手まといになる可能性は高い。

 

 

それでも神奈子は背中にオンバシラを装備した状態で、何か出きることを探っていると………

 

 

アレス《神奈子、よくぞ言った。今こそ我ら軍神の力の見せ所だ》

 

神奈子「アレス様…!」

 

アレス《敵目標捕捉困難。よって自分のミッション。敵の捕捉かつ速度低下。自分の化神『K・O・B(ナイト・オブ・グラディウス)』!出撃!!》

 

諦めムードの三人のところへ、肩に大型斧槍『ランパートブレイカー』を背負ったアレスが歩いてきた。アレスは神奈子に同じ『軍神』として激励の言葉を送ると、自らの化神『殻人騎士ナイト・オブ・グラディウス』を呼び出す。

 

アレス《さて神奈子、ここで問題だ。速すぎる敵に攻撃を当てるには……どうすれば良い?》

 

神奈子「は…?…ええと……」

 

アレス《…考えろ。難局こそ軍神の腕が試される》

 

ふとアレスが神奈子に問いを投げかける。戸惑う神奈子だったが、アレスは一言言った後、何も文句を言わずに神奈子の答えを待っていた。

 

神奈子が考えることおよそ数分、ようやく答えが出たようだ。

 

神奈子「…全感覚を研ぎ澄ませて…渾身の一発を打ち込みます」

 

アレス《…まぁ正解で良いだろう。幸運にも自分の『甲殻騎士団』には動きを鈍らせる毒を持つ『蜂』の殻人がいる。『ワスピーダー』!前に出ろ!》

 

神奈子の答えに無愛想にアレスは微笑む。そして『ナイト・オブ・グラディウス』の肩の上に黄土色の殻人『光速騎士ワスピーダー』が羽を羽ばたかせて降り立った。

 

アレスによって召喚された『ワスピーダー』はさっそく蜂の毒針を手に取り、超高速で飛び回るプロメテウスに標準を合わせようとする。

 

 

アレス《『ワスピーダー』、自分と五感を同調。後は任せておけ》

 

椛「…あれは何を…?」

 

サラ《馬神 弾はやってないの?私達創界神は眷属のスピリット達と五感を同調できるのよ。所謂『憑依』ってやつ》

 

アレスが瞳を閉じて『ワスピーダー』と意識や五感をシンクロさせる。そしてアレスは右手で針を持つようなポーズを取り、全神経をプロメテウスの気配へと集中させた。

 

 

アレス《…スゥゥ…………ハァァ……》

 

神奈子「……ゴクリッ…」

 

他の三人は固唾を飲んでアレスを見守っている。普通なら目にも入らないスピードで、しかも近くで飛んでいるホルスやヘルメスを識別し、当てないようにしなければならない。

 

まさに『神技』を繰り出さないといけない場面だ。

 

 

アレス《……天渡『ワスプ・スティング』!》

 

プロメテウス《…ん…?…いぃっ!?》

 

神奈子「よしっ!当たった!」

 

カッ!と目を見開いてアレスは全力で毒針を投擲する。弾丸のスピードで放たれた毒針は文や白蓮、ホルスにギリギリ当たらないところを通ってプロメテウスの右ふくらはぎに突き刺さった。

 

プロメテウス《…て、てめぇ…!》

 

ヘルメス《おぉ~!アテナなら出来ないスゴ技だねぇ~》

 

アレス《御託はいい。さっさと追撃しろ》

 

ヘルメス《へーい。化神『英雄獣の爪牙(ヒーローズクローズ)』!》

 

軽口叩きながらヘルメスは動きを止めたプロメテウスめがけて『オデュッセイバー』を繰り出す。緑の風を爪に宿して『オデュッセイバー』がすれ違い様にプロメテウスを引き裂いた。

 

プロメテウス《…いっ…クソッ!…この針…!まさか毒針か!?》

 

ホルス《これも食らえ!化神『アクティエクストリーム』!》

 

足の痺れで避けられなかったプロメテウスは右ふくらはぎの針に毒があることに気がつく。だがその時既に空から『ホル=アクティ』が足でホルスの肩を掴み、突っ込んできていた。

 

ホルス《へっ!ハードボイルドに決めるぜ…!だぁぁ!》

 

プロメテウス《ウゴッ…!!》

 

 

ドガァァァァンッッ!!!!

