*ろうざの三の文字がスマフォで見付からなかったため、此処では參としています
「へ?涼君って『
一日の修行を終え、食事を取っていた時の事。ニ虎が二人に出身地を聞いてきた為、氷室が答えたところ、照は驚かされた。
「食べ物を探してて。狼參は食料が全然無いから、大体他の奴から奪ったり盗んだりするしかなかった。
まさかニコさんに弟子入りするなんて思わなかったけど」
そう言って氷室は串焼きにした魚へと豪快にがっつき、魚肉を頬張る。三ヶ月半が過ぎた了君の身体付きは、以前よりも筋肉の隆起がくっきりとし始めていた。
修行と組手の日々が、彼を着実に成長させているのが伺える。
「因みに俺は
話を終える間に、もう三匹焼き魚を食べ終えていたニ虎。
「まぁ…暫くしたら、お前等を修行の為に十鬼蛇区へ連れていこうと思ってる。強い奴等と死闘して、少しでも実戦経験を積みたいだろ?」
《自分勝手なところもあるけど、なんやかんや言って、俺達の事を良く見てるんだよね、ニ虎さん。まるで父親みたい》
そんな事を抱きつつ、照も負けじと焼き魚に噛り付いた。
* * * * * * * * * * * * * *
ニ虎から十鬼蛇区へと向かう話をされてから、五日が過ぎた日の事。今日の照は一足早く起床し、自分の流派である
数日前、氷室との組手で掴んだ
「血流と筋肉流動…脱力から緊張へ…」
一撃、一撃、一撃。
一手の度に修正を見つけて、また一手繰り出す。
一手放って、修正。一手放って、修正。
何度も、何回も。繰り返し、繰り返し、繰り返す。
「むぅ。足の重心…違う。…じゃあ手首や拳の位置かな?そうなると膝の力み…そうじゃないか。…うむむ…」
━━━ほぉ。随分と変わった擊を撃ってるな
「!?」
刹那、反射的とも呼べる反応で照は身構えていた。
其の者が放った声は、底知れぬ力が宿り。
其の者が纏う気迫は、一言では表現等出来ず。
其の者が宿す力は、ニ虎と同等か其れ以上の力が在った。
「アンタ…『誰だ』?」
照の視線の先━━其の者、男は立っていた。
男は黄金に輝く短髪を後ろに整え、瞳孔は猫のように細く鋭利であり、袖の無い黒の胴着を着付けている。
「誰か、か。というか、まさか半年で『奥義継承』まで漕ぎ着けるとは、正直予想外だった。
━━━━ホント、末恐ろしい野郎だ」
奥義継承━━其れが
「何でアンタが鬼鏖の事を知っている?」
「そりゃ知っているさ。俺は『アイツ』と同門だしな」
何を言っているのか、照には分からない。だが、ハッキリとしている事がたった一つだけある。
此の男は、自分の『敵』だと言うこと。
全身の毛が逆立ち、神経を研ぎ澄まして、相手の身体から発する流れを観る。
此の男を相手に、自分は一瞬たりとも、絶対に油断してはいけない。
「ありゃりゃ、もう臨戦態勢に入りやがった。切り替えが早ぇ」
「…一つだけ、問います。アンタは『何者』だ?」
照は問う。これまでの時間は僅か二十秒弱。
男は、照に対し。獰猛に、其の答えを言った。
「…俺は『本物のニ虎』d━━━━」
ズドン!!!!!
