連載版「正義の味方」(休載中)   作:トランぺッター

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連載版「正義の味方」


始まりの日

伝統と平行世界。この相互性のない2つの言葉は、これから語られる不可思議な世界では1つの線で結ばれる。

 

伝統。この世界では秘匿される伝統的な行事が存在する。それは聖杯戦争。各地から集められた7人の魔術師が万能の願望器たる「聖杯」を求め、歴史の英雄をサーヴァントとして使役し戦う戦争。またの名を惨劇。この戦争は五度繰り返され、五人の勝者と三十人の敗北者を積み上げてきた。

 

平行世界。それは有り得たかもしれないもう1つの物語。先の第五次聖杯戦争の終結後、正史において「ロード・エルメロイⅡ世」と「遠坂凛」という存在によって聖杯は解体され長きにわたる聖杯戦争の歴史を閉じた。しかし...。もしその「聖杯の解体」が行われなかったら?そんな神のような気紛れは器(うつわ)の中で行われることになった。

 

「ヒヒヒ!精々踊って貰うぜ!魔術師の皆さま方よぉ!」

 

聖杯の中で薄暗い笑みを浮かべた黒い何かはヒラリヒラリと舞っていた。

 

これからは、魔術師の醸し出す人の喜劇と悲劇、そして様々な英雄の生きざまを語っていく。

 

 

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場所は冬木。ここは聖杯戦争が行われる中心地。賑やかに人が行きかうこの町で、図書館で歩き回る人物がいた。名を藤原裕(ふじわらゆう )。彼の一族は冬木に古くから根を下ろす一族で、祖父の代までは魔術師だった。そう、彼には魔術師の血が入っている。まぁもっとも、クォーターなのだが。

 

「う~ん、聖杯の資料、全然ねぇな」

 

彼は現在、聖杯について調べていた。彼は生粋の魔術師ではないが、一応魔術師の端くれである。聖杯の存在を知っていて当然と言える。

 

「じいちゃんが言ってたけど、万能の願望器らしいな。しっかし万能ねぇ…」

 

聖杯。それは人の手の届かぬ願いを人の手の届かない範囲で完遂するバカげた代物。そんな代物に彼が願いを託すとすれば…。

 

「化学による錬金術の再現。なかなか馬鹿げてる話だけど、試してみたい…」

 

彼の一族は錬金術に関する魔術を行う一族だった。最盛期には様々な物質を変換できた。しかし、現在彼にはそこらへんの石を質の悪い鉄に変える程度だった。

 

「…じいちゃんに教えてもらった情報を整理するか…。

まず一つ。聖杯戦争の参加条件は手の甲に出た令呪。

もう一つ。サーヴァントの召喚に必要なのは聖遺物。これが無ければランダムに選抜される」

 

裕のよく口にするじいちゃん。藤原玄(ふじわらげん)は藤原家における最後の魔術師と言えた。何故藤原玄がここまで知っているか、それは時計搭に通い詰めていたから、と裕は聞いている。

 

「ここまでか…。本当に知りたけりゃ教会に出向くしかないかな…」

 

教会。それは聖堂教会。この冬木の地において何十年も前から聖杯戦争の監督を務めてきた組織。聖杯戦争について知りたければここに聞く方が早い。

 

裕は帰り支度をし、図書館を出た。裕の家は郊外の一戸建て。ここの図書館は街の中心地のためバスで行くのだが、それでも少し時間がかかる。

 

すっかり日も落ち、夜になっていた。外の通りはゴーストタウンなんじゃないかと思うほど静まり返っている。そんな中でバス停に向かう途中、彼は、頭上から『異音』と『異物』を確認した。その正体は風切り音と何かを削る音だった。魔術師の血を宿しながら、平穏な日常を送っていた裕にとってそれは明らかな異常だった。

 

ゆっくりと目線を上げる。そこは四階程の小さなビル、その前ででれっきとした『戦闘』が行われていた。

 

(嘘だろ…。あれが人間の動き…?いや、バケモンだろアレは…)

 

そう、祐が見たものはそれこそ『バケモノ』だった。人の目が追い付かない速さで得物を振るう"それ"はあの戦争を告げるものだった。

 

世界は、個人の意思など関係なく回っていく。戦争なんてものはもっての他である。目の前のそれは祐の意思に関係なく刃を立てあっている。さぁ、満願成就の夜が来た。運命の留まる夜へようこそ。そんな声が裕に聞こえた気がした。

 

 

 

To be continued




ヤバい。何がヤバいってめっちゃ疲れる。設定も考えないで見切り発車したもんだからヤバかった。

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