Afton's Worst Ultimate custom night 作:Rat man
AM 2:38
「取り合えず、"Foxy"は後回しだ!今はダクトホース組を何とかしねーと。」
突然の乱入者で困惑を浮かべていたがペースを遅らせるわけにもいかずカメラシステムをダクト
ホースに切り替えて彼らの牽制に取り掛かった。今のところ左端に3体、右端に2体の機械人形が
出口に向かって進行している状態だ。左側の出口にはロックを掛けているので実質2体の対処を
すればいい。タップして音を発生させた後はカメラシステムに戻し、左端のカーテンステージに
カメラを固定しておく。奴がカメラ越しにこちらの様子を窺っておりいつ侵入するのか方針を
固めている最中のようだ。
「こいつだけは走らせないように・・・」
監視した後はカメラを下して部屋の様子を・・・見るまでもなかった。机越しに鎮座している
"Scrap Baby"と正面ダクトに二つの目玉を覗かせている機械人形が一目で確認が取れたからだ。
正面にいる奴は兎も角、正面ダクトにいる奴はハッキリと姿が確認できないのでまた新たな
機械人形が出現したようだ。
「怒涛に攻めてくるなぁ・・まだ二時だぜ。前夜よりもかなりの数が増えているし。」
ここまで来ると対処に追い付かなくなり、最悪取り逃しで襲撃・・・リスクが一気に高まって
しまったようだ。
「いや、落ち着け。焦ればそれこそ奴らの思うつぼだ・・」
俺を焦らせミスを誘発しようとするのが奴らの思惑だ。冷静になれ・・・よし、まずは目の前
の奴らから順に対処しよう。
「正面の奴はドアを閉めて・・・音が鳴ったな。」
退散するのを確認した後にドアを開け"Scrap Baby"の顔を確認する。彼女の顔が僅かに動いたら
襲撃の合図なので見逃さないようにする。・・・特に変化はない。と、ここで机に見慣れない物
を確認した。
「うん?此処に"Foxy"の人形なんてあったか?・・・いや、奴が現れてから出現したって感じ
か。なら、わざわざ設置したってことは何か意味があるのか?」
机の上に先程までなかった等身大のFoxy人形がいつの間にか設置されていた。見た目は彼の容姿
そっくりに作られている。・・仮にこれが彼の襲撃にサインを合図してくれるものなら重要な
情報源だ。これも見逃さないように逐一チェックする必要がある。
「さて、そろそろカメラを起動するか。」
カメラを起動するまでの工程は同じやり方で実行し、それからカメラを立ち上げた。・・・奴の
動きに変化はない。他の部屋に切り替えて入念にチェックする。・・・人形売り場から左の部屋
に切り替えた瞬間だ。画面右上から半分を占める状態でほぼ黒焦げの姿を纏った"Mangie"が唐突
に映し出された。
「!?」
こればかりは不意を突かれてしまい少しの間、対処について考える事ができなかった。すると
俺の意思とは反対に強制的にカメラを下されて左端から尋常じゃないほどのノイズ音が聞こえて
きたので、確認すると・・・
「おいおい、奴が音の発生源なのか。てか、いつ侵入してきたんだ!?」
その侵入速度はカメラを下されてから計ると僅か2秒程である。まず走ってこれる早さじゃない。
・・・幽霊なら話は別だが。そういやこいつ、幻覚の一種だったな。なら瞬間移動しても可笑し
くない。しかし、こいつの最も厄介な所がある。大音量による他の機械人形の誘導と聴覚妨害
である。ここまで五月蠅いと音による感知が更に難しくなり尚且つ、機械人形たちの侵入速度を
速めてしまうのだ。挙句には強制的にカメラを下されてしまい作業を中断されられてしまった。
「厄介すぎんだろ・・・ていってる傍から!!」
正面ダクトと右下ダクトに目玉だけを覗かせている奴と紫色の"BB"が出現したのでドアを閉めて
追い出す。さっき追い払ったばっかだろう・・・
「今度は"Foxy"とダクト組を監視しねーと!」
先程監視を無理やり中断されてしまい、今どのくらいの進行速度で進んでいるのか分からなく