 

 

『ホル=アクティ』の翼を広げさせ、勢いに乗ったホルスは風を纏った右足のキックをプロメテウスの顔面におみまいする。ハードボイルドかどうかは置いておいて、プロメテウスを吹き飛ばして地面に落下させることには成功した。

 

サラスヴァティー《あーめんどくっさ…でも戦う価値はあるわね。ピュィッ!来なさい!『ガーヤトリー・フォックス』!》

 

アレス《ご苦労『ワスピーダー』、後退を許可する。目標捕捉。自分の化神『ナイト・オブ・グラディウス』。戦闘準備満了》

 

けだるげでもサラスヴァティーは指笛を吹いて鮮やかなエメラルドグリーンの狐『神聖天獣ガーヤトリー・フォックス』を呼び出す。アレスも『ワスピーダー』を下げさせ、『ナイト・オブ・グラディウス』の戦闘へと移った。

 

プロメテウス《てめえらなんぞにやられるか!崩符『大罪の灯火』!》

 

アレス《自分が肉壁になる。その隙にお前は反撃しろ》

 

サラ《あら?なら遠慮なく…バッ!!》

 

プロメテウスが拳から石すらも焼き焦がす炎を放ってくる。二柱は打ち合わせるよりも先に動きを始めていた。サラスヴァティーは『ガーヤトリー・フォックス』と共に飛び上がり、アレスは『ナイト・オブ・グラディウス』を炎の前に立たせる。

 

アレス《…化神『ランパードブレイク』!!》

 

 

バガァァァァンッッ!!!!

 

 

プロメテウス《…ちっ!地面を砕いて盾にしやがった…!》

 

『ナイト・オブ・グラディウス』が渾身の力で斧を地面に振り下ろす。すると割れた地面の破片が宙に舞い、岩の壁となって炎をシャットアウトしてしまった。

 

アレス《…やれ!》

 

サラ《こっちよ!化神『ダル・セーニョ・シュート』!!》

 

土埃が辺りに立ち込める中、アレスの声が空へと響く。すると空では雲のような尻尾をたなびかせた『ガーヤトリー・フォックス』が緑のエネルギー球を作り出し、サラスヴァティーの真正面に打ち出していた。

 

サラ《ボールを…!奴のキモい顔面に…!シュートッ!!》

 

プロメテウス《…ふんっ!…これしきの攻撃ぃ…!》

 

『ガーヤトリー・フォックス』のエネルギー球を、サラスヴァティーが下着が見えるのも気にせず、『超!エキサイティン!!』なオーバーヘッドキックで蹴り飛ばした。プロメテウスはとっさに両腕をクロスさせて防御し、何とか持ちこたえようとする。

 

文「私達もいるわよ!『無双風神』!!」

 

椛「狗符『レイビーズバイト』!!」

 

神奈子「『風神様の神徳』!!」

 

白蓮「…超人…『聖 白蓮』!!」

 

プロメテウス《…な、にぃ……!!?》

 

 

バッゴォォォンッッ!!!

 

 

プロメテウスの防御を掻い潜り、文の風を纏わせた弾幕、椛の剣の一撃、そして神奈子の大量の札が襲いかかる。そして最後に白蓮がエネルギー球を蹴り飛ばし、プロメテウスは耐えられずに後ろへ転がった。

 

サラ《さっ…後はあんたが頑張んなさい!》

 

白蓮「はいっ!」

 

アレス《自分も力を貸そう。なに、足手まといにはならん》

 

白蓮は飛ばされたプロメテウスを追いかけながら、サラスヴァティーとアレスをその身に降ろす。彼女の強い意思は二柱分の負担ももろともせず、起き上がったプロメテウスにたどり着いた。

 

プロメテウス《原初神の俺様に…!よくもこんな狼藉を…!》

 

白蓮「人も妖怪も神も仏も全て同じ。世界の和を乱すなら等しく成敗します!」

 

 

白蓮 プロメテウス「《ゲートオープン!界放!!》」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロメテウス《今度こそ…血祭りにあげてやる!》

 

白蓮「…南無三…!」

 

血走った眼でプロメテウスは『ぶっ殺す!』とにらむが、その白蓮自体は静かに合掌すると、法力を高めたあとデッキから初期手札四枚をドローしていた。

 

白蓮「参ります。メインステップ。『ゴッドシーカー 天騎士オールリィチ』を召喚!召喚時効果でデッキを四枚めくります」

 

先行の白蓮はゴキブリの殻人騎士を召喚し、デッキをサーチしにいく。めくられたのは『音獣ノーツヤマアラシ』『ト音獣ジークレフキャット』『音獣エイトーンラビット』『殻人騎士ナイト・オブ・グラディウス』。

