もしそれぐらいの年齢に戻れたらだれと幼馴染みになりたいですか?
それではお楽しみにください。
八神の鎮守府 指揮官室
「アイドルになりたい?」
黄緑色のローツインテールの髪をした艦船少女、コメットにそう相談される。彼女はイギリスのロイヤルと呼ばれる勢力の駆逐艦の一人で、最近この鎮守府に着任した少女だ。
「はい、田舎にいた頃からの夢で、アイドルになりたかったんです。けどうちはアイドルについて詳しくないし・・・何をするのかわからないから、都会に住んでた指揮官なら詳しいんじゃないかなって思って・・・」
「なるほど。けど実は俺も良くは知らないんだ。あんまり興味なかったし・・・役に立てないかもしれないよ」
「そ、そうなんだ・・・勝手に頼ってきてごめんなさい・・・」
少しガッカリするところに、コメットの後ろにいた白い帽子をかぶった金髪の少女が口を開いた。
「はぁ、ちょっとは期待したけどアイドルについても知らないなんて、よく指揮官になんてなれたわね」
「・・・なんか、ごめん」
この少女はクレセント、コメットの姉妹艦で常に強気の振る舞いをしている。しかし実際のところは・・・
「じ、じゃあクレセントはアイドルについて、どこまで知ってるの?」
「えっ?どこまでって・・・ほ、ほら、歌って踊るだけじゃなくて・・・熱湯に落ちたり・・・とか?」
「えー!?アイドルってそんなことするの!?」
そう驚くのがもう一人のCクラス駆逐艦のシグニット、銀髪で三人のなかでは一番背が高い少女だ。
あと実はあるところが一番なところもあるが・・・それについてはあえて供述しないことにする。
「いや、そんなことするのはリアクション芸人だけであって、アイドルは基本的にしないからね」
「あ・・・し、知ってたわよ!!」
「クレセントちゃん・・・分からないなら無理しなくてもいいんだよ」
と、このように大人気を無理に出してしまうこともあり、心はまだ子供のようだ。
「しかしアイドルか・・・実は俺、アイドルの女性と知り合いなんだ」
「えっ!?し、指揮官それ本当なの!?」
「ああ、神室町で探偵やってた頃、偶然路上ライブやってる娘がいてね。ギターを片手に歌ってたんだ。
その娘の歌は通りかかる人の足をつい止めて聞き入れてしまうほど上手かったんだ」
「そ、そうなんだ・・・わ、私も路上ライブやってみようかな・・・」
「けどトラブルも会ったんだ。なんせスカウトしてきた事務所が、かなり危険なことをさせるところでな」
「危険!?た、たとえばどんな・・・!?」
「どんなって言われても、上手くは言えないけど、とにかく危なかった状況だったな」
「で、なんであんたがその様子を知ってるのよ」
「そのアイドル・・・て言ってもまだ無名だった頃の話だけどね。その娘から依頼を受けたんだ。その事務所について教えてくれって」
「それで・・・そのあとどうなったんですか?」
「もう少しで危ない目に遭いそうだったけど、なんとか俺が助けたよ。あれは本当に危なかったなぁ」
「そっかぁ・・・よかったぁ」
「今はもうマトモな事務所に就いているけど、そこに入って本格的にアイドル活動が入ったから、しばらくの長い間はその娘には会えないかな」
「そうなんだ・・・うちもアイドルになったらみんなに会えなくなるのかなぁ・・・」
「まぁ、もしかしたらね。けどそれでもその娘は今でも頑張ってるんだ。自分の歌で元気になる人たちのためにね」
「歌で元気に・・・
・・・わかった指揮官。うちも・・・その人みたいに歌でみんなに元気を分けたい!それで世界中のみんなを幸せにしてあげたい!!」
「幸せ、か・・・そのためにはこれから一杯努力しないとな」
「うん!指揮官、貴重なこと聞かせてくれてありがとう!!」
そう八神にお礼を言うコメット。今の彼女の顔は、まさにアイドルにふさわしい、満面の笑みになっていたのだった。
━━━━━
時は深夜前
八神はやり過ごした仕事に明け暮れてしまっていた。決めるときは決めることのできる彼であるが、やはり今でもディスクワークには慣れていないらしい。
「あー・・・こうなるならちゃんとやっとっとけば良かったなぁ・・・」
「まったく、普段から計画的に行うべきですよ、八神指揮官」
「はーい・・・」
ラングレーに説教を受け、気を落としながらも作業を行う八神、するとドアから・・・
コンコンコン
こぎみよいノック音が聞こえた。誰かが来たのだろう。
「はーい、いいよー」
「失礼します。ご主人様」
部屋に入ってきたのは、薄い金髪のセミショートカットのメイド、シリアスだった。彼女はロイヤルが結成したメイド隊の一人で、指揮官である八神に対して強い忠誠心を持ち、そして何より戦闘面ではこの鎮守府でもトップクラスの実力を持った艦船少女である。
「おーシリアスさん。どうしたのこんな夜中に?」
