東方星神録   作:あんこケース

73 / 246
最終話………


月影と天道 天津星への願い

 

異変が終結し、結界のヒビも完全に治った日の夜、博麗神社では恒例の宴会が開かれていた。普段より騒がしいのは十中八九、創界神がいるからであろう……半分はお説教故だが……

 

ヘラ《……あなた…なんで、うちを置いてナンパしに行ったのかしら……?》

 

ゼウス《ヘラ!すまんかった!!いやぁ~今日は一段と美し………》

 

ヘラ《……遺言はそれでええかしら……?ジェラシックドール……!》

 

イシス《…ラー……あなたも……普段はまともなのに…今回はどうしてなの……?》

ラー《いや…その…内の子フィンクスを拾ってくれた者へ恩を返さないと……》

 

イシス《…この子フィンクスバカ……!イシスター!》

 

 

ゼウス ラー《ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!》

 

ヘルメス《……あ~生き返った………》

 

 

トト《……お疲れ……もう一杯いくかい?》

 

隠岐奈「……大変だな……ん?舞?里乃?どうした?そんな縮こまって……」

 

里乃「いやいやいやいや!」

 

舞「僕達、とんでもなく迷惑だったのに、馴れ馴れしくは出来ません!!」

 

 

ゼウスとラーを折檻しているヘラとイシス(二人の鬼女神)の隣でゆっくりと酒を飲んでいる二人。普段、ゼウスの自由奔放さに頭を抱えているヘルメスと、エジットの頭脳を担っているトトにとって、今がやっと一息つける瞬間であった。

 

そしてその二人と隠岐奈の盃に酒を注いでいる二人はものすごく居心地が悪そうであった…………

 

 

 

 

 

 

シヴァ《おい!アプロディーテ!悪いが花びらをバックに撒いてくれ!》

 

アプロディーテ《あら、踊るの?音楽とかつけたら?》

 

アポローン《よっし!音楽の神である俺の出番だな!向こうの付喪神やポルターガイストの三姉妹と一緒に一曲いくか!!》

 

 

フラン「…あ!シヴァ!私も踊る~!!」

 

 

こいし「私も!!」

 

会場の真ん中で踊ろうとしたシヴァがアプロディーテに演出を頼み、アポローンが曲を奏でようとするとフランとこいしも真ん中に出ていく。

 

 

 

 

 

 

早苗「えええ!神奈子さまのお祖父様!!?」

 

 

スサノヲ《おう!いやぁ~神奈子もこんな可愛い巫女を持ってるなんて、オレは羨ましい…》

 

 

神奈子「あの~!!ヘラさま~!!?」

 

 

諏訪子「それ核弾頭より不味いよ!!?」

 

神奈子が早苗に色目を使ったスサノヲにとんでもない爆弾を投げつける。しかし、幸いにヘラはゼウスの折檻に夢中で気づいてはなかった。

 

 

セト《おうりゃぁ~!!!》

 

 

ブラフマー《激突!激情!!》

 

萃香「にやぁぁぁ!!」

 

 

勇儀「流石は創界神!燃えてきたね~!!」

 

 

天子「ああもう!まだまだよ!!」

 

萃香と勇儀、天子の三人がセトやブラフマーとケンカをしている。まだまだ創界神の二人は余裕がありそうだ。

 

 

 

さとり「全く……」

 

オシリス《すまん…うちのバカが……》

 

レミリア「あら、案外創界神ってのもカリスマが無いわね……フランが踊る!……」

 

 

お燐「声漏れてるよ……」

 

 

お空「さとりさま~!私達も踊ってきまーす!!」

 

 

呆れるさとりと謝るオシリスに嫌味を言ったレミリアだったが、心の声をお燐とお空にバッチリ聞かれていた。

 

 

 

幽香「へぇ……水も考えないと……」

 

 

ポセイドン《そうだ!幻想郷で一番オススメな水源は……》

 

布都「あ、創界神さま…どうぞ……」

 

屠自古「こちらがお酒です……」

 

アレックス《え、イヤ、別にそんな畏まらなくても…》

 

水に詳しいポセイドンが幽香に良質な水源をレクチャーしている隣で、布都と屠自古がアレックスに媚ながら酒を注いでいる。

 

 

 

ホルス《……いい所だな……》

 

文「……はい………」

 

ケイ《マ~ナ~カ~!!》

 

マナカ《うわ!ケイ!どんだけ飲んだの!?》

 

映姫「そう言えば…先ほどスサノヲさまが持ってきたすごく度数の高い酒をがぶ飲みしていましたね…」

 

縁側で風にあたっているホルスと文を尻目に、完全に出来上がったケイがマナカに抱きついている。その隣で映姫は優雅に酒を味わっていた。

 

 

アンターク《……ちなみにこの魔法は……》

 