 

白蓮「『天渡』を持つ『ジークレフキャット』、そして手札が五枚以下なので『エイトーンラビット』も回収します。残りは『ナイト・オブ・グラディウス』を上にしてデッキトップへ」

 

『殻人』と『遊精』の混合デッキを操る白蓮。最初のターンで『ジークレフキャット』を手札に入れたのはかなりのアドである。

 

白蓮「ターンエンドです」

 

プロメテウス《…メインステップ!ネクサス『賢者の樹の実』、そして緑の創界神ネクサス!『疾風のゼロ』を配置だ!『神託』でデッキを三枚破棄。対象カード二枚分、コアを追加!》

 

プロメテウスの後ろに生えてきたのは、黄金色の幹と果実が輝く大樹。それと例の如くフィールドに誰も現れない創界神ネクサスも配置された。

 

プロメテウス《ターンエンドだ!来いよっ!》

 

白蓮「…ふむ…『オールリィチ』の効果は使いません。メインステップ。バーストを伏せ…初めて見るカードですが…『命の果実ー原種ー』を配置します」

 

『賢者の樹の実』とはバトルフィールドを挟んで真反対側…白蓮の後ろにも大樹がメキメキと生えてくる。違うのは健康そうな茶色い幹と秋の紅葉を思わせる葉の色だ。

 

白蓮「ひとまずターンエンドとします」

 

プロメテウス《メインステップ!『ヤン・オーガ』を召喚してもう一つ『賢者の樹の実』を配置する!》

 

『賢者の樹の実』がもう一本生えてきて、フィールドにはトンボの頭をした蟲人が現れる。だがこれでプロメテウスの手札は2枚、これ以上動くのは厳しかった。

 

プロメテウス《…ターンエンドだ》

 

白蓮「徹底してコアを増やしますか…メインステップ。『ト音獣ジークレフキャット』を召喚!メインステップ時効果発動!『ジークレフキャット』を疲労させ、ボイドからコアを二個置きます!」

 

召喚されたのは、透明な蝶の翼に黄土色の可愛らしいネコだった。だが可愛い見た目とは裏腹に、その効果は一時期環境を荒らしたほどの凶悪さを持つ。

 

白蓮「続けて私のデッキを八枚オープン!そこから『緑の創界神ネクサス』全てと『神聖天獣ガーヤトリー・フォックス』一枚を回収です!」

 

『ジークレフキャット』が「ニャーン」と鳴くと、白蓮のデッキが八枚露になる。コアブーストと同時にここまで広くサーチできることこそ『ジークレフキャット』の強みなのだ。

 

一枚目『ゴッドシーカー 休音獣チンチラスト』

二枚目『創界神サラスヴァティー』

三枚目『歴戦騎士ドルク・エヴィデンス』

四枚目『神楽器サヴィトリー・ヴィーナ』

五枚目『創界神アレス』

六枚目『六刃騎士ムツバセイボゥ・A』

七枚目『神聖天獣ガーヤトリー・フォックス』

八枚目『休音獣ピッグレスト』

 

白蓮「『創界神サラスヴァティー』『創界神アレス』、そして『ガーヤトリー・フォックス』を手札に。さらに『ムツバセイボゥ・A』は自身の効果で手札に入ります」

 

プロメテウス《…チッ…ずいぶん手札が増えたもんだな…》

 

白蓮「…んん…持ちにくい…響け!浄めの調よ!『創界神サラスヴァティー』!そして我を勝利へ導きたまえ!『創界神アレス』を連続配置します!『神託』によってコアを二つずつ追加」

 

サラ《緑らしからぬドロー力が『遊精(うち)』の『音獣』よ》

 

アレス《了解。今回我が軍は援護攻撃に専念しよう》

 

白蓮の両斜め後ろにサラスヴァティーとアレスが『風神雷神』の如く並び立つ。サラスヴァティーは清らかなオーラ、アレスは荒々しいオーラを放って準備万端だ。

 

白蓮「ターンエンドです」

 

プロメテウス《…それを待ってたぜ。メインステップ!まずは『ヤン・オーガ』をレベル3にしてマジック!『ライフチャージ』! 『ヤン・オーガ』の効果も合わせて合計6コアをリザーブへ!》

 

白蓮の手札増加にむしろプロメテウスは喜ぶと、『ヤン・オーガ』とセットのマジック『ライフチャージ』を使用した。緑の光と共に『ヤン・オーガ』が弾け飛び、プロメテウスの生け贄となる。

