Afton's Worst Ultimate custom night 作:Rat man
・・・・・・・
俺の耳元にひどいノイズ音が響いてきたのと同時に意識が目覚めた。不意打ちを喰らう感じで
起こされたので最悪な目覚めとなったが重い瞼を無理やり開かせると、見覚えのある場所に迷い
込んでしまったようだ。
「これ、また夢のパターンか。二日ぶりだな・・・。」
いい加減この現象には慣れてきたものだが相変わらず俺に夢を見させる意図が読めないので結局
目的が分からない。まぁ、そんなこと思っても無駄だと思うので一応辺りを見渡してみる。此処
があのピザ店舗の室内であることは一目で見極めたが築年数がだいぶ長いのか、壁や床などの
構築物に
周りを見ても酷い光景が広がってる。埃が床一面に覆いかぶさっており蜘蛛の巣も至る所に張り
巡らせているので碌に部屋の掃除をしていないのは一目瞭然で、古い道具や機材がそこらへんに
転がっていることもあり迂闊に進むと怪我をするリスクも出てくる。一通り確認してこの店舗が
何時のものか壁に貼っている新聞の記事で直ぐ判断できた。1993年のピザ屋だ。この頃は児童達
が店内で行方不明になりその後、機械人形からひどい異臭が漂ってきたことから事件性に発展
した児童誘拐殺人事件で一時騒がれたんだっけ?
「この光景から察するに・・・潰れた後の店か。通りで汚いもんだ。」
空気の入れ替えも殆どしていないもんだから環境は最悪、息を吸い込むだけでも埃が舞い込む
状態であり吸っただけでも気分が悪くなる。位置的にはこの場所から正面に広場が見えており、
そこから一本道で廊下として続いていることから片側のエントラスホールだと理解した。このまま
じっとするのも気分がよろしくないから向かって正面の広場を目指して歩き出す。途中、ネズミの
大群に出会ったときに驚いた拍子で尻もちをついてしまうアクシデントが起きたこと以外特に変化
が見られなかったのでズカズカと進んでいく。・・・狭く息苦しい廊下を抜けるとかつては賑やか
に栄えていた大きな広場にでた。長方形のテーブルが規則的に並んでおり紙帽子とお皿が均等に
並べられている。端には風船を膨らませる機材と遊具が無造作に設置されている。そして広場の
正面ステージには、あの機械人形たちが静かに佇んていた。
「・・・"Freddy"、"Bonnie"、"Chica"、"Foxy"。」
エンターテイメント用の彼らもあの事件をきっかけに出番が無くなり唯の置物として放置される
運命を強いられたのだ。ほんの数年間くだらない歌と偽りの物語を餓鬼共に吹き込ませるためだけ
に作られた存在。最初は俺にとってそれが余りにも不憫でならないと思い、感情が欠如した彼らの
ために一人で盛り上げたもんだ。誰もいない夜中に忍び込み、彼らを起動し一方的に話しかけて
少しでも寂しい思いを取り払おうとした。少しのジョークも混ぜてな。無論彼らは機械なので俺の
言っている意味なんて分からないだろうし勝手に話すこともない。傍から見れば俺は頭が狂ってる
奇人だと捉えられるだろうが俺にとっては真剣そのものだからそんなこと気にしなかった。彼らと
いるだけで生き生きした気分になれたんだ。正直に言えば俺も独りぼっちな人生を送ってきたもん
で人と関わることなど殆どなかった。第一、穢れた心を持つやつらと戯れる気なんざ起きない。
だからこそ汚れたものがなく、純粋な心を持つ彼らに憧れを持って接してきた。
「・・・あの日は本当に楽しむことが出来たなぁ。」
その点でいえば大嫌いなパートナーが持つ技術力だけには素直に関心が持て、尊敬できたのさ。
これは偽りのない本当の気持ちなんだ。・・・そう、奴らが俺を襲うまではな。
「ん?」
異変を感じたのはこの会場に留まって約数分が経過した時だ。正面から見て左端からの景色が歪み
始めたのだ。それと同時に最初にこの空間で目覚めた時に聞いたあのノイズ音が部屋中鳴り響いて
おり、歪みだした空間からそれは現れた。そいつの特徴として容姿は"Freddy"そっくりだが全身
真っ黒の影で覆われており右手にマイク、左手に一つの風船を掲げて彼らが立っているステージに
近づきだした。呆然とその様子を眺めているとそいつが"Freddy"の耳元で何かを囁き始めた。
此処からでは距離が開いているので何を喋っているのか判断が出来ない。近づこうとしたが何故か
金縛りに遭い、体が動いてくれないのだ。囁きだして数秒、"Freddy"が動き出した。体はとっく
の昔に錆びついているはずなのに自然とした動きで若干驚きを隠せない。ステージから降りると奴