「ッとぉ…オイオイ、いきなり仕掛けるたぁ随分せっかちだなぁ、よぉ?」
言い終わる前に、男の左足の筋肉が一瞬『力んだ』事を力の矢印を見て察知した照。
今の自分に出来る『最高速の移動』と、ぶっつけ本番だった
それも、ニ虎との組手で飽きるほど、やったり、やられたりしてきた『
「アンタはニ虎さんと同門とか言いましたけど、俺にとっての『十鬼蛇 ニ虎』は彼だけです。
二度とニ虎を名乗らないでください」
「そりゃ乗れない話になる。十鬼蛇 ニ虎は『俺の名前』だ」
そう言った本物のニ虎を名乗る男は、高速で照との間合いを潰す。照は
しかし男も幽歩で距離を取らせない。照の脚を柳で崩し、片腕を掴み取り、
「ん!?」
柳で崩した筈の自分が逆に崩された。同時に照が御返しとばかりに柳を使って男を投げ飛ばす。しかし着地され、瞬鉄・爆で再び接近されてしまう。
《距離を取らせてはくれないか…!厄介だ…くそったれめ!》
「今のは『ニ虎流には無い技』だったな。崩し技の柳を崩し返すたぁ、中々やるじゃねぇの。益々気に入った!」
「アンタと話すつもりはない!」
「連れないねぇ~!」
右腕で鉄砕・穿。照は脱力し、男の腕を絡め取り、脇で押さえ込み、反撃の釘擊を入れる。
この技の名は
《アイツにしちゃ、随分と良い弟子を育ててやがる。技のキレ、運足もさる事だが、力みと脱力が10にも満たないで『一流』の域に居やがるときた。
こいつは油断してると、逆に食われるかもしれねぇ》
男はそう思いつつ、水草取りで取られた右手の鉄砕・穿を解くと、直ぐ様
骨を押され、痛みで拘束を解き離れる照。しかし男も逃がさない。
《速い!けど、涼君が本気で繰り出す縦拳程じゃない!》
回避に集中し、
━━━━━━男の『予想通り』に。
照が男にダメージを与える為には、自ら射程距離に入るか、相手が入りに来るのを待つかの『どちら』かしかない。ミドルレンジでの戦いにおいて、手足のリーチで劣る事を繰り広げられる攻防で知っている。
積極的に攻撃の隙を窺った照なら、確実にラッシュを狙って攻め入ると予測を立てた。
カウンター気味に瞬鉄・穿を放つ。それで終わりだ。
3cm…2cm…1cm…照の身体が、瞬鉄の最も威力を発揮する間合いへ入る。左手で繰り出す貫手の一撃。
回避は間に合わない。まさに一撃必殺である。
━━━━━この瞬間までは。
「!」
飛び込んだ筈の照の姿が其処には無かった。
「シャァッ!!」
キレの有る一声、男は直感で空いた右腕で頭上をガード。直後、ズシン!と重い一発が右腕に乗し掛かり、地面に皹が入る。
「ちぃ、防がれた!!」
奇襲の一手を防がれ、照は悔しそうに吐き捨てると、再度距離を取った。
彼が放ったのは、蝗跳の跳躍時に生まれるエネルギーを推進力として跳び、水天の脱力と金剛の筋肉硬化を付与し、空中で回転・落下することによって、威力を高めた変則踵落とし。
新たなる『蹴り技』の体系。
其れが、
「戦いの中で『自らの可能性を広げる』…厄介な才能だ。だが、其れでこそ『器』に相応しいとも言える」
「……………」
「しかも右腕が痛みやがる。さっきの『打撃』…衝撃が時間差で襲い掛かるったぁ、面白い技だ。
お前、名前はあるか?個人的に名を覚えておきたい」
姿勢を崩さず、鋭利な目は変わらないが、其の言葉からは『知りたい』という気持ちが在るのが分かる。
「…………鬼灯 照」
「照、か。良い名前だ。じゃあ照よぉ。俺は此処から先、滅茶苦茶『強くなる』。其れを凌げたら、さっきの打撃を『より強く出来る』、ヒントを教えてやる」
「ヒント?何ですかそ━━━」
一瞬。空気と地面が、轟音と共に爆ぜる。
砂埃が空間の急激な変化に巻き上げられ、空気中に散り行き。
そして━━━━━━━━━『響いてくる』。
ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!と、まるで地響きと銅鑼の音を混ぜ合わせたような、けたたましく。それでいて聞くと『嫌な感情』と『不快感』に襲われるよう。
風が吹きすさび、視界が晴れた時、照はギョッと目を見開いた。
男の身体は全身の太い血管が浮かび上がり、髪は逆立っている。目は真っ赤に純血、熱を帯びた白煙が体に纏うようだった。
「サァ…いくぞ、照!!!!!」