 

 

プロメテウス《増えたコアでマジック!『ハンドリバース』を使用!手札を全て破棄することで、相手の手札と同じ枚数ドロー!》

 

白蓮「あら…私の手札は…ひぃふぅみぃ…七枚ですね」

 

プロメテウス《ははっ!さらに命を刈り取る大鎌!『黒蟲魔王ディアボリカ・マンティス』!レベル2で召喚!》

 

『ヤン・オーガ』と『ライフチャージ』で増えたコアをふんだんに使い、プロメテウスは手札も増やすことに成功した。続けて地面から緑の大怪蟲『ディアボリカ・マンティス』が両腕の鎌を振り回して現れる。

 

プロメテウス《アタックステップ!『ディアボリカ・マンティス』!各の違いを思い知らせてやれ!まずは『オールリィチ』を疲労!》

 

白蓮「…ライフで受けます!…あぐっ…!!」

 

『ディアボリカ・マンティス』の緑の風が『オールリィチ』を疲労させ、大鎌で白蓮のライフを切り裂く。原初神のバトルによるライフ粉砕の痛みは白蓮の顔を大きく歪ませた。

 

サラ《ちょっと!これでギブとかないわよね!?》

 

白蓮「…ハァァ…だ、大丈夫です!『命の果実ー原種ー』の効果!相手の効果では私のライフは減らず、ライフ減少時にドローできます!」

 

プロメテウス《なんだよ!『ディアボリカ・マンティス』のレベル2効果不発じゃん!》

 

サラスヴァティーが彼女なりの応援を送り、白蓮は少し気を張ってバトルを進める。そんな彼女を『命の果実ー原種ー』が『ディアボリカ・マンティス』の風から守り、デッキから一枚カードを与えた。

 

プロメテウス《…まっ…ターンエンドでいいか…》

 

白蓮「イタタ…ではメインステップ!色即是空 空即是色…召喚!『殻人騎士ナイト・オブ・グラディウス』!」

 

アレス《…り、了解。出ろ!『KOB』!》

 

サラ《…「全てのものは『空』である」…?何でソイツの口上に使ったのよ?》

 

白蓮「雰囲気が良かったからです!ドヤッ!」

 

サラ アレス《 《あ…そうなの…》》

 

アレスが旗をフィールドに突き刺し、砕けた地面から緑の甲冑を装備した蟲騎士が起き上がる。そしてアレスの旗を大きな戦闘斧に変え、その手で持ち上げた。

 

白蓮「アタックステップへ!『創界神アレス』のレベル2効果を使い、『オールリィチ』と『ナイト・オブ・グラディウス』で同時に攻撃します!」

 

アレス《了解。『ナイト・オブ・グラディウス』『オールリィチ』。敵を撃滅せよ!》

 

白蓮「アタック時に『ディアボリカ・マンティス』を重疲労して『アレス』のコアを二つ移動。これによりライフを一つ砕きます!」

 

アレスの号令を受けて『オールリィチ』と『ナイト・オブ・グラディウス』がそれぞれ剣と斧を構えて飛び出していく。アレスの力を吸収した『グラディウス』が斧をブンッ!と振って『ディアボリカ・マンティス』を叩き伏せ、ライフも破壊した。

 

プロメテウス《どちらともライフ!『賢者の樹の実』の効果でコアを増やす!》

 

『オールリィチ』の剣と『グラディウス』の斧がプロメテウスのライフを砕く。だが二つの『賢者の樹の実』がコアへと変わり、プロメテウスのリザーブへ置かれた。

 

白蓮「むっ……ここでターンを終えます」

 

プロメテウス《…ひひっ♪メインステップ!地獄から吹く絶望の風!『獄風の四魔卿ヴァンディール』!レベル4で現れよ!!》

 

アレス《……『邪神』出現。『ソウルドライブ』に警戒》

 

歪んだ笑みを浮かべたプロメテウスが緑の炎を灯すカードを頭上へ掲げる。すると巻き起こった竜巻の中から黄金色のカミキリムシ型アルティメットが現れ、空から降ってきた大鎌を手にとって竜巻を振り払った。

 

プロメテウス《アタックステップ!やれっ!『ヴァンディール』!!身分の違いをわきまえない愚か者へ死を!『ソウルドライブ』!!発動!》

 

サラ《…!…奴のデッキからアルティメットが三体増えるわよ!構えなさい!》

 

白蓮「…はい!」

 

