東方星神録   作:あんこケース

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自分の中ではツクヨミ様は苦労人ポジのイメージがあります。いつも引きこもってるアマテラスや色々と問題児なスサノヲに振り回されてそうです。


決着!月の都VS純狐!

アマハラ 月の都 サグメの執務室

 

 

 

サグメ《……はぁ…疲れた……》

 

 

 

執務室の椅子に体を任せてぐったりとしているサグメ。メジェドに操られてたこともあり、いつもの月の賢者としての仕事が貯まっていたのだ。ツクヨミの恩赦もあって処罰はなかったが、貯まった仕事は減ることはない……

 

すると誰かが執務室の扉をノックした。

 

 

 

サグメ《……?はい、どうぞ。》

 

 

 

アルテミス《お邪魔するわねぇ~!》

 

ツクヨミ《サグメ……生きてるか……?》

 

 

 

サグメ《…………ぬぇぇぇぇぇぇぇ!!?…ガラガラ…》

 

 

 

入ってきたのはなんとオリンの月の女神、アルテミスと上司中の上司、ツクヨミだった。さすがのサグメも椅子から転げ落ちるほどの突然の来訪だった。

 

 

 

アルテミス《ちょ!大丈夫!?》

 

 

サグメ《…し、失礼いたしました……お二人様……今日は何用で……?》

 

 

 

慌てて起き上がって姿勢を正すサグメに、ツクヨミは話し出す。

 

 

 

ツクヨミ《…ラーから連絡があった……純狐がそろそろ月の都に襲来するそうだ……》

 

 

 

サグメ《…つい最近攻めてきたばかりですが…あの星の女神と共に…》

 

 

 

ツクヨミ《ラーを味方につけたからだろう……おそらく…今回でけりをつけてくる…そこでサグメ…お前に特別任務を与える…》

 

 

 

純狐の月の都襲擊……それは何十年かに一回ほどで起こる面倒事。彼女は[純化させる程度の能力]を持っており、月人には毒になる地上の穢れを純化させて持ち込まれれば、月の都は大パニックになる。そこでサグメ達月の賢者はあの手この手を使って、誤魔化し、純狐を追い払うしか術がないのだ。

 

 

しかし、ツクヨミの特別任務という言葉に、サグメは首を傾げる。

 

 

 

ツクヨミ《向こうは今回で嫦娥を仕留めたいだろう……なら仕留めさせてやればいい。》

 

 

サグメ《…!?あの無名の存在に屈して嫦娥様を差し出すと言うのですか!?》

 

 

ツクヨミの言葉にサグメは驚いた。創界神でもない一個人の純狐にアマハラ最高戦力の一角、月の都が敗北を認めるなど考えられなかった。

 

 

 

ツクヨミ《違う違う、落ち着け。お前も知っての通り嫦娥は我が娘、輝夜と同じ蓬莱人だが元々は月の重役。そのパイプで罪を受けることを逃れている。それを私は気にくわない。》

 

 

 

サグメ《…嫦娥はツクヨミ様にとってただのお荷物だと?》

 

 

ツクヨミ《そうだ。それに元はと言えば、これは嫦娥自身の問題。個人の問題を月の都に持ち込み、厄介事を増やすばかりかそれを他人に丸投げしている……さすがにもう我慢ならん。それにエジットの最高神、ラーの要求だ。流石に嫦娥でもどうしようもないだろう。》

 

 

 

サグメはツクヨミの語気が強くなっているのに気がついた。サグメにとって彼がイライラしている姿を見るのは初めてだったが、ここ何千年と純狐に悩まされている彼の気持ちもよく分かった。

 

 

 

サグメ《…それで私に何を?》

 

 

 

ツクヨミ《サグメ、お前は私と共に交渉の席についてほしい…メジェドの一件でお前も肩身が狭いだろう?だから手柄をやろうと思ったのだが……》

 

 

 

サグメ《…!…ありがとうございます!》

 

 

 

アルテミス《…そんで私は何で呼ばれたの?》

 

 

 

ツクヨミに綺麗な礼を決めながら感謝したサグメの隣でアルテミスが話しかける。それもそのはず、彼女はオリン神なのでこの一件には関係ないはずだからだ。

 

 

 

