生まれ損ないの天使   作:ラディスカル

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第3話「夏祭り」

ついにこの日が来た。

 

夏祭りの日である。この市で一番大きな祭りだ。まず間違いないだろう。事故を装って優君に怪我をさせる方法を考えたが、良心の呵責で実行に移せなかった。

 

情を移しすぎた。千早とだけ仲良くしていればよかった。後悔を幾らしてもしたりないが、行きたくないと私が喚いても、千早が連れて行って終わりだろう。だったら。

 

「オレ、もう小学生だよ!こんなのやだよ!」

 

「うるさい!こないだショッピングモールで迷子になったでしょ!」

 

ロープで優君の腰と自分の腰を繋いだ。長さは1m、切れないようにナイロンのしっかりしたやつだ。元は洗濯用のロープだが…。

 

「じゃないと手を繋いであげないよ!」

 

「ちぇー、しかたないな。」

 

「羨ましい…」

 

「千早も着ける?」

 

「え、やだ!かっこ悪いもん」

 

「?」

 

いつも通り優君を間に挟んで歩く。縁日で綿あめ買って、水風船を釣って、お面を残りのお小遣いを出し合って1枚だけ買った。優君の水風船が割れたときはフラグだと戦々恐々としたが、ガッチリとロープで固定された優君が飛び出すことはなかった。

 

ミッションコンプリート。

 

なんかもう、人生のゴールに着いた気分だ。念のため残りの小さなお祭りや、近隣の街の祭りにも注意しよう。あとは、私が千早をアイドルに導けばいい。

 

そっちの方が難しいが、前世の名曲ブーストで千早をドーピングすれば戦えるだろう。

 

ーーーーー

 

中学生になった私たちは、私がギタリスト兼ボーカル、千早をメインボーカルにしてストリートライブをしてステージの勘を養っていた。

 

いつも最前列には優君がいた。

 

最前列って言っても多くて20人も人が集まらないが…。

 

「じゃあ次は新曲行きますよ!『トライアングラー』[歌:坂本真綾;劇中歌ver]」

 

既にというか13歳にして166cmある私、最初こそ可愛い声だったが、かなりのハスキーボイスに育っていた。歌うとカッコイイし、色気のある声も出せるがアイドルっぽくないというか、「加藤登紀子 」でググってほしい。あんな感じだ。

 

ああ、うん。優君の拍手があればやっていける。

 

「すごいかっこよかったよ。流転さんもメインで歌えばいいのに。」

 

「私に遠慮しなくてもいいのよ。私が添え物になっちゃうとかそういうのは気にしなくても、足手まといにはなりたくないし、」

 

「うーん。仮歌聞いたと思うけど、私にこの曲は合わないって。千早の方がいいよ。」

 

「そうね。流転はロックとかの方が合うかも。」

 

「じゃあポップスはお姉ちゃんでロックは流転さんだね。」

 

ふむ。ロックか。いい曲を探すか…。どれがいいかな。

 

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