『ヴァンディール』が鎌をグルグル回転させて風を巻き起こす。アレスとサラスヴァティーの忠告に身構えたその時、プロメテウスのデッキがアルティメットが三枚出るまで、次々とオープンされていった。

 

1体目『アルティメット・ウシワカ』

2体目『アルティメット・ホウオウガ』

3体目『アルティメット・ビャク・ガロウ』

 

プロメテウス《コイツらを全て召喚!『ホウオウガ』の召喚時効果で相手スピリットを三体疲労!》

 

 

フィールドの中心で回転しながら降りてきたのは、腕が翼の蟲の武士。天狗のような身のこなしで、『ウシワカ』は和服を裾をはためかせて着地した。

 

緑に染まった空から降臨したのは巨大な極楽鳥。『賢者の樹の実』の上で羽ばたくと、木の葉が風で散って優雅な景色を醸し出していた。

 

さらに地面の緑シンボルから剣が何本も突き出し、尻尾に剣をつけた白虎が土埃をあげて召喚される。口の刀を噛み締めて『ビャクガロウ』はグルルと唸った。

 

白蓮「フラッシュタイミング!『音速』で『音獣エイトーンラビット』を召喚!ブロックをお願いします!」

 

『ヴァンディール』が大鎌を振り下ろすが、場外から飛んできた小さなウサギが体当たりして白蓮を守る。だが『エイトーンラビット』は呆気なく弾かれてしまった。

 

プロメテウス《続けて『ビャクガロウ』!アタック!Uトリガー!ロックオン!!》

 

白蓮「…コスト1の『音獣ノーツヤマアラシ』です」

 

プロメテウス《クリティカルヒットだ!相手の疲労状態のスピリットを全てデッキ下へ戻す!失せろ!》

 

次点の攻撃は『ビャクガロウ』。『Uトリガー』がヒットした効果で尻尾の剣を放ち、『オールリィチ』『ジークレフキャット』『ナイト・オブ・グラディウス』を貫いた。

 

白蓮「再びフラッシュタイミング!アクセルで『ムツバセイボゥ・A』を使用!効果は意味を成しませんが、続けて召喚します!ブロック!」

 

今度こそ白蓮のライフが飛ぶと思われたが、『ビャクガロウ』に六本腕の蟲剣士が斬りかかる。『ムツバセイボゥ・A』自体は簡単に両断されてしまった。

 

プロメテウス《こんのぉ…!…落ち着け…ここで攻めすぎるのもダメだ。ターンエンド》

 

アレス《…何か防御札があるな…?》

 

白蓮「…問題ありません!メインステップ!彼岸に往ける全ての者達よ!悟りに幸あれ!『神聖天獣ガーヤトリー・フォックス』!召喚!!」

 

サラ《ピィィッ!召喚時に私にコアを二個追加!オマケにバースト効果は発揮されない!》

 

これ以上の追撃をやめたプロメテウス。防御札の可能性も高いが、白蓮は怯まずサラスヴァティーの『化神』を召喚する。サラスヴァティーの指笛を聞きつけて『命の果実ー原種ー』の後ろから『ガーヤトリー・フォックス』が飛び込んできた。

 

白蓮「さらに『大神剣アラマンディー』を『創界神サラスヴァティー』に直接合体するように召喚!一気に攻めます!」

 

サラ《ガチャ!へへっ…『転神』っ!》

 

『ガーヤトリー・フォックス』の背中にサラスヴァティーが紅色の剣を持って股がる。今の彼女のコアは6個、よって二回回復できる計算だ。

 

白蓮「アタックステップ!サラスヴァティーでアタックです!まずはBP10000以下の『ウシワカ』を破壊!」

 

プロメテウス《『ホウオウガ』!防御しな!》

 

サラ《…さすがに部が悪いわね…ズザザッ!》

 

『ガーヤトリー・フォックス』の背を蹴り、『ウシワカ』の首を横一閃で切り捨てたサラスヴァティーが上空の『ホウオウガ』に斬りかかる。だがアルティメットと創界神ではBP差が大きく、サラスヴァティーはいったん後退りさせられた。

 

白蓮「コア三個を捨てて回復!もう一度お願いします!次は『ディアボリカ・マンティス』を破壊です!」

 

サラ《あー!忙しい~!》

 

プロメテウス《なら『疾風のゼロ』の『神技』!『ヴァンディール』を回復させてブロック!!》

 