 

魔理沙「成る程……」

 

アリス「すごいわ……」

 

 

幽々子「…モグモグ…あなた…やるわね…」

アルテミス《…あなたもね……モグモグ…》

 

妖夢 咲夜「「……はぁ………」」

 

 

アンタークが魔法使いの二人に賢者さながらの知識を与えているが、幽々子とアルテミスの大食い対決が妖夢と咲夜、料理組の胃を締め付けていた……哀れ……

 

 

 

純狐「うどんちゃーん!!」

 

鈴仙「ひぇぇぇぇ!!」

 

へカーティア《じゅ~んこ~!ほどほどにしなさ~い!》

 

 

サグメ 豊姫《「ご迷惑をおかけしました……」》

 

 

永琳「別にいいわよ。そうだ!あなた達に報告が有るわ!実は私…この世界の創界神と結婚」

 

 

紫「てぇぇぇぇぇい!!!」

 

アテナ《はあぁぁぁぁぁぁ!!》

 

純狐が鈴仙を追いかけている間、豊姫とサグメは永琳に頭を下げていた。そしてまーた永琳の言葉が火種となり、紫とアテナが飛び蹴りを放ってケンカが勃発した。そこから離れた豊姫はあることに気がついてへカーティアに尋ねた。

 

 

豊姫「……あら?依姫は?」

 

 

へカーティア《何か、ついさっき弾と一緒に屋根に登ってったわ。もしかしたら二人でこっそり………》

 

 

そう言うへカーティアは《しまった》と思ったが、時すでにおすし。紫と永琳、アテナがギギギとへカーティアの方向を向いた……その黒い気は、宴会のメンバーが振り返るほどであった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

博麗神社 屋根

 

弾「…悪いな…あまり大勢の前ではできないことでね……」

 

依姫「ええと…一体何を?」

 

 

弾に呼び出されて屋根に登った依姫はなにやらぶつぶつと唱えている弾に?マークを浮かべたが、空中に映し出された映像を見て驚いた。その映像に映っていたのは………

 

 

ロロ《やぁ、久しぶりだね…弾。》

 

 

弾「最初にグランロロに行った時以来か?ゼウスやラーが来てるんだ。あんたは来ないのか?」

 

 

ロロ《……イヤ…やめとこう……今、ミクスを置いていくのは……ちょっと………》

 

 

映し出されたのはウルの主神のロロだった。しかし、依姫はもう創界神に慣れたのか、すぐに気を取り直して尋ねた。

 

 

弾「んで…話ってなんだ?彼女も呼んで欲しいって言ったから呼んだが………」

 

依姫「あの~私に何か…?」

 

ロロ《イヤ、そんな気難しいことじゃない。ただ単純に礼が言いたかっただけさ。この世界も元は地球…グランロロだからね……あ…そうそう…後もう一つ…とある二人がそっちに向かったからその連絡もあった……》

 

???《別に良いわ。もう着いたし。》

 

 

???《案外、仕事が早く終わったからな。》

 

あの二人? そう尋ねようとした依姫と弾の後ろの空間が突如歪み、そこから声が響いた。依姫は突然のことに驚いて身構えたが、歪みから出てきた二人にさらに驚愕するばかりであった。

 

弾「…この二人は……?」

 

依姫「…つ、ツクヨミさま……!!?…それに……アマテラスさま……!!?」

 

 

そう、依姫の故郷の月の都を治めるツクヨミとその月の都が所属するアマハラの主神、アマテラスが現れたのだった。

 

 

ロロ《これでいいかな?私はここで……》

 

アマテラス《いえ…あなたも聞いて欲しいことがあるのよ……まず…依姫ちゃん……ありがとう…!あなたのお陰で私達も……全世界が救われたわ……!!》

 

 

依姫「…え、あ、はい!ありがとうございます!!」

 

 

そう言って手を握ってブンブン振るアマテラスに依姫はさすがにガッチガチからは脱却して反応できるようになった。そしてツクヨミがその後に続く。

 

 

ツクヨミ《…依姫よ…私からも礼を言おう……そして…馬神 弾よ……私達は……今回頼みがあってここに来た……》

 

 

弾「…頼み……?」

 

 

そう聞いた弾にツクヨミはかなりの貯めを作った後、語り始めた。

 

 

 

ツクヨミ《……永琳と……私の実の娘……輝夜のことだ……》

 

弾「え…!!?」

 

 

ロロ《……やはり……よく君は二人のことを心配していたからね……》

 

 

驚く弾に依姫が説明を始める。ツクヨミが昔、娘の輝夜が蓬莱の薬を飲んだ時…彼女を追放の刑に処したこと…迎えの際に永琳を向かわせたこと…紫達が月に攻めこんだ時は簡単に凪ぎ払ったこと等を話した。

