・ケンガンアシュラのアニメ、12話まで観終わりました。全体通して見た感想は、九割満足です。
不満があるとすると…何で凛ちゃんと蕪木さん出さなかったん?
日本の中で、最南に位置する県・沖縄。
《構えを変えた…柔術か何か、か。…絶対に見極めてみせる、最強に至る夢の為!》
目の前の着物着の男…
しかし、其の魂を確かに熱く滾らせ、其の血潮を熱く燃やしていた。
《いくぞ!》
照が
繰り出すは、最初に彼が仕掛けた歩法である、
が、再び厳山が砂を蹴り飛ばし、此方に目眩ましを行ってきた。
「同じ手に二度は掛からない!」
刹那、彼の体は水中で外敵から逃げ延びるべく、急速に方向を変える魚のように、『直線から左方向へ』と移動先を変え、更には滑るように厳山との間合に入ったのだ。
これは前世に置いて、彼の体得した武術である覇堺流とは異なる、『此の時代』で得た武術の『
当然、足には大きな負荷が掛かるが、照は砂の摩擦による滑走を利用する事で、まるで氷の上で滑ったかのように移動したのである。
「中々」
「覇ァッ!!」
繰り出す、渾身の
しかし左に捌かれ、拳は空を切る。
━━━━『かに思われた』
「!」
ビタリ…と、空中で止まっていた。
黒木との修行を通じ、鍛えられた照の体幹と筋肉が、本来なら捌かれ、別方向に向かうしか無かった拳を、其の場に押し留めたのだ。
「…中々」
「シィッ!」
腰を捻り、制止した釘擊の正拳突きから裏拳へ繋げ、更に下段回し蹴り、そして
《一手一手、自分の全力を注いだ打撃。馬力は上々と言った所だろう》
中段後ろ回し蹴りを躱わし、前蹴りで照を蹴り飛ばして厳山が距離を取る。腕を挿し込み、諸に食らう事を辛うじて防いだ照。
《強い…!》
そんな時、彼は『瞬き』をした。人間の体内調整の一種である反射の其れは、誰も避けられぬ摂理。其の瞬間を厳山は見逃さなかった。
瞳が閉じた僅かな一瞬。音もなく、気配もなく、厳山は照の真後ろへと、静かに。其れも散歩でもするかのように、意図も簡単に回り込んだ。
これが、平良 厳山の源流…『
そして繋げるのは、照の引き締め、硬化した肉体を捻らせた打撃。肩から腕、腕から手へと運動エネルギーを伝導し、相手の体に衝撃と螺旋を纏った掌底を撃ち込み、体内に伝達し、臓器を捻り、破壊する。
其れが狐影流の打撃。『人を喰らう悪鬼』から名を冠した『捻り込む打撃』こと『
「《!?また消え…殺気!?》くっ…うぅ!」
空気の流れが変わった事に気付き、全身を再び引き締め、厳山の放った打撃を受ける。今回は左肩に当たり、再び後方へと飛ばされ、砂の上を滑走した。
「まだ、やるか?」
厳山が問い掛ける。本当に強い。向かい合ってみて、改めて思い知る彼との実力。
敵わないのは、最初から自分が解っている。
だが…
《やめられないな…》
照は笑う。
覆せない逆境故か?…否。
圧倒的実力差に絶望したからか?…否。
《強い奴と…戦えるのは。何時だって胸が高鳴るし、血が騒ぐ。生きている実感が、全身を巡る》
『強者と戦い』、『覇堺流こそが当世最強』である事を証明する。敗北を積み重ねながらも、高く遠い、見果てぬ頂を目指し、進み続ける事。
「勿論!」
瞳に焔を灯し、少年は再び立ち上がる。直後に厳山が自分との距離を潰し、間合いを狭めてきた。
《一瞬で背後を取る奇術は分からない。だったら…!》
照は『眼を閉じる』。再び厳山が、狐影流 瞬きを使い、彼の背後を取った。腕が捻られ、螺旋を纏った打撃が照に迫る。
バチィ!
「む…」
羅刹掌が『弾かれた』。反動で体が後方へと押しやられる。直後、照の縦拳が飛来。首を傾け、避けると距離を置いて様子を見る。
《今のは…》
確かに羅刹掌は当たっていた。其れなのに自分の腕が痺れている。
此の技は相手の攻撃を見切った上で、タイミングを上手く合わせなければならず、更には其の部位以外の筋肉が弛緩してしまう為、読みを外せば大ダメージは避けられないハイリスク・ハイリターンを抱えた技だ。
《視覚で追おうとするから、消える歩法で隙を作られてダメージを負う。だったら『見なければ』良い。
全身の感覚を研ぎ澄まして、空気や風音の寸分の変化を感じ、逃さない。そして…相手の攻撃を一点に誘い込んで、反乗で跳ね返して攻撃する…これだ!》
敵の動きを『見ないこと』で、自身の技の新しい使い方を導き出した照。目を閉じたまま、呼吸を調え、一気に砂浜を駆け抜ける。
《これで決めにいく!全身全霊の一撃で!!弟子にしてもらうんだ!!!》
5m…4m…3m…順調に走っていた照だったが、厳山との距離が2mへ入るか否かという辺りで、底知れぬ悪寒に襲われた。
先程迄、厳山が居た位置に彼が居ない。
砂浜の音、波の変化、空気の振動。
それらを感じても、厳山が居ないのだ。
《どうゆうことだ…?何処に…》
トン…
「え……」
目を開けた時、自分の鳩尾に大きな男の掌が触れていた。右肩を通り、カタカナのフを逆に書いた形で、厳山の掌が其処に置かれている。
「続けるか」
後ろから厳山の声が響く。既に腕は捻られ、何時でも螺旋の擊を放てる状態にある。防御出来る隙も無い、殺意を込めた其れを食らえば、再起不能は免れないだろう。
照は静かに。そして満足気に一言、「………参りました」と返したのだった。
* * * * * * * * * * * * * * *
「負けたぁ…。やっぱり強いなぁ…」
日の昇る水平線を見、砂浜にヘロヘロと座り込む。
「鬼灯 照」
厳山に呼ばれ即座に振り向き、正座に構え直す。
「お前の弟子入りの試験。…『合格』だ。既に戦い方の基本は、ある程度出来ている。
明日から玄斎の修行と平行して、お前に色々教えていく。今日はよく休みなさい」
力及ばず敗北したが、それでも当初の目的である弟子入りは果たせた。
ありがとうございます!と深々と頭を下げ、照は厳山に礼を述べる。
沖縄で出会った、黒木 玄斎と平良 厳山。此の二人の師を新たに得て、覇堺流は更なる進化を遂げて行く。