ツクヨミ《いざというときに中立派の意見が聞きたいのでね。一応、一番近い所にいたお前さんに頼んだんだ。》

 

 

 

アルテミス《…へぇ~……りょーかい( ゚Д゚)ゞ》

 

 

そしてその後は日程やら交渉カードやらを考えていった。流石にラーを味方につけた純狐にここまで考えることもあるか?と思うぐらいにカードを揃えていった。

 

 

 

 

 

 

 

交渉 当日 幻想郷 人里 稗田家の一室

 

 

 

交渉の席は幻想郷の人里にある名家、稗田家の一室で行われることになった。最初はアルテミスの世界にする予定だったが、純狐が幻想郷を要望したのだ。

 

席にはもうツクヨミ、サグメ、アルテミス、純狐、ラーが座っていた。これから……月の都の未来を賭けた戦いが始まろうとしていた……

 

 

 

ラー《さて、全員揃ったから始めるとしよう。まずはそちらの要望から……》

 

 

ラーの言葉にツクヨミは《嫦娥を差し出すことは認めるが、それに準備がいるので少々待ってほしい》との旨を伝えた。待つという期間も具体的ではなかったので、これは納得しないだろう……そう思ったサグメは頭の中で交渉のカードを出す順番を考えていた。

 

 

 

純狐「それでいいわよ。」

 

 

 

サグメ《ならこういうのは……え!!!?》

 

 

 

…………戦い…終了……純狐はあっさりそれを了承した。

 

 

 

ラー《良いのか?具体的な日を聞かないで。》

 

 

 

純狐「差し出すって言うんだからいつでもいいわ。確実性があるし、こちらもようやくけりをつけられるし。」

 

 

 

アルテミス《……私来た意味なかった……》

 

 

ツクヨミ《…お、おう…それは良かった……さて…会談が数分で終わってしまったが……》

 

 

何時間もかかると思われた交渉が予想以上の速さで終わってしまったのでツクヨミは頭をひねった。まあ彼としては簡単に終わるほどに越したことはないが…………すると、純狐はサグメを見てニヤリと笑った。

 

 

純狐「なら、暇つぶしにバトルしない?友好の意味でも…………」

 

 

アルテミス《さんせーい!!サグメちゃん!行くわよ!!》

 

 

純狐の言葉に、出番が全く無かったアルテミスが《待ってました》と言わんばかりにサグメの中に入っていった。サグメはサッとツクヨミに助けを求めたが……

 

 

 

ツクヨミ《…グッ(サムズアップ)…》

 

 

……ツクヨミ様…それはカグツチ様からの受け売りですか?

 

 

サグメ《… はぁ…分かりました……月の都の威信にかけて…勝利します。》

 

 

 

 

サグメ 純狐《「ゲートオープン!界放!!」》

 

 

 

 

 

純狐「先行貰うわよ?メインステップ。光の神!創界神ラーを配置!デッキから三枚トラッシュに置いて、対象カードが三枚。よって三コア追加。」

 

 

ラー《よし。楽しんでいこう。》

 

 

 

純狐の背後にラーが現れる。しかしどこか気楽そうだ。

 

 

純狐「そして神技を使ってデッキから三枚オープン。その中からコスト8まで想獣スピリットを回収。よって子フィンクスと二頭神獣アケルを手札に加えるわ♪さらに祝福されし大聖堂を配置。これでターンエンドよ。」

 

 

純狐はラーの神技で手札を補充した後、さらに光がさした大きな聖堂が現れる。これはうまくコスト2ビートを支えてくれるネクサスなのだ。

 

 

 

サグメ《メインステップ。月光の導き!創界神アルテミス!トラッシュに送ったカードのうち、全て対象なのでコアを三つ追加。そして凍れる火山も配置する。》

 

 

 

アルテミス《ででーん!》

 

 

 

ツクヨミ《…凍れる火山か……初手で配置出来たのは大きいぞ…!》

 

 

サグメの後ろにアルテミスが、さらに背後に凍りついた火山がそびえ立った。これで相手が交換ドローするたび、手札を破棄できるようになる。

 

 

 

サグメ《ターンエンド。》

 

 

 

純狐「あら…そのネクサスは面倒ねぇ…メインステップ。祝福されし大聖堂をレベル2に。さらに子フィンクスを召喚してアタック!効果で子フィンクスを召喚してドロー!」

 