『ホウオウガ』が地面に降りて疲労した隣で、『ヴァンディール』が起き上がる。そして走るサラスヴァティーの剣が立ちふさがる『ヴァンディール』の大鎌と火花を散らした。

 

サラ《もうっ!BP高すぎ~!》

 

白蓮「ですが『サラスヴァティー』は二度回復する!これで決まりです!!『創界神サラスヴァティー』で合体アタック!!」

 

『ヴァンディール』の頭を蹴ってサラスヴァティーはプロメテウスの目の前に躍り出た。『アラマンディー』が残りのライフを全て破壊すると思われた……

 

 

プロメテウス《バーカ!フラッシュタイミング!『烈神速』!トラッシュのコアを使って『アルティメット・セイリュービ』をレベル4で召喚!》

 

白蓮「なっ!?」

 

サラ《…ちぃ…!これじゃ『ガーヤトリー・フォックス』も疲労させられる…!》

 

空の雷雲からニュウッと首を出してきたのは、東洋風のドラゴン。両手の剣をぶつけ合い、サラスヴァティーとプロメテウスの間に割って入るため、下へ降りてくる。

 

『セイリュービ』の『Uトリガー』はブロック時にも発動するので、『ガーヤトリー・フォックス』も止められてしまう…白蓮とサラスヴァティーは唇を噛んだ…

 

 

アレス《緊急出動要請。『歴戦騎士ドルク・エヴィデンス』。『セイリュービ』を打ち消すのだ!》

 

プロメテウス《…え…えぇ…!?》

 

…しかしアレスは冷静に白蓮の手札から一体のスピリットを呼び出す。特殊召喚されたクワガタ殻人が剣を『セイリュービ』の眉間に突き刺して『烈神速』ごと打ち消してしまった。

 

アレス《やれっ!》

 

白蓮「おぉ…!」

 

サラ《…スゥゥ…全集中…!》

 

 

もうこれでサラスヴァティーを邪魔するものは何もない。プロメテウスのライフを『アラマンディー』が二点一気にぶったぎった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロメテウス《ウゴッ…ハァ…ハァ…》

 

白蓮「へ…?」

 

サラ《はぁ!?こいつ生命力ゴキブリレベルじゃん!》

 

バトルフィールドから戻ってきた白蓮とサラスヴァティーは、プロメテウスがまだ生きているのに驚愕する。虫の息とはいえプロメテウスは這ってでも逃走しようと足掻いていたが……

 

 

神奈子「…ガリガリガリ…どこへ行くんだ?」

 

プロメテウス《ヒィィッ…!》

 

アレス《…んっ?俺の『ランパートブレイカー』…》

 

ぶちギレオーラを纏いながら、軍神『八坂 神奈子』が『ランパートブレイカー』を引きずってきた。その迫力にプロメテウスは腰を抜かして怯えだす。

 

神奈子「…年貢の納め時だ…!覚悟しろっ!」

 

プロメテウス《ま、待て!お前に地位と勲章をやろう!なら俺を生かして…》

 

神奈子「…ゴゴゴゴ…!!」

 

薄汚いプロメテウスの命乞いに神奈子は耳を傾けない。恐ろしいほど無表情で神奈子は『ランパートブレイカー』を持ち上げ、気合いを入れ始めた。

 

プロメテウス《…だ、だったら俺たち『原初神』と同格の神に》

 

神奈子「黙れ

 

プロメテウス《ヒッ…!ヒィィ!》

 

もはやプロメテウスにできるのは震えながら腕をだすことだけだった。とうとう『ランパートブレイカー』にエネルギーが貯まり、神奈子は地面を踏みしめる…!

 

 

神奈子「天誅ぅっ!!

 

プロメテウス《ギィィヤァァァッ!!》

 

 

ザシュウゥッッ!!!!

 

 

神奈子の『ランパートブレイカー』が泣き叫ぶプロメテウスの脳天に直撃した。刃が肉を切り裂き、骨を粉砕する音が響き渡り、そして飛び散る鮮血が神奈子の顔や服にかかる。

 

プロメテウス《…ぁ…ぁぁ…

 

神奈子「……ブンッ」

 

プロメテウスの肉体が塵となって消えていく。血まみれになった神奈子は軽く『ランパートブレイカー』を振ると、踵を返してただ見守っていたアレス達の方へ歩きだした。

 

 

神奈子「…たとえ何を対価に出されても…この世界の『命』より価値ある物などありはせんよ」

 

 

 

 




はい。ありがとうございました。

ほんと創界神割れないと『転神』が強いのなんの…

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