盾の勇者(盾を装備してるとは言ってない) 作:banjo-da
何をしてるんだろう、俺。
「おお、勇者様方! どうかこの世界をお救いください!」
「「「「は?」」」」
────この物語は。
「何それ?意味分かんないんだけど。」
「色々と込み合った事情があります故、ご理解する言い方ですと、勇者様達を古の儀式で召喚させていただきました。」
「……ふぅん?へぇ…召喚…。」
─────命懸けの争いに巻き込まれ、必死に運命に抗うも、巨悪を前に無念の死を遂げた一人の青年(※嘘は言っていない)が。
「この世界は今、存亡の危機に立たされているのです。勇者様方、どうかお力をお貸し下さい。」
「嫌だ…「へー。面白そうじゃん。詳しく聞かせろよ」えっ!?」
────────新たなる世界で、再び争いに身を投じる姿を描いた、壮大なる物語である!!
◆
「ほう、こやつ等が古の勇者たちか。」
所変わって、ここは王への謁見の間。ファンタジーものに出てきそうな中世ヨーロッパ風の建物の、ファンタジーものに出てきそうな王様への謁見の間に、これまたファンタジーものに出てきそうな中世ヨーロッパっぽい王様がふんぞりかえっていた。偉そうな上に、彼等───召喚された四人の青年達───を値踏みするように見ており、御世辞にも良い印象とは言えない。
先程の召喚イベントに巻き込まれたのは青年四人。彼等はあの後、『人の意思を無視して勝手な事を』だの、何だかんだといちゃもんをつけ。『んな事、儂に言われてもなぁ…』とか思ってそうな困った様子のローブの男性に『一先ず王と謁見して欲しい』と告げられ、この部屋へと誘われた。
困ったクレーマーを相手には、無理せず迅速に上司の判断を仰ぐ。王に謁見はさせても、自分一人で許可無く勝手な越権はしない。ローブの男性の判断は間違っていない。
それはそれとして、オルトクレイ=メルロマルク32世という『恐らく世界史の教科書全部ひっくり返しても、ここまで覚えにくい名前中々居ないだろうなぁ』と思いそうな名前の長い王は、誰一人頭を下げていないにも関わらず
「顔を上げい!」
と威厳に満ちた態度で告げる。この王様、痴呆か老眼が始まっているのかもしれない。
「さて、まずは事情を説明せねばなるまい...この国、更にはこの世界は滅びへと向かいつつある…。」
◆
王の話を纏めると、
この世界には終末の予言なるものが存在するらしい。
その予言によれば、いずれ波というものが幾重にも繰り広げられ、その波の齎す災害を退けねば世界が滅ぶという。
その予言の年が今年であり、予言の通り、古より存在する龍刻の砂時計という道具の砂が落ち出した。
この龍刻の砂時計は波を予測し警告するという機能を持っている。
ちなみに伝承では1つの波が終わる度に1ヶ月の猶予が生まれ、また襲い来るという。
彼等が召喚されるより以前、龍刻の砂時計の砂が一度落ち切った時、次元の亀裂がこの国、メルロマレクに発生した。そしてその亀裂より凶悪な魔物が大量に這い出てきたという。その時は何とか対処する事が出来たが、次の波はそれよりも強力なものとなる。
『このままでは不味い、戦わなければ生き残れない。』
そう考えた国のトップは、伝承に則り勇者召喚を行った。
そして召喚された勇者達、というのが彼等四人だという。
「…話は分かった。で、召喚された俺達にタダ働きしろと?」
「都合の良い話ですね。」
「……そうだな、自分勝手としか言いようが無い。滅ぶのなら勝手に滅べばいい。俺達にとってどうでもいい話だ。」
「まー、例えばそうだな…その波ってのを全部対処したら、王にでもしてくれる、ってなら考えてもいーけど。中々楽しそうなゲームだし。
───あ、でもそしたらアンタ失業しちゃうね?じゃあ、アンタも一緒にこのゲーム参加する?」
「ぐっ…。」
相手が波に対抗する為の勇者達である手前、悔しそうな顔をしながらも何とか怒りを抑える王。彼等を都合良く動く手駒の様にでも考えていたのか…と思えば自業自得だが、一人完全に調子に乗っているので『よく耐えた』と思わなくもない。
「おい…。」
「ハッ!もちろん、勇者様方には存分な報酬は与える予定です。」
王が臣下へと視線を向けると、臣下は頷き彼等へ説明を始める。
「他に援助金も用意できております。ぜひ、勇者様たちには世界を守っていただきたく、そのための場所を整える所存です。…その、流石に玉座は御用意出来ませんが…。……出来ませんよね…?」
「出来るかッ!!一々聞くなその様な馬鹿げた事を!!」
間違いがあってはいけないので、分からない事は上に相談───臣下は間違っていない。が、王様には叱られてしまった。どこの世界でも中間管理職は大変なようだ。
「全く…馬鹿が…。…こほん。さて、勇者達よ。それぞれの名を聞こう。」
血圧の上がりそうな怒り方をした王は、一度深呼吸し咳払いすると、気を取り直す様に彼等へ問い掛ける。
剣を携えた、少々小柄な青年は
「俺の名前は、天木練。年齢は16歳、高校生だ。」
槍を携えた金髪の長髪が印象的な青年は
「俺の名前は北村元康、年齢は21歳、大学生だ。」
練以上に小柄で、中性的な印象を与える弓を持った青年は
「僕の名前は川澄樹。年齢は17歳、高校生です。」
とそれぞれ名乗った。
そして最後の一人。他の勇者と異なり何一つ武器を身に付けていない、何処か人を舐めた様な視線が特徴的な、先程の『王座寄越せ』発言の主は
「芝浦淳。20歳、大学生。よろしくー。」
と、矢張り不遜な態度で名乗った。
「ふむ…レンにモトヤスにイツキに…待て、ジュンとやら。つかぬことを聞くが、そもそもソナタは一体何の勇者なのか。伝承では剣、槍、弓の他に伝わる勇者は盾の勇者だった筈だが…。」
「はぁ?盾って、俺がそんなダサいジョブなワケ無いじゃん。…でも確かに武器ねぇな…。」
少々困惑した様子の芝浦だったが、軈て視界の端に何か面白いものでも見付けたのか、その一点を仰視し始める。
「…?えっと、淳…だよな?どうしたんだ?」
「何だ、お前ら未だ気付いて無かったのか。視線の方向からして、自分のステータス確認してんだろ?」
不思議そうに問い掛ける元康と、フンと鼻息混じりに説明する練。
しかしその態度が気に入らないのか、芝浦は少々不機嫌そうに答える。
「うっさいなぁ…そうだよ。このステータスってヤツを……?あっ…!」
ステータスの表記に何かを見付けたのか、突然自身の衣服のポケットを漁り始める芝浦。そして
「王様~、それにお前らも。特別に俺が何の勇者か教えてやるよ。
────────犀の勇者だ。」
「「「「サイ!?」」」」
◆
─────仮面ライダーガイ・芝浦淳。
この物語は『盾の勇者』のお話ではなく、
『盾(にされた男)が勇者』のお話である!
※続くかどうかは分かりません