 

子フィンクスが嘶きまた子フィンクスを呼び出す。

 

 

サグメ《凍れる火山の効果で一枚破棄!そしてその攻撃はライフで受ける!》

 

 

 

凍れる火山が光って純狐の手札を棄てさせる。しかし子フィンクスは頭突きでライフを打ち砕いた。

 

 

 

 

純狐「うーん……ターンエンドで。」

 

 

 

純狐はここでターンエンドした。これ以上のアタックでは決められないと踏んだのだろう。

 

 

 

サグメ《メインステップ。水晶竜シリマナイトを召喚。さらにスプレッド・トータスを召喚してコアを追加。どちらもレベル2に。》

 

 

サグメのフィールドに砲台を背負った亀と水晶で覆われた体をしたトカゲが出現する。

 

サグメ《アタックステップ。シリマナイトでアタック!》

 

 

純狐「子フィンクスでブロック!破壊されたのでバースト発動!二頭神獣アケルの効果でトラッシュの子フィンクス二体を回収した後に召喚!!」

 

 

 

シリマナイトの尻尾が子フィンクスを弾き飛ばすと、純狐のバーストから二つの頭を持った獅子が現れる。さらに祝福されし大聖堂の効果が発動する。黄色のスピリットが破壊されると、一コアリザーブに追加し、レベル2からは一枚ドロー出来るのだ。

 

 

 

サグメ《…凍れる火山は相手のターンでないと発揮しない……ターンエンド。》

 

 

 

純狐「メインステップはそのままでアタックステップへ!子フィンクスで攻撃して子フィンクスをコアを五つのせて召喚!そしてドロー!」

 

 

子フィンクスがまた子フィンクスを召喚させる。凍れる火山の効果も発動しているが、アタック自体は止められない。

 

 

 

 

サグメ《…スプレッド・トータスでブロック!効果でコアブーストし、フラッシュタイミング!神聖機獣ライトニング・ケリュネイアーをスプレッド・トータスに煌臨!!》

 

 

 

スプレッド・トータスがライトニング・ケリュネイアーに切り替わる。そしてアタックしてきた子フィンクスを角で突き上げて破壊する。

 

 

純狐「さらに子フィンクスでアタック!効果で子フィンクスを召喚!ワンドロー!さらに神煌臨!我が元に顕現せよ!神をも焼き殺す光!太陽神獣セクメトゥーム!!」

 

 

 

ラー《フム、いいタイミングだ。》

 

 

 

アタックしている子フィンクスがセクメトゥームに変化する。先ほど子フィンクスの召喚の際にコアを多めに置いたのはこれを狙っていたからであろう。

 

 

 

純狐「セクメトゥームの煌臨時効果でスピリット二体をBPマイナス10000!そしてセクメトゥームのレベル3効果!BP0で破壊されたスピリットの計コア三個をボイド送りに!」

 

 

 

セクメトゥームが光弾でケリュネイアーとシリマナイトを破壊する。ケリュネイアーは効果でフィールドを離れる際、二コスト支払い、手札の機獣を召喚することでフィールドに残ることができるが、そもそもコアが足りなかったのでフィールドに残ることが出来なかった。

 

 

 

サグメ《く…フラッシュタイミング!アルテミックシールド!ライフで受ける!》

 

 

セクメトゥームが前足で一気にライフを二つ砕く。しかしその後に透明な壁がそびえ立ち、追撃を阻んだ。しかしこれでサグメの手札は失くなってしまった。

 

 

 

純狐「仕方ないわね。ターンエンド」

 

 

 

 

 

サグメ《…ドローステップ………メインステップ…バーストをセット…ターンエンド。》

 

 

 

アルテミス《?…何引いたのかしら?》

 

 

 

純狐「ほう…なら遠慮なく行くぞ。子フィンクスを召喚。そしてアタックステップ!セクメトゥーム!とどめの一発だ!」

 

 

 

セクメトゥームが光を纏って突進する。サグメのライフは2、セクメトゥームはダブルシンボル。このアタックが通れば純狐の勝ちだが……

 

 

 

サグメ《アルテミスの神技でそのアタックでは私のライフは減らない!》

 

 

アルテミス《…これで一発は……!》

 