は手招きをしながらこちらに来るようにジェスチャーをしている。誘われた熊の機械人形は怪しむ
こともなくあっさりと奴の後を追うことになった。この間も俺の体は動いてくれなく一連のやり
取りを見るしかなかった。・・二体が去った後暫くは静かな空間に息苦しさを感じたが突然、悲鳴
に近い叫び声が部屋越しに響き渡った。それと同時にこの部屋に勢い込んで入ってくる一人の男を
確認した。見るまでもない、若い頃の俺だ。錯乱状態に陥りまともな態勢を取れずに何度も床に
倒れる。飛び出してきた方向に目を向けると、奥から熊の機械人形が現れて不規則な音程で曲を
鳴らしながら不敵な笑みを浮かべていた。それを合図に他の機械人形も動き出し、同じように俺を
追い詰めるように回り込む。あぁ、もちろん若い頃の俺の方であり、今の俺は幻影扱いにされて奴
らからには存在を認識されていない。だが、ここでやられるほど俺は甘くない。人は命の危機まで
追い込まれると信じられないほどの力と行動力を発揮する。修理部屋に追い詰められた俺はある事
を思い出し部屋の奥に急いで駆け込んだ。万が一地震が起きた場合、ドアを破壊できるように設置
されたアレックスの斧を取り出し奴らの方向に向き合った。彼らは俺の行動に不信を持ったよう
だが気にせず襲撃の態勢に切り替える。・・・最初に動いたのは"Foxy"だ。鋭いフックを俺の顔
に突き出そうとするのを確認し持っていた斧で対抗する。
"!!!ガキン!!!"
金属同士を勢いよく叩き込んだ音が響き渡り僅かな閃光が走る。まさか防がれると予想しなかった
阿保面出してる奴に目掛けて斧を勢いよく振り下ろす。
"!!!!!(部品が破損する音)!!!!!"
あっさりと奴の首を切り落とすことに成功したもんだから他の機械人形達は度肝を抜いて動きが
一瞬止まった。この絶好のチャンスを逃すはずもなく駆け出してもう一体の機械人形"Chica"に
向けて思いっきり斧を振り回す。・・・今度は胴体を真っ二つに切り裂き修理部屋を脱した。体勢
を整えるためだ。早くも二体がやられ残された"Bonnie"と"Freddy"は完全にペースを取られて
混乱状態に合っている。出口付近までたどり着いた俺は出入り口のドアに打ち付けられている板を
剥がす作業を始めるが、そうはさせまいとしてさっきの二体が襲い掛かってきた。しかし焦りから
なのか、奴らの動きは大胆となりかえって襲撃の予測が容易に分かり、簡単に躱すことが出来る。
そして"Bonnie"目掛けて不意を突くように斧を突き出す。・・・頭に刺さり体勢を崩したところで
顔面に向けて力いっぱいに振り回す。破損した部品が飛び散り顔を崩壊させる頃には奴が動く様子
はなかった。遂に一人になった熊の機械人形は迂闊に行動できないのか、一旦静止した。臨戦態勢
に切り替えじっと俺の姿を見る。俺も只ならぬ気迫を感じ取り、動きを止める。・・・お互いミス
が許されない場面であり極限状態に達している。
"・・・・・・・・・"
「・・・・・・・・」
押し黙る二体の存在。・・・先に動いたのは機械人形の方だ。右腕に力を込めて振り下ろす。直ぐ
に察知し避ける俺、動いた隙に斧を突き出す。が、流石は大将、機械とは思えない俊敏な速さで
斧の柄を掴み取り事なきを得る。奇襲に失敗し動揺した一瞬を狙い俺の胸倉を掴み取る。近づけ
させ頭を噛み砕く気だろう。奴は勝ち誇ったかのように不敵な笑いをする。・・・それこそ俺の
狙いだ。奴は大きなミスを犯した。何しろ武器は一つとは限らないだろう?先程の部屋にもう一つ
持ってきた+ドライバーを奴の目玉に突き出してやった。主に目つぶしのために用意した物が
ここで真価を発揮するとは思えなかったが兎も角、苦しみだした時に僅かに左手が緩みだしたので
斧を奪え返し首目掛けて振り下ろした。・・・鈍い音を発した後に勢いよく倒れこみもう動くこと
はなかった。・・・と、ここで意識が急に途切る。
・・・・・・・・・・
「・・・・あ?」
再び瞼を開けるとそこはいつもの部屋のが映し出されていた。どうやら此処に戻ってきたようだ。
時間を確認すると午前9時を過ぎていた。
「あのタイミングで意識が切れるとは・・・」
中途半端に終わってしまった夢に少し疑問を抱いたが終わってしまった事に一々気にする必要は
ないと判断してもう一度仮眠をとることにした。腑に落ちないといえば結局影の存在については
分からずじまいとなってしまったが。
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