なってしまったので急いでカメラを立ち上げる。正面ダクトを閉じるのを忘れずに。・・・
"Foxy"は今のところ動きはない、なのでダクトホースに切り替えて様子を見ると右の出口付近に
3体の機械人形が近づいてきたので直ぐに右の出口にロックを掛ける。幸い他の2体は両出口から
遠い位置にいるので襲撃される心配はない。そちらに音を発生させて動きを鈍らせたらまた
カメラシステムに戻しカーテンにいる奴の牽制を行う。・・・ここで漸く音が鳴りやんだようで
部屋は発電機の音だけ聞こえる状態になった。
「やっと去っていったか。一旦カメラを閉じていかないと。」
発電機を付けっぱなしにしている状態でも電力の消費を確認しなければならないので作業を中断
する。確認すると残りの電力"60%"と表示されていた。・・・まだ少し余裕はありそうだな。
確認している最中でも奴らは畳みかけるようにやって来る。
"!!!!!!ウヒャハハハハハハハハWWWWWWWW!!!!!!"
"Molten Freddy"の笑い声を聞き取ったので素早くドアを閉める。・・・音が二回鳴り響いた。
偶然にも誰かと重なっていて同時に追い出すことに成功した。ドアを開けて部屋の換気を行って
いるとシンバルの音が背後から聞こえ始めてきた。
「さっきの大音量で召喚しちまった感じかな。もう発電機を稼働し続けるのは無理だ。」
ここで発電機を停止させて奴の怒りを鎮めておく。その間に部屋の確認をしているといきなり
照明器具の光が激しく点滅し、右ダクトから物凄い音が響いてきたので只ならぬ気配を察知し
右ダクトのドアを閉める。・・・ぶつかった音が聞こえてその後静かになったから撃退に成功
したようだ。・・・今のよく反応できたな。ほぼ反射的に押したもんだから。右ダクトドアを
開けて再度部屋の様子を確認する。・・・正面に居座っている彼女の顔が僅かに上がっている
のを見逃さずに即コントロールショックを与える。・・・顔が戻っているのを確認して扇風機
を停止し、正面ドアを閉じてからカメラを起動する。
「!!"Foxy"のやつ、若干体を出してやがる。」
奴の動きに変化が訪れていた。カーテンから体が一部はみ出し片手を突き出す姿勢でその様子
が映し出されていた。あまり悠長にしていられないな・・・カメラで牽制しこれ以上奴を出さ
せないようにする。それが終わったらまたダクトホースに切り替えて機械人形たちの動きを
チェックする。・・・全員両出口から距離が離れていたので脅威はないと見なし、オーディオ
ルアーを張り直す。もう一度カメラシステムに切り替えて奴の監視を行う。ここで時間を確認
するため少しだけカメラから目を離した。
AM4:57
「もう五時まできたか。そういやこの夜だけ一度も襲われずにここまでこれたな。」
今までは早い段階で襲撃されたが、今回は突然の不意打ちやアクシデントが起こったのにも
かかわらずに冷静に対処できたので一度もミスを起こさずに上手くこれたのかもしれない。
このまま順調にいけば朝まで持ち越せる!という思いが頭の中に広がりそうになったがその
思考に囚われたらまた油断する羽目になるので切り替えて目線をカメラに戻す。・・・
さっき少しだけ目を離したはずだが、奴はカーテンステージから完全に降り立った状態で
鎮座していた。
「これ、もういつ走って来るのか分からねーから常にチェックしねーと。」
猶予も多分残されていないと思うので確認が取れた後にカメラを閉じて部屋の確認を素早く
行う。・・・軋む音が正面ダクトから聞こえたので直ぐ閉める。・・・ぶつかるおとが聞こえ
たのでドアを開け、シンバルの音が聞こえていない内に発電機と扇風機を作動させる。それと
いつの間にか"Scrap Baby"が忽然と消えていたので彼女による襲撃はないことを認識し、室温
を下げたら両方の機材を停止させて急いでカメラを立ち上げる。・・・奴の姿がない。・・
見当たらない!?