「ご主人様がこの時間までお仕事をされていると聞きまして、実はこのシリアス、ご主人様の為に料理を作ってきました」
そう言っているシリアスの右手には、実際にお盆があり、その上には湯気が出ている少し大きめのお椀があった。
「おーありがとう!一体どんな料理かな?」
「今回作った料理は、シリアスの好物のシチューです。ぜひご主人様にも食べてもらいたかったので作りました」
そう言いながらシリアスは、八神の机に近づき、お椀を置いた。八神とラングレーは楽しみにその中身を見つめてみた。
・・・のだが。
「・・・ん?」
「・・・あれ?あの、シリアスさん・・・?」
「なんでしょう、ご主人様」
「この中に入ってるものって・・・もしかして・・・」
「お気づきになられましたか」
八神が若干不安な声で質問すると、シリアスはやや自慢げにシチューの具を説明した。
「なかに入っている具、それは日本人であるご主人様に誇らしい食べ物━━━━━
《おにぎり》が入っております」
「「お、おにぎり!?」」
「はい。そしてその中の具はこれたま八神様に誇らしい梅干し、が入っています」
「梅干し・・・いや、確かにおにぎりに梅干しは合うけども・・・」
八神はつい怪しい視線でシチューを見てしまう。そしてこう思ってしまった。これは美味しくないのでは、と・・・
「ま、まぁ・・・意外と会うかもしれませんよ・・・?カレーのような感じがして・・・」
「そ、そうかな・・・」
「・・・食べて貰えないでしょうか・・・?」
「・・・いや、食べてみるよ。せっかく作ってもらったんだし・・・」
と言うことで、八神は意を決意してスプーンをとり、食べてみることにした。果たして味はいかに・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「・・・どうでしたか?ご主人様」
「・・・」
八神は黙ったままだった。シチュー自体は
(最後まで食べてみたけどさ・・・)
八神は結局こう思ってしまった。
(・・・マッズゥ!!これそもそもシチューの味してないじゃん!!
しかもそれだけじゃない。米は妙に固いし、梅干しも量がなんか多いし・・・そもそも他の具材に火が通ってねぇし!!
これならぶっちゃけいって、大屋さんが初めて俺に食わしたカレーの方がマシだぞ・・・)
八神はデジャブ感じながらそう思った。
シリアスの特徴・・・それは戦闘面以外に関しては、実はほぼ壊滅的な家事の下手さがあった。
本を一冊取り出せば、その本棚にある本を全部落としてしまう。掃除をすれば壁に穴を作ってしまったり、花瓶を素手で綺麗にまっぷたつしまったり。洗濯を任したら洗剤が爆発を起こしてしまったりと・・・とにかく規格外のしくじりを起こしてしまう体質なのだ。
「シリアスさん・・・正直に言って・・・やっぱりシチューにおにぎりは合わないわ・・・」
「そ、そうでしたか!?」
「うん・・・あとそもそもシチューの味がしてないし、具に火も通ってなかたったし・・・ちょっとこれじゃあダメかな・・・」
「そ、そんな・・・」
シリアスはショックで膝から落ちてしまった。自分の自信作で指揮官を不快な思いをさせてしまったことに絶望をした。
「・・・ま、まぁ次から気を付けて作ろうな。ラングレーさん、いつかシリアスさんの料理を手伝ってあげてくれないかな?」
「は、はい。わかりました・・・」
そうラングレーに頼みを言う八神、しかしその直後予想外の出来事が・・・
「申し訳ありませんでした!ご主人様!!どうかこのシリアスに罰を与えて下さいませ!!」
「ええ!?どうしたのいきなり!?」
「シリアスはご主人様にとても不快な思いをさせてしまいました・・・!これはもうどう一生分を償っても払いきれないもの・・・しかしそれでも、せめてシリアスの体でどうか償わせてください!!」
「えええええ!!?ちょっなにいってるの!?」
そう驚いている矢先、シリアスはなんと服を脱ぎ始めようとした。それを見たラングレーはすぐさまシリアスの暴走を止めようとする。
「おお落ち着いてください!!また今度作るときに私も一緒に作ってあげますから!!その時にきちんと作れるはずですから!!」
「いえ!こうでもしないとご主人様にあまりにも申し訳ありません!!だからこうするしかないんです!!」
「落ち着けぇ!!俺気にしてないから!!全然気にしてないからぁ!!!」
八神も必死に止めるものの、シリアスもまた引くことをしなかったため、彼女の暴走を夜明けまでかけて止めるしか出来なかったのであった。
チャンチャン
シリアスは天使なんや・・・許してやってくれ・・・
彼女がいたら毎日のご奉仕(意味深)が楽しみだろうな・・・
※ただし部屋が無事かどうかの保証は出来ない。
皆さんはメイド隊のなかで誰が一番好きですか?
僕はシリアスとベルファストです。当たり前だよなぁ?
それでは、次回もお楽しみにネ。
ではまた!