 

 

セクメトゥームの突進はアルテミスのバリアに阻まれた。

 

 

 

純狐「無駄だ!子フィンクスでアタック!効果でさらに別の子フィンクスを召喚しているワンドロー!」

 

 

 

純狐の子フィンクスによるビートは止まらない。しかし、サグメは深呼吸の後、宣言した。

 

 

 

サグメ《………ライフ!そしてバースト発動!!巨砲母艦マザー・パイア!召喚時効果でデッキから三枚オープン!!これであのカードを引ければ………!》

 

 

 

サグメのバーストから機械の巨大な猪が現れ、大きく咆哮する。そしてサグメのデッキがめくられる……

 

 

 

白亜元帥レイ・ザウラー 機獣魔神 そして………

 

 

 

 

 

 

 

……アルテミックシールド!

 

 

 

サグメ《!来た……!白亜元帥レイ・ザウラーを一コストで召喚!さらにアルテミックシールドは効果で手札に入る!》

 

 

 

ラー《……なるほど……ずいぶんな賭けだな……》

 

 

 

マザー・パイアの隣の地面から機械のティラノサウルスがのっそりと這い出てくる。純狐はまずカウンターを警戒し、ターンエンドをした。

 

 

 

純狐「……ここはターンエンド。」

 

 

 

サグメ《メインステップ!さらにネクサス…アルテミスの泉をレベル2で配置…!レイ・ザウラーをレベル3にあげる…!そしてアタックステップ!》

 

 

 

アルテミス《ここで私の泉の効果を使うわ!私の神域の対象スピリットを二体に増やす!》

 

 

アルテミスの足下に泉が湧き出るとレイ・ザウラーとマザー・パイアが白く輝き始めた!

 

 

 

サグメ《アタックステップ…!マザー・パイアでアタック!ダブルシンボル&アンブロッカブル!》

 

 

 

純狐「…ライフで受ける!」

 

 

マザー・パイアから無数のミサイルが発射されて純狐のライフを二つ撃ち抜いた。

 

 

サグメ《さらにレイ・ザウラーでアタック…!》

 

 

 

純狐「…これもライフ……」

 

 

 

レイ・ザウラーも大口を開けてライフを二つ噛み砕く。

 

 

 

サグメ《レイ・ザウラーの効果……バトル終了時、白スピリットを手札に戻すことで回復…!ラストアタック!!》

 

 

 

 

レイ・ザウラーが銀色の砲弾を口から放った!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツクヨミ《…サグメ…よくやったぞ…!》

 

 

 

サグメ《………いえ…ありがとうございます……》

 

 

 

帰り道、ツクヨミとサグメは歩きながら話していた。ツクヨミの力なら一瞬で帰ることも可能だったが、ツクヨミが歩くことを望んだのだ。

 

 

ツクヨミ《…少し…気を楽にしたらどうだ…?今は仕事ではないし、お前も高天ヶ原ではそこそこ地位があるほうだろう。》

 

 

サグメ《いえ…!ツクヨミ様の前でそんなことは…》

 

 

 

未だに気を張っているサグメを見て、ツクヨミは短いが的確な一言を言った。

 

 

 

ツクヨミ《……お前は永琳じゃないぞ…》

 

サグメ《……!》

 

 

 

ツクヨミはサグメの心中を見抜いていた。永琳が月を捨てた後もサグメが永琳を慕い、彼女を目標に努力してきたことをツクヨミはちゃんと見ていたのだ。するとツクヨミは固くなった空気を戻そうと話し出す。

 

 

 

ツクヨミ《…そうだな…土産に団子でも買っていくか!聞くところによるとお前もよく食べに来ている団子屋があるそうだが?》

 

 

サグメ《…!?え、なぜそれを!?》

 

 

 

ツクヨミ《さてな!》

 

 

 

そう言うとツクヨミは団子屋に向けて向かっていき、サグメも慌てて後についていった。

 

 

サグメ《……私は……いい上司を持ちましたね…》

 




はい。ありがとうございました。

前書きの続きになりますが、ツクヨミは苦労人故に部下や友にとても寛大な性格にしました。月の民達の地上の穢れに対する食わず嫌いに手を焼いている分、他人の苦しみがわかるのでしょう。いい上司だなぁ……

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