 

 

ツクヨミ《……ここだけの話だが…輝夜が蓬莱の薬を飲んだ時……私はチャンスだと思った…罪と称しての地上の生活で、輝夜に地上を好きになってほしかった……生まれ死んでいくことに美しさを感じてほしかった…》

 

 

アマテラス《そして…永琳ちゃんもその時は月の都の政変に揉まれて、クタクタになってたからね…ねぇ、ツクヨミ……輝夜ちゃんを迎えに行かせたのも、そのまま一緒に逃げることを期待していたからよね?そうじゃないと月の使者がそんな簡単にやられはしないわ。》

 

 

アマテラスの言葉に無言で首を縦に振るツクヨミ。それを見て依姫は驚いた。彼女のツクヨミのイメージは、穢れを極度に嫌い、清きことこそ価値あるものだと考えている神だと思っていた。

 

しかし、本当の彼は地上を愛し、娘の輝夜だけでなく永琳のような困っている者も助けようとする…支配者としての理想像だと感じた………

 

 

 

弾「それで…頼みとは?」

 

 

ツクヨミ《…二人を頼む…私は彼女達を守れない…輝夜を守って欲しい…私の一人娘だ……そして……永琳には辛く…苦しい運命を背負わせてしまった……神々の砲台を造った時は天才だとしか思えなかった……それで何が起こるかわかってなかった……だから……》

 

 

 

ツクヨミが言い終わらないうちに弾は返事を返した。

 

 

弾「……断る…!!なら直接会って守れよ……!あんたはなんだかんだであの二人に会うのが怖いんじゃないのか?…彼女達は……輝夜はあんたが思ってるより聡明だし…永琳はオレの相棒だ…きっと…大丈夫さ…」

 

 

アマテラス《…うふふふ…これは一本とられたわね……ツクヨミ…?どうする……?》

 

 

ツクヨミ《…そうだな……馬神 弾…そして依姫……今のことは忘れてくれ……今から二人に会いに行ってくる…ついでにバカ弟のやらかしたことを謝ってくる…………》

 

 

ロロ《…リリアが言っていた通りの…優しく…強い男だな……》

 

そう言って、ツクヨミは下に降りていく。ロロは通信を切り、残った三人は少しの沈黙の後に話し始める。

 

 

依姫「…そう言えば…アマテラスさま…師匠達の罪は一体どうなったのですか?」

 

 

アマテラス《ああ、問題ないわ。私が反対派を邪魔するから。だからあなたも自由に会いに行って良いわよ?》

 

 

その言葉に依姫はお礼を言って安堵した。しかし………

 

 

 

 

 

 

アマテラス《それにしても……弾…あなたいい男ねぇ…どう?私の夫になるってのは?主神の夫よ?》

 

 

弾「え、その…それはちょっと………」

 

アマテラス《え~私…スタイルにも自信があるのだけど……?》

 

 

アマテラスがそう言って弾に体を密着させてくる。もう完全に口と口がくっつきそうな距離まで近づいたその時!!

 

 

紫「…弾?話は終わっ………」

 

永琳「…どうしたの?急に固まっ………」

 

アテナ《まさか二人で…………》

依姫「……あ………マズイ………」

 

 

屋根にスキマが開いて紫が声をかけた…さらにそのスキマは宴会場に通じていて、後ろからは永琳やアテナを始めとした創界神達がこっちを見ていた……

 

 

弾「…さ、三人とも……実は…あの……」

 

 

アマテラス《あら、永琳ちゃんにアテナじゃない。そうだ!ねぇ、彼凄くいい男なのよ~貰っていい?》

 

 

 

ゼウス《弾!!逃げろ!!》

 

 

ゼウスの言葉に、全力で空に飛び立つ弾。それを鬼の形相で追いかける三人。アマテラスはそれを見てケラケラ笑っていた。

 

 

 

依姫「……うふふふ…やはり……この世界は……実にいい所です…!!」

 

 

紫 永琳 アテナ《「「待ちなさい!!!」」》

 

 

弾「助けてくれ~!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい。ありがとうございました。


ロロだけでなく、ツクヨミとアマテラスも登場させました。この二人の系統や化神も気になります。詳細は小話でのメイン回に書き足します。


ロロ

ウルの主神の創界神。太古の昔にグランロロと地球を創造した救世主。そして今は弾に地球を任せて、グランロロを治めている。普段は主神らしい喋り方だが、アンタークやリリア等の古い友人と会話するときや焦った時は昔の少年時代の喋り方になる。



さて!今回でこの小説はフィナーレです!今までお読みいただき本当にありがとうございました!!また新しい創界神が発表されれば、小話を書いていきますので時たま覗いてくれれば幸いです……では……さようなら…………


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。