「ちょっと待て、此処に映っていないとすれば・・・」
最悪な場合を考慮し即左のドアを閉じる。・・・音が聞こえない。仮に前夜の"Rockstar Chica"
のようにドアを破壊する習性を持っているならば看板を設置する必要がある。
「なら急いで持って行かねーと!!」
はじき出すように椅子から飛び出し看板を抱えて左端に設置する。と、ここで違和感を覚える
ことになる。・・・奴の走る音が聞こえないのだ。
「あれ?何か不自然なくらい静かだぞ。ドアを叩く音が聞こえないどころか走る音も・・・」
奴がステージに戻るのはあり得ないとしても念のためにカメラで廊下を確認してみる。・・・
当然ながらいない。いや、気配すらも感じないしステージも確認しても同じだった。疑問を抱き
ながらもこれ以上どうすることも出来ないので仕方がなくカメラを閉じることにした。
・・・ここで彼の考えがいかに甘かったのかお分かりだろう。カーテンから飛び出した"Foxy"が
必ずしも走って来るとは限らない。先程彼が考えていたのは音の発生源による存在の認識である。
ならば走る音を聞きつければドアで侵入を防ぐか看板で追い出す形にしようというのが彼の考えで
あるが、音が聞こえてこないので困惑したであろう。その時点で気付くべきだった・・・音が
聞こえない?いや違う、聞こえなくて当然だ。
彼はすでに侵入しているのだから。新たな芸当を身に付けて。
「!!!」
いた。先程抱いていた疑問があっさりと解消することが出来た。部屋の至る所に彼の部品が
散りばめられており態勢を既に整えていたのだ。自身が考えた予想を遥かにこえて奴は斬新
な方法でこの部屋に入ってきたのだ。俺がカメラを見るその一瞬の隙を狙って自分の体を
分解し、空いている通路に目掛けて放り込む、機械だからこそ出来る芸当に内心驚きと恐怖
が浮かび上がった。奴の顔は机の上に乗っかって、こちらを睨みいつでも襲撃が出来るように
虎視眈々と狙っているのだ。恐らくカメラを立ち上げた瞬間に・・・タイミングも悪く空気
の流れが悪くなり、換気しなければいけないがこの状況じゃ・・・俺が出来ることは唯一つ。
待つしかない。他の作業が出来ない以上、最早無防備状態に陥っておりダクト組が襲撃する
可能性が高くなってもこらえるしかない。時間はなるべく確認しない。心理的負担を減らす
ためだ。息も荒くなり空気の確保も難しい状態でも機械人形たちの侵入は止まらない。正面
ダクトから床を軋むような音が聞こえてくるのでドアを閉める。・・・立ち去ったことを確認
してドアを開ける。眩暈がして視界が狭まってきた。多分酸欠による呼吸困難だ。意識も
徐々に奪われ絶体絶命の危機に瀕している。瞼が閉じようとするので無理やりこじ開けて
ぎりぎりの状態で保っているがもう限界だ・・・奴が不適に笑みを浮かべてこちらの様子を
窺っている。遂に俺は眠るように意識を手放した・・・
・・・・・・・・・・
"♪キーンコーンカーンコーン。カーンコーンキーンコーン♪"
・・・・・・・・・・?
何故朝のチャイムが聞こえる?俺は奴に・・・殺られていない!?さっきまで苦しかったのに
息が自然とできる・・・。うっすらと目を開けると"Foxy"が悔しそうにこちらを睨んでおり
こう言い放った。
「・・・っち、てめーの勝ちだよ。悪運の強い奴め。」
"からなずしも成